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★無段階可変バルブタイミング機構について

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Cycle Worldの人気コーナー「ケヴィンに聞け」に大変マニアックな質問が来ていました。つまるところ、「可変バルブタイミング機構を実現するために、カムプロファイルを無段階で可変させるような仕組みをニューマチックの技術で出来無いか?」という事なんですが、実現出来ればとんでもない技術ですよね。

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Q

「ケーニッグゼグが採用しているニューマチックバルブ・アクチュエーターなどに関して色々と読んだり聞いたりしたのですが、すでにMotoGPやF1の世界ではバルブスプリングを採用しないニューマチックバルブを採用しています。ただカムシャフトにそういった技術を使用するということは現実化していません。」

 

「もしカムシャフトにニューマチックの技術を応用できるとしたら、無段階調整が可能なカムプロファイルなど、その可能性は途方もない幅で広がると思いますが、そうした技術がモーターサイクルレーシングの世界やストリートの世界で実現する可能性はあるんでしょうか?」
 

A

「無段階可変式のバルブタイミング、リフト量の調整というものはエンジンのデザインにおいて聖杯のようなものです。つまりトップエンドのパワーを実現しながらボトムエンドのトルクを実現出来ないという、バルブタイミングにおける妥協を排除出来るのです。」
 
「可変バルブタイミングシステムはアトキンソンサイクルエンジンのような高膨張比エンジンと組み合わせることでその安全性を増すことが可能ですし、その他の手法ではエンジンの膨張比を圧縮比より高くする事も可能です。(※エンジン4工程のストローク量を変化させるとかでしょうか?)」
 
「可変バルブタイミングのアクチュエーターはあらゆる種類のものが可能でしょう。電磁誘導、油圧、油空圧などなど。ただ全ての手法でバルブシートに関する問題を解決する必要があります。これはバルブシートへ当たるバルブの速度の制御で、その制御が出来ない限り、シート部への蓄積したダメージなどがバルブの破損、バルブシートの消耗などの問題を引き起こします。」
 
「ケーニッグゼグは何らかの油圧によるコントロールをしているものと推測します。ケーニッグゼグが公開しているビデオではオシロスコープやバルブの動き、その速度などで見る限り、様々な種類のアクチュエーターが使用されているようですし、Saabでは様々な種類のCargine製アクチュエーターが使われているようです。こうした内容は興味深いですが、通常、自動車メーカーが要求するニーズには答えることが出来ないでしょう。自動車メーカーのニーズとしては、政府の規制機構からの現在そして将来的な要求を満たしながら、耐久性があって販売できるコストで製造出来るということです。」
 
「また、私達はありとあらゆる種類の添加剤の広告を目にします。その中にはエンジンオイルや燃料に添加することで、パワーの増加、燃費の向上などを謳うものがあります。それらのラベルを読むと、そうした添加剤のメーカー達が定められた標準燃費の基準を僅かながらも上回るために、何百万ドルもの資金を投入している事がわかります。添加剤の表示にある"最大30%"というものは、あくまで使用する事によって燃費などを0〜30%向上させるということですが、そうしたメーカーも、何も向上させることが出来ないような代物の研究開発に何百万ドルも費やすような真似はしないでしょう。」
 
「自動車業界は無段階可変式のバルブタイミングという技術には興味を持っているでしょうし、現在のシステムと比較してコストと信頼性が同水準になったタイミングで実用化されるでしょう。その時期を知っているのは誰か?もしかしたらトヨタとの関係が深いとされるケーニッグゼグ氏が知っているかもしれません。ただ、こうしたシステムというものは実際に実現されるまでは、疑問と興味が常につきまとうものなのです。」