★シルヴァーノ・ガルブセラ「ヴァレンティーノは現在最高の状態にある。」
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シルヴァーノさんにチーフメカが変わってから一気に息を吹き返したロッシ選手ですが、今年シーズンはベースセッティングも出ていることですし、開幕から予選ポール、そして表彰台を争う姿が見れそうですね。
オーストラリア人のジェレミー・バージェスと長年共にMotoGPクラスで戦った後、9度の世界選手権チャンピオンであるヴァレンティーノ・ロッシは、2013年の終わりにクルーチーフを突如として変更した。その後、それまでヤマハのWSBKチームのテクニカルチーフだったイタリア人のシルヴァーノ・ガルブセラをクルーチーフに選択するのはイタリア人であるロッシにとって最も容易な選択だった。
ロッシが足をムジェロで負傷した後の2010年の復帰の際にファクトリーYZF-R1をテストした事があったが、実はこの2人はそこで共に仕事をしている。ロッシによると2人はすぐに馴染んだという。ガルブセラはヤマハ、BMWなどのWSBKで多くの経験を積んでいたわけだが、MotoGPではルーキーメカニックと言えた。そのため彼はYZR-M1のセットアップの習熟に多少時間を要したが、ガルブセラがセットアップの方法を理解するとロッシは戦闘力を取り戻し、2勝、13回の表彰台、そしてここ4年間で始めてのポールポジションを獲得した。
2014年シーズンの終わりには35歳のロッシはこのクラスで圧倒的な強さを誇るマルケスと素晴らしいバトルを展開し、2009年以来となる会心の走りを何度も披露した。
ロッシはヤマハとの契約も2年間更新し、10度目となる世界選手権のチャンピオン獲得に燃えている。以下はガルブセラが昨年12月にイタリアのヤマハモーターレーシングの拠点で語ってくれた内容だ。
Q
「ヴァレンティーノ・ロッシと一年間フルにMotoGPクラスで戦ってみてどうですか?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「私にとって始めてのMotoGPクラスで、こうしてヴァレンティーノのようなトップライダーと共に戦うというのは、素晴らしく信じられないような経験です。夢が叶ったという感じですね。私はMotoGPの経験がありませんでしたので、当初はかなり難しく感じました。ですからシーズン前の冬期テストでは出来る限り多くを学ぼうと努力しました。ヴァレンティーノからの全てのコメントを注意深く聞き、バイクの適切なセッティングを見つけようとしました。徐々にお互いの事もわかるようになり、結果もついてきました。」
Q
「シーズン開幕前はヴァレンティーノが再びチャンピオンを獲得することは困難だと思われていましたが、ヴァレンティーノ自身も大きな進化を遂げました。ここまで結果がついてくると思っていましたか?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「もちろんです。なぜならヴァレンティーノにとっては一度全ての物事を完全に変えてしまうことが良いと思っていましたから。でも、誰もがマルケスやロレンゾ、ペドロサに対して戦えるほど大きな変化になるとは思っていなかったでしょう。皆このクラスのレベルが非常に高いという事は理解していますからね。過去3年か4年、多くのライバルがタイトルを争うのを見てきました。ヴァレンティーノに関しては過去2年間Ducatiで、そして1年間をヤマハで過ごした中で、自分に対して(自分のパフォーマンスに対する)疑いが出来てしまったと思うんです。でも、冬期テストの後に「ある程度良い結果は感じられた。多分レースの中でもマルケスやホルヘと戦えると思う。」と語ったんです。」
Q
「何が変わったんでしょうか?ヴァレンティーノのライディングスタイルもかなりかわりましたが、メンタル面でも変化があったんでしょうか?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「ヴァレンティーノの変化で大きな事は、より良いバイクを見つけようとする心だと思います。2014年シーズンの前に、ヴァレンティーノは1年前はバイクに対して100%だと感じられたことは無いと語りました。彼はそのフィーリング無しには限界まで攻める事が出来ないんです。ですから、我々はヴァレンティーノがM1を”彼の”バイクだと感じられるようにする努力を続けました。」
「結果的に彼はより深くまでブレーキングで突っ込めるようになり、過去のように非常に速いコーナリングスピードを実現出来るようになりました。少しづつではありますが、良いセッティングを見つけることが出来てきたんです。ヴァレンティーノにとって乗りやすいバイクを作ることで、彼もトップライダー達と争えるようになって行きました。このフィーリング無しには、ここまでの結果は不可能だったでしょう。」
Q
「そのフィーリングを見つける為に、ある程度ベースとなるセッティングがあってやっていたのか、それとも毎週バイクのあらゆる箇所を変更していたのか、どちらでしょう?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「いや、毎週あちこち変えまくっていたわけではありません。良いバイクとダメなバイクのセッティングの違いは実に小さい部分なんです。我々はヴァレンティーノのコメントとリクエストを注意深く聞いていきました。一番の問題はブレーキングで、それまでのところヴァレンティーノはフロントタイヤに満足するフィーリングを感じた事がなかったんです。日本人メカニックとその部分を詰めていき、シーズンの間にいくつかの良いセッティングを見つけることが出来ました。そしてシフトダウン時にクラッチを使う必要がなくなったことも大きかったですね。最終的にはコーナーリングスピードを少し改善することが出来ました。」
Q
「2015年にチャンピオン獲得に向けて、バイクとヴァレンティーノのライディングに関して、これから改善すべきことが何でしょう?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「2014年の終わりの段階では、ホンダのほうがヤマハよりも少し良いマシンだというのは理解しています。シーズンの間に我々もかなりマシンを改良しましたが、ホンダに追い付くにはまだもう改善が少し必要です。特にブレーキングですね。マルケスはとにかくブレーキが物凄く深いんですよ。彼だけと言えばそうなんですが、彼はそもそも全く異なるスタイルでコーナーに進入しますからね。我々が見る所、彼は限界域で走行していますが、それでもタイムは出ているんですよね。同じ事をヴァレンティーノにやらせるには、コーナーのエントリー段階で少しだけリアをスライド出来るようにして、その後はマルケスのように早く進入出来るようにする必要があります。」
Q
「ヴァレンティーノはまだまだライダーとして成長出来るのでしょうか?それともすでに出来るすべての事をやり尽くしていると言えるでしょうか?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「ヴァレンティーノが年を食って見えるのは実際は紙の上での話ですよ。全てのレース、全てのテストから彼は何かしらを学び、最高の結果を出すために何かしらスタイルを調整しています。私から見ると、ヴァレンティーノは現在最高のコンディションで、マルケスを倒すためにメンタル面もしっかりと整っているように思えます。我々がやるべきなのは、バイクをもう少し改良してヴァレンティーノがマルケスに勝てるように手助けをすることだけです。」
Q
「今年はあなたにとってMotoGPのルーキーシーズンだったわけですが、一番大きく変わったことや、最も大きなチャレンジは何でしたか?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「MotoGPのレベルは非常に高いので、ほんの些細なセッティングの違いがトラック上では大きな変化となります。今シーズンの序盤はそうした小さなセッティングの変化が実戦でどういった変化となって現れるのかを注意深く計測していました。今ではヴァレンティーノのコメントを理解するためにそうしたデータの分析が出来るようになりつつあり、バイクにどんな変更を加えれば良いのかが分かってきました。今年は金曜日、土曜日は他のチームに比べて遅くとも、毎セッションで速さを増していく走りが出来ていますし、日曜日にはライバルと戦うための最適なベースセッティングが出来ているという状態です。」
Q
「毎週末の決まった働き方みたいなものはあるんですか?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「いいえ。毎週末の木曜日にヴァレンティーノが到着すると、昨シーズンのそのトラックでの内容と前戦の振り返りを行います。それから金曜日のベースセッティングにとりかかります。それから色々と変えていくわけですが、アクセレーションの改善が必要なこともあれば、ブレーキングに改善が必要なこともあり、トラックのコンディションやタイヤによって毎回変わる作業ですね。」
Q
「9度の世界選手権チャンピオンと働くというのは、どういう感じですか?」
シルヴァーノ・ガルブセラ
「ヴァレンティーノは間違いなくトップライダーです。でも、ガレージの中では彼は全然そんな素振りは見せないんですよ。一緒に働いて最高のセッティングを見つけようとする。ガレージの中では普通のライダーと変わらないですね。レースが終わってガレージの外の多くの人達がヴァレンティーノと話したがったりするのを見ることで改めて気付かされますね。彼は非常に明晰なマインドの持ち主ですし、トップライダー達と戦う事に対して情熱を持っています。私にとってはそれこそが最高なことですね。」
(※シルヴァーノさん 夏頃のインタビューでは、下記のように語っております。↓)
★シルヴァーノ・ガルブセラ「ヴァレンティーノと働くのは何ものにも代えがたい経験」 - 気になるバイクニュース。
CW Interview: Silvano Galbusera- Valentino Rossi’s Crew Chief