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★MotoGP2016 なぜミシュランはMotoGPの舞台へ戻ったのか?

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moto mattersのエメットさんのミシュランタイヤに関する分析、ミシュランのニコラ・グベール氏へのロングインタビューに関する記事がありましたのでご紹介します。2016年シーズンは、各選手の新しいパッケージへの適応スピードによって明暗が分かれそうですね。

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2016年にオフィシャルタイヤサプライヤーがブリヂストンからミシュランに変更になるという事はおそらく最も重要な変化だと言え、統一ソフトウェアへの変更が僅差で2番目に重要な出来事だと言えるだろう。最終戦後のヴァレンシアテストまではミシュランタイヤのパフォーマンスは未だに謎に包まれていると言え、正規ライダー達は契約によってミシュランタイヤについて語ることが出来なかった。

これがヴァレンシアの後火曜日に変わりオフィシャルタイヤサプライヤーがミシュランに移ったことを受け、ライダー達は自由に語ることが出来るようになった。チームのやるべき仕事は多い。多くのライダーがヴァレンシアで転倒した事で彼らの仕事が減るわけでもなく、ライディングスタイルの変更、バイクの重量バランスの変更などが求められる。しかし多くのライダーが2日間のテストでフロントから転倒したこともあり、ミシュランのフロントタイヤのパフォーマンスに疑問符が残るのも事実だ。

 

火曜日にヴァレンシアでイスラエルのTV5のコメンテーターであるタミー・ゴラリと共にミシュランのニコラ・グベールと話す機会があった。グベールは彼らのMotoGPプログラムの進捗、テストの間に直面したいくつかの問題について語ってくれた。なお、勿論ミシュランは最高峰クラスに戻ってこれた事を嬉しく思っている。グベールはシーズン開始までにこなすべき仕事は多いと語り、正式なライダー達でのシーズン半ばのテストは理想的とは言えず、2016年の初めにテストを行うよりは、2015年の終わりにテストを行ったほうが良いと考えていた。また、2016年の開幕とテストの間に多くの時間は無い。そのため開幕直前のテストの結果からタイヤを開発する時間はないと言える。

 

ニコラ・グベール

「今回は7年の後に初めて行うオフィシャルテストです。MotoGPの場に戻ってこれた事を本当に嬉しく思います。今回の機会、そしてここに揃っているライダーからしてミシュランとって素晴しい機会だと感じています。昔なじみの人々と再び働くことも楽しいものですが、新しい人々、ミシュランタイヤを使用した事がない新しいライダー達と働くのもまた楽しいですね。やるべき事はまだあります。テストライダーと共に多くのテスト作業をこなしましたし、正式なライダー達と共に3回のオフィシャルテストを終えています。3つのセッションは多いとは言えませんでしたが、ライダー達は多くの時間を作業にあてることが出来たと思います。ただ彼らは他の作業やチャンピオンシップに集中していたようです。」

 

「ヴァレンシアは全てのライダー達が2016年から使用する事になる我々のタイヤに集中できる機会だったと言えます。今年はコーリン・エドワーズを始めとする多くのテストライダーと作業を行っており、彼らは我々を今のレベルに到達するのを大いに助けてくれました。我々の今のレベルは、今年の始めから比較すると非常に高いところにあります。しかしMotoGPライダー達のレベルからすると、まだ十分では無いでしょう。今年はまだ2つのテストがあります。(※インタビュー時点で)そして来年には3つのテストがあります。これらが1ヶ月の中に凝縮されているんです。そしてこれらのテストからタイヤを進化させるというのは時間的に難しいでしょう。」

 

グベールはミシュランが2008年にMotoGPを去った時と比較すると、そのアプローチは変わっていると強調する。その時ミシュランはブリヂストン、ダンロップと競いあっていたが、今やシングルタイヤサプライヤーなのだ。これはつまり、タイヤはより共通化されたものとなり、特定のバイクやライダーの好みに合わせたものではなく、グリッドに並ぶ全てのバイクにとって扱いやすいものとなるはずだ。

 

「我々が唯一のタイヤサプライヤーであり、参戦する全てのバイクのニーズを満たす必要があるため、MotoGPは我々が関わっていた頃から比べると違う存在になっています。もちろんヘレスやフィリップアイランドでは異なるタイヤを用意します。でもこれは以前も同じ事です。チームは彼らがよく知っているもの、そして心配の種にはならないものを使用したいのだと思います。」

 

グベールはタイヤテストの際に生じたいくつかの転倒についても言及した。問題はライディング、そしてバイクのセットアップにあるとのことだ。ミシュランもやるべき事が多いが、ライダーとチームの宿題も多いというのがグベールの考えだ。

 

「ほとんどの転倒はフロントからでした。エレクトロニクスのおかげで500cc時代のような大きなハイサイドは見られなくなりましたね。転倒が多かったのは残念です。しかし皆ここに限界を探りに来ているわけです。ライダー達は新しいパッケージで走行しているわけですが、この新しいタイヤに合わせてどのように彼らのパッケージをセットアップするのかを理解する必要があります。我々はライダーが求めるようなタイヤに我々のタイヤを進化させる作業が必要ですが、ライダーもまた我々のタイヤが要求するスタイルに合わせていく必要があると思います。ミシュランタイヤを他のブランドのタイヤのように乗ろうとするのでは駄目で、この種の適応は時間がかかりますね。」

 

ヴァレンシアテストのメインのゴールはライダーにミシュランタイヤのキャラクターに親しんでもらう事にあった。

 

「我々はラップタイムや耐久性に関しては、ここでは気にしていません。我々はそれについてどうすれば良いのか、どうすれば良くなるのかについては把握していますから。もちろん我々が訪れた事のない場所、あまり知識が無いトラックについては来年苦戦すると考えています。しかし、タイムや耐久性は我々にとっては重要な懸念ではありません。一番の懸念は皆がミシュランタイヤ、17インチホイール、新しいエレクトロニクスで快適に走行出来るか否かという点なのです。来年は実に多くの新しい変化がありますから。」

 

ミシュランが不在の間に起きた一番の変化はライディングだろう。コーナーからいかに速く脱出するかを競っていた時代は終わり、今やコーナーエントリーをいかに速くするか?に重きが置かれているとグベールは語る。

 

「MotoGPは技術的に色々な部分で変わり、ブレーキングはことさらに重きが置かれるようになりました。(340mmのような)大径のブレーキディスクが採用されるようになった事からも、フロントタイヤのストレスが増していることがわかります。」

 

おそらく我々の最大の疑問は、なぜミシュランがMotoGPに戻ってきたのか?という事だろう。彼らが去った2008年、グベールはシングルタイヤサプライヤーになることの興味は無いと語っており、その役割をブリヂストンに任せたのだ。時は流れ、ほぼ全てのモータースポーツで統一のタイヤが採用され彼らの考えも変わったようだ。グベールはシングルタイヤサプライヤーとして参戦する事のメリットは多いと語る。

 

「MotoGPは我々にとっては投資で、投入した資金よりも多くのメリットが得られると考えています。これは地球上で2番目に注目されているモータースポーツで、成長しているスポーツでもあります。ミシュランでは、レースという現場を使って製品の開発を行い、MotoGPの17インチ化によってその開発内容を市販のロードバイクに還元できると考えているのです。」

by David Emmett

Why Michelin Returned to MotoGP & The Challenges Ahead

www.asphaltandrubber.com