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★MotoGP2016 タイヤにとっても新しい時代の幕開けとなる2016年

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さて、いよいよ2016年シーズン開幕が今週末に迫りましたが、今年からMotoGPに帰ってきたミシュランタイヤについて詳細な記事がありましたのでご紹介します。今年も開幕戦からどのようなシーズンになるか実に楽しみですね。そう言えばセパンでのロリス・バズ選手の転倒についてはカタールまでに原因解明&発表があるような話でしたが、その後どうなっているんでしょう?

★7歳のスタントライダー「AJ Stuntz」

プレシーズンテストはシーズン開幕前に、ライダー達に最後の判断を可能とした。オーストラリア人のジャック・フィンドレイがマン島のツーリスト・トロフィーで優勝したのが1973年。これはミシュランにとって初めてのグランプリレースでの勝利で、36年に渡るワールドチャンピオンシップの歴史の始まりでもあった。2008年にMotoGPに別れを告げた後、ミシュランは最高峰クラスの舞台に2016年に戻って来る。ミシュランはMotoGPにおいてシングルタイヤサプライヤーとなり、同時に2016年オーストラリアン・モーターサイクル・グランプリのタイトルスポンサーでもある。


ミシュランの本拠地はフランスのクレルモン=フェランに位置し、2008年以降MotoGP復帰の為に努力を続けてきた。ここ数年、ミシュランのタイヤ開発には多くのステップが取られてきた。これはFIM・CEVレプソル国際選手権、世界耐久選手権へのタイヤの供給などが含まれ、どの方向に開発を進めるかという事の叩き台となった。選手権の中でタイヤを使用することでタイヤを限界までプッシュすることに繋がり、性能と限界についての理解が深まっていった。ミシュランは常に参加する選手権の中で高い競争力を維持する事に努めてきた。2015年と2016年のFIM・CEVレプソル国際選手権のスーパーバイククラスは、MotoGPで使用されているものと良く似たタイヤを使用する。技術的な面でミシュランタイヤと以前のブランドとの一番の違いは、タイヤサイズが16.5インチから17インチになる事だ。またインターミディエイトタイヤも投入される。サイズの違いによりタイヤのディメンションも異なる。これは路面との接触面(コンタクトパッチ)の違いとなる。コンタクトパッチとはタイヤがトラックに接する面の事を言い、接触面が小さいほどにグリップは低く、リーンアングルは浅く、最も重要なこととしてスピードが遅くなる。幸運にもミシュランはこのコンタクトパッチを大きくし、ブラッドリー・スミスは修正版のタイヤをフィリップアイランドで使用して大いに喜んでいた。


インターミディエイトタイヤはミシュランになったことによるもう1つの大きな変化で、完全なドライでも完全なレインコンディションでも無いときに使用される。これによってライダーはそのようなコンディションであってもピットで待機すること無くトラックに出て行く事が出来る。しかし消耗が激しい為にレースでは使えないのではないかというのが大半の意見だ。タイヤの割当も2015年からは変わる。ライダーは10本のフロントタイヤ、12本のリヤタイヤをレースウィークで使えるようになる。ドライの場合、3つの基本的なコンパウンド(ソフト、ミディアム、ハード)が存在し、ミシュランが2つのコンパウンドをレースごとに選択する。しかしカタールで使用されるミディアムコンパウンドのタイヤは、他のトラックで使用されるミディアムコンパウンドのタイヤと異なる可能性がある。レースウィークの初日の後に、ライダーとチームは自分達の好みの7本のリヤタイヤとフロントのスリックタイヤを選択する。合わせてミシュランは毎レースごとに2種類のレインタイヤとインターミディエイトタイヤを持ち込む。


2015年の最初のテストで各メーカーからテストライダーがミシュランタイヤを試した際は、フロントタイヤと比較してリヤグリップのほうが強大であった。これによってリヤタイヤがフロントタイヤを押し出してしまい、2015年のヴァレンシアテストではローサイドの転倒が多発した。またブレーキングの際もフロントから適切なフィードバックが得られず、いきなりフロントがすくわれるという状態であった。フロントからのフィードバック不足という問題はミシュランのフロントタイヤの剛性が低かったことによるもので、ブレーキングでタイヤが変化しすぎるという事によって起きていた。タイヤが変形するとライダーは十分なフィードバックが得られず、手遅れになるまで限界がどこにあるのかわからないという問題があった。高いコーナリングスピードが特徴でコーナ出口でバイクをしっかり起こすというGP250ccスタイルの乗り方の場合は、このタイヤと相性が良かった。これが250ccで2度の世界タイトルを保有するホルヘ・ロレンゾが新しいタイヤにすぐに適応出来た理由だろう。


タイヤと同様に燃料も上限が増え、これによってヤマハにようにバイクの重量バランスや燃料タンクの位置を変えてハンドリングを向上させようという試みが生まれた。2016年の初回のミシュランタイヤテストの段階で、フロントタイヤはすでに大きな進化を見せていた。これによってライダーはフロントタイヤからの安心感をすぐに感じる事が出来、転倒の減少、ライダーにとってはさらにプッシュ出来るという事に繋がった。ファクトリーライダー達はセパンで新しいフロントタイヤを試し、ロレンゾとペドロサは最大リーンアングル時での安定感の増大を賞賛した。そしてこのタイヤはフィリップアイランドから全てのライダーが使用出来るようになった。フィリップアイランドでの天候の変化によってテスト時間が限られ、特に最終日に転倒が多発した。また、雨のコンディションは数名のライダー達にインターミディエイトタイヤとレインタイヤのテストを可能とした。ヴァレンティーノ・ロッシは雨を満喫し、既にタイヤは高いレベルにあるとコメントしている。


カタールでの最終のプレシーズンテストにおいて、ミシュランは開幕戦への準備に集中した。ミシュランはレースで使用される様々なコンパウンドのタイヤをテストし、数名のライダーがレースシミュレーションを行った。ミシュランは初戦のカタールにミディアムタイヤを持ち込むという事は明らかだ。ソフトタイヤは高速ラップを刻むのには有効であるが、レース距離を完走するには耐久性が足りずタイヤ右側のグレイニング症状が激しい。グレイニングはタイヤが適切な温度に上がる前に激しくプッシュされた際に起き、ゴムがねじれ、そのカスがトレッド面に付着してしまう事を意味する。一方ハードタイヤはレース距離を走行するのに適切な耐久性を供給することが出来る。(※ロレンゾ、アンドレア・ドヴィヅィオーソ、ヘクトル・バルベラはレースシミュレーションを終えている。)ただし、ロレンゾによるとハードタイヤの場合タイヤの硬さの為に、ラップタイムが0.5秒ほど落ちてしまうようだ。ミシュランはカタールにはソフトとミディアムタイヤを持ち込むだろう。コンパウンドの種類に関わらず、レースは今まで無いほどに接戦で面白くなりそうだ。

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