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★2017年型 スズキGSX-R1000R試乗レビュー

新車情報 スズキ

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早速2017年型のGSX-R1000R L7の試乗レビュー記事が出てきましたのでご紹介します。完全新型となったGSX-R1000Rをフィリップアイランドという最高のロケーションにてテストした試乗記となります。なお技術詳細に関しては以前globalsuzuki.comにある新型GSX-R1000、GSX-R1000Rの技術詳細を翻訳していますので、そちらを読んでいただくとわかりやすいかと思います。 f:id:teletele916:20161007172108p:plain ああ、伝説のフィリップアイランドサーキット。ガードナー、レイニー、シュワンツ、コーサー、ストーナー、ロッシ、イアンノーネなど2輪界の戦士達の素晴らしバトルが展開されたこのサーキットは、私が死ぬまでに走りたいサーキットのリストに長いこと載っていた。2.76マイル(※4.4km)に及ぶ高低差の激しいツイスティなサーキットはインド洋に面した海岸にあり、その平均速度は177km/hである。


ここで特定のバイクを学ぶという事は難しいであろう。スズキの今までのリッターバイクの中で最もパワフルなバイクであればなおさらだ。またトラックサイドを飛んでいるカモメ、雁(ガン)を屈んで避ける事を忘れてはいけない。私の場合、Hay Shedコーナーを走っている最中にガンが僅か数センチをかすめていった!

f:id:teletele916:20170208063250p:plain (※GSX-R1000)

この新しいGixxer(ジクサー)はL7として知られる6世代目にあたるバイクだ。2001年の製造から続く何度もチャンピオンを獲得したレースバイクで、前回のアップデートとなったK9(2009年)から約10年だ。オーストラリアで私が操縦したことから言えることは、スズキのエンジニア達は今までの中で最速で最も扱いやすいGSX-Rを作ったということだ。今回の試乗はGSX-R1000Rで、あと数ヶ月で試乗することになるGSX-R1000ではない。 $16,999という価格で、GSX-R1000は今やスーパーバイクの主流だ。今までは高価な欧州製マシンにのみ搭載されていたようなテクノロジーを満載している。999.8ccのエンジンは14,500回転まで周り、フィリップアイランドのストーレートでこのバイクを290km/h近くまで加速する。


GSX-R1000は、ライドバイワイヤスロットル、可変バルブタイミング、フィンガーフォロワーバルブトレイン、ブレンボモノブロックキャリパー、6軸IMU(慣性計測装置)などを装備する。価格は$14,599で、ABS装備車の場合は$14,999となる。それらに加えて1000Rの場合、SHOWAのバランスフリーサスペンション、オートブリップダウンシフト機能付きのクイックシフター、コーナリングABS、ローンチコントロールを装備する。

f:id:teletele916:20170208063324p:plain (※GSX-R1000)

エンジンコンポーネントの巧みな仕組みが、この恐ろしいほどのパワーを一般ライダーにも使えるようにしている。最も興味深いのは革命的な可変バルブシステムで、この仕組のルーツは1990年にまで遡る。当時のプロジェクトリーダーであった佐原 伸一氏は同僚と共にこのシステムを開発し、スズキの最初のMotoGPプログラムに採用したのだった。佐原氏は2004年から2010年までMotoGPのテクニカルマネージャーを務めた。スズキがパテントを取得しているこのユニークな可変バルブタイミングシステムは、2012年にWSBK、そして世界耐久に参戦するレーシングマシンのGSX-R1000に採用された。最近でMotoAmericaのスーパーバイクにも採用されている。


これは驚くほどシンプルなメカニズムで、スチール製のボールを内蔵した吸気側カムドライブギアを使用したもの。これらのボールは高回転時に遠心力で内部のスリットに沿って外側に押し出される。低回転時のカムタイミングは進角方向で最適化されたものとなっているが、回転数が10,000回転を超えると、システムはカムタイミングを遅らせ高回転でのパワーを増すようになる。

f:id:teletele916:20170208063603p:plain (※GSX-R1000)

もう1つのシンプルだが優れた技術はインテークにある。スズキ デュアルステージインテークシステム(S-DSI)は可変インテークファンネルのメリットを、複雑さや可変システムの重量増なしに実現出来る。S-DSIは4つのファンネルのうち2つがショートファンネルの上にロングファンネルが付いた作りとなっており、その間にはギャップが存在する。エンジン回転数が低い時はほとんどの空気は上のファンネルから吸気し、低、中速レンジのパワーを増大させる。高回転時にはさらなるエアーをロングファンネルの根本のショートファンネルから吸気しトップエンドのパワーを増大させるという仕組みだ。さらには2mm大きくなり46mmとなったスロットルボディ、セットで付けられているインジェクター、トップフィードインジェクターなどがECUによってコントロールされるスロットルバタフライによって作動し、これらがライドバイワイヤシステムに繋がっている。


またF1の世界で開発されたフィンガーフォロワーバルブトレインシステムが装備されている。これはバイクではBMWがS1000RRに採用してポピュラーになったもの。これはバケットタペット式に比べて軽量で、スズキによると1つにつき6g軽量の10gだという。さらに各フォロワーのピボットがフィクスドシャフトについているため、その移動質量は僅かに3gとのことだ。チタニウム製の吸気バルブは30mmから31.5mmへと大きくなり、排気バルブはチタニウム製となり、既存の25mmから24mmへと僅かに小型化された。各バルブにつき8.2g軽量となっているという。軽量のバルブトレインと正確なコントロール、さらに大きくなったボア x スツローク比、バランスシャフトを排したことでエンジン回転数は1000回転アップし、14,500回転まで回るようになった。

f:id:teletele916:20161007172055p:plain エンジニアはヤマハのM1、R1、またスズキがMotoGPで使用しているようなクロスプレーンクランクシャフトの採用を考えたようだが、重いエンジンブロックはさらなる振動を押さえ込み、伝統的な直列4気筒のクランクシャフトレイアウトはより強大なパワーを与える。そして優れたIMUによって素晴らしいトラクションコントロールが可能となるため、クロスプレーンによりもたらされるさらなるトラクションの影響は無視して良いほどに小さくなった。これらを合わせて、GSX-R1000はクランクシャフトで13,200回転時に199馬力を発生。これは後輪出力としては180馬力に相当する。トルクは先代と同様に10,800回転で86lb-ftを発生する。


いくらか残念なのは、佐原氏によると北米仕様のノイズ低減機構の影響で、欧州仕様と比較していくらかピークパワーが落ちているということだ。これは北米で購入出来るヤマハのR1、カワサキのZX-10Rと同様だ。13,000回転でのパワーは同様とのことだが、その回転域から吸気バタフライがノイズ発生を抑えるために、僅かに閉じ始めるのだという。ただ失われた最大馬力について何か言う前に、13,000回転以上でのフルパワーをどの程度の頻度でストリートで使用する機会があるのかを考えて欲しい。このノイズ低減機構は、あなたがレーサーでない限り影響は無く、あなたがレーサーであるとしても、いずれにしてもエンジンチューンを施す以上関係ないだろう。


私はスズキのドイツ人テストライダーのJurgen Plaschkaのダイノチャートを眺めたが、そのチャートによると旧型のR1000は178馬力を発生しており、L7 GSX-R1000は203馬力を発生していた。これは同じダイノ上で計測を行ったS1000RR以上であり、ダイノ上のチャートではGSX-R1000の9,500回転から13,000回転におけるパワーはBMWを凌駕していた。これはスズキのVVT(可変バルブタイミング機構)、パワー増大のためのテクノロジーの成果と言えるだろう。

f:id:teletele916:20170208063633p:plain (※GSX-R1000)

いやはや、試乗を始める前にエンジンのパフォーマンスを表す言葉を使い切ってしまった。しかしこの新型GSX-R1000のエンジンとその中に採用された技術こそが、この新型バイクにおいて最も素晴らしい部分なのだ。このバイクは覚醒剤をキメたロケットのように加速し、今までに聞いた事がない14,000回転の唸り声は首の毛を逆立てるだろう。非常に視認性が高いLCDインストゥルメンタルパネルの数字が、何度も290km/h以上を指し、これは6速にシフトアップする前の出来事だったのだ!


とは言え、このエンジンも欠点がないわけではない。Bモードは完璧にスムーズだが、S-DMSのAモードでは低速コーナーからの立ち上がりは少し唐突である。スズキによると3モードの最高出力は変わらないということだが、個人的にはこうしたソフトセッティングはいらないギミックだと感じる。レーストラックでは私はシャープなAモードが良い。しかし、もしキャニオンロードを走るならBモードだろう。


その他の点では振動が手に伝わる点など、エンジンは全域で気持ちが良いとは言えない。そう。このGSX-R1000はバランサーシャフトを搭載しない初めてのR1000なのだ。つまり既存のバイクより増した振動はこのバイクのパッケージの1部だ。私はこうした振動をハンドルバー、そしてバイクを倒し込む時などに燃料タンクの端から感じた。会話をした4名のジャーナリスト達はこうした振動は気にならないと話していた。私が少し気になったこうした点を気にしないというライダーもいるが、以前のスムーズなエンジンと比較すると明らかに感じる点であるとは言える。


気づきにくいのは1000Rのサスペンションについてだ。SHOWAのバランスフリーサスペンションはリーンの最中のバンプの吸収をしながらも、ホイールの動きを素晴らしい形で制御する。スズキは最初ストリートセッティングで私達ジャーナリストのテストを開始したが、フィリップアイランドでペースを上げる中でもこれは快適だった。その後トラックセッティングにしたセッションでは、レスポンスが安定したものとなり、私は自分のタイムを1秒ほど更新した。


この最新型R1000は先代モデルと比較して少し速く走る事が出来るが、それがなぜなのかをピンポイントで指摘するのは難しい。1つは190/55というタイヤだろう。L7 GSX-Rはシャープなステアリングジオメトリーを持っているがホイールベースは15mm長い。それらがこうした影響のバランスをとっているのだろう。6本の薄型スポークを持つホイールに関してはその重量について知らされていない。スイングアームは40mm長くなっているが、フロントアクスルからスイングアームピボットは短くなっている。これはフロントエンドのフィードバックを向上させているとのことだ。スズキによると車重は203kgで、192kgと発表されたホンダのCBR1000RRよりだいぶ重い。


最高のコンポーネントはブレーキにも採用されており、ブレンボの1ピースキャリパーに320mmローター、トラディショナルなフローティングピンとブレンボのフローティングTドライブマウントを合わせて使用している。欧州のトップエンドのバイクよりは初期の噛みつきは僅かに劣るが、これは大きな問題ではない。


1000RはIMUによって作動するモーショントラックブレーキシステムを採用している。これは最大ブレーキング時にリアホイールのリフト量を抑え、リーンアングルによってこれが変化する。スピードが上昇し、ブレーキングが強力になると、フロントブレーキレバーがハンマリングするような感触をターン1で覚えた。これは大きな問題ではないが、私は一番最初にブレーキローターが歪んでいるのかと思った。その次の走行ではABSをキャンセルした状態でライディングした。スズキの技術者は何かしらスイッチを用いることなく、ヒューズを抜くことでABSをキャンセルしたのが奇妙であったが、振動は無くなった。


その他の電子制御に関してはこのIMUとトラクションコントロールシステムは素晴らしかった。安全の意味でも私はこのトラクションコントロールシステムは素晴らしいと感じている。しかしこのシステムがあまりにも速く介入してくるとなると厄介だ。スズキは10段階のセッティングを用意しており、これは左のハンドルのモードボタンでスロットルが閉じている間に制御出来る。トラクションコントロールをオフにするという事も可能だ。3というセッティングが私にとっては好みのセッティングであるが、それでも望まない介入なしにリアタイヤのスライドが可能だ。


唯一残念なのはトラクションコントロールがウイリーをもコントロールするという点だ。3というセッティングではフロントホイールは僅か数インチしか上がらない。これはレーストラックでは最大限の加速が出来るとという意味で素晴らしい。2というセッティングでは大きなウイリーが可能で、1とセッティングではさらにその制御は弱まる。ただ、私はトラクションコントロールとは独立してウイリーコントロールが出来る方が好きだ。佐原氏にこのバイクを返した時に話してみると、彼もウイリーコントロールはトラクションコントロールとは別のほうが好みだと話していた。製造物責任に関する弁護士が許可すれば、将来の電子制御にはこうした内容が加わるだろう。


クイックシフターのパフォーマンスに関しては何ら言うことはない。シフトアップは完全にシームレスで、シフトダウンは理想的なタイミングなくても、オートブリップ機能がしっかりと回転を合わせてくれる。またそれに関連して、アシストスリップクラッチの操作は非常に軽量だ。


エルゴノミクス面では、新型GSX-Rは旧型とまったく同様のトライアングルを持っている。バー、シート、フットレストの位置関係に関しては、過去のモデルを踏襲しているのだ。ボディワークと燃料タンクは僅かに細身になり、バイクをスリムに感じさせる。フロントフェアリングは13mm細身になり、これによってライダーが受ける走行風は少し多くなっている。とはいえ燃料タンクは21mm細くなり、ライダーは静止大気の繭の中に体を収める事が出来る。


ブリヂストンのR10レース用タイヤが昼食の後にバイクに装着された。このタイヤによってグリップレベルは劇的に上がった。このシャープなプロファイルがステアリングの敏捷さを助け、剛性を増したカーカスがフロントエンドのフィードバックを向上させていた。このタイヤでRS10より数秒速く走れるかもと私は思ったが、ドイツ人テストライダーのPlaschkaはそれ以上の効果があると考えていた。


またGSX-R1000Rは私が様々な方法で速く走ろうとするたびに、次々に新たな限界を突破させてくれた。フィリップアイランドで走行の度にタイムを上げる事が出来、レース好きなストリートスライダーから純粋なレーサーにとって、L7 GSX-R1000Rがとてつもないポテンシャルを持っていることを感じた。トニ・エリアスやロジャー・ヘイデンが2017年、2018年のMotoAmerica スーパーバイクチャンピオンシップで優勝したとしても私は驚かないだろう。


エンジニア達は彼らが作り上げたバイクを誇りに思うものだが、スズキのエンジニア達も彼らが作りあげた最新のGSX-Rに満足しているようだ。典型的に控え目である日本人の行いを考えると、特にそうであると言えるだろう。しかし新型GSX-Rのプレゼンテーションの終わりに佐原氏はこうした気の利いた一言を放っている。「ライバル達にこう言いたいと思います。さぁかかってこい!」 (※管理人注 原文「Who’s your daddy?」は「ざまあみろ」「どうだこのやろう」的なニュアンスの言葉ですが、今回はこうした訳としました。)

By Kevin Duke

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