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★MotoGP2016 スズキ プライベートテストでの進化、来年のラインナップは?

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スズキはオースティンでプライベートテストを行っていましたが、2017年にヴィニャーレス選手がスズキに残るのかどうかという点が大きな関心を集めています。ロレンゾ選手のDucati移籍はほぼ確実と言われる中、ヴィニャーレス選手に正式にオファーを出しているのはスズキだけとの話もあり、もしビニャーレス選手が来年もスズキで走るとなると誰がもう一人のヤマハのファクトリーライダーになるのかに注目が集まります。Ducatiからロレンゾ選手との入れ替えで外に出ると予想されるイアンノーネ選手か、Moto2からのステップアップでのアレックス・リンス選手あたりが濃厚なのではという話ですが、いずれにせよロレンゾ選手がどのような発表を行なうかが鍵になります。

★MotoGP2016 スズキ プレイベートテストでの進化、来年のラインナップは?

オースティンの後の月曜日、スズキMotoGPチームは現地に残りプライベートテストを行った。アレイシ・エスパロガロ、マーヴェリック・ビニャーレスは早い時間からのテストを望んでいたが、夜から朝にかけての激しい雨によってトラックは濡れて汚れてしまい乾くのに時間を要した。彼らがセッションをスタートした時、レースでのラップタイムが2分5秒台だったのに大して2分8秒台というタイムしか出ないという状況だった。しかしトラックコンディションは路面が乾くと共に向上し、両ライダーにとって非常に実りのあるテストとなった。


2週続けてのレースだったため彼らは新しいパーツを試す時間があまり取れておらず、両ライダーともにシームレスギアボックスをスムースに動作させるために新しいエレクトロニクスを試した。また彼らは初戦から3戦を2015年型シャーシを使用した後に2016年型シャーシを改めて試した。アレイシ・エスパロガロは2016年型シャーシは硬いと語り、ハンドリングの自由度も少ないと語った。これはブレーキングスタビリティとコーナリングパフォーマンスのバランスという意味だ。エスパロガロにとてはコーナリングで失ったタイムはブレーキングで取り戻す事は出来ないという事で、これは予選でも同様だ。マーヴェリック・ビニャーレスは2016年型シャーシに関してポジティブな印象を得ており、昨年の段階から比べるとシャーシは大きな進化を遂げたと語る。また、彼はテストの後にレースでこのシャーシを使わなかった事を後悔している。

マーヴェリック・ビニャーレス

「ずっと旧型のシャーシと新型とを比べて来たんですが驚きました。というのもCOTAでは新型のほうが少し良いみたいなんですよ。いやもう死にたいくらいですよ。(笑)」


彼はこのシャーシであればさらに効率的に止まる事が出来、ブレーキングの最中もさらに曲がる事が出来ると言う。ビニャーレスは次のヘレスではこのシャーシを試して見ると語る。なお、ヘレスはいくつものハードブレーキングゾーンが存在するサーキットだ。しかし彼によると2015年型のシャーシのほうがハンドリングの自由度は高く、トラックによってシャーシを使い分ける事が出来ると感じているようだ。ル・マン、茂木のようなストップ&ゴーという作りのサーキットでは2016年型のシャーシのほうが良く、流れるような作りのムジェロ、アッセン、ゼクセンリンクでは2015年型のシャーシの素早い向き変えという特性を使う事が出来る。両ライダーともにまだやるべき作業は多い。スズキのGSX-RRはいまだにリアグリップの不足に苦しめられている。そしてこれがスズキの加速の弱さの原因でもあり、ヴィニャーレスはブレーキングスタビリティが一番の弱点だと語る。

マーヴェリック・ビニャーレス

「高速コーナーのセクター1などでは自信を感じますが、セクター3とかセクター4のハードブレーキングになると問題が出ます。」


これはビニャーレスにとってのテストで最も集中して作業を行っていたことでもあり、両ライダーともにテストで向上出来たと語っていた。テストはミシュランタイヤのデータを取得するチャンスにもなり、エスパロガロはミディアムのフロントタイヤを初めて使用する事が出来、フィードバックを得られたと語る。彼はミディアムのフロントタイヤをレースで使用する度に転倒しており、これがいかに大きな進歩なのかが伺い知れる。


テストの後ヴィニャーレスの将来に関わるニュースが発表された。彼は以前のマネージャーであるAki Ajoと袂を分かち、ポル・エスパロガロのマネージャーを以前務めていたPaco Sanchezをマネージャーとして迎えたわけだが、ヴィニャーレスはこれによって契約破棄のペナルティとしてエージェントフィーの25%をAjoに支払う形になる。結果的にヴィニャーレスはPaco Sanchezを契約の法的な部分に関わる人間として迎え、彼自身の契約の交渉は自身で行なうようだ。MotoGPでのレースのプレッシャーを考えると、これはベストとは言えないだろう。ヴィニャーレスの新マネージャーは、彼に新しいチームで走るという方向を用意出来ないかもしれないが、Motorsport.comの情報によると、ヴィニャーレスは実際にはスズキからしか正式にオファーを受け取っていないという。


Speedweekからの情報では、スズキはヴィニャーレスが2016年に表彰台を獲得出来ればもう1年契約を延長出来るという。今年のビニャーレスの走りからするとこれは十分に考えられるシチュエーションだ。となるとヤマハにとっては問題となる。ヤマハはヴィニャーレスをロレンゾの後釜として欲しがっているとされるが、もしヴィニャーレスが今年に表彰台を獲得すると、ヴィニャーレスを迎えるという方向性が無くなることを意味する。若いライダーが持っている野望や飢えを考えると、ヴィニャーレスがヤマハ入りを望む為に表彰台を故意に逃すということは考えられない。もしヤマハが来年ヴィニャーレスを確保出来ないとすると、彼らは来年誰か他のライダーに1年契約をオファーし、ヴィニャーレスにオファー出来るタイミングを待つだろう。


ヴァレンティーノ・ロッシは、アンドレア・イアンノーネもしくはダニ・ペドロサがロレンゾの後釜になると予想しているが、ヤマハがロッシに自身のチームメイトを選ばせるだろうか。ヤマハはアレックス・リンスをダイレクトにファクトリーライダーとして迎える代わりに、テック3のサテライトライダーとして迎えたいと考えているようだ。しかしリンスはファクトリーチーム以外のチームとはサインしたがらず、その代わりにレプソルホンダ入りするのでは無いかと言われている。現時点で分かっているのは、ロレンゾはほぼ間違いなくDucatiに移籍するだろうということで、これはヘレスで発表されると考えられている。そしてこれが、残りのグリッドをかけての移籍に関する予想、ホーストレーディングの始まりとなるだろう。

BY DAVID EMMETT

www.asphaltandrubber.com