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★MotoGP2017 セパン・インターナショナル・サーキットの路面の問題

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舗装が新しくなったセパンですが、グリップレベルが上がったとは言えウェットパッチの問題、メインストレートの左右で路面のアスファルトが異なるという問題を抱えています。今年の開催前に改修が行われるのでしょうか? f:id:teletele916:20170203221101j:plain (Photo courtesy of michelin)

マレーシアGPの舞台であり、毎シーズン公式テストの最初の開催場所となるセパンは2016年に完全に舗装を新しくされた。新しいアスファルトはグリップの高さで歓迎されている。特に雨天対策として路面のキャンバーと縁石の改修が施された。ただ、問題は雨が降った時、正確には雨が降った後が問題なのだ。このサーキットの新しい路面は乾きが遅く、最近のテストでは午前中のテストが出来ない事もあった。また路面に残るウェットパッチがターン9に残り、メインストレートには2種類の異なるアスファルトの分かれ目がはっきりと出ている。今回はDromoサーキットデザインのヤルノ・ザッフェッリが問題の原因と対策について説明してくれた。

ヤルノ・ザッフェッリ

「我々はセパン・インターナショナル・サーキットのトラックコンサルタントで、建設業者は日本道路株式会社でした。セパンは日本道路と契約を結んでいるんです。ですから我々がしていた仕事というのは、セパン・インターナショナル・サーキットのために「これは良い」「これは駄目」というレポートを書いていたんです。仕様書通りに施工をしなかった日本道路に舗装をやり直させるというのは、セパン・インターナショナル・サーキット次第です。」


Q

「問題の原因は?」

ヤルノ・ザッフェッリ

「まず第一にセパンの路面が1時間で乾くと皆が思っている理由がわかりませんよ。今朝は曇りで、路面温度は25℃しかない中で風もなく、どうやって水が乾くというんですか?最初デザインをした時は、以前の舗装よりも固く長持ちするようにという注文でした。熱帯気候においてはそれが必要だという事も理解していました。ただ、実際のところ未だに熱帯の気候を経験していないんですよ!雨季は年間でも長いと言われていました。ですからこうした天候で気温が涼しく湿度が高いと、設計されたとおりの働きをしないんです。ターン12には2007年に作られたアスファルトのランオフがありますが、そこの路面を見ると新しい路面より乾きが遅い事がわかるでしょう。それに一度乾いたとしても、新しい路面よりもウォーターパッチが多い事がわかるでしょう。」


「しかしながら新しい路面では、ウォーターパッチが真っ黒であるため見ることが出来ないんです。これは表面に瀝青がまだ載っているからで、十分な時間が経っていないのです。瀝青が残っているために滴が細かくなる代わりに集まって大きくなるんです。滴が細かくなれば、広範囲に広がって蒸発しやすいんですが。ミサノの再舗装をした時は、ミサノがここ以上に乾きにくかった事を覚えています。ただミサノは狭いコースだったので文句は言われませんでした。ミサノは幅12mで4.2km、セパンは幅16mで5.5kmなんです。ですからミサノの場合位は瀝青が落ちるまでの時間が短かったんです。セパンではまたアスファルトが1年経っても黒いままです。」


Q

「何が出来るのでしょうか?」

ヤルノ・ザッフェッリ

「1つの選択肢は単純に待つことです。エイジングテストも行っていますが、時間が経過していけば路面も乾きやすくなっていきます。ただエイジングを加速する事も出来ます。昨年はレッドブルリンクを”ジャーマンパッケージ”と呼んでいるアスファルトで再舗装しました。これはドイツの路面に使用しているもので、非常に目が詰まっていてスムーズなんです。レッドブルにはF1で行ったんですが、雷雨の中皆がウェットタイヤで走行をしていました。路面が非常に目が詰まっているので、彼らは50mもスピンせずに走る事が出来ませんでした。路面の目が細かすぎたためじ、水が膜を貼ったようになってしまったんです。もしMotoGPのオーストリア戦で雨が降っていたら最悪だったでしょうね。ですからF1の後にFIMのセーフティオフィサーのフランコ・ウンチーニ、路面のサンドブラスト、もしくはウェットジェッティングが可能か聞いてみました。これは彼らがF1のシンガポールGPで毎年行っていることです。これで路面の瀝青を落とすんです。路面の膜を落としてエイジングする事が可能なんです。同じことがセパンでも出来るでしょう。セパンは路面のエイジングのプロセスが少し遅いようです。また政府と運営企業がこうした妥協策を受け入れてくれるかにもよります。出来る限りサポートをしたいと思っています。ですからこうしてセパンテストにも顔を出しているわけです。」


Q

「ターン9のウェットパッチの原因は?」

ヤルノ・ザッフェッリ

「これははちみつのかかていないライスケーキのようなものです。ですから水がどこにも行く場所がないんです。路面の下は密閉されているんです。ですから水が表面から路面の中に滲みていかないんです。これは修正する必要があります。」


Q

「何が出来るのでしょうか?」

ヤルノ・ザッフェッリ

「排水の仕組みを縁石の下に挿入する事は出来るでしょう。彼らはその部分の多孔性のアスファルトが水を排水すると想定していたようですが、多孔性アスファルトのエリアが少なすぎたせいで機能していません。ウェットパッチは時間の経過と共に変化して行くことがほとんどです。例えばムジェロのアラビアータ1では、路面改修後に大きなパッチがレーシングラインの中に出来てしまいました。これは3ヶ月同じ症状が出ていましたが、その後なくなりました。何が起こるかというのは予想困難なんです。ですから次にやることはShellと開発した材料で路面の”穴”を埋めることです。T9の再舗装のためにはトラックを数日間閉める必要があるでしょう。」


Q

「なぜこうした問題が起きているのでしょう?」

ヤルノ・ザッフェッリ

「メインストレートとバックストレートの路面の違いが見てとれるでしょう。これは最終日に施工業者がコンパウンドを間違えたからなんです。我々が自分達のテストの中でこの問題を発見した時、トラックのオープンまで2日しかなかったんです。トラックの右側の路面が間違っていて、トラックの真ん中の継ぎ目から水が滲み出てくるんです。」


Q

「その後何が起きたのでしょうか?」

ヤルノ・ザッフェッリ

「このコンパウンドの問題を発見した時、日本道路は再舗装を行うのでトラックのオープンを遅らせてくれないかと言われました。しかしスーパーバイクの開催が近づいており、十分な時間が無かったのです。」


Q

「それではこの後はどうなるのでしょうか?」

ヤルノ・ザッフェッリ

「セパンは現在施工業者からのフィードバックを待っている状態です。サーキットと施工業者と我々はミーティングを開き、問題解決のための意見を提示しました。一番の問題はターン9とメインストレートです。彼らの決定をしっかりと把握するのは数週間かかるでしょう。」


Q

「ポジティブな点は?」

ヤルノ・ザッフェッリ

「昨年の転倒が少なかったということでしょうか。ウェット、ドライの両方でのグリップは素晴らしいです。バンプはなくなり、トップスピードは327km/hに落ちました。これは我々がデザインしたターン15が想定どおりにライダーのトップスピードを下げた形ですね。また、激しいレインコンディションでもレースは2012年のように赤旗にはなりませんでした。」


今年のマレーシアGPは最後から2番め目の開催となり、10月の27日から29日に開催される。なお、F1は10月1日に開催される。
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