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★MotoGP2016日本GP 決勝プレスカンファレンス翻訳(後半)

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日本GPのプレスカンファレンスの後半となるマルケス選手の単独インタビューです。今年の前半はあらゆるプレスカンファレンスで、「加速で苦戦しているけど、ホンダのエンジニアを信じているんだ。」と何度も何度も語っていましたが、それが結実したシーズン後半に戦闘力が高まったという話は、エンジニア冥利に尽きる話ですね。

またル・マンのミスによってフィーリングを感じない時はプッシュしない、フィーリングを感じる時はプッシュするという走りに切り替えたが、シーズン後半はなかなか優勝できず、このアプローチで良いのか不安だったという話、何よりもチームとの時間を大切にし、それによって他のライダーに惑わされる事が無かった(※おそらくロッシ選手の心理戦のこと)という話など、僅か23歳にして5度のタイトルを獲得しただけあって、とても興味深い話がいくつも出て来ます。残りの3戦は昔のマルケスの走りを少しだけするかも。。という話もありますので大いに期待しましょう! f:id:teletele916:20161018112855p:plain

ニック・ハリス

「まずはおめでとうございます。23歳にして5度の世界タイトルを獲得しました。長いことヴァレンティーノ・ロッシ、マイク・ヘイルウッドが持っていた記録を破った形になります。昨年チャンピオンシップに負けた事で、今年はスタートすぐにアプローチを大きく変えましたね。」

マルク・マルケス

「今年のシーズンのスタートというのは最も難しいポイントでした。恐らくキャリアの中で最も難しいプレシーズンだったと思います。フィーリング自体は登り調子だったので後は良くなっていくだけだったんです。ホンダのエンジニアに「信じているから、自分はシーズン前半のアプローチを変えるけど、シーズン後半には助けが必要なんです。」と言ったんです。そしてシーズン後半にエンジニアによる助けが形になり、特にエレクトロニクスに関して大きな向上を見せました。加速力が向上しましたし、今現在は競争力のあるバイクとなりました。とても良い気分で乗れるようになりましたし、アラゴンのテストでも良い形でテストが出来ました。本当に難しいスタートでした。3戦を残してチャンピオンを獲得したじゃないかと言われるかもしれませんが、ただこのタイトル獲得は本当に難しかったんです。」

ニック・ハリス

「最初に2勝した後は本当に忍耐強く戦ってきましたね。」

マルク・マルケス

「ええ。最初の2勝は本当に重要なポイントでした。ポイント上でリードしていると、レースにおいて異なるアプローチが取れるんです。差を維持して2位でも3位でも満足する事が出来ますからね。ただ、自分はル・マンでチャンピオンシップのリードを失ってしまいました。これは自分のミスのせいです。ル・マンではよりプッシュしようとしてミスをしてしまったんですよ。そこで残りのチャンピオンシップでは、フィーリングを感じない時はプッシュしない、フィーリングを感じる時はプッシュをするという方向に切り替えました。これはでも非常に難しいものでした。というのもそういう走りをしていたらチャンピオンシップに負けてしまう可能性もあるわけですからね。ですからそうなった時は払った代償としては大きなものですけど、でも今は非常にハッピーですね。」

ニック・ハリス

「ドイツで勝利して以来アラゴンまで実に長かったですね。時にはもう沢山だ!となることもあったんじゃないでしょうか?」

マルク・マルケス

「ええ。ドイツで勝利して以来、シーズン後半はオーストリア、ブルノなど、表彰台を獲得出来る時もあれば、表彰台を逃す時もありました。それでだんだんとナーバスになってきて、でもいつもエミリオとサンティが「頼むから抑えてくれ。アドバンテージは大きいんだから。」と言っていてアラゴンに到着したんです。だから本当にアラゴンを待ち望んでいたんですよ。ですからアラゴンでは今週はもう一度勝つぞ!という気持ちで挑んだんです。本当に集中していて、そこでの勝利はキーポイントになりました。これは特にチームとしてのということですね。チームが自分と同じメンタリティーであれば、全ては簡単になりますから。」

ニック・ハリス

「今日は朝起きたら普通の週末で、まさかチャンピオンシップ優勝が転がり込んでくるとは思っていなかったということでしたが。」

マルク・マルケス

「今日は本当に普通でしたね。目覚めて朝食を食べてトイレに行って、いつもどおりでした。トイレにいく回数が多いとナーバスになりますけどね(笑)ですから自分は落ち着いてリラックスしていたんですけど、自分の友人のホセが「何かあったらトロフィーだな」って言っていたんですが「そんなことは無いから、オーストラリアでどうなるかだろう」って話をしていたんです。それで今日は残り5、6周のあたりで、「オーストラリアは7位か8位で完走すればチャンピオンなんだよな」と思っていたら、ロレンソが転倒したというのを見て、頭の中がぐちゃぐちゃになりましたね(笑)

ニック・ハリス

「何箇所もミスをして、どこを走っているのかもわからなくなったと話していましたよね。」

マルク・マルケス

「ミスもありましたけど、重要な事はレースの全体で落ち着いていたということです。序盤はヴァレンティーノが3度か4度、ブレーキングをやたら深いところでかけたり、抜いた後にワイドにはらんだりと変な形でオーバーテイクを仕掛けてきたんです。それで自分は「こんなバトルはしたくない、前にいかねば」と思って彼を抜いて、最大限の力で5周走りました。ただ、それで十分でした。彼はその後にミスをしましたからね。で、その後は自分とホルヘとの距離を維持することに集中していました。」

ニック・ハリス

「今回でMotoGPタイトルは3つ目で、もちろん最年少での獲得となります。あとの2つは125ccとMoto2です。おそらくこれが最も難しいタイトル獲得だったでしょうね。」

マルク・マルケス

「毎年辛くて毎年最大限なんですが、今年はシーズン前半に感じていたプレッシャーがとても大きかったですね。去年はいくつかミスをして同じような形でチャンピオンシップを終えたくはなかったですから。それに去年はチャンピオンシップの終わりかたがハードでしたしね。ですからプレッシャーも大きかったんですが、モチベーションも昨年より高かったんです。このコンビネーションが自分に高い集中を与えました。木曜から日曜にかけてバイクにチームと共に集中していました。これが鍵でしょうね。」

ニック・ハリス

「祝賀に関してはチームもあなたの弟も準備が出来ていたという感じでしたね。」

マルク・マルケス

「ええ。優勝はしましたけど、Tシャツも何もないんだろうと思っていたんですよ(笑)まさかこうなるとは思っていませんでしたからね。ただ、彼らは常に自分を信じてくれていました。今日もレース前はサンティが「頼むから優勝は狙わずにおとなしくしていてくれ、まだ先は長いんだから」と言っていたんでプレッシャーだったんです。ただバイクのフィーリングが良くてプッシュしたんです。ただ大事なのはレースを終えるとチームが待っていてくれるということですね。何人かは泣いていましたし、本当に最高ですよね。」

ニック・ハリス

「何か祝賀の予定はありますか?ちょっと早いですか?」

マルク・マルケス

「いや、わからないですね。最高のパーティーというのは予想していない時に起きるものですからね。まずはボックスで祝う形になると思いますが、まぁこの後のお楽しみでしょう(笑)」

ニック・ハリス

「マルク5度のチャンピオンシップ優勝おめでとう。それではフロアからの質問をどうぞ」


Q

「アレックスと話したんですが、彼はあなたが前回のチャンピオンシップ優勝よりも嬉しそうだったと語っていました。これは本当ですか?」

マルク・マルケス

f:id:teletele916:20161018113700p:plain 「ええ、2014年よりも嬉しいと言えますね。2014年はすでに勝利が見えていましたし、2013年はプレッシャーを感じていませんでした。今年はプレッシャーはあったんですが、何がプレッシャーなのか説明が出来なかったんです。今年はチームも「違うマルケスになったな、たまにはエンジョイしろよ。」と言っていて、プレッシャーが大きいと確かに楽しむ事を忘れてしまうんですよね。やはり楽しむというのが重要で、1勝、2勝するうちにプレッシャーが無くなってきて、チームが今年は本当に大きな助けになりました。夕食の時、ランチタイム、彼らと一緒にいるとプレッシャーがどこかに行って、チームと一緒に集中することが出来て、重要な事は他のライダーの事を忘れる事が出来たということですね。というのもそういう形になると、簡単に自分の仕事に集中出来なくなりますからね。」


Q

「ということはアンドレアが話していたように、今年のチャンピオンシップ優勝はより難しくて、重要だったということでしょうか?」

マルク・マルケス

「ええ。今年は重要でした。2013年は予想していなかったですからね。本当の意味でのチャンピオンというのはプレッシャーをコントロールすることが出来て初めてだと思います。同じミスはしても良いとしてもね。昨年は本当に高い授業料を払いました。コンスタントであるということが本当に重要なんだとわかったんです。ですから今年はその教訓を活かしたんです。ただ、これは同時にリスクを取るということでもあります。今年はいくつかのレースで本当に辛抱強く走りましたが、これが鍵でした。練習走行では何度も転倒しましたけどね。自分はいつも練習走行では限界を把握しようと思っているんです。レースでは自分の限界を感じて、ポジションを維持することに集中していました。」


Q

「今日は優勝に集中していたようにも見えましたが、鍵はポイントのアドバンテージだったのか、数週間前にアラゴン以降にバイクのフィーリングが大きく向上したことなのか?なんなのでしょう?」

マルク・マルケス

「今週は優勝出来ると考えていなかったんです。ですから木曜日にタイトル獲得について質問をされましたけど、無理だと思うと答えたんです。ただFP1からウォームアップまでは常に限界で走っていました。全てのブレーキングポイントで毎周限界で走っていました。それでウォームアップの後は自分のレースをすることに集中したんですよ。それでどういう形でレースをマネージ出来るかという状況でした。それでヴァレンティーノが転倒した後は優勝を狙おうと思って走りました。そこで最大限にプッシュをして序盤の15周で3秒の差を築いたので、後はコントロールをしようと思ったんです。」


Q

「アラゴンを迎えるにあたって本当に重要だと語っていたのは、何についてですか?」

マルク・マルケス

「アラゴンでは本当に重要なテストを行って、それで残りの4戦にはしっかりと準備が出来ていたんです。テストの日は120周以上走り込んで、ロングランを何度も行いました。準備をして集中して、フィジカルコンディションも高めるためにね。エレクトロニクスも上手い具合に機能しましたし、来年のバイクにも集中しましたけど、今年のバイクにもしっかりと集中していました。このサーキットでは加速で少し失っている部分はありますが、特にブレーキングポイントなどの強みがありました。それが自分に自信を与えてくれました。」


Q

「フロントタイヤはいまだにトリッキーな時がありますが、あなたはこういったタイヤを特殊な形で使用しています。ミシュランのタイヤを履いて快適だと感じたのはいつが初めてですか?」

マルク・マルケス

「これは少し難しくて毎戦フィーリングは少しずつ異なるんですよ。おそらくタイヤを理解し始めたのはモントメロの後で、モントメロの週末で少しわかりかけてきていたんです。ヴァレンティーノの後ろを走っていたわかった内容があって、というのもヴァレンティーノの後ろを長く走ったのはそれが初めてだったんです。ヴァレンティーノはミシュランで長いこと乗ってきていますからミシュランの事を良く知っているんです。彼の後ろでいくつか発見があって、自分でも試してみようと思ったんです。次のレースはウェットコンディションだったんですけど、フロントタイヤの事を理解し始める事が出来ました。で、今は違う形でタイヤを使おうとしているんですけど、サーキットごとに異なりますから難しいんですよ。」


Q

「エレクトロニクスに関してはどうですか?HRCは大きな進歩を遂げたと語っていますが。このステップを遂げたのはいつなんでしょうか?これはトラクションコントロール、アンチウイリーなどどのような点で改善を果たしたんでしょうか?」

マルク・マルケス

「来年使う事が出来ない大きな点としてはウイングです。ウイリーや加速に関する問題を減らせるかもしれないと思ってウイングに関しては何が一番なのかをずっと探していました。ブルノのテストで新しい大きなウイングを試すように渡されて、そのブルノのレース以降どんどん調子が良くなっていったんです。そして特にブルノの月曜のテストでミサノに集中していたのもあって、加速が向上したんです。そして特にダニが大きな進歩を遂げましたね。」


Q

「今日は具体的にどのタイミングでワールドチャンピオンになったと実感したんでしょうか?」

マルク・マルケス

「ロレンソが転倒したという知らせをボードで知った時ですね。ただ同時に集中力も失ってしまいましたけど。1速で走るコーナーを3速で進入してしまったり、4速のコーナーを5速で走ったりね。その周はラップでもわかると思います。1.5秒もタイムが落ちていたのでドヴィが接近していました。ドヴィに抜かれるとチャンピオンシップ優勝はオーストラリアまで無かったですから、プッシュしなければならなかったんです。」


Q

「シーズン中はどのタイミングでこのチャンピオンシップで優勝出来ると考え初めたんでしょうか?」

マルク・マルケス

正直なところ一番最初からそう思っていました。アルゼンチン、オースティンの後にそう思っていました。難しいだろうけど出来るだろうと思っていたんです。他のライダーも人間ですからね。普通はヴァレンティーノやホルヘのミスを待つというのは彼らは普段ミスをしませんから妙な作戦ですが、今年は彼らはいくつかミスをしていて自分が多少アドバンテージを持っている状態でした。夏休み前は難しかったですけど、夏休みの後は「ここで5位、ここで2位という具合に戦略を立てていったんです。ただレースでは何が起きるかわかりませんからね。」


Q

「今回チャンピオンシップで優勝したのは、あなたが強かったから?それともライバルのミスがあったから?どちらですか?」

マルク・マルケス

「今年は他の年に比べて戦闘力が高いとは感じていませんでした。勿論他のライダーもミスをしました。ただ結果を見ていると自分達のほうがレースには勝利しているわけです。ですから、そういう意味では自分が好きなサーキットにおいてはとても強かったと言えるでしょう。ライバルのミスがあって、昨年と同じように誰も自分をプッシュしなければ自分はミスをしません。自分は限界までプッシュをしますけど、他のライダーはミスをしていたということでしょうね。」


Q

「今日はシーズンの中でも最高の時だと思いますが、最悪の日はいつだったんでしょう?」

マルク・マルケス

「最悪の日?そうですねぇ。恐らくル・マンでしょう。あそこではミスをしましたし、それをしっかりと理解する必要がありました。ロレンソが強くてチャンピオンシップの順位で負けてしまいました。ヴァレンティーノも自分よりもだいぶ先になってしまって。。恐らくこれがシーズンで最も辛い瞬間だったでしょう。」


Q

「チャンピオンシップ優勝が決まったということは、残りの3戦は昔のマルクが帰ってくるということでしょうか?」

マルク・マルケス

f:id:teletele916:20161018113717p:plainちょっとだけね(笑)いや〜サンティやチームが。。(笑)いずれにしても注意して走る必要があるでしょう。フィリップアイランドやヴァレンシアは大好きなサーキットですけどね。勝利出来るかもしれませんし、他の選手が速いかもしれませんし、どうなるかというとこですね。」


Q

「ヴァレンティーノやホルヘがミスをしないということに関しては、彼らが7年間一緒にやってきた中で、2人同時に転倒するというのは、今回が初めてのことでした。これは特にヴァレンティーノに関しては、ホルヘを抜いた後にあなたに追いつこうとする中でのプレッシャーだったと思いますが。」

マルク・マルケス

「ええ。妙ですよね。ですから木曜の段階ではここでチャンピオンシップ優勝は不可能だと思うと話していたんですよ。というのも2人のライダーが揃ってミスをするなんてことは考えられませんからね。ホルヘはわかりませんが、ヴァレンティーノの場合はなんとか自分に追いつこうとしていたんでしょう。ただ最終的にはヴァレンティーノは正しい戦略だったと思います。昨年の自分と同じく、少しでもチャンピオンシップ優勝の可能性があるのならレースに勝つ必要があるんです。ですから彼は限界でプッシュをして、自分を抜きたいと思っていたでしょう。」

ニック・ハリス

「英語での質問は以上ですか?それではマルクどうもありがとう。(※会場拍手)」

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