★MotoGP中間レビュー:マルク・マルケス
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moto mattersのエメット氏によるMotoGP中間レビューの第5段です。第5段以降は個別のライダーの解説になっていきますが、果たして開幕まで全て翻訳し切れるかどうか。。というわけで、最初のライダーはホンダのマルク・マルケス選手です。 2016年はペテン師の年だ。我々が現在のMotoGPライダーについて思っていること、知っていることは全て覆された。マルク・マルケスはその最たる例だ。彼は転倒の危険を冒しても毎戦勝利したいというライダーから、勝機がないときは優勝以下のポジションでも我慢するライダーとなった。
彼の変身の理由はシンプルで、「タフな2015年シーズン前半から学んだレッスンから」だ。2015年の8戦となるアッセン以降、マルケスは既に3度転倒しており、チャンピオンシップリーダーのヴァレンティーノ・ロッシは74ポイント差で追っていた。3戦後マルケスは差を52ポイントとする。2戦勝利し、2位を1度獲得したのだ。
ヤマハを捉えられると信じてマルケスはプッシュし過ぎ、シルバーストーンのウェットコンディションの中で転倒、そしてアラゴンでも同じ過ちを繰り返した。連戦に向かう中、彼の差は79ポイントに再び開いた。
アルゼンチン、ムジェロ、バルセロナで、もしマルケスが表彰台、表彰台から1つ下で満足する心構えがあれば、彼はロッシを70数ポイントではなく、20数ポイントで追っていただろう。そうであれば、シルバーストーンでそこまでプレッシャーが無い状態で挑めたであろうし、アラゴンにしても同様だ。マルケスはシーズンの終わりまでチャンピオンシップ争いに加わっていただろう。であれば、フィリップ・アイランド、セパン、ヴァレンシアはどのようになっていただろう。
これらはマルク・マルケスが今まで学んだ中で最も厳しいレッスンの一つだっただろう。しかし全ての厳しいレッスンがそうであるように、これには非常に大きなインパクトがある。2016年シーズンはマルケスが昨年すべきだったレースをしている。彼の限界を超える事はめったになく、勝てる時に勝ち、勝てない時は表彰台、もしくはそれ以下の順位でレースを終える。
彼が冒した1つのミスはル・マンだ。彼はここでフロントを失って転倒したがコースに復帰してポイントを獲得した。ヘレスで、そして特に顕著なのはバルセロナだが、マルケスは彼のプライドを飲み込んで表彰台に甘んじ、全てのリスクを冒してそこになかったかもしれない勝利を目指す事はしなかった。
マルケスの忍耐はそう簡単には結実していない。彼は未だに加速が弱いホンダ RC213Vに苦戦している。これにより、彼はコーナーでタイムを失っているために、ブレーキングで追いつこうとしているのだ。(※加速が弱いためにコーナリングの立ち上がりで離されるということ。)
つまり彼は、滑りだすまでの危険信号が少ないミシュランのフロントタイヤでより多くのリスクを冒しているというわけだ。マルケスは彼の猫のような反射神経を全て使って転倒をセーブし、バイクをまっすぐに保っている。
彼の2016年のハイライト映像は一連のフロントエンドからの転倒のセーブ映像から作られることになるだろう。
彼の忍耐は実に見事に報われることとなった。マルケスはチャンピオンシップを48ポイントでリードし、2016年のタイトル獲得の可能性が高い。(※悩んだ末にこういった形で訳しました。)
中間戦でチャンピオンシップをリードしているライダーは、例外的な状況を除いてほぼ確実にチャンピオンになる。皮肉にもマルケスがここまで大きなリードを持っているのは運命の逆転と言えるだろう。マルケスはしっかりと信頼性のある走りを続けており、彼のライバルは頻繁にプレッシャーの下でミスを冒し続けている。