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★MotoGP2016 フィリップ・アイランドでのテストで起こり得ること

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現在テストが行われているフィリップアイランドでのテストの内容に関する予想、各チームごとの課題をMoto mattersのDavid Emmettさんがまとめていますのでご紹介。現時点では残り1時間30という状況でマルケス選手がぶっちぎりのタイムを記録。そしてペドロサ選手に続いてビニャーレス選手も良いタイムを記録中です。

★MotoGP2016 フィリップ・アイランドでのテストで起こり得ること

フィリップアイランドは最高のモーターサイクル用のサーキットだと言われている。ここではあらゆるライダー達がレースをしたがり、周回を重ねたがり、あらゆるレースファンな訪れてたいと願う場所だ。そこには数多くの理由が存在する。が、MotoGPシーズンにおいてのテストという意味ではそうではない。フィリップアイランドはライダーが装備ではなく勇敢さと能力によって歴史を重ねてきたサーキットである。

10月にマーヴェリック・ビニャーレスは非力なGSX-RRで6位で完走した。これはダニ・ペドロサから僅かに1秒遅れというタイムで、彼は1戦前の茂木と、その1週あとのセパンで優勝をしている。過去14回のレースではケイシー・ストーナーヴァレンティーノ・ロッシが合計で12回、ホンダ、ヤマハDucatiと様々なマシンで優勝している。フィリップアイランドでテストをすることは、ライダーの操るマシンがいかに優れているかを示すことにはならず、むしろマシンを操るライダーのタマの大きさ、そしてそれをこのサーキットで照明することが出来るかを明らかにする。ヴィニャーレスも同様にここでテストを行なう事を”cojones”(※タマ:睾丸)があるかどうかをチェックする事だと述べている。GSX-RRはパワーが増しており、その意味ではここでテストする意義があると言えるだろう。彼は「バイクのパワーが増せば、もっと度胸がいるでしょう。」と述べている。


しかしながらフィリップアイランドでテストをする事には1つ意義がある。それはアルゼンチンのテルマス・デ・リオ・オンドサーキットは別として、フィリップアイランドがタイヤにとって非常に厳しいサーキットであるからだ。これ自体がここでテストが行われる理由でもあり、ミシュランにとっては世界最速のライダー達がタイヤの特に左側を激しく酷使する事に関するデータを収集出来る。2013年に記憶を戻すと、ブリヂストンのタイヤが舗装し直された新しい路面に対応出来なかった事があったが、ミシュランはこの二の舞は避けたいところだろう。

タイヤの確認

ロリス・バズのリヤタイヤがバーストしたという気まずい出来事がセパンで起きた。事故原因は未だに調査が続いているが、ミシュランは暗にタイヤの空気圧不足を原因と結果付けるようだが、フィリップアイランドで同じような出来事が起きないのかどうかは非常に重要となる。今回はソフトコンパウンドのオプションも使用可能となるが、これはマレーシアで使用されたものとは異なるコンパウンドだ。(※管理人注 ロリス・バズ選手の履いていたタイヤはソフトコンパウンドで、バズ選手の転倒を受けてセパンテストの最終日はリヤのソフトタイヤは使用出来ませんでした。)フィリップ・アイランドでのテストの成功の鍵を握るのは天候となる。現在サーキットでは雨が降っている。気温は低く、風が強く、この天候が3日続くという予報だ。(※管理人注 ミシュランのニコラ・グベール氏はビデオインタビューで、レース開催の10月と似た気温であること、雨が続けばレインタイヤやインターミディエイトのテストが出来るので都合が良いと語っています。)ただ今のところ木曜は晴れる可能性があるが、バス海峡(※オーストラリアとタスマニア島との間の海峡)は恐ろしく、気まぐれであるため、その移り変わりを無視することは出来ないだろ言う

ギャンブルともなるウェットテスト

ウェット路面はミシュランにとってはレインタイヤを試す機会となるだろう。トラックが乾き始めたとしたらインターミディエイトを試すことも出来る。しかし開幕までにほぼ1ヶ月という現在、ライダー達はウェットの環境でそこまで激しくプッシュしないだろう。雨の中でライディングするという事はリスクと使用可能なグリップをやりくりするという事になり、ライダー達は不注意によるミスを起こしやすいと言える。雨の中で可能なバイクのセットアップは少ないが、統一エレクトロニクスに関して行える作業は多い。ライダー達は新しいソフトウェアが雨の中でどのような挙動を示すのかのテストが出来るだろうが、注意が必要だ。タイヤ以外では共通して言えるのは統一エレクトロニクスでグリップを引きたすことだが、誰がフィリップアイランドで何を行うのだろうか?不在のチームについて言うと、アプリリアは何もテストを行わず、カタールでのプライベートテストを重視しているようだ。彼らはカタールで完全新型のMotoGPプロトタイプマシンを、ステファン・ブラドルとあるヴァロ・バウティスタの手によってデビューさせるその他のメーカーはテストに参加し、多くの作業を行う。

ヤマハ シャーシの選択

ヴィスタヤマハはもっとも作業内容が少ないかもしれない。 先月初めのセパンテストではロレンゾがセッションをリードし、ロッシがそれに続いた。M1は昨年と同様に良いバイクであり、ヤマハのエンジニア達は共通ソフトウェアをうまく機能させる為に確かな仕事をした。残されているのは2つのシャーシのバリエーションからどちらを選択するかという事だ。これは燃料タンクがリヤ側に搭載されるか、シート下に搭載されるかという違いだ。(※実際の違いはもう少しは小さいが、この2つのシャーシの相違点はこういったところだ)セパンテストではロッシとロレンゾはシート下にタンクがあるタイプを好んだ。これは2015年型に近いもので、ヤマハもこちらのバージョンを好むだろう。

Ducati ライダーの課題

Ducatiは2人のアンドレアがGP16、もしくはD16GPと呼ぶバイクに関して作業を進めている。ドヴィツィオーゾに関してはやるべき作業が多いだろう。彼に関しては何よりも彼自身のライディングスタイルを変える必要がある。ドヴィツィオーゾはブリヂストンタイヤでのレイトブレーキングを得意としていた。しかしミシュランタイヤでは話は全く別だ。 GP15ではブレーキングスタビリティが常にドヴィヅィオーソの課題だった。GP16では課題は前進しているとは言え、タイヤにが注意が必要だ。

スズキ 新しいシームレスとアップした馬力

おそらくスズキは最もテスト内容が多いチームだろう。彼らはクラッチ操作不要でのシフトアップとダウンのギヤチェンジを実現する新しいシームレスギアボックスのテストを行なう必要がある。セパンで使用された初期バージョンは、それだけでも大きく進歩したものであった。しかしシフトアップダウン両方に有効なシームレスギアボックスとなるとさらなる進化と言える。GSX-RRは真の意味で競争力を得たと言えるだろう。MotoGPライダー市場がこれから迎えるであろう飛び入り自由の状態の中で、マーヴェリック・ビニャーレスは最大の関心を集めるであろう1人だ。スズキにとっては彼にこのバイクで勝てると思わせることが何よりの願いであろう。そしてオーストラリアでのテストはそれを彼に確認させる場となるだろう。

ホンダ 新エンジンが開幕に間に合うかそうでないか

ホンダにとってはフィリップアイランドのテストは正念場となる。セパンにHRCはパワーデリバリーのアグレッシブさを削った新しいエンジンを持ち込んだ。エンジンは向上を見せていたとレプソルホンダのマルク・マルケスダニ・ペドロサは語ったが、これは僅かな改善に過ぎない。これは2014年にHRCの中本氏が約束していたようなライディングがしやすいエンジンへの改良という大きなステップではないのだ。昨年のセパンテストでは、ホンダはこのエンジンの特徴をそのままにしてしまった事で批判を受けている。マレーシアのトラックの恐ろしい暑さがバイクの馬力を削ぎ、このバイクの本来の凶暴さを隠したのだ。フィリップアイランドの冷たい空気は、2016年型エンジンの本当の性格を暴き出すだろう。もしこのエンジンがマルケスとペドロサがセパンで感じたように未だに意地の悪い性格をしているとしたら、ホンダは今までとってきて手法よりも大掛かりな何かをする必要がある。もしそれが十分に扱えるというものであれば、ホンダはエレクトロニクスの作業にとりかかり、バイクを統一ソフトウェアで上手く操ることに集中するだろう。今までのところホンダはエレクトロニクスに関して大きな問題を抱えているようだが、一度ホンダのエンジニアがそこに全てを投入すれば、最大の懸念はエレクトロニクスによって解決出来ると信じているという内容を中本氏もリヴィオ・スッポも語っている。

サテライトのライダー達

サテライトチームのライダーのテストでの項目は常にファクトリーライダー達よりも少ない。彼らはテストするパーツ自体が少ないのでセットアップやタイヤへの適応に時間を使えることになる。セパンではプラマックチームが最高の仕事を成し遂げた。ブラッドリー・スミスはレースセットアップに集中しながら確実な結果を残している。カル・クラッチローもそうだ。リスクを考えながら速いタイムが刻めることを証明した。セパンでクラッチローは11月にレプソルホンダがヴァレンシアで試したエンジンを使用する機会を与えられていたが、今回も同じような機会をフィリップアイランドでもエル可能性がある。最後にフィリップアイランドでのテストは、ジャック・ミラー復帰のテストとなる。Marc VDSレーシングの彼は右の足首をセパンテストの前に骨折している。この怪我は彼をテストから遠ざけることにはならないが、天候は彼にとっては容易ではなかろう。彼にとって最も避けねばならないのは、難しい状況で転倒をすることだ。難しい情強は誰に対しても平等だ。そして皆一様に自分のやり方でそれに対応しなければならない。3日間のテストの後に、我々を待ち受ける今シーズンについて、より良いアイディアが得られることだろう。


BY DAVID EMMETT www.asphaltandrubber.com