気になるバイクニュース。

世界のバイクニュース、MotoGP最新情報、各メーカーの新車情報などを紹介しているブログメディアです。

★MotoGP2015 ジジ・ダリーニャ「GP15はDucatiを体現したマシン」

Sponsored Link

GP15の圧倒的なパフォーマンスが目立ったカタールテストですが、ジジがDucatiの開発体制の変化などに関して語っているインタビューをお届けします。今年の結果を元に2016年にどの程度の優遇を受けるかが決まるという取り決めであれば、計算高いDucatiの事ですから、あえて今年は最高の結果を出してこない?なんていうのは勘ぐり過ぎでしょうか。。
f:id:teletele916:20150320081132p:plain

カタールで行われたプレシーズンテストにおける最大の驚きはGP15のパフォーマンスだろう。この新型マシンは2013年の終わりにアプリリアからDucatiに加入したジジ・ダリーニャの手によって生み出された完全新型のマシンだ。

 彼は辛抱強く開発を続け、GP15はDucatiデスモセディチの長年の課題であった「旋回性」を手に入れた。

GP15はマレーシアテストを4番手タイムで終了し初日のカタールテストでその速さを見せつけた。アンドレア・ドヴィヅィオーソ、アンドレア・イアンノーネはMotoGP開幕戦の部隊となるカタールにおいて、終始テストのタイムをリードする走りを見せた。

 

GP15はソフトコンパウドのリヤを使用していない?

ライバル達にとって最も恐ろしいことは、ドヴィヅィオーソ、イアンノーネともにソフトリヤタイヤを使用していないということだろう。彼らはオープンクラスのマシンと同様にソフトコンパウンドのリヤタイヤを使用出来るわけだが、彼らが今回のベストタイムを記録したのは、彼らに割り当てられているハードタイヤ(※多分ミディアムコンパウンドのこと)なのだ。そして、これは彼らがレースを通じて使用するタイヤでもある。

 

今回のテストでは、唯一マルケスだけがドヴィヅィオーソのタイムの0.5秒圏内を記録している。Ducatiが予選でソフトタイヤを使用した場合、予選でポールポジションを獲得することは十分に考えられることだろう。ただ、優勝となるとまた難しいことであるし、カタール最終日のテストが雨で流れてしまったことはレースシミュレーションが出来なかったことを意味する。

さて、デスモセディチは何が変わったのだろう?ダリーニャは秘密を教えてはくれなかったが、Ducati内部で思想、哲学が変わったということを教えてくれた。

 

ジジ・ダリーニャ

「私が思うに、このバイクはいろんな部署の素晴らしい働きによって出来ているんですよ。おそらく過去のDucatiの作りは、エンジンはエンジン。シャーシはシャーシという作りだったと思うんです。ですから、まずエンジニアがエンジンを創りあげて、それからシャーシをエンジンに合わせていくという設計だったのかなと。今のDucatiの作り方は全く別で、常に一緒に作業を進めていくんですよ。当然誰もがある程度の妥協を強いられることにはなります。つまりエンジンのある部分はシャーシ部門からのリクエストを汲み取り、そのまた逆もしかりということなんですよ。こういうことの積み重ねによってここまでコンパクトなバイクが出来上がったんだと思います。」

 

こうして加えられた変更点は、全てのMotoGPマシンに共通してきているとも言える。果たしてGP15はDucatiと呼べるバイクなのだろうか?

 

ジジ・ダリーニャ
「もちろんGP15はDucatiと呼べるバイクだと思いますよ。率直に言って私の問題点は、他のメーカーが何をしているかをあまり注視していない事なんです。私には確たるアイディアがありますが、他のメーカーと似通っている部分もあるでしょうね。でも、こうしたアイディアはDucati内部でDucatiの人間とその技術によって良し悪しが判断されているわけですから、真にDucatiのバイクだと言えると思います。昨年とエンジンのシリンダー角度も同じですし、デスモドローミック機構もそのままですしね。

ダリーニャはホンダも採用している90度のエンジン角度、デスモドローミック機構の変更を否定した。

 

ジジ・ダリーニャ
もし私が他のメーカーにいたとしたら、デスモドローミック機構は使用しないでしょうね。このシステムのポテンシャルは高いのですが、非常に複雑ですからね。ノウハウが無い限りはこの機構は使用しませんよ。しかしDucatiはデスモドローミック機構を長い間使用してきた実績があります。そしてこの機構は他の機構に比べて技術的なアドバンテージがあります。ニューマチックバルブもメリットはあると思いますが、デスモドローミック機構のほうが低回転域での抵抗が少し少ないんです。おそらくエンジン全体のパフォーマンスをとっても、デスモドローミック機構のほうが効率が良いんじゃないかと思いますよ。今年の目標は少なくとも1勝。時期に関してはわかりませんが、これが今年のDucatiの目標です。」

 

Ducatiは2014年シーズンの開幕と同時にオープンカテゴリーに移行し、エンジン開発の自由とオープンカテゴリーのメリットを享受する道を選び他のメーカーを驚かせた。これはスズキやアプリリアに関しても享受しているメリットだが、この決断無しにDucatiは今のレベルに到達するのに3年はかかったとダリーニャは考えている。Ducatiはドライコンディションでの優勝、もしくは2つ以上の表彰台を獲得すると2Lの燃料を失うが、これに関してダリーニャは「昨年は全てのレースを22Lの燃料で走りきることが出来た。」と語っている。

 

ドライコンデイションでの3勝を達成すると、Ducatiはソフトコンパウンドのリヤタイヤが使用出来なくなるが、これに関しても予選での戦闘力が若干落ちること、レースで使用出来るタイヤのオプションが減るに過ぎない。ファクトリーの年間5基のエンジンに対して年間12基のエンジンが使用可能で、エンジン開発の自由、豊富なテストの機会に関しては、決勝の結果に関わらず2015年シーズンの終わりまで適用される。2016年にはミシュランタイヤがブリヂストンにとって代わり、共通のECUを各メーカーが採用することになる。オープンクラスのソフトタイヤや燃料の容量の優遇は消滅する。しかし、例えばエンジン開発の凍結などに関しては、戦闘力が低いメーカーは適用外となる予定だ。

 

2016年にDucatiがどういったレギュレーションの中で戦うのかは明らかではないが、今年の成績によって全てが決まると言えるだろう。
カタールでの結果をそのままに考えていくと、シーズン1勝はそう遠い未来の話ではないだろう。

 

www.crash.net