★Norton Dominator試乗レビュー
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全世界で限定生産という話があって以来、その後どうなったのやらと思っていましたが、粛々と生産は進んでいたようです。現在生産中の台数も限定200台しかないようですし、本気で欲しい場合はNortonに直接アプローチしてみるのが手かもしれませんね。しかし動画からもとんでもなく煩いというのが伝わってきます（笑）
Nortonの看板を越えドニントンにあるNortonの工場に向かう道を行くと、デザインと金属とNortonというロゴに込められた愛が織りなす世界に足を踏み入れることが出来る。ここがイギリスの伝統的なブランドであるNortonのバイクを生み出している土地なのだ。
迎えてくれるのはNortonのトライアルバイク、1898年から2008年に新オーナーのスチュアート・ガーナーがこのブランドを購入するまで脈略と続く歴史だ。そして2008年よりこのブランドの再生が始まり、Nortonは今や日本、アメリカ、オーストラリアなどにもバイクを輸出するまでになった。
私が今回この場所にいるのはNorton Dominator SSの最初の1台目に乗るためだ。これはDomiracerの市販モデルと言えるバイクで基本的なシルエットは同じだ。深く掘り下げれば、詳細な部分は異なるとは言え、それでもなおこのバイクは素晴らしい。
私にキーが渡される前に、ナンバープレートが取り付けられ、動作に問題がないかダイノマシン上でテストが行われた。961ccのエンジンは忘れがたいエンジンの咆哮を響かせ、私が走っている間、大の男が連れている犬の耳を手で覆い、子供は泣き叫び、老婆は道影に隠れた。これらは全て50km/h程度で流している間に起きたことだ。私は前回Nortonのバイクに乗ったときの教訓で耳栓を持参していた。このモデルはレース管を装備していたが、公道を走るためのもう少し常識的な音量のマフラーも存在はする。しかし、もしあなたが細かいことを気にするような人間なら、60年台へのオマージュを込めた限定バージョンのバイクなぞ購入しないだろう。
しかし、そうした昔のバイクの体験をしっかりとした信頼性を持った現代のバイクで体験出来ることを求めるのなら、これしかないと言える。エンジンは脈動し、手作業で組まれるチューブラースチールフレームからはバイクの吐息を感じることが出来るだろう。馬力は80馬力しかないが、天気の良い日に130km/hでバイクを流すには最高だ。
この車両は完全な新造でNortonのCEOのバイクなので、本気で走るわけにはいかなかった。レブリミットは8000回転付近で6500回転以上回していくと、パワーは少し落ちていくようだった。フロントサスペンションはオーリンズ、リヤはアジャスタブル。ブレンボのブレーキはハイスペックで素晴らしいフィーリングであった。ABSはついておらず、また必要もないだろう。車両は軽くまさに意のままだ。このバイクは本当の意味で純粋なバイクそのものであり、60年代のスタイルに現在の技術が出会ったバイクと言える。
事細かく指摘するならDomiracerとの最大の違いは見た目と言えるだろうが、素人目にはほとんどわからず、どちらもとても美しいバイクだ。バイクのステアリングヘッドからブラックのエンジン、そしてポリッシュされたエンジンカバー、手組のスポークホイール、当時のカフェレーサーの見た目を模したタンクなど、Dominator SSは美術館に飾るべきバイクだろう。Nortonによると007の次回作に登場する予定があるとかないとか。NortonによるとDominator SSのUK向けは完売しているそうだ。Dominatorの価格は19,000ポンドになるそうなので、興味がある場合はNortonにアプローチしてみると良いだろう。
【Dominator SS／Dominator主要諸元】
Dominator SS：限定50台／Dominator：限定200台（生産中）
価格：£24,500 / £19,950
タンク：ハンドメイド アルミニウム製
※オプションでユニオンジャック、チェッカーデザインでのペイント有り
エキゾースト：Euro3適合ステンレス製、メガホンスタイルマフラー
サスペンション：オーリンズ製
ブレーキ：ブレンボ製モノブロックキャリパー
エンジン：961cc 2気筒
最大出力：80馬力
