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★2016年型GSX−R1000を振り返る

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2005年に大きく姿を変えて以来、外観上あまり変化していないGSX-R1000ですが、2017年は遂に待望のモデルチェンジを果たすと予想されています。既に2017年型のコンセプトモデルが登場しており、今年のEICMAでプロダクトモデルとして正式発表、来年の春頃にはディーラーに並び始めるのではと予想されます。それに先立って2016年モデルとはどのようなモデルであったかという振り返り記事をご紹介します。

当ブログで何度も語っていますが、管理人個人的には重くなる前の2005年型が傑作機だったなぁと。。

★2016年型GSX−R1000を振り返る

リッタースポーツバイクの話になると、テクノロジーが大きな割合を占める。アルファベットだらけの省略文字が大量に並び、ライダーは自分の限界の速さで今までよりもミス無く周回を重ねることが出来る。ヤマハDucatiカワサキBMWアプリリアはこうした優れた電子デバイスを装備したバイクを提供しているバイクメーカーだ。

★2016年型GSX−R1000を振り返る

この中でそうした流れから取り残されている象徴的なバイクがGSX-R1000だ。最後に改修を受けた2012年の時点でさえ、GSX-Rはこうした最先端のテクノロジーとは無縁だった。それから4年が経ち、GSX-R1000はだいぶ古いバイクになってきた。電子デバイスはパワーモードの選択しか出来ず、今や常識のトラクションコントロールやIMU(慣性計測ユニット)搭載のバイク達にどうやって立ち向かうのだろうか?


ただ、2012年の時点では、本誌の日本製スポーツバイク比較試乗においてGSX-R1000は2位を獲得した事を忘れてはいけない。この時はクロスプレーンクランク、トラクションコントロールを装備したYZF-R1がいたわけだが、GSX-Rはストリートでの使用での幅広いパワーバンド、親しみやすいエルゴノミクス、正確なハンドリングなどが評価された。電子デバイスの不足などがマイナス点とはなったが、トラックでも同様の理由で扱いやすかった。

★2016年型GSX−R1000を振り返る

今回こうしてGSX-Rに乗るのは久しぶりだが、1985年のGSX-R750にインスパイアされたカラーリングは懐かしい。ハンドル、シート、ステップの三角形は伝統的なスズキのスポーツバイクのそれで、シートに座るというよりは、バイクと一体になるという感覚に近い。手は自然にハンドルに落ち着き、ステップは3段階で調整可能なため、最適な位置に調整が可能だ。それまでと同じように、やはりGSX-Rは快適なバイクだ。


最後にダイノにGSX-Rを載せたのは2012年。その当時で11,500回転で156.3馬力、9,900回転で76.1 lb-ftのトルクであった。これ以上のトルクを発生したスポーツバイクは比較試乗では存在せず、唯一カワサキのZX-10Rが僅かに馬力で上回っただけだ。こうした内容が今の時代であっても乗って楽しいというGSX-Rの特性を表しているような気がする。ライダーが通常使う回転域のどこであっても素晴らしいパワーを引き出すことが出来るのだ。

★2016年型GSX−R1000を振り返る

こうした特性もあって、ストリートで乗っていても簡単に2速や3速を使用する事が可能で、高速では燃費走行の為に6速に入れておくことも出来る。 もう少しパワーが欲しければスロットルを捻るだけで済むのだ。クイックシフターは搭載されていないが、こうした伝統的なシフトチェンジは極めて簡単だし、悩む必要もない。


スポーツバイクとしてGSX-Rのエルゴノミクスは、高速で走行する際に快適だ。前輪に荷重がかかり過ぎるような事もなく、不快さは感じない。 筆者の172cmという身長にはスクリーンは十分過ぎる効果を発揮する。普通に乗車した状態であれば首に少し空気を感じる程度だ。 高速での走行に関しての苦言は振動だ。ハンドルバーの振動で30分も走行すると腕が痺れてくる。幸いにもタンクの形状が良いので、膝でタンクを挟み荷重を分散させて手首を休ませる事は出来る。シートはスポーツバイクとしては柔らかいほうだ。ただエッジ部分が少し硬いので、尻の肉の厚さによっては痛みが出てくる可能性はある。

★2016年型GSX−R1000を振り返る

ツイスティな道を走行する際は、GSX-Rは多くのライバル達から抜きん出た存在となる。幅広いパワーバンドによって2速か3速での走行が可能になるので、ライディングに集中する事が可能になる。GSX-Rのシャーシは既に古いと言えるが、未だに流れるような動きを見せる。


Showaのビッグピストンフォークは完璧とは言えないが、それでも十分なフロントエンドのフィードバックをライダーに与える。調整に対する反応も良好だ。ただ我々がテストをした車両は、最後にこの車両に乗ったスーパーバイクレーサーの加賀山選手のセッティングになっていたため18段階の調整の中で最も硬いセッティングになっていた。レーストラックで彼が欲しいフィードバックはこうしたセッティングによって提供されるのだろうが、これによってストリートの試乗ではありとあらゆるギャップを拾っていたため、9段階戻したところ良好なバランスになった。


ブレンボの4ポッドモノブロックキャリパーは素晴らしいストッピングパワーを発揮し、これに310mmのディスクを装備している。これはGSX-Rが他のバイクに僅かに劣る点と言える。もちろん制動にはなんの問題もないし、レバーも調整可能で素晴らしいタッチであるが、多くのライバル車両は330mmのディスクに金属メッシュのブレーキラインを純正で装備している。いくつかの車両はブレンボのM50キャリパーを装備している。こうした点を考えると、GSX-Rの制動関係の装備は最高とは言えないだろう。

★2016年型GSX−R1000を振り返る

スズキのフラッグシップであるこのスポーツバイクは登場から時間が経ちすぎていると言えるが、最新のライバル車両に比べて最大馬力は負けてはいるものの、ライディングをしていてパワーを取り出したいと思う時には十分過ぎるパワーを取り出す事が出来る。シャーシの反応性は良く、運動性も高い。ブレンボとShowaのコンビネーションも悪くない。また、GSX-Rには多数のアフターマーケットパーツが出回ってもいるし、オーナーの好みに改造しようとすれば幾らでも望み通りのバイクにすることが出来る。


$13,899という値段は、このバイクが与えてくれる喜びを考えると、リッターバイクとしては安いほうだ。しかし最新ヤマハのYZF-R1Sが$14,990であることを考えるとセールスは厳しいかもしれない。しかしアナログのバイクを探しているライダーにとっては一見の価値があるバイクだ。

2016年型 GSX-R1000 主要諸元

  • 価格:$13,899 ($14,399 ABS)
  • エンジン:999cc水冷4気筒 DOHC
  • ボアxストローク:74.5mm x 57.3mm
  • 圧縮比:12.9:1
  • 馬力:156.3 hp @ 11,500 rpm
  • トルク:76.1 lb-ft @ 9,900 rpm
  • フロントサスペンション:Showa BPF
  • リアサスペンション:Showaシングルショック
  • フロントブレーキ:ブレンボ製ラジアルマウント4ピストンモノブロックキャリパー/310mmディスク
  • リアブレーキ:220mmディスク
  • フロントタイヤ:120/70-17
  • リアタイヤ:190/50-17
  • シート高:810mm
  • 装備重量:203kg
  • 燃料容量:17.4L

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