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★2015年型 カワサキ Versys1000 LT試乗レビュー

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カワサキの既存モデルVersys1000の2015年型の北米レビューです。なんだか色々と辛口というか、良い点を探すのが難しそうなレビューとなってしまっております。。

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カワサキのVersys1000は2012年から生産されていたモデルだが、USマーケットには長らく入ってこない車両だった。2014年は多くのメーカーで販売の大きな伸びを記録しており、欧州メーカー各社の業績も好調で過去最高のセールスを記録するなどしている。
最近の傾向でいうと足の長いアップライトスタイルのスポーツバイク、Ducatiのムルティストラーダ、BMWのS1000XR、KTMスーパーアドヴェンチャー1290、スズキの新型V-Strom1000などが人気を集めている。

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Versys1000 LTは完全に新しくなったモデルと言え、弟分の650cc版も含めてカワサキの2015年ラインナップに新しく加わった。
カワサキによるとVersys1000は既存モデルのキャラクターと弟分のVersys650の特徴を引き継いだバイクということだ。特徴としては「操縦が楽しい」「意外とスポーティー」といった感じで、同じシャーシをベースとしているニンジャ1000やZ1000に近いと言えなくもない。

 

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Versys1000 LTは650と比較すると立ち上がり加速が強烈だ。KTRCトラクションコントロール、ABSブレーキなどの電子制御を備え、快適なポジションを実現するしっかりとしたシートなどを備える。思うに、Versys1000 LTは650cc版をそのまま大きくした作りというよりは、より伝統的なツーリングバイクで快適な旅の足と捉えるのが良いだろう。

 

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エンジンは基本的にZ1000から引き継がれたものだが、異なるECUプログラムの使用によっておとなしい性格へと改められている。さらにこのECUによって、インテーク内部のサブスロットルプレートが高回転域でより広い開度で開いた状態を保つことが出来るようになっている。10,000回転のレッドゾーンまで高回転域は力強いパフォーマンスであるが、そもそもZ1000がベースのこのエンジンからしてこの設定回転数は低すぎるし、もっとパワーを搾り出せるように感じる。

Z1000と同様にエンジンは7000回転付近から元気になり、直列4気筒ならではのエキサイティングなサウンドを奏で始める。スポーツバイクに比べると穏やかといえるエンジンだが、けして遅いという意味ではない。
実際、Versys1000はそのユーザーフレンドリーな性格から考えると十分に速いバイクだ。ツーリングバイクの実用性という意味で考えると、予想以上のパワーが出てきてスロットルを閉じることが無いという意味で、長距離を走るには最適なバイクだ。

 

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雨風を凌ぐハンドガード、スタンダードで付いてくるハードサドルケース、各種の電子制御などは良い出来だ。ニンジャ1000などと同様にVersys1000のフレームも、5ピースのキャストアルミニウムから出来ているが、ニンジャ1000と比較してステアリングヘッドアングル、エンジンマウントの位置が見直されている。 

エンジン下部2箇所はリジッドマウントであるが、エンジン上部2箇所のマウントはラバーで隔離された作りとなっている。高速道路をクルージングするような速度域においては、カワサキの努力にも関わらず、ステップから断続的な振動を感じた。これはこの1043ccのエンジンを使用するニンジャ1000、Z1000にも共通する特徴で、この車両のエンジンマウント2箇所がラバーを使用したマウントとなった理由がわかる。

Versys1000のポジティブな点としては、メカニカルアシスト、そしてスリッパー機能を装備したクラッチだ。これによってクラッチスプリングは柔らかめのものが使用されており、クラッチの操作力を軽くすることに繋がっている。
また同時にかなり激しいシフトダウンによってもしっかりとスリッパークラッチとしての機能を果たしている。

 

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走行中にいきなり低速ギアにシフトダウンしてみて高回転の状態でスロットルオフでの挙動を試してみたが、リヤタイヤが一瞬鳴っただけだった。
Versys1000は伝統的なマウント方式の4ポッドキャリパーを装備しており、初期の噛み付きは穏やかだ。ABSのお世話になるような事はまずないだろう。

約249kgの装備重量だが、余裕のある足回りは650ccと比較して低速での安定性が高いように感じる。また、どっしりとした重量は駐車場内を走るくらいでの速度域での安定性に大きく貢献していると言えるだろう。

山道やUターン、細い道などであっても重量が不利に働くことは無く、穏やかな効き目のリアブレーキと相まって濡れたタイトなコーナーであっても安心出来る。
650ccと比較すると、減速するためではなく車体のコントロールでリアブレーキを使用した際に、ブレーキ効力が抜けてリアサスペンションが伸びてくるまでの挙動がより穏やかだ。

 

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フロントはKYBの43mmの倒立フォーク、リヤに関しては水平マウントとなっており、パッセンジャーの丁度右足部分に収まるようなレイアウトとなっている。
この妙なレイアウトはリヤのサスペンション調整を行う際には頭痛のタネになるだろう。このサスペンションのプリロード調整に関しては数回転ではリヤのサグ調整で大きな変化がつけにくい。ちなみに私の場合は調度良いと感じる位置になるまで、プリロード調整はまるまる3回転させる必要があった。650cc版と同様にこのリアサスペンションにはコンプレッション調整が存在しないので、こうした部分にこの車両の予算的な事情を感じる。

ブリヂストンのBattlax T30 スポーツツーリングタイヤは長距離走行における耐久性、路面コンディションの変化においてもしっかりとしたパフォーマンスを発揮する。
650cc版と同様にカウルはアグレッシブな新しいデザインとなっている。今回のデザインの見直しにおける主題は、おそらくカワサキの既存ラインナップのニンジャ、スーパースポーツ車両に近づける事だったのだろう。
新たに大きなウインドスクリーンも装備され、工具なしに上下に70mmの範囲で調整が可能だ。残念ながらこの調整機能はなぜかスクリーンの前側から操作するようになっている。

 

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Versys1000には、2014年のニンジャ1000から装備されたクイックリリースハードバッグが装備されている。このバッグはオプションで47Lのトップケースと合わせて、合計103Lの容量の組み合わせとすることが可能だ。これらのバッグは簡単に装着脱着が可能となっており、バッグを装備しない時もサブフレームと同系色のマウントは目立たない。

Versys1000はVersys650をそのまま大きくしたような車両ではないが、ニンジャ1000、Z1000と同じ兄弟車としては非常に使いやすくリーズナブルな車両だ。
US市場での販売価格は$12,799となる。


2015 Kawasaki Versys 1000 LT First Ride Review