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★MotoGPにおける椅子取りゲーム その1

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motomattersのエメットさんによる、2017年シーズンと2018年シーズンに、各チームのシートをどの選手が獲得することになるか?という予想記事をご紹介します。モヴィスターヤマハはリン・ジャービスも語っていたように、ライダー争奪戦においてはパッケージの強力さもあって一番有利な状況ですが、ロレンゾ選手がヤマハを離れる可能性はかなり低いでしょうから、あり得るとすればロッシ選手の今シーズン限りでの引退というシナリオかなと。レプソルホンダはマルケス選手ペドロサ選手ともに続投の可能性が高いのではないかなと管理人は予想しています。 f:id:teletele916:20160215085515p:plain

2016年のMotoGPシーズンはまだ開幕していないが、それでも話すべきことは沢山ある。新しいバイク、タイヤ、エレクトロニクスなどの観点から考えると今シーズンは全く予想がつかない。3回に渡るプレシーズンテストの結果は今シーズンの行方を探るガイドにはなるが、トラックによってパワーバランスが変わる事、ミシュランがトラックによって異なるタイヤを持ち込んでいる事もあって、2016年には多くの可能性がある事を示してもいる。いずれもが今シーズンに関しては話題になりそうな問題であるが、21人のMotoGPライダーのうち2人以外は今シーズンで契約が満了となる。2017年まで契約があるのはジャック・ミラーとマーヴェリック・ビニャーレスの2人のみだ。ビニャーレスとミラーしても、現在のチームに残るかどうかは定かではない。ビニャーレスは途中でチームを去るオプションがあり、ミラーに関してはHRCを納得させる結果を残していない。2017年にはKTMがMotoGPに参戦することもあり、合計で22のシートがMotoGPクラスには存在する事になる。


という事は、2017年にはどのライダーがどのチームでライディングするのかという事に関して多くの予想がされるという事につながる。椅子取りゲームの音楽がストップした時に、有名なライダーからサテライトライダーを含め、誰がどのチームに所属する事になるのかは混迷を極める。この椅子取りゲームの音楽は今まさにスタートしたばかりで、ライダー達は2017年のシートを巡って周りはじめたところだ。その注目はファクトリーシートに集まっているが、椅子取りゲームとは異なり、誰もが空いている椅子を取りに行くというよりは、契約が決まるごとに椅子の数は減っていく。そのために今年の契約やライダーの観点だけではなく、チームやファクトリーの立場から考えるとという事も必要なのだ。各ファクトリーの強さと弱さを見ることでどのライダーが将来的に契約をするのか、今のライダーが新しい契約を求めているのかなどを探ることが出来る。


グリッドの中でも最高のバイクと最強のライダーというラインナップを持つのはモヴィスターヤマハだろう。ヤマハがどのライダーとサインを交わすか、そしてヤマハのライダー達が2017年にどのような選択をするのかが、その他のライダーマーケットを決定すると言えるだろう。モヴィスターヤマハのシートは誰もが望むシートであり、ヤマハ自身が望むライダーを配置できるシートでもある。問題はこのシートに空きがあるのかどうかという事だ。ホルへ・ロレンゾとヴァレンティーノ・ロッシ両ライダーのそれぞれの目的地は異なるとは言え、2人ともにヤマハに残るか去るかを選択する事が出来る。ロレンゾにとってヤマハに残るという事はMotoGPタイトルを更に獲得するという事であり、ヤマハを去ってDucatiに移籍するという事はDucatiのスポンサーであるフィリップモリスから莫大な契約金を獲得することを意味する。ロッシにとっては、彼自身がさらに勝利を重ねることが出来るという確信が出来るかどうかという事によるだろう。ホルへ・ロレンゾは既に1月に行われたバルセロナのチームローンチの場において、出きるだけ早くヤマハとの契約を更新したいという考えを明らかにしている。


ロレンゾはそれ以降同様のコメントを続けており、カタール開幕前に契約の更新が出来れば2016年のチャンピオンシップに集中出来るというのがその理由である。Ducatiがロレンゾを狙っているのは公然の事実だ。しかしDucatiコルセのボスは、公式にはロレンゾへのオファーを否定している。しかし今の段階でファクトリーがライダーの獲得に向けアプローチしていると認めるのは時期が早過ぎると言える。DucatiはMotoGPレースで勝利出来るバイクを作る事が出来るという自信を持ってはいるが、歴史の中でも最高の4名のライダー達に直面している状況だ。優勝するという事が出来れば、若い才能が育つのを待つよりも既存のトップライダーを迎えてしまうほうが速く、簡単だとフィリップモリスに大金を払ってもらう事を説得しやすいだろう。しかしこれは簡単ではない。フィリップモリスは1年あたりおよそ1500万ユーロもの大金をヴァレンティーノ・ロッシに支払い、彼がGP11とGP12で苦戦したことの二の舞を恐れている。

ロレンゾ ポーカーにおけるブラフかストレートカードか?

ロレンゾにとっては、ロッシがDucatiにいた時と同様に大金を得る方向か、これから数シーズンチャンピオンシップ優勝の可能性を優先するかという事になる。ロレンゾの契約金は明らかではないが、ヤマハでは薄給で働いていると思われる。幾つかのウェブサイトは全く見当違いな予想をしているが。。であるからして、ロレンゾにとってはロッシのようにワールドチャンピオンシップのタイトル数を追い歴史上最高のスペイン人ライダーとなることを目指す。違うメーカーのバイクでも勝てるという事を証明し、ロッシが成し遂げられなかったDucatiでの勝利を達成する。という2つのタイプの野望で考える事が出来る。ロレンゾがシーズン開幕前に来シーズンの契約が欲しいという声明は、ヤマハにプレッシャーを与えている。ヤマハのボスであるリン・ジャービスは、ヤマハの財政的に今のところロレンゾ獲得に向けてDucatiと契約金で競り合う気はないとしている。というのも、ヤマハはロレンゾがヤマハを去ったとしても、それに見合う実力のあるライダーを十分に惹きつける事が出来るパッケージであるというのがその理由だ。


スティーブ・イングリッシュが次回のPaddock Pass Podcastでも取り上げているように、マーヴェリック・ビニャーレスはロレンゾと似たようスタイルを持っている事に加えて、ヤマハがファクトリーマシンで走るチャンスを提供した場合、それに飛びつくのではないかと言われている。さらにはヤマハが振り向かせようとやっきになっているアレックス・リンスも控えている。ロレンゾが辿るのはどちらの道か?個人的にはロレンゾは契約金よりも、ヤマハで勝利を重ねる方向を選ぶと予想する。もし彼がヤマハに残って勝利を重ねれば彼はヤマハにとっての永遠の輝ける星となり、生涯に渡りヤマハからの収入をあてに出来るだろう。今ヤマハを去ってDucatiに向かうよりは、ヤマハに残ったほうが長い目で見て彼が稼げる金は多いだろう。

ヤマハの伝説であるロッシ

ヴァレンティーノ・ロッシの選択も同じ理由となっている。ロッシがファクトリーチームでレースをするしないに関わらず、ロッシの長い目で見ての将来はヤマハと共にある。彼のVR46アカデミーはヤマハからバイクとその他のサポートを受けるという契約を近頃結んだ。ロッシは引退後に彼のオプションについてじっくりと考えることだろう。もし引退が今回の契約期間までで無ければ、彼の引退は次の契約期間の後ということになるだろう。ロッシにとってヤマハとの強力なパイプは、彼をヤマハのマネジメントポジションに収まらせるということを容易にするだろう。


今のところ、ロッシはまだレースをしたがっている。ただこれは彼自身が勝てると思っている間のみだ。彼は集団の中に埋もれてレースをするというなどという事は考えていないだろう。彼はもっと勝利を重ねたいと思っていて、さらにタイトルを重ねたいと思っているのだ。もしそれが不可能であれば、彼はレザースーツを脱いだ後に輝かしい未来が待っていることを知っている。そして彼にとっての次のキャリアのピースは、既に正しい位置にはまり初めている。ヤマハも永遠に待ち続けることは出来ない。ロッシは彼自身の選択をシーズン前半にする必要があるだろう。ロッシにしても開幕からの6戦で、彼自身がどの程度競争力があるのかを判断することが出来るだろう。そして6戦目の舞台はムジェロだ。ロッシにとっては引退を宣言するのには絶好の舞台と言える。しかし彼はその発表を表彰台の上からは行わないだろうし、勝利を重ねている状況では行わないだろう。


ヤマハが望むのは何か?彼らのプレスリリースで繰り返されているのは”ドリーム・デュオ(最高の二人組)”という言葉だ。もし2人がヤマハに残り勝利を続ければ、もしどちらかがヤマハを離れた時にテック3のアレックス・リンスを起用すれば良いということだ。もしロッシがリタイヤするか、ロレンゾがヤマハを去るかした場合、ヤマハはマーヴェリック・ビニャーレスとアレックス・リンスをファクトリーシートに迎えようとするだろう。ダニ・ペドロサがレプソルホンダを離れる事があればペドロサを迎えるかもしれないし、テック3のライダーをファクトリーシートに据える可能性もある。もしロッシとロレンゾがヤマハを去るとなると、ヤマハは困難な状況に直面する事になる。とは言え、ヤマハにとって2人の代わりになるライダーを見つけるのは難しいことではないだろう。ロッシとロレンゾがヤマハを去ることになれば、ヤマハはマルク・マルケスにも魅力的なチームとなるし、2016年型のRC213Vにマルケスが苦しんでいる以上、ホンダから彼を引きぬく事も可能となるかもしれない。ヤマハのM1がグリッド上で最も素晴らしいバイクである以上、才能ある選手を惹きつけるのは簡単だろう。

マルケス 金の檻はあくまでも檻

レプソルホンダがマルケスを引き止めるためにあらゆる手段を講じている事は間違いないだろう。多くの面でホンダは3大ファクトリーの中で最も厳しいポジションにいる。5人のホンダライダーのテストの結果はそれぞれ異なるが、RC213Vはグリッド上で最も乗りにくいバイクであることは間違いないだろう。ホンダはマルケスが同世代で最も才能ある選手であるからという理由だけでなく、マルケスをチームに残す必要がある。もしマルケスがホンダを離れた場合、ホンダの評価に影を落とす事になり、マルケスの代わりになるライダーを見つけるのは難しいだろう。


ダニ・ペドロサ、カル・クラッチローもこのバイクで成功を収める事が出来るかもしれないし、他の若い選手を説得してこのバイクに乗せることも出来るだろう。しかしマルケスを失うという事は、マルケス並の競争力のある代わりの選手がいなくなるという事を同時に意味する。マルケスはホンダを去りたいと思っているのか?財政的な意味では、マルケスはホンダにしっかりと抱き込まれていると言える。ヤマハのロッシとロレンゾのように。しかしマルケスが気にしているのは勝利するということだけだろう。そしてそれは、彼自身がRC213Vでどの程度の成績を残せるかと考えているという事にもよる。マルケスとチームはカタール最終日の最後の数時間で大きな進歩を遂げた。これがレースでも上手い方向に働けば、彼自身のホンダに残るという選択肢に説得力を持たせるだろう。


マルケスの状況は彼のマネジメントとHRCの関係もあって複雑だ。エミリオ・アルサモラとMonlau Competicionは、Marc VDSレーシング、ホンダのMoto3チームのサポートなどでホンダとの関係が深い。マルケスのメカニックとクルーチーフはホンダとの関係が非常に深い。これらの糸を全て断ち切るのは非常に難しいだろう。ただアルサモラがマルケスのHRC脱藩を助けるとすると、ホンダはそれを止めることはしないかもしれない。しかしスペイン企業のレプソル、Estrella Galiciaがマルケスの人気からスペインで多くの利益を得ている事は間違いなく、マルケスをホンダに留めることに対しては多くの強力な要素が絡んでいる。マルケスがホンダを去るには、それなりのしっかりとした理由が必要となる。

マルケスのチームメイトは誰になる?

レプソルホンダのセカンドシートが誰になるのかを想像するのはさらに興味深く、見かけ以上に複雑だ。ダニ・ペドロサはマルケスが勝てない時に勝てる理想的なライダーで、チームメイトと友好にやっていくため、彼のHRCでの状況も理解している。マルケスはペドロサの才能に敬意を払ってはいるが、このベテラン選手に脅かされるとも思っていない。しかしペドロサの代わりに違う選手がマルケスのチームメイトのなるとすると話は別だ。HRCはマーヴェリック・ビニャーレスとアレックス・リンスに注目しているという事で知られている。しかしマルケスはどちらのライダーがチームメイトになる事も望まないだろう。


どちらも若く野望に満ちたスペイン人ライダーで、マルケスをレプソルホンダチームのリーダーとして敬意を払うことは無いだろう。リンスは未だにエミリオ・アルサモラが彼をマネジメントした時の扱いに関して苦い思いを持っているだろうし、アレックス・マルケスがEstrella Galicia 0,0 Moto3チームで優先的な扱いを受け、Moto3タイトルを獲得した事を不満に思っているだろう。アレックス・リンスとマルケスの間に友情というものは存在せず、レプソルホンダのガレージにこの2人が揃うとなると、それは相当に気まずい状況になるはずだ。これはHRCにとっても他の選択肢を探すという事に繋がる。

そしてロールは回る

そもそもはジャック・ミラーはレプソルホンダでダニ・ペドロサの後を継ぐはずだったが、彼の成績は成功とはほど遠い。ミラーは期待されていた結果を残していないし、HRCはミラーの態度は関心しないと考えているようだ。ペドロサの以前のマネージャーであるアルベルト・プーチはミラーを助ける為に送り込まれ、ミラーはかつて無いほどに彼自身のコンディションを上げる事に努めており、レースに対しても真剣に取り組んでいるようだ。彼はこの努力を結果にしなければならない。しかしホンダは既にミラーとの今後は考えていないという噂もある。


ホンダはダニ・ペドロサと共にやっていく以上の選択肢が無い状況だが、ペドロサは今年の9月で31歳になる。彼は昨年に腕上がりの手術の後に、彼自身がまだ戦闘力が高いという事を示してみせた。ペドロサもMotoGPでタイトルを獲得するには、もう時間が残り少ないという事を理解している。しかし2015年の終わりの時点では今年が彼にとってチャンピオン獲得の最高のチャンスであるように思える。テストの結果は思わしくなく、彼自身も困惑していることだろう。ペドロサは以前引退に関して話をしていたが、彼がレプソルホンダから引退した後にサテライトチームに移籍するという事はないだろう。Ducatiはペドロサが今シーズンに優勝をすれば彼にチャンスを与える可能性があるかもしれないし、もしヤマハからロッシとロレンゾがいなくなれば、若い才能を助けるチームメイトとしてペドロサは最適なライダーと言える。


ペドロサはまたKTMとの関係も深く、彼の以前のマイク・レイトナーは現在KTMでMotoGPプログラムを主導している。実際ペドロサはRC16の開発を主導するには理想的なライダーだ。彼は2007年からのホンダRC212Vの開発において中心的な役割を果たした。しかし、ペドロサとレイトナーの関係は不確かだ。レイトナーはペドロサが2人のメカニックを変更する必要があるという主張に基いて、彼のクルーチーフを辞している。もし2人の間に確執が残っているのであれが、レイトナーは若いライダーに開発を任せるだろう。

選択肢の不足

それではもしペドロサがレプソルホンダを離れた場合に誰がペドロサの代わりを努めるのか?これはHRCがファクトリー契約をしていない選手達を考えるとわかりやすい。最もレプソルホンダのライダーとして考えにくいのは、元ホンダのライダー達だ。ステファン・ブラドル、アルヴァロ・バウティスタ、スコット・レディングはHRCから見限られているし、レディングに関してはホンダに戻りたいとは思わないだろう。カル・クラッチローの可能性はあるかもしれない。少なくとも彼はホンダでスピードがある事を証明している。しかし彼がペドロサと同年齢であることから、レプソルホンダが彼をチームに迎え入れる事はないだろう。ポル・エスパロガロはレプソルホンダのシートを希望する可能性がある。彼はMarc VDSチームのマイケル・バルトレミーに2015年のホンダのシートについてロビー活動をしていた。しかしHRCは彼のヤマハに対する批判や彼のテック3ヤマハでの二年目シーズンについて是認はしなかった。


HRCはマイケル・ヴァン・デル・マルクを起用するというギャンブルをするだろうか?HRCの上層部はWSBKについては金の無駄使いと考え、その予算をMotoGPやMoto3で使ったほうが良いと考えていると言われている。しかしHRCは2013年と2014年の鈴鹿8耐の勝利もあって、マイケル・ヴァン・デル・マルクにはポジティブな意見を持っているようだ。とは言え、サテライトのMarc VDSがマイケル・ヴァン・デル・マルクにとっては可能性が高く、もしジャック・ミラーがHRCの期待を満たせない場合は彼にとって変わる可能性はある。ただ全く考えもつかないような事が起きたとすれば、可能性がゼロなわけではない。

シートの予想

以上の事を踏まえ、モヴィスターヤマハとレプソルホンダの2017年と2018年のシートはどうなるだろうか?以下が我々の予想だ。

モヴィスターヤマハ

  • ホルヘ・ロレンゾ
  • ヴァレンティーノ・ロッシ

レプソルホンダ

  • マルク・マルケス
  • マーヴェリック・ビニャーレスもしくはダニ・ペドロサ


明日、2016年シーズンから始まる椅子取りゲームについて、他のチームについてみていく。誰がDucatiのシートを得るのか?スコット・レディングやダニロ・ペトルーチはファクトリーに昇格出来るのか?スズキはマーヴェリック・ビニャーレスを引き止める事が出来るのか?もし出来ない場合はどうするのか?誰がアプリリアで走りたいと思うのか?KTMは若手を起用するかベテランを起用するだろうか?

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The Monster 2016 MotoGP Silly Season Primer, Part 1: Yamaha's Riches, Honda's Dilemma | MotoMatters.com | Kropotkin Thinks

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