気になるバイクニュース。

世界のバイクニュース、MotoGP最新情報、各メーカーの新車情報などを紹介しているブログメディアです。

★ロレンゾのDucati移籍はなぜ起きたのか?そして次に何が起こるのか?

Sponsored Link

ロレンゾ選手のDucati移籍に関して、Motomattersのエメットさんが移籍発表前に色々と考えられる理由を書かれていましたが、移籍発表を受けて今後何が起こりえるか?といった推測をしていますのでご紹介します。ヤマハがロレンゾ選手の立場を守る事に失敗したという主張は管理人も同感です。全体的にかなり辛めの論調になっています。

★ロレンゾのDucati移籍はなぜ起きたのか?そして次に何が起こるのか?

ロレンゾがDucatiと2017年と2018年の2年契約を結んだ事を知らない方もいるかもしれないが、もしこのニュースを逃していたとしても、ヤマハのリン・ジャービスが木曜のヘレスのプレスカンファレンスで説明するのを聞いて納得することが出来るだろう。チームのボスがプレスカンファレンスに出席するという事はめったにない。こうした事は本当に普段起きないことだ。もしその場にリン・ジャービスが出席せずロレンゾの移籍について何も語らないとしたら、何か色々な事が捻れてしまっているのだろう。ヴァレンティーノ・ロッシが2010年にDucatiに移籍する際にも同じような手法が取られた。そうした教訓から考えるに何が起こるのかを占ってみよう。

過去からの一撃

木曜日にロレンゾとリン・ジャービスはプレスカンファレンスに登場する。ロレンゾは非常に曖昧な説明をする。新しい挑戦だとか彼のキャリアにおいて新しい章の始まりといった話になるだろう。そして難しい質問に関してはリン・ジャービスが応えるだろう。これはヤマハにとっては良いことだがジャーナリストにとってはそうではない。ジャービスは完成された政治屋なので厳しい質問は上手く避けるだろう。とは言え、我々ジャーナリストは厳しい質問を浴びせるつもりであるが。ジャービスはロレンゾがヤマハにいかに貢献したかという事に感謝を述べ、セパンでの出来事がロレンゾのヤマハ離脱についてどういった意味合いを持ったのかについての質問は避けるだろう。その日の終わり、もしくは金曜日にDucatiはプレスカンファレンスを持つだろう。ここにはDucatiのジジ・ダッリーニャとおそらくCEOのクラウディオ・ドメニカーリが出席し、ロレンゾとの契約について説明を行なう。ヤマハそしてDucatiの経営陣は、誰が2つ目のファクトリーシートを獲得するかについての質問は注意深く避けるだろう。(※管理人注 エメットさんの考えるロレンゾ選手のヤマハ離脱の理由の1つに、ロッシ選手がスペイン人選手がグルになってロレンゾ選手を助けているというゴシップを展開したがヤマハはそれを傍観していた。という事があるようです。)

ロッシと同じ待遇が与えられるだろうか?

残りのシーズンに対する影響はどのような事が考えられるだろうか?ロレンゾが2016年シーズン終了後にDucatiをヴァレンシアでテストすることは間違いない。ヤマハがロレンゾにテストをさせるという事はジャービスが認めないと思われるが、しかしロレンゾを残りのシーズンにヤマハの為に走らせる何かは必要だ。ヤマハは2016年中にロレンゾへのサポートを打ち切るだろうか?これはロレンゾがヤマハの為にチャンピオンシップを戦っている事を考えると考えにくい。ロレンゾのタイトルはヤマハにとってのタイトルでもあり、来年ロレンゾがDucatiで苦戦した場合にヤマハだから獲得出来たタイトルだと示すためのものでもある。ロレンゾがヤマハに残っていれば描けた未来をロレンゾに見せつけない手はない。

ロレンゾの今回の決断は今シーズン中に何かしらの影響があるだろう。ロレンゾは2017年用のパーツはテストしないにしても、ヴァレンティーノ・ロッシと同様のマシンのアップグレードは受ける事が出来るだろう。という事は、彼はヘレスとバルセロナのテストには参加するが、ブルノもしくはシーズン後半に行なうプライベートテストには参加しないだろう。ロッシはマシンの開発により大きな役割を持つようになる。ロレンゾからのインプットも意見としては受け止められるが、反映される可能性は低いだろう。

真実はそこにある

ロレンゾがヤマハを去る理由を聞くには2017年の1月1日まで待たねばならない。彼のヤマハとの契約は12月31日に満期を迎える。そしてそれまで彼は自由に話す事は出来ない。"自由に語れる" というのは建前のようなもので、Ducatiに関してはバイクや組織に関して批判的な意見を発したライダーに対しては厳しいペナルティ、数百万ユーロの罰金を課している。1月1日に何かしらのインタビュー内容がロレンゾが親しいメディアから出てくるだろう。最も考えられるのはスペインのTV局だが、Movistarでは無い事は間違いないだろう。彼らはヤマハのタイトルスポンサーであるので、スペインの2つの有名バイク誌のうちどちらかが今シーズンの終わりにヤマハでの最後のインタビューを行なうだろう。

彼がヤマハを去る理由はなんだろうか?1月にロレンゾの口から本当の理由が語られるだろうが、今の段階ではただ推測することしか出来ない。しかし明らかな理由と考えられるものは存在しており、それらは全てセパンでの出来事と結びついている。ロレンゾはセパンでのヴァレンティーノ・ロッシとマルク・マルケスの一件については、一貫して自分は無実で全く関係無い被害者だと考えているのだ。

11月が生みだしたモンスター

1つ明確にしておくと、あなたがロッシがマルケスに対して話している内容についてどのような意見を持っていようが、ロレンゾは全くの無関係だ。しかしロレンゾはまるで関係者であるかのように扱われ、ファンやイタリアのメディアから2015年のタイトル争いでスペイン人同士の黒い取り引きでロッシを陥れたなどと揶揄されてきた。ロレンゾがした事と言えば、グリッド上で最速の男であり、最多勝を遂げただけだった。彼はロッシとマルケスの争いには無関係の存在だった。

結果的にヤマハはロレンゾを守ってやるという事に失敗した。日本のこのメーカーは、この争いをロッシとマルケスだけの間の出来事として扱おうとしたが、ロレンゾはこの一件に関係あるとされ、ヤマハは彼の名誉が傷つけられたという事を無視してしまった。ヤマハの経営陣はロッシにロレンゾを巻き込むなと伝える為に立ち上がらず、ヤマハは素晴らしい成功を収めたシーズンを祝う為のイベントをキャンセルし、これによって11月が生みだしたモンスターを野放しにしてしまった。(※モリッシーのNovember Spawned a Monsterより来ていると思われます。)

ロレンゾは彼のチャンピオンシップ優勝は記憶されないものになったと感じただろう。これはロレンゾにとっては受け入れがたいことだったはずだ。当然のように2015年に両ヤマハライダーが成し遂げた事は素晴らしかったのだ。ロッシはほとんどのレーサーが引退している年齢にも関わらず素晴らしい成績でシーズンを最後までリードした。そしてロレンゾは圧倒的なパフォーマンスで乗り越えられないと思われた苦難を乗り越えた。彼らがチームメイトで無ければ、彼らは自身のチームから大いに祝福されていただろう。ヤマハはロッシの機嫌を損ねることを恐れてロレンゾの偉業を讃えることに失敗した。彼らはロレンゾのタイトル獲得を祝えないという臆病さに自分達がいるということに気付いたことだろう。もしロレンゾが彼の後釜とロッシをDucatiで打ちのめしたとしたら、この臆病さは随分と高くつく事になる。

次に何が起きるか

ロレンゾはDucatiでヤマハに勝てるだろうか?もしくはヴァレンティーノ・ロッシのように悲惨な時代を送るのだろうか?今回に限ってはそうはならないと信じるに値する理由がいくつもある。 デスモセディチGPとその先代機GP15は競争力の高いバイクだ。多くのライダーがこのバイクで成功している。2010年にケイシー・ストーナーがDucaitで優勝することが出来たかもしれないが、これはDucatiが凄いのではなくケイシー・ストーナーの実力によるものだ。現在のDucatiは優勝出来るポテンシャルを備えている。グリッドの中でも最高の4人の選手、いや、間違いなく最高の2人のうち1人が乗ればこれは間違いない。そしてDucatiにはジジ・ダッリーニャがいる。彼はレーシング部門を整え、サイロ思考(※自分の部門だけを考え全体を考えない思考)が充満していたものを、協調性と大きな目標に向かって集中する環境に作り変えた。それまではバイクになる部品をいくつも作っていたものを、ダッリーニャがこれを改め、バイクをデザインしそのための部品を作るという方式に改めたのだ。

また別の歴史

もちろん以上のシナリオはあくまでも推論だ。そしてもちろん私の推論がまったくの検討違いである可能性もある。契約は既に交わされたわけで、これからは歴史がいかにメーカーが主要ライダーの移籍を扱うのかを語るだろう。※以上はMotoMattersに掲載したオリジナルバージョンをヤマハとDucatiからの発表を受けて加筆したものである。

www.asphaltandrubber.com