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★MotoGPにおける椅子取りゲーム その3

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motomattersのエメットさんによる2017年シーズンと2018年シーズンの各チームのシート予想記事の第三弾です。今回はスズキ、KTM、アプリリアの予想となっていますが、その中心人物と言えるのはスズキのマーヴェリック・ビニャーレス選手。ヤマハ、ホンダはもちろん、Ducatiも狙っている期待の若手選手だけに、スズキはシーズン前半にGSX-RRでも優勝出来るという確信をビニャーレス選手に持たせることが非常に重要になります。また、ロッシ選手が2018年まで現役続行を希望しているだけに行き場が無くなるブラッドリー・スミス選手は、KTMでのファクトリー契約を選択するのではないかという予想となっています。

★MotoGPにおける椅子取りゲーム その3

世界の注目はヤマハ、ホンダ、Ducatiに集まっているが、その他の3メーカーもMotoGPのシート状況を占うには不可欠な存在だ。スズキ、KTMに起きる出来事が、ホンダやDucatiに大きな影響を与える。アプリリアも同様の状況ではあるが、与える影響は小さいだろう。パート1でお伝えしたように今年の契約交渉に(※来年以降の契約に関する)関しては、椅子取りゲームの様相を呈している。


スズキは今回の椅子取りゲームにおいては中心的な存在で、それはマーヴェリック・ビニャーレスの存在による。ビニャーレスはホンダ、Ducati、ヤマハが目をつける有望な選手だ。ビニャーレスはスズキエクスターではあと2年の契約を結んでいるが、今シーズンで去るオプションを持っている。ビニャーレスの選択肢は2つ。スズキに残り長期間の関係性を築き第二のシュワンツとなる。もしくは他のファクトリーに切り替えて、いち早く成功の道を辿るかだ。ビニャーレスの選択は1つの物事の結果に集約される。それは、スズキが2016年型のGSX-RRをどこまで性能アップ出来るかどうかだ。ビニャーレスは既にフィリップアイランドとカタールで高速タイムを記録出来るということを証明している。問題はこれがレースでも再現出来るものかどうかという事だ。もしビニャーレスが表彰台争いに絡んだり優勝するようなことがあれば、彼の意思決定は簡単になる。同様にトップ6で完走する事が難しいというような状況が続くとすると、これもまた意思決定は簡単だという事になる。

スズキの将来を占う

これが中間の結果となると意思決定は難しい。もしビニャーレスが表彰台まであと一歩という状況が続くと、スズキがさらに努力をするか、さらに資金を投入するという事でその本気度をビニャーレスに証明する事が出来る。また同様に、他のメーカーはビニャーレスが勝利出来ない理由が、バイクにあるのかビニャーレス自身にあるのかを見極めなければならない。(※ビニャーレスにオファーを出すにあたり)ビニャーレスは公的に今後どういう意思決定をするかを、5〜6戦経過した時点で行なうとしている。という事は、ホンダ、Ducati、ヤマハにとってはその間彼を評価する事が出来るという事になる。もしビニャーレスがスズキを去ると決めた場合、スズキはベテランと若い才能との間で決断を迫られることになる。実際、現在のスズキのラインナップは互いを補完する形で注意深く選ばれたものだ。


アレイシ・エスパロガロは開発の役目を持ったライダーで、多彩なバイクに乗ってきた経験がある。マーヴェリック・ビニャーレスは若きスーパースターで、将来のチャンピオンになることを期待されて契約を結んでいる。もしビニャーレスがどこかに移籍すれば、スズキは改めて若きスターを探す必要がある。これはアレックス・リンスなどビニャーレスの後を継ぐことが出来る人間になるだろう。もしこれがダニ・ペドロサになると、スズキは優勝出来る実力を持ったライダーによって自分達のバイクを試す事が出来るだろう。もしこれがアンドレア・ドヴィヅィオーソだとすると、彼の開発能力を試す事が出来る。とは言え、ドヴィヅィオーソはレースで優勝するほどのスピードは無い。ドヴィヅィオーソもペドロサもアレイシ・エスパロガロのスズキでの地位を脅かす存在になる。兄のほうのエスパロガロは優れたフィードバックで知られているが、これはドヴィヅィオーソが特に優れている分野でもある。ドヴィヅィオーソの場合、MotoGPのキャリアを通じて異なる3つのメーカーでライディングをしてきた経験もあり、開発の役割としては更に価値を提供出来る。ドヴィヅィオーソはスズキがMotoGP復帰を2015年に延長する数年前までは、スズキと関係が深いライダーでもあった。スズキのチームもベースはイタリアにあることもあり、その中の中心的なスタッフもイタリア人で、チームマネージャーのダヴィデ・ブリビオもその1人だ。ドヴィヅィオーソはスズキにとっては抗うことが出来ない資産となり得る。

アレックス・リンス ファクトリー契約をするのは今か後か?

もしビニャーレスが去るとすると、スズキはアレックス・リンスと契約をするチャンスを掴む事になる。ビニャーレスはさらに自分の希望を満たせるファクトリーへと去り、リンスにはヤマハのテック3のシートかスズキのファクトリーシートを選ぶという選択が出来るだろう。これはリンスの忍耐によって決定される。もしリンスがスズキを選べば、スズキがビニャーレスが享受出来るはずだった待遇を一身に受ける事が出来る。(であれば、なぜビニャーレスはスズキを去る必要があるだろうか?)もしリンスがヤマハを選べば、彼はロッシが引退するのを待ちながら、もしくはロレンゾがどこか別のファクトリーに移籍するのを待ちながらファクトリー契約の元にテック3で走ることになるだろう。


どちらの結果も確実なものではない。ロッシとロレンゾは過去最高のライダーである事は間違い無く、リン・ジャービスがこの2人を差し置いてリンスの為にヤマハのシートを開ける可能性はほぼない。テック3のライダーになるのはリンスにとって最悪の結果ではないが、エルヴェ・ポンシャラルは「テック3のパッケージはかつて無いほどにファクトリー近い」と語っているため、これは新しい統一ソフトウェアとミシュランタイヤの導入にあたりマイナス点と言えよう。多くが信じているように、もしリンスがビニャーレスと同様の才能を持っていれば、彼は一度MotoGPに慣れた後は、テック3のバイクでも表彰台を狙えるだろう。彼がMoto2に適応した時間を考えると、彼はシーズン中にはMotoGPクラスに適応するだろう。

Moto2からの昇格組

リンスだけがMoto2から昇格すると予想されているわけではない。しかし昇格出来るライダーの数は限られている。ポンシャラルはサム・ロウズ、アレックス・リンス、ヨアン・ザルコがMoto2ではベストライダーであると語り、その中の数名はMotoGPに昇格するだろうとしている。ロウズはすでにグレシーニと3年契約を結んでおり、2016年にMoto2で戦った後に、2017年と2018年にはアプリリアから参戦する。リンスは実際多くが獲得を狙っている選手である。しかしザルコはファクトリーチームが獲得に動かない場合、サテライトチームがその獲得を目指すであろう。


2015年にザルコがMoto2で圧倒的な強さを発揮したが、これはある種の驚きであった。ポンシャラルは「2014年の終わりには、誰もザルコが2015年にあんな活躍をするとは予想しませんでしたね。」と語る。 ザルコは明らかにテック3のシートを狙っているだろう。しかしパドック内の噂としては、ザルコはKTMに落ち着くのでは無いかと言われている。KTMのファクトリーMotoGPチームはAki Ajoによって運営されるというのがほぼ確実とされており、フィンランド人のチームマネージャーは、既にMoto3の指揮をとり、Moto2バイクの開発に指揮も取っている状況だ。


Ajoとザルコは強い結びつきを持っており、ザルコはAjoのバイクに乗っている時は良い結果を残している。ザルコにとっては良くない面もあり、彼は7月に26歳となる。これでは才能ある若手とは言えない。彼が2015年に成し遂げた内容は素晴らしかったが、プレシーズンテストの結果はあまり芳しくはない。ザルコはまた特異なマネージャーであるローラン・フェロンを引き連れてくる。フェロンはザルコの素晴らしさを引き出した人物だが、ザルコはフェロンがガレージで面白く無い出来事があったために契約を破棄したことを受けて、別のマネージャーを雇った事があった。こうした不可解な出来事は一緒にやっていくことが難しいと言える内容であり、フェロンは現在自分の息子のコーチングに忙しい状況でもある。つまり、これはザルコにとっては色々な可能性で動きやすいということに繋がる。

Moto2ライダーの可能性

Moto2からは更に数名の候補者がMotoGPに昇格する可能性がある。ポンシャラルは彼自身2016年に契約をかわそうとしていたジョナス・フォルガーについて話していた。フォルガーはAGRとの2年契約があるためすぐに自由になるわけではないが、今シーズンの終わりに契約は満期を迎える。テック3とその他のチームが興味を示す事はあり得るだろう。フォルガーはMoto2で表彰台獲得の経験、勝利経験があるが、トップ10以下で完走するような事もある。これはフォルガーのマイナス点であり、彼と契約するチームは彼に教育をする必要があるだろう。


その他に2人のイタリア人ライダーも可能性を持っている。ロレンゾ・バルダッサリーニもテストの段階で素晴らしいスピードを披露しており、彼はグレシーニ、Suterを去った後にフォワード・レーシングで素晴らしい進化を遂げている。フランコ・モルビデッリは2015年に活躍を見せ、チームメイトのミカ・カリオを寄せ付けなかった。モルビデッリは昨年8月のトレーニング中の足の怪我以降に苦戦しており、テストの中でも期待される活躍をみせていない。もし彼が自信を取り戻せば、モルビデッリは確実に真の才能ある選手となるだろう。

真剣にレースに向き合うこと

Moto2のマネージャーも同様に新しい才能を探している。ポンシャラルは「多くの才能がMoto3にいるが、彼らはMoto2での経験が必要だ。」と語る。チームマナージャーはジャック・ミラーを良く例えに使う。彼はMoto2をスキップした後にMotoGPで期待された活躍を見せていない。これはMoto3にとってよりもミラーにとっての不幸であるが、Moto3機で戦わなくて済むという安心は彼の胃袋に収まり、彼は2015年のシーズン開始までに8kg太った。彼はどのようなアプローチを取るのかを把握するのにシーズン半ばまでかかり、アルベルト・プーチ、HRCによって2016年シーズンを矯正された形でスタートするだろう。実際、彼はそうする必要がある。彼の気力の無いMotoGPへのアプローチは2015年シーズン中にホンダのボスを満足させる事は出来ず、HRCは彼との契約を年度の早い段階で切るとされている。Marc VDSボスのマイケル・バルトレミーは、スコット・レディングのような若いワイルドなライダーをしつけた経験があるため、ミラーは現在良い環境にいると言える。しかしミラーはホンダでもう1年やっていくためには結果を残さねばならない。


ミラーの来季のシートは疑問が残るが、ティト・ラバトのシートは安全だろう。ティト・ラバトは今までも学習が遅いライダーで、彼に今シーズンのスタートは特筆するに値しない。しかしラバトは彼のペースで学習することが出来る。であるからして、彼に必要なのは忍耐だ。ラバトはそれをチームオーナーのマルク・ヴァン・デル・ストラテンから学んでおり、Moto2の世界タイトルをチームにもたらした。

KTMの影響

2017年のシートで最も興味をそそるのはKTMだろう。オーストリアのKTMはMotoGPに2017年から参戦する。RC16は現在ミカ・カリオ、アレックス・ホフマン、ランディ・ドプニエの手によってテストが行われている。カリオは2017年のファクトリーシートを狙って現在テストライダーを務めているが、彼がその役を得るには厳しい戦いがある。KTMは1人の経験豊富なライダーと若き才能という、スズキのアプローチを真似ると予想されている。そしてその若きライダーはMoto2からやって来るだろう。この経験ある開発ライダーという役割の争いは厳しい。この争いは3人の名前が上がっており、アンドレア・ドヴィヅィオーソは間違いなくその1人となる。


ダニ・ペドロサがもう1つの可能性であり、彼は既にRed Bullのサポートを受けているライダーでもある。(※KTMはRed Bullのサポートを受ける。)彼はまた優勝出来るライダーでもあり、素晴らしい開発スキルを持つ。彼の以前のクルーチーフであるマイク・レイトナーはKTMのMotoGPプロジェクトを主導しており、KTMがレースに復帰する際には中心的な役割を果たすだろう。レイトナーはペドロサの以前のレースメンバーをKTMに囲っており、その経験を用いてバイクを開発している。しかしこれは同時にペドロサにとってはKTMに移籍するには障害となる可能性もある。というのもレイトナーはペドロサが2人のメカニックの交代を要求した後に、彼のクルーチーフを辞しているのだ。このメカニックは現在KTMのMotoGPプロジェクトで働いており、ペドロサがKTMに移籍するとなると、間違いなく気まずい状況が生まれるだろう。

KTMのシートには誰が収まる?

KTMの別の可能性はブラッドリー・スミスだ。彼は2015年シーズンに素晴らしい結果を残した。チャンピオンシップで6位、Ducatiのアンドレア・ドヴィヅィオーソを初め、スズキ、アプリリアのファクトリーライダー達よりも上位でシーズンを終えた。彼は2017年の目標はファクトリーシート獲得だと明言している。「ファクトリーシートを獲得出来る最後のチャンスだと思っています。」と彼はヤマハローンチの1月に、筆者に話してくれた。スミスは今年で25歳となり、ファクトリーシート獲得のためには今年も素晴らしい結果を収める必要がある。現実的にはKTMがファクトリー契約を結ぶにはベストの選択肢だ。またバイクに何が起きているかを説明出来るという彼の能力は大きな財産となるであろう。KTMがRC16の開発を進める為に速くて開発能力もある若手のライダーが欲しいのであれば、スミスは最適な選択と言える。


MotoGPクラスで最後のファクトリーとなると多くのタスクに直面する。カタールでデビューしたグレシーニ・アプリリアのRS-GPはまだ発展途上であり、他のバイクについていくには長い道のりがかかるだろう。アプリリアは既に2017年にサム・ロウズと契約を結んでおり、二人目のライダーを惹きつける必要がある。もし彼らのパフォーマンスが劇的に向上すれば、これは近々のタスクとなる。もし彼らが大きな進化を遂げられない場合、彼らが望める最高の選択肢は既存ライダーと再契約をするという事でこれはおそらくステファン・ブラドルになるだろう。ブラドルは明らかに才能ある選手でLCRホンダではその才能を発揮していたし、26歳という事でまだ数年走る事が出来る。アルヴァロ・バウティスタは過去にはその才能を発揮していたが、31歳にして過去の栄光に追いぬかれている。勝利を考えるのであればブラドルがもう一人のライダーとなるだろう。

シートの予想

スズキECSTAR

  • マーヴェリック・ビニャーレスもしくはアレックス・リンス
  • アレイシ・エスパロガロ

KTM

  • ブラッドリー・スミスもしくはアンドレア・ドヴィヅィオーソ
  • ヨアン・ザルコ

グレシーニ・アプリリア

  • サム・ロウズ
  • ステファン・ブラドル

来季の椅子取りゲームの最後の予想はサテライトチームについてお届けする。

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The Monster 2016 MotoGP Silly Season Primer, Part 3: Suzuki, KTM, Aprilia, and Moto2 Prospects | MotoMatters.com | Kropotkin Thinks

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