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★なぜメーカーはボールベアリングをステアリングヘッドに使用するのか?

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Motorcycle.comにたまに登場する整備に関する話題ですが、今回はステムベアリングに関する話題です。ボールベアリングタイプとテーパードローラーベアリングで結構違うものですね。 f:id:teletele916:20170125014043p:plain

Q

簡潔な質問があります。なぜメーカーはOEMのステアリングヘッドベアリングにボールベアリングを使用するのでしょうか?自分が知るメカニックは、ボールベアリングが磨耗すると必ずテーパードローラーベアリングに交換します。なぜメーカーははじめからテーパードローラーベアリングを使用しないのですか?

A

質問ありがとうございます。1998年に初代のR1が登場したのをよく覚えています。ヤマハはボールベアリングを採用した理由として、優れたステアリングフィールとフィードバックを実現するからだと語っていました。ボールベアリングとアウターケースとの接触面が少ないために、そうであることは直感的にわかります。そしてその当時R1が元もスウィートなハンドリングを持ったリッターバイクであったことからもそれは明らかでしょう。


しかしMVアグスタのヘッドエンジニアであるブライアン・ギレンは、ボールベアリングは省スペースで済み、軽量であるというメリットもあると教えてくれました。ただほとんどの場合、その選択の理由はコストで、テーパードローラーベアリングはボールベアリングの2倍近い値段がするのです。テーパードローラーベアリングの利点はライフが長いということ。これは単純に接触エリアが広いため、その圧力が広い面に分散されるためです。私が知る限りでは、私の2000年型のR1のベアリングは20,000マイルほどで壊れました。(※約32,000km)

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SKF(※ベアリング製造企業)がいうには「テーパードローラーベアリングはテーパードインナーとアウターリングレースウェイを持ち、そこにテーパードローラーが組み合わさっています。これは放射状、そして軸方向にかかる荷重に対応する設計です。レースウェイの投影線状にベアリングの軸が並ぶ形となり、ローフリクションを実現します。テーパードローラーベアリングの軸方向の荷重は、図のコンタクトアングルαが増えるごとに増大します。」


ということだが、これ以上突き詰めていくと恐ろしく複雑な話になってしまう。


あなたのバイクのステアリングヘッドベアリングに正しく潤滑を施し調整を行うことが、そのライフを伸ばすのです。特にそれがボールベアリングである場合はなおさらですが、ほとんどの人がこれを蔑ろにしています。誰かがバイクのフロントを持ち上げてくれている状態、もしくはフロントエンドスタンドなどを使用している際にバイクの首を振ってガタガタするようであれば、それが僅か数ミリであっても交換時期を超えています。MotoGP Werksのクリス・レッドパスは、もし純正のベアリングがそうなってしまったら彼は都度テーパードローラーベアリングに交換すると言います。


もし自分で交換を考えているのであれば、その締め付け作業などは必ずマニュアルに従ってください。というのも、私と私の古いR1の場合も、そのステアリングヘッドの締め付け作業というのは自分が想像していたようなものではなかったのです。トリプルクランプにある2つのロッキングリングナットを強く締め付けるのだと思いがちですが、これらは僅か20ft-lbと6.5lb-ftというトルクで締め付けるのです。筆者のバイクの場合、アッパークランプの上にあるステアリングステムナットこそが85lb-ftものトルクで締め付けられる必要があるものなのです。


PS なお、いかなるメーカーも自前でベアリングを製作していない。ほとんどが外部からによるもので、もし自分で交換する際にベアリングショップが近くにあり、そこの店員が素晴らしい人間でマイクロメーターを持っているような人であれば、自分で揃えて整備するとなるとかなりの節約になるだろう。
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