★ヤマハ 2015年型YZF-R1MはYZR-M1の兄弟車である
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2015年型YZF-R1関連のエントリーばかり書いておりますが、R1Mの詳細な紹介動画がYouTubeにあったのでご紹介。見ながら思わず「ほ~。」と唸ってしまう内容でございます。ところどころに挿入されるジョシュ・ヘインズ選手のコメントは、あってもなくても良いような。。
(※本エントリーの内容はナレーションの意訳です。)
新型R1は全ての制限を取り払って、完全にスクラッチから生み出された。ヤマハのエンジニアとデザイナーが全く新しいコンセプトとデザインを探求した結果、今までファクトリーレーサーだけが体験することが出来たマシンを作り上げることに成功した。
開発チームが創りだしたマシンは、これまでのスポーツバイクの世界を、ヤマハが思い描く未来と重ねて考えさせるほどの存在となった。そして新型R1のプラットフォームをベースとするR1Mは、パフォーマン面においてさらに進化したバイクとなっている。
今までレースマシンと同じバイクが欲しいと願っていたオーナーのために、MotoGPバイクとスーパーバイクマシンの中間を繋ぐ存在としてYZF-R1Mが登場した。新型の2015年型YZF-R1と同じく、YZF-R1Mは直列4気筒16バルブ1000ccエンジンというYZR-M1と同じレイアウトのエンジンを持つ、いわばM1の従兄弟と言える存在のバイクだ。
高出力のエンジン、正確なハンドリング、MotoGP直系のエレクトロニクス、そしてその他の先進的な特徴が、このバイクを完全に”次の次元”のバイクにしている。完全新設計のダイナミックなスタイリングは、既存モデルに比べてエアロダイナミクスを8%向上している。
ジョシュ・ヘインズ(2014年を含め4度のAMAスーパーバイクチャンピオン)
「R1Mは自分が今まで乗ったストリートバイクの中でも最もレースバイクに近い。サイズがコンパクトなので、いくつかの面ではレースバイクよりも良いだろうね。自分はこのバイクの開発に携わったわけなんだが、このバイクでレースをするのが待ちきれないよ。」
重量というものはレースバイクにとって一番の敵だ。R1Mは新設計のアルミ製デルタボックスフレームにマグネシウム製サブフレームを持ち、これが軽量さとコンパクトさに貢献している。アルミニウム製フレームは強靭でありながらフレキシブルでもある。エンジンをストレスメンバーとして使うことで、適正な剛性バランスを保っている。
カウルはカーボンファイバー製となっており、美しいバッジが輝いている。ポリッシュされたアルミニウム製の燃料タンクの容量は約17Lで、前モデルのスチール製タンクに比べて1.58kg軽量。スイングアームも同じくポリッシュされたアルミニウム製となっている。
10本スポークのマグネシウム製ホイールは、約860g前モデルよりも軽量だ。タイヤにはハイグリップのBS製タイヤを履く。
ホイールベースは10mm短くなっており、コーナリングパフォーマンスが向上している。スイングアームレシオは前モデルと同じ40.5%で、優れた安定性を誇る。
4ピストンのラジアルマウントブレーキキャリパーも新作となり、ブレーキローターは大径の320mmを装備。さらにレーシングABSと最大限のブレーキ性能を発揮するブレーキングシステムを搭載する。このシステムはブレーキを使用した時のブレーキ効力の前後の分配を、バイクのリーンアングルなどを元に判断する。R1Mのすべてパーツ、すべての仕様は、前モデルを分析、設計しなおし、スピードと卓越したハンドリングを実現するために生まれた。
ジョシュ・ヘインズ
「このバイクはとにかく軽いんだ。そしてこのエンジンもまたとんでもなく速い。」
R1Mの心臓部であるコンパクトな新型エンジンは、13.0:1という高い圧縮比を持つエンジンだ。そしてヤマハのMotoGPチームで性能が証明されているクロスプレーン・クランクシャフトを採用。また、バイク業界では初めての破断分割式のチタン製コネクティングロッドを搭載している。これにより、スロットルとリアホイールが直結したかのような、リニアなパワー特性と優れたトルクを発生している。コーナーからの脱出加速は特に素晴らしく、最大リーン時にその力を発揮する。
各気筒には2つのインジェクターを備える。通常は吸気バルブの後ろ側に噴射される燃料に加え、高回転時には2つ目のインジェクターが燃焼室に燃料をダイレクトに届ける。全ての燃料供給はモニターされ、YCC-T(Yamaha Chip Controlled Throttle)によって制御される。エンジンボルトはアルミニウム製で、オイルサンプ、ヘッド、サイドカバーはマグネシウム製となる。
ジョシュ・ヘインズ
「素晴らしいエンジニア達のおかで、R1Mのエレクトロニクスの出来は特筆すべきものがある。今まではMotoGPバイクだけが使えたエレクトロニクスを、市販バイクにして始めて採用しているんだ。」
R1Mには市販車にして始めて、MotoGPマシンから生まれたエレクトロニクスが搭載されている。これによって、ライダーはR1Mの圧倒的なポテンシャルを余すこと無く、安全にそして簡単に引き出すことが出来る。この技術のコアは6軸慣性計測ユニット(Inertial Measuring Unit [IMU])で、ジャイロによってロール、ピッチ、ヨーの3軸を計測し、さらには加速度計がこの3軸のG変化を計測しており、これらの計算は1秒間に125回行われている。
この計算によって、IMUはバイクの正確なポジションと動きを理解し、ECUにその内容を伝える。トラクションコントロールシステム(TCS)は、フロントとリヤホイールの回転速度の違い、リーンアングルなどから、コーナー脱出時のリヤホイールの不必要なスピンを防ぐ。より深いリーンアングルに対応する場合などにTCSは10段階で調整することが出来る。
市販車に始めて搭載されるスライドコントロールシステム(SCS)はM1からダイレクトに受け継がれた技術だ。ジャイロセンサーが深いリーンアングル時に過大なヨーを検知すると、ECUがエンジンパワーをコントロールしスライドを抑える。
リフトコントロールシステム(LIF)は加速時に過大なリフトを計測した際に作動し、ECUによって不必要なリフトを抑える働きをする。ローンチコントロールシステム(LCS)と合わせて、レース時は最適なスタートを切ることが可能となる。
クイックシフトシステム(QSS)は一時的にエンジンパワーをカットすることで、加速時にスロットルを緩めることなく、クラッチを使用しないシフトアップを実現する。
パワーデリバリーモード(PWR)は今までのDモードシステムと似たものだ。これはスロットルバルブの開度から4段階を選択出来る。そして最後にヤマハ・ライドコントロール・システム。ライダーはハンドルバー脇のスクロールホイールによってこれらのシステムをマニュアルで調整することが出来る。
調整出来る内容はパワーデリバリーモード、トラクションコントロールシステム、スライドコントロールシステム、ローンチコントロールシステム、リフトコントロールシステム、そしてクイックシフトシステムだ。そしてこれらの個別のセッティングを4つのプリセットとして登録することが出来る。
ジョシュ・ヘインズ
「すべてのレーサーがバイクに求めるのはインフィールドでの速さだ。エンジンパワーも同様だけど、ヤマハは実に素晴らしい解決策を示したんだ。」
R1Mはオーリンズの電子調整式サスペンションを装備している。調整は、サスペンションコントロールユニットがIMUから受け取ったデータをもとに、前後サスペンションのコンプレッション、リバウンドなどを自動で調整する完全自動モードと、ライダーが手動で変更を行うマニュアルモードとに分かれる。
ジョシュ・ヘインズ
「エレクトロニクス、オーリンズサスペンション、新型エンジンの組み合わせで、新型R1Mは今までのバイクを新しい次元に進化させているんだ。」
R1Mは薄型のフィルムトランジスタ・デジタルメーターを装備している。メーターにはフロントブレーキの効力計、前後のGフォースの表示計が装備されているので、バイクの限界点が把握しやすい。
メーターの表示はストリートモードからトラックモードへの切り替えが可能で、レース走行において重要な、各エレクトロニクスのセッティング、エンジン回転、ラップタイマー、ギヤポジション、スピードなどを見やすく表示することが出来る。
LEDライトは軽量コンパクトだ。エアロダイナミクス値を考慮したレイアウトとデザインが可能となっている。フロントウインカーもLEDで、ミラーに内蔵されている。
エレクトロニクスで特筆すべきもう一つの内容はコミュニケーション・コントロールユニットだ。これによって、ライダーはバイクとWiFi、Y-Trac スマートフォン/タブレットアプリを通じて”会話”することが可能。
オンボードで表示されている内容は、GPSアンテナの情報を元にラップタイム、コース位置とともにデータロガーに記録され、iOSアプリ、androidアプリでダウンロード出来る。こうした情報を元にセッティングを変更し、R1Mにデータをアップロードすることも可能。これらの機能によって、今までM1のピット内で行われていた操作を自分で行う事ができる。
ジョシュ・ヘインズ
「繰り返しになるけど、R1Mは自分が今まで見た中で最もレーサーに近い市販車だ。今までにのバイクとは比べることが難しいくらい革新的なバイクと言えるね。」
MotoGPマシンとスーパーバイクマシンの間を繋ぐ、2015年型YZF-R1Mがいよいよ登場する。