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★MotoGP2017レースディレクター マイク・ウェッブへのスペシャルインタビュー

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MotoGPのレースディレクターであるマイク・ウェッブが、今年からMotoGPクラスで導入されるという話がある「ダッシュボード・メッセージシステム」について、そして昨年Moto3クラスなどで大きく問題になった「トラックリミットを超えて走行した場合のペナルティー」、それに関するシステムについて詳細に語っています。ダッシュボードシステムに関しては完成してはいるが、自由なメッセージを送りたいチームとの間で揉めているようです。

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(Photo courtesy of michelin)

MotoGPのレースディレクターであるマイク・ウェッブに、将来的に採用されるである”ヴァーチャルピットボートテクノロジー”について特別インタビューを行った。これはチームからライダーに対してダッシュボードでメッセージを送信することが出来る仕組みである。2017年にはライダーがトラックをはみ出して走行していないかをチェックするカメラも導入され、ライダーのダッシュボードにペナルティの危険があることを警告する仕組みも導入される。また、レースコントロールは小排気量クラスでは予選方法を改めるのではなく、練習走行の中でトラックリミットを超えた走行したライダーには引き続き厳しくあたる。


Q

「チームからMotoGPライダー達にダッシュボードメッセージを送信するシステムは、今シーズン使用する準備が出来ているんでしょうか?」

マイク・ウェッブ

「技術自体は準備が出来ています。ただ引き続き全てのチームから同意を取っているところです。この中にはライダー達も含まれます。皆が実際何を望んでいるかについては、実際に実現可能なリストの中にあります。(※管理人注 この部分の意訳ちょっと怪しいです。)”自分達は必要ない”というチームもあれば、”良いツールだから使おう”というチームもあります。ですから、まだ決まったわけではないんです。言える事は、実に短いテキストメッセージを送るシステムになるということです。出来る限り完結で明確になるようにね。今の所はメニューシステムからスタートしています。もしチームが望めば、デフォルトで5から6のメッセージが使用可能です。これらの5から6のメッセージは我々によって決定されます。ですから好きな事をメッセージで送信出来るというようなシステムではないんです。天候、ピットインのタイミングなどに関して明確で完結なメッセージの中から選ぶような形です。それ以上のものに進化するかもしれませんけどね。個人的にはライダーと制限なくコミュニケーションが出来るというのは、素晴らしいアイディアだとは確証が持てないんです。ですから特定のメッセージとなる形で準備をしていますし、最初はそういったものになるでしょう。」


Q

「多くのファンが懸念しているのは、特定のメッセージだけになると、チームからの戦略の伝達や、チームオーダーに関するコミュニケーションも制限されてしまうというものですが。」

マイク・ウェッブ

「ええ。ただ忘れてはいけないのは、チームはいずれにしてもピットボードシグナルでライダーとコミュニケーションを取っているということなんです。彼らは簡単に”P2"というサインを出して、順位が落ちたなどを知らせる事が出来ます。私がより懸念しているのは安全面で、ライダー達に天候の変化を伝えることでなんです。グランプリレースは耐久レースではなくスプリントレースですから、メッセージシステムにはある種の指針があります。ライダーとバイクがトラックを1人で走り、レースをします。通常ピットストップはしません。レーストラックを見てどのような判断を下すかはライダーにかかっています。F1のようにピットクルーがいて戦略を決めるのとは対象的です。決断を下すのはライダー自身というモーターサイクルのスプリントレースの価値観を維持したいんです。」


Q

「カタールで使用されるメッセージシステムについては、どのような形で合意を迎えそうなのでしょうか?」

マイク・ウェッブ

「個人的には難しいと思います。お話したように技術的には準備が出来ていますが、これは同時にチームに最新のソフトウェアにアップデートすることを要求するんです。(※MotoGPディレクターのコラード・チェッキネッリは、”こうしたアップデートはカタールテストで利用可能となる”と話している。)皆が合意して使用の準備が出来れば実装が出来ます。既にダッシュボードシグナルシステムはありますし、メッセージ用に信号を送るのは同じエレクトロニクスです。ですから、我々サイドとしは既に準備出来ているんです。ドルナ、IRTA、チームの間で、”そもそもこのシステムは本当に使いたいのか?”と議論があり、第二に、もし導入するのであれば、どのようなフォーマットを使用するのか?という問題があります。この問題に関しては、まだ解決出来ていません。ただカタールまでには前進するかもしれませんし、そうであっても我々サイドとしては問題ではありません。」


Q

「フォーマットがまとまっていないというのは、いくつかのチームが、独自のメッセージを送りたいと主張しているからなんでしょうか?」

マイク・ウェッブ

「実は、ほとんど全てのチームから一番最初にリクエストされているのは、独自のメッセージを送るということなんですよ。そして、それは私にとっては真っ先に拒否したい内容なんです。私達がどのようにメニューにメッセージを設定するかですね。ただ、常に一番最初の目標は安全ですから、メッセージとしては”’コンディションが〜のため、タイヤ交換をせよ”といったものになるでしょうね。ですからこうした目標を頭に入れ、自由にメッセージを送信出来るというのは優先事項の一番最後になるでしょう。」


Q

「グランプリレーシングの価値観という言葉がありましたが、チームがライダーに自由なメッセージを送信出来るということに反対なのも、こうした理由からなんでしょうか?」

マイク・ウェッブ

「自由にメッセージを送信出来るということも留保していますし、ライダーからチームへのコミュニケーションシステムについても許可しています。ただ安全性の面で、このシステムの素晴らしい使い道もあると思います。ですから前進し続けて経験を詰めば、どんどんと良くして行くことが出来るでしょう。」


Q

「メッセージシステムの話はひとまず横に置いて、2017年には新しいダッシュボードシグナルはあるのでしょうか?」

マイク・ウェッブ

「少し追加する方向です。ダッシュボードシステムが成長するとともにね。これは主にMoto3向けのものです。トラックリミット(※トラックの走行可能エリアオーバー)を超えた時のために警告灯が導入されます。これ自体はペナルティーを意味するものではなく、”数回トラックリミットを超えて走行している事が確認されたのでミスと見なす。ただこれ以上やるとペナルティを与える”という警告です。昨年の後半戦に、チームにこうした内容を伝え、ピットボードシグナルでライダーに伝えるようにという形でこうした警告を手動で行ってきました。ただこれからはダッシュボードシグナルでもこうした警告を送信出来るようになります。警告灯ととに、その説明が短いテキストで表示されます。」


「別の新しいダッシュボードシグナルはブルーフラッグ用のものです。これは追い越しをされようとしているライダーへのものですが、これに関しては練習走行や予選では気にしていません。ただ、レースにおいてはトップ争いをする選手達がバックマーカーに引っかかるという事が起きないようにしたいんです。ですからそうした意味での追加となります。全てのダッシュボードシグナルと同時に、引き続きコースサイドでもフラッグは振っていきます。ブルーフラッグ用のシグナルは自動化されていません。これに関しては監視をして、レースディレクションから連絡をする必要があります。ですから、同時にマーシャルポストにも連絡をして、”ブルーフラッグの状況が発生するから準備してくれ。ダッシュボードシグナルを送るタイミングとどのライダーかというのは伝える。”と伝えることになります。


Q

「トラックリミットに関してはどのように監視するのですか?」

マイク・ウェッブ

「安全上の理由で人工芝をかなり取り払いましたから、トラックリミットに関する問題は大きくなっています。ですから、いつホイールがトラックのリミットを超えたかを即座に我々の側に表示するよう自動化する必要があったんです。ただ、それを審査してペナルティに値するかどうかを判断します。ただ基本的にそのプロセスはスピードアップしています。何人もの目でカメラを見ているということではなくね。自動で送られてきたシグナルで、”これを審査しよう”ということになるんです。」


Q

「昨年は専用カメラのシステムを使っていたんですか?」

マイク・ウェッブ

「昨年のテストの早い段階ではありましたが、今シーズンから新しくなります。」


Q

「そしてそれはカタールから使用出来る?」

マイク・ウェッブ

「間違いありません。トラックリミットを超えているかそうでないかを判断するシステムのレベルに関しては現在作業中です。ただ問題の箇所には専用カメラがあります。以前はたまたまその箇所を映していたドルナのカメラに頼っていました。このタスク専用のカメラがあるわけですから、大きな前進です。」


Q

「クローズド・サーキットカメラのようなものですか?」

マイク・ウェッブ

「まさにその通りです。望めば動かす事も出来ます。ただ全てのトラックの問題の箇所を把握する事が重要なんです。いくつかのサーキットはまったくカメラがないんですよ。シルバーストーンなどは沢山のカメラがあります。すぐに問題の箇所には取り掛かりますが、稀にそうしたスポットが変な場所であることもあります。そうした所ではマーシャルの目に頼る事になります。」


Q

「ライダーがトラックリミットを超えてから、それについての判断が下されるまでの平均的な時間はどのようなものでしょうか?」

マイク・ウェッブ

「これはかなり差があります。練習走行ではそのラップタイムをキャンセルだけですから簡単です。ですから非常に自動化されていて比較的シンプルです。それを監視している人間がボタンを押すだけという感じです。そこでタイムキーピングがシグナルを受け取り、ラップをキャンセルするんです。レース中に関しては、我々が決定により関わります。基本的には”彼はミスをしたけど、それでアドバンテージを得ていないか?”というものか、”彼はこのミスを何度も犯している”というものか、”彼は明らかにアドバンテージを得ているな”といったものです。ライダーがトラックリミットを超えて、アドバンテージを得ているという明確な状況であれば、ペナルティーが課され、ライダーは数分後にこれを知ります。常にカメラに映っていないようなトップではないライダーに関してマーシャルから連絡を受けた場合は、このペナルティーが課されるまでは長くかかることになります。」


「我々はトラックリミットを超えたというビデオを見つけて、それを立証する必要があります。そして必要であればペナルティーを課します。最悪の場合は何周も後という事にもなりかねません。ですから決定には幅があります。新しい自動カメラシステムでは、ソフトウェアがトラックリミットを決定します。何かがリミット上を通過した場合はそのイメージを我々に中継して、我々は即座にこれにアクセスすることが出来ます。これは違反であるかどうかを判断する必要はあります。少なくとも、ラジオからマーシャルの連絡を待っているよりは、”1周前のターン12を見ることが出来るか?”という形ですから、最新のテクノロジーを使用してプロセスの高速化にはなりますね。」


Q

「Moto3ではこうした問題が昨年あなたの頭痛の種だったと思います。ペナルティーが厳しくなったというメッセージは流れているのでしょうか?」

マイク・ウェッブ

「これは大きく助けになりました。ライダーの行動には大きな変化がありました。ただ、こうしたペナルティーを始めた当初はライダーの行動に大きな変化があったんでですが、また元に戻ってしまいました。その衝撃も和らいでしまったんです。ですから昨年後半に言ったんです。”これからは違反をした場合は厳しいペナルティーを課す。”と。ですから今のところは彼らも道理をわきまえた振る舞いをしていますね。ですから今年も昨年後半と同じような形でいきます。こうしたペナルティーは無慈悲に適用されます。最終的な選択肢としては予選方法を変えるというものですが、これはやりたくないんです。ですからそれ以外の全ての事をしようと思います。どうなるか見てみましょう。」

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