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★2017年型 ホンダCBR1000RR試乗レビュー

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新型のCBR1000RRの試乗レビューをお届けします。トルクコントロールとウイリーコントロールが連動していることなど不満点を上げながらも、非常に満足度の高い、今まさに買いの一台だという評価となっています。とは言え、価格は国産のライバル車と比較してかなり高めとなっています。 f:id:teletele916:20170128103542p:plain

ポルトガル南部にあるアルガルヴェ国際サーキットにおいて、2017年型CBR1000RRの国際プレスローンチへの参加について連絡をもらった時は非常に嬉しかった。テクニカルスペックによると、パワーはアップしており、大幅な軽量化を遂げ、エレクトロニクスは最新のものとなり、我々がまさに長年望んでいたものだった。そういった内容を細かく語るよりも、新型ファイアーブレードがトラックでどのようなパフォーマンスであったかを見ていこう。


ホンダはライバル達と戦うにはCBRの馬力を上げる必要が有ることを理解していた。その結果エンジンは全域でパワーアップしており、レッドラインの13,000回転まで綺麗に回り、クランクシャフト上で188馬力を発生する。結果的にコーナー立ち上がりのパフォーマンスに影響しており、これはファイアーブレードに改善が望まれていた部分だった。そして今までに無かったトップスピードを実現している。パワーが向上したにも関わらず、ホンダは現行モデルで多くのライダーが気に入っているスムーズなパワーデリバリーを実現している。


リアスプロケットが42から43丁に変わっているにも関わらず、トランスミッションギアレシオは先代と同様に保たれている。これによってCBRは中低速パワーがアップしている。またトップスピードが300km/hを超えるようなポルティマオにおいても、ギアリングがショートに感じる事はない。


RC213V-S MotoGPレプリカからもたらされたエレクトロニクスパッケージ、パワーセレクター、ホンダ・セレクタブル・トルクコントロール(HSTC)、エンジンブレーキセレクターなどが装備される。興味深いことにホンダのエンジニアはトルクコントロールをウイリーコントロールと共に作動するようにしており、これがエンドユーザーには助かる機能だ。つまりこれは3段階のHSTCに応じて作動するようになっており、独立してウイリーコントロールは出来ないようになっている。


私はHSTCをレベル3に設定。この場合はウイリーコントロールはレベル1で最小の介入となる。全体的なパッケージには満足したが、ただ少し調整が必要なようにも感じた。このシステムは十分にホイールスピンを許容し、最小の介入でバイクを行きたい方向に曲げ、コーナー立ち上がりでバイク前に進めるのに役立つ。


ウイリーコントロールはどの程度の介入となるのかがわからないため、このパッケージにおける唯一の欠点であろう。例えばポルティマオでは1周の間の標高差が大きいが、このウイリーコントロールがかなり激しく介入してくるのだ。これによってパワーがカットされ、フロントホイールが路面に叩きつけられる。しかし次の周ではこの介入が全くなかった。そのせいで私はリアブレーキを少し引きずるを得なかった。こうした問題を気にしなければシステムとしては非常に素晴らしい。


その他のライダー補助のエレクトロニクスは素晴らしい仕事をする。クイックシフターは(※スタンダードCBRにはオプション設定)スロットルを全開でシフトアップが出来、シフトダウンも全く気にせず可能で、適切な回転になるようオートブリップもしてくれる。これがエンジンブレーキコントロールと相まって、リアホイールが狙ったラインから外れずに済む。これによってレースの世界の神達のようにブレーキングに自信が持てるのだ。


シャーシは良い。実際のところ素晴らしいと言える。42ポンド(約19kg)もの軽量化、向上したエアロダイナミクス、シャーシの剛性変更が、CBRに今まで無かった軽快で安定感のあるハンドリングを与えている。特に何も苦労を必要とせずにこのバイクはラップタイムを削ぎ落としていく、どれだけハードにプッシュしようと車体を左右に自信を持て倒す事が出来る。これは非常に快適なバイクの1台と言え、コンパクトなフェアリングは以前よりも小さくなったような感覚を与えてくれるが、ウインドプロテクション性能は下がっていない。デザインが変更された燃料タンクはニーグリップがしやすい。


Showaのビッグピストンフォーク、バランスフリーリアショックのコンビネーションは素晴らしく、私がポルティマオで今まで経験した中でも最も過激なブレーキングの中でもCBRを安定させる。とはいえ、フロントエンドのフィードバックをライダーに伝えるということに関しては少し難がある。明確にすると、バイクが最大リーンアングルに到達した時、フロントエンドが何をしているのかわからない、もしくはタイヤにどの程度荷重がかかっているのかがわからないのだ。そしてこれがバイクの限界を探ろうとしている時に自信を失わせるものとなる。


しかしこれはスタンダードのブリヂストンS21ストリートタイヤによるものかもしれず、さらにトラック走行、レースに向いたタイヤであれば、この問題は姿を消すだろう。ダンピングセッティングに関しても、バイクが最大バンク状態ではバンプをいなすのに苦戦している印象であるが、サスペンションセッティングでなんとかなる問題だろう。


トキコの4ピストンブレーキキャリパーは軽量化のために形状が変更されている。そしてアップデートされたブレーキパッドを装備している。これらの変更がCBRに最大のブレーキングパワーを与えている。しかしこのシステムはライバルと比較して、レバーからのフィーリングの不足という弱点を抱えている。ブレーキをアグレッシブに使用すると、どの程度のブレーキング力を引き出しているのか、あとどの程度の力が残っているのかが把握しにくい。ポジティブな面に目を向けると、このバイクのABSシステムはその介入がわかるほどには介入してこない。しかしこれはレーストラックにおいては、まさに必要とされてくるものだ。


ホンダが2017年型CBR1000RRという獣を解き放ったのは間違いない。私も次回このバイクに乗る機会が待ちきれない。新しいバイクに多少癖があるのは仕方がないことだ。とは言え、それらによってこのバイクが素晴らしいと言えなくなるわけではない。実際このバイクは私のお気に入りのリッターバイクの1台となった。ABS無しのモデルが$16,499(約190万円)、ABS付きで$16,799(約193万円)という値段を考えるとすぐにでも1台買いたいくらいだ。


より良いフィーリングを持ったブレーキングパッドを取り付け、レースタイヤを履いて、HSTCとウイリーコントロールを独立制御出来るようにすれば、今購入出来る最高のスポーツバイクだと言えるかもしれない。何度も話しているように、今の時代スポーツバイクのファンであるというのは素晴らしいことだ。2017年のリッターバイクのテストの気配が漂っている。

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2017年型 ホンダCBR1000RR 主要諸元

  • 価格:$16,499/$16,799 (ABSモデル)

  • エンジン:水冷DOHC直列4気筒

  • 排気量:999cc

  • ボア x ストローク:76 x 55.1mm

  • 圧縮比:13.0:1

  • 吸気:48mmスロットルボディ/デュアルインジェクター

  • フロントタイヤ:120/70ZR-17 Bridgestone Battlax S21

  • リアタイヤ:190/50ZR-17 Bridgestone Battlax S21

  • レーク/トレール:23.3 degrees/ 3.8 in. (96mm)

  • ホイールベース:55.3 in. (1405mm

  • シート高:32.8 in. (834mm)

  • タンク容量:4.2 gal. (16L)

  • 整備重量: (EUモデル) 429.9 lbs. (195kg)

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