★MRS Oficina カワサキVULCAN S（バルカンS）カフェレーサー

非常に美しいカワサキバルカンS ABSカフェのカスタム車両をご紹介します。ベースマシンがバルカンSというのは一瞬信じがたい車両ですが、エンジンとスイングアーム、フレームの一部を残した大改造を施したことで、軽やかなカフェレーサーに仕上がっています。

カワサキのVULCAN S（バルカンS）はゆったりとしたクルーザーで、そのスタイルはハーレーのようなステップを前に持ち、レイドバックしたライディングポジションとなっている。ワイドなハンドルバーとふくよかなボディをしている。しかしそのエンジンはカフェレーサーによく使用される事が多いパラレルツインエンジンを使用している。

エンジンは水冷でボンネビルのような美しさはないが、バルカンのエンジンは回り道ではあるが伝説へのオマージュとなっている。少なくともMRS Oficinaのマリオは、この車両のカスタムをする際にそうした事を考えたのだろう。

このプロジェクトはマリオがカワサキフランスから2015年に依頼されたプロジェクトが発端だ。カワサキは最近Vulcan S ABS Café（バルカンS ABSカフェ）をリリースしており、マリオがこのモデルからどのよなバイクを作れるのかを知りたかったのだ。カワサキがこの車両を作り上げた時、カフェレーサーのスタイリングに影響を受けていることから、マリオはその流れを受け継ぎ、しっかりとしたカフェレーサーを作ろうとした。

カワサキのクルーザーのラインナップの中では軽量なバイクながら、その重量は226kgもある。マリオは彼が望むようなパフォーマンスを実現するには、その重量を大幅に削る必要があった。重量削減は、燃料タンク、シート、フェンダーなどを廃棄するところから始まった。またリアのフレームの半分以上も切り取られており、キャストホイールその他、ハンドルや前方に付けられたステップクルーザーの特徴と言えるものは全て取り払われている。

車体の姿勢の変更もまた必要で、カフェレーサーにするため、このバルカンは少しだけ前方にかがんだアグレッシブなポジションになる必要があった。そのためにリアにはオーリンズのカスタムメイドのシングルショックが搭載され、スイングアームにも変更が施された。三叉は20mm低い位置となり、ハンドリングの改善のために固いスプリングが使用されている。スポークホイールにはスリックのピレリ製タイヤを履く。

マリオはカワサキが研究を重ねたバルカンのライディングシステムを変更する時間はなかった。彼はシンプルなタンク、テールを付け、カフェレーサーならではセパレートハンドルとステップを取り付けた。カフェレーサーのスタイルをさらに強調するため、三角形のフロントライトはイエローレンズのベイツスタイルのものに交換されボディカラーとマッチングした色に塗装されている。スリムなフロントフェンダーは実用的な位置に取り付けられている。

2本出しのリバースメガホンのマフラーは素晴らしいチョイスと言え、カスタムメイドのステンレスヘッダーによって搭載される。さらにクロススティッチのレザーシート、Motogadgetのメーター、ベルリンガーのブレーキリザーバー、モンツァスタイルの燃料キャップ、フレームマウントのインジケーターなどが装備される。

カワサキのバイクとなると、常にその選択はグリーンとなるが、マリオは2つのトーンを使用してメタリック調で仕上げた。2015年のSalon de la Moto Parisに間に合わせるために、全ての作業は驚く事に4ヶ月しかかかっていない。カワサキイタリアが2013年に作成した40周年記念のZ1000 と同じく語り継がれるワンオフモデルとなるだろうが、この車両がチームグリーンが制作する最後の素晴らしいワンオフモデルとならない事を祈るばかりだ。