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★ヤマハ 2015年型YZF-R1/YZF-R1M技術詳細に関して

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Cycle World誌に新型YZF-R1の詳細情報が出てましたのでご紹介。アメリカでの販売価格は、R1で$16,490、R1Mが$21,990なので、R1Mでも250万円くらいに収まるみたいですね。これは確かに1299パニガーレ買うよりは断然R1ですね。6軸慣性ユニットの説明や進化したエンジンについても触れてますが、これは恐ろしいバイクをヤマハさんも作ったもんですね。感服&日本人として誇らしいです。

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新モデルの不在によってバイク企業にとって辛い時期が長く続いた。しかしここ最近は新車の発表が増え企業活動も活発になってきた。そしてヤマハが満を持して発表したのが、今回の新型YZF-R1と生産数限定モデルのYZF-R1Mだ。

搭載しているエレクトロニクスについて

バイクのエレクトロニクスに関する流れはヨーロッパから始まったといえるが、次の時代の流れ-ヤマハからの回答はMotoGPの技術を利用したリーンアングルを感知するトラクションコントロール、ウイリーコントロール、ABSリンクドブレーキ、そしてスライドコントロールというものだ。 

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エレクトロニクスの最初の流れというのは傷口に貼るバンドエイドのようなものだった。しかしヤマハが開発したこれらのエレクトロニクスは、6軸慣性計測ユニット(Inertial Measuring Unit [IMU])によって統合管理される。この通称IMUは、これらのエレクトロニクスに搭載しているジャイロによってロール、ピッチ、ヨーの3軸を計測し、さらには加速度計がこの3軸の速度変化を計測することで、バイクをライダーの手のひらの中でコントロール出来るようにする。簡単に説明すると、この技術は大陸間弾道弾の慣性航法装置に使用されている技術を一般化したものだ。これらの機能というのは人間にも三半規管として備わっているもので、これによって私達人間はシャワーを目を瞑りながら浴びていても、転ぶことがない。

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これらのIMUの働きによって、バイクのECUはリーンアングル、ピッチング〜車体の前後姿勢、そしてその姿勢変化がどれくらいのスピードで起きているのかを瞬時に知ることが出来る。(実際は1秒間に125回計算をしているということになる。)つまり、バイクのリアがスロットルオンで振られているだとか、リーン中のトラクションコントロールの調整の具合だとか、フロントの浮き上がり具合から「ウイリーしかかっている。」という判断を下したりということだ。

 「ヤマハはAMAのベース車両の価格規定内の価格で、これらのエレクトロニクスを全て装備したバイクを販売することが出来ます。」とヤマハのレーシングマネージャー キース・マッカーティーは語る。

AMAはこの価格規定として$18,000を設定しているが、実際のR1の販売価格は$16,490となる。これは多くの電子システムが導入時期は恐ろしく高額で、一度市場に浸透すると大量生産によって価格が一気に下るという事実を示している。そして同時に、人間を必要とするシステムが高度化すると人間の能力自体がその中での足かせとなることもまた事実だ。戦闘機の場合などは、より詳細な内容はエレクトロニクスによって判断され、高度な意思決定は人間が行うようになるといった具合だ。(※管理人注 バイクの車体姿勢の判断は人間じゃなくシステムにやらせたほうが断然精度が高いという意味かと思います。)

 

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私はヤマハのプロダクトプランニングディレクターのデレク・ブルックスに、これだけ複雑なエレクトロニクスを搭載したバイクを操縦する感覚はどういったものなのか尋ねてみた。

 ヤマハ プロダクトプランニングディレクター デレク・ブルックス

「とても驚いたんですが、このバイクは今までのバイクに比べて小さく、軽く、パワフルなんですが、その背後にあるシステム自体の存在はほとんど感じないんですよ。何も変なことが起きないというか、とにかく扱いやすいバイクに乗っているという感覚しか無いんですよ。」

 

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エンジンとシャーシについて

エンジン、シャーシは完全な新作で、998ccの直列4気筒4バルブエンジンは、79.0x50.9mmのボアxストローク、そして今までと同じクロスプレーン(各気筒のクランクピンが90度の角度で取り付けられている。)型クランクシャフトが装備されている。
ショートスカートの"アッシュトレイ型"ピストンは、オイルジェットによって冷却されるため、ここまでの薄さと軽さを実現している。圧縮比は13.0:1で、この高い圧縮比はCNCマシンニングによる正確な燃焼室の造詣によるものだ。


バルブの駆動、クリアランス確保の方式は旧来のタペットを使用したものから、F1などと同様により軽量なフィンガーフォロワー形式を採用。こうして生み出されたパワーはアシストスリッパークラッチ、6速ギアボックスを伝い、スムーズなコーナーエントリーを実現。アシスト&スリッパークラッチにより、エンジントルクをクラッチプレートのホールド力を上げる為にも使用しており公証200馬力を達成する。(※ボスクラッチとプレッシャープレートに噛み合うカムを設けることで、クラッチプレートのホールド力がアップするという仕組みのようです。@ena_iwkさんにご指摘頂いて修正しました。「YSP豊川さんの技術解説が最もわかりやすいですよ。」との事でリンクさせて頂いております。 2015/02/04)

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また、この業界で初めの破断分割式(Fracture Split)のチタン製コネクティングロッドを開発し搭載している。チタンは高張力鋼と同等の強度を持ちながらも10分の6の密度しか持たない。これはつまりベアリングの負荷軽減に繋がり、フリクションロスが低減されるということは俊敏なスロットルレスポンスを意味する。これはつまりヤマハが研究開発費を投じてこれだけのモノを作り上げたということを意味し、ホモロゲーションバイクだけの装備ではなく、これから訪れる未来の形だと言ってよいだろう。

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デルタボックスシャーシは完全新作で、以前より10mm短い55.3インチ(約140.46cm)のホイールベースはクイックなレスポンスを実現。チタン製ヘッダーパイプ、キャニスターは重量軽減に役立っており、マグネシウム製ホイールも同様に重量軽減に貢献している。キャニスターのスペースを確保するためにアルミニウム製スイングアームには補強が入れられている。

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サスペンションや車重、そして価格

フルアジャスタブルのKYB製サスペンションは前後で43mmのフォーク、ボトムリンクピボット式ショックとなっている。フロントブレーキはダブルの320mmディスクにニッシン製4ピストンラジアルマウントキャリパー。燃料は約17Lを搭載した状態で装備重量は約199.1kgだ。アルミ製タンクは前モデルのスチール製タンクに比べて1.58kg軽量。

 

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ヤマハによるとR1MのスタイルはそのままMotoGPのM1から来ているとことだ。このバイクの開発には、AMAスーパーバイクのチャンピオンのジョシュ・ヘインズ、9度の世界チャンピオン記録を誇るヴァレンティーノ・ロッシが協力している。ヘインズに関してはこの新型R1を日本そしてアメリカでテストしている。彼によると「新型R1にはスリックタイヤのような強烈なグリップのタイヤを素のままのマシンに履かせても何の問題もない。既存モデルの場合はちゃんとセットアップなり調整を加えないと、車体が物凄く振られるので酷い頭痛を感じることになるよ(笑)」と語る。R1Mについては「サーキット走行も楽しみつつ通勤にも使うような場合は、コレ以上のバイクはないだろうね。(※R1Mは電子制御サスペンション装備なので)ボタンを押すだけでサスペンションがサーキットように硬くなるから、まったく素晴らしいよ。」と語る。(※管理人注 通勤に使うわけないだろ。。)

もっとも大事なことは、これだけの内容でありながらあくまで通常の市販モデルであるということで、ホンダのプロトタイプのRC213V-Sのような手に入るかどうかわからないモデルではない。そして価格面でもKawasaki Ninja H2の $25,000、そしてDucati 1299パニガーレの$20,995より安いということだ。(※R1はアメリカでの販売価格で$16,490、R1Mは$21,990となる。)ハイパフォーマンス、高性能なエレクトロニクス搭載のバイクの新たな時代が始まった。そしてそれをリードするのはヤマハだ。

 

(※記事中にもあるRC213V-Sについてはこちら↓)


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