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★9月16日は916の日。Ducati916の四方山話(よもやまばなし)

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さて本日は9月16日ですね。ということで管理人も一時期所有していた思い入れのあるバイク「Ducati916」の話です。なお、本エントリーは特にこれといったニュースでは無く単純な読み物記事です。

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(※Wikipediaより)

916誕生の背景としてはWSBKがあるのですが、Ducatiは916以前は851、888といったバイクでWSBKを戦っていまして、916は888の後継機として登場したバイクということになります。デザインは巨匠マッシモ・タンブリーニ、セルジオ・ロビアーノ、そしてカジバ・リサーチセンターの手によってサン・マリノにて行われたようです。

エンジンは先代の888の64mmのストロークを66mmに拡大、ボアサイズは888と同様94mmで916ccの排気量を達成。1気筒あたり4バルブを持つデスモドローミック機構の90度Vツインエンジンでした。9000回転で114馬力を発生するエンジンは今となっては大したことはありませんが、1994年当時は十分な馬力であったと言えるでしょう。

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フレームはクロモリのトレリスフレームを採用し、ボディサイズは888よりも小さくなっています。片持ちスイングアームの実現により、美しい見た目と同様に(耐久)レースの最中のタイヤ交換を容易にしており、アンダーシートマフラーはエアロダイナミクス値の向上とともに美しいボディラインを実現しています。また四角いデュアルヘッドライト、引き締まったタンク周りなど、後年20年先までのバイクに影響を与えたと言われるデザインでした。

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以下、元オーナーである管理人が所有し、草レースなど含めて自分で整備した記憶からの回想となります。

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まずミラーですが、面積が非常に狭く振動も伴ってほとんど使い物にならないもので、ナンバープレートホルダーと同様に簡単に外せる設計になっていました。ライトは純正ではほどほどに暗く、今となっては当たり前のデュアルヘッドライトは、ローライトがプロジェクター式になっています。

 

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フロントカウルはミラーと共締めの上側で2点、カウル下側のヘックスボルト2点でボディに保持されており、サイドカウルとはクイックファスナーにて繋がっている状態です。その為ミラーさえ取り外してしまえば、ものの30秒ほどでフロントカウルが簡単に着脱出来ます。なお、ミラーとカウルを止めているミラー/カウルステー(※9番)はライトハウジングにボルトで1点止めされており、なおかつ非常にもろく、転倒した場合ネジの保持部分が高い確率で割れます。中古で購入する場合の一つのチェックポイントとなるでしょう。

 

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サイドカウルは左右両方ともにクイックファスナーにてボディにマウントされており、左右カウルの連結はカウル下の2個のクイックファスナーが担っています。シートカウルはタンク後端のヒンジとサブフレームへの1点マウントの2点支持。このサブフレームの1点マウント部のすぐ上にECUが乗っかっていますので、サイレンサーからの熱をもろに受ける構造となってしまっています。

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なお、ヒンジによりシートカウルのロックを外すとシートカウル自体を前側に跳ね上げられる作りとなっています。なお余談ですが、このシートカウルのロックは一般的なシートカウルと同様に車体サイドの鍵穴までワイヤーが伸びており、この鍵穴にカギを差し込んでワイヤーでロックを引っ張る事でシートのカギが開く仕組みです。ただ、シートカウルの下側から指を突っ込んでやればワイヤーを掴めますので、ある程度コツを掴めば簡単にロックを解除出来ます。

 

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燃料タンクはタンクから生えているツメをエアクリーナーボックス内の穴に差し込んで、後端のボルト1本をフレームに留める2点のみで固定されています。なお、燃料タンクからインジェクターへ伸びる燃料ホース部はクイックジョイントになっているため、(※13番)燃料がある程度残っている状態でもタンクを持ち上げ指を突っ込んでクイックジョイントを外せば、1人で燃料タンクの着脱が楽に行えます。しかも感動すべきは燃料タンクの底面がエアクリーナーボックスの蓋になっているという合理的な造り。これは整備が好きなライダーであれば間違いなく感動するポイントかなと。余談としてはこのクイックジョイントをDucati純正で買うと恐ろしく高いのですが、国産の航空機関連か何かのパーツで代用が効いた気がします。このあたりは外車あるあるですね。

 

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エアクリーナーボックスの内部はファンネルが美しく、フロントカウルから伸びるラムエアの通路はエアクリーナーボックス内から2つのバックルによって固定されているだけという状態です。エアクリーナーのスポンジに当たるパーツは、この通路部分にあたるパーツの内部に組み込まれています。

 

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サイレンサーはサブフレームにバンド2本で固定されており、サイレンサーを交換する際はきちんと取り付けないと左右の高さが揃わなかったりというのはお約束です。方持ちスイングアームはチェーン交換やチェーン周りの掃除がやりやすい反面、専用の方持ちスイングアーム用スタンドを買わないといけないという不便さがつきまといます。なお、サイドスタンドは軽量なアルミ製です。国産車のように乗車状態でハングオフの練習などすると、スタンドがグニャ~と曲がっていくのでくれぐれもやってはいけません。ブレーキはキャリパーがブレンボ。ディスクは今となっては貴重な鋳鉄ローターです。これは雨の日は全然効かないものの、独特のタッチはステンレス製ローターでは味わえないフィーリングではあります。

 

足付きについてはプリロードの調整を終わらせた状態で、レーシングブーツを履いた168cmの管理人でつま先がかろうじて両足付く状態でしたので、お世辞にも良いとは言えません。取り回しについては絶望的だと言わざるを得ないでしょう。そもそもの出自がレースバイクですからハンドルの切れ角はほぼ無いに等しく、重心位置が高い事もあって砂利の上での取り回しなどには細心の注意が必要です。

 

肝心の乗り味ですが、よく言われるほど乗りにくいバイクでは無いと管理人は思います。よくあるバイク雑誌の試乗レビューは、提灯記事もしくは「エキスパート向けハンドリング」などお茶を濁す表現ばかりであてにならないと常々思っているのですが、管理人はいわゆるプロフェッショナルライダーではありませんので、あくまで一般ライダーの意見として捉えて下さい。

 

乗り方の特徴として管理人レベルで明確に言える事は、コーナリングスピードを高く維持したほうが安定する。明確な走行ラインをイメージしてコーナリングをしないと恐い。という2点ですかね。ジャイロ効果が4気筒に比べて低いのか、はたまた重心が高いからかはわかりませんが、4気筒と比較した場合に倒し込みの抵抗が少なく、倒し込んでからの倒れこみ速度が速いのが特徴です。その為車体を安定させる為にコーナリングスピードを高く保つか、低速コーナーでは早めにアクセルを開けてトラクションをかけてやらないと車体が安定しにくいと感じます。明確な走行ライン云々というのは、言い換えると加速方向か減速方向で発生する荷重を逃さずにしっかりとかけてやらないと、いわゆる接地感というやつが希薄でなんとも不安ということです。ただ、逆にスロットルを開けていった時のトラクション、路面をリヤタイヤが捉えているという安心感は管理人が今までに乗った4気筒に比べると豊富であったと記憶しています。

 

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(※Wikipediaより)

管理人が所有していたのは916セナ2と呼ばれるモデルです。916セナは、916の発売と同時にこれを切望していたアイルトン・セナと親交の深かった、クラウディオ・カスティリオーニが事故で無くなった友人を偲んで発売した特別カラーリングのモデルで、セナ1はブラック、セナ2はシルバーのカラーリングにレッドのホイールが映える鮮烈なカラーリングのモデルでした。ただDucatiらしいのが、この特別カラーリングのカウルはレッドを吹いたカウルに色を塗り重ねたものだというところ。合理的と言えば合理的ですが、新車で買っていたとしたらショックが大きかったかもしれません(笑)

 

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(※箱根ターンパイクにて)

管理人にとって916は2台目のDucatiだったのですが、その美しさ、乗り味、作りの合理性、整備性の良さを含めて、今までに所有したバイクの中で最も記憶に残っているバイクです。最近のバイクはどんどんとプラスチックの塊のような質感になっていく中、やはり90年台のバイクは性能とバイクらしさのバランスが丁度良かったな。と今更ながらに思うのであります。

http://www.ducatiusa.com/services/maintenance/index.do

Ducati 916 - Wikipedia, the free encyclopedia

www.ducatiusa.com

www.ducati.co.jp