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★11回のドラッグレースチャンピオン Ninja H2を語る

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いつかこういう事をする人が出てくるんだろうなと思ってましたが、確かにレギュレーション上、ロードレースを走れないNinja H2の行く先はこっちなんですかね。しかしカワサキから話を持ちかけていたとは。。

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リッキー・ギャドソン
「2012年のディーラーミーティングまではH2の事は何も知らなかったんだ。ディーラーミーティングにカワサキの社長が来て、あるプロジェクトに関して意見が欲しいから日本に来て欲しいって言われてね。嬉しかったね。2013年11月まで彼から連絡はなくて、2013年の感謝祭の日に自分のメカニックのコービー・アダムスと一緒に日本にH2のクレイモデルを見に行ったんだ。日本に行った時にスーパーチャージャーのバイクの話は聞いていたけど信じられなくてね。でもそのクレイモデルはまさにスーパーチャージャーマシンだったもんだから興奮したよ。なにしろ川崎重工の全ての技術の結晶で真剣に作ってるわけだから、興奮したね。」

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 「彼らはクレイモデルを見せてくれた時に壁に貼ったポスターを見せてくれたんだ。それは自分の為のコンセプトモデルRickey GadsonH2Rだったんだけど、ゼッケンの62や全てのスポンサーのステッカーとか、ウインドスクリーンには自分の名前も入っていて、ここまで自分のために考えてくれてるんだと思って嬉しかったね。カワサキの秘密の試験場でH2とH2Rを試したんだ。日曜日にH2に乗って高速走行を体験し、ドラッグランもやってみて、片持ちのスイングアームがドラッグの発進加速に耐えられるかなどのテストを行った。日曜日にはH2Rの試乗もしてみたんだけど、その時に始めてあのエキゾーストとウイングを見たんだ。」

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「あんな種のバイクを乗ったことは過去に一度も無いね。スロットルを開けるとすぐにフロントホイールが持ち上がるんだ。ドラッグレースの話じゃなくてただのスタートでこれだよ。生産ラインに乗る前のエレクトロニクスもトラクションコントロールもウイリーコントロールも無い、まさに素の状態のバイクだったね。約束するけどあんな凄いパワーを感じた事はないし、スーパーチャージャーのバイクをライディングしたことも生まれて始めてだった。スーパーチャージャーの場合はタイムラグが無いんだよね。スロットルをひねった瞬間にパワーが出てくる。180馬力の状態から240馬力を発生するまで一瞬だよ。実に物凄いレスポンスだね。」

 

「音に関してもあんな音は聞いたことは無い。200マイル(約321km/h)でH2が自分に向けて走ってくると音がマシンに遅れてついてくるんだよ。まるでマシンに必死に追いつこうとしているみたいにね。スロットルを全開にするには4速までかかったね。自分がこのバイクにどこまで興奮しているかなんてことは言葉では説明が難しいな。カワサキはこの手のマシンでは既にキングの座にいるのに、なんでこんなキチガイのようなマシンを作ったんだろうと思うんだろうけど、きっと”自慢する権利”なんだろうねw自分はこういうの大好きだよ。」

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「走っている間はスピードメーターは見なかった。軽く200マイル(約321km/h)を超えているのはわかっていたし、トップスピードを出すために走っていたわけじゃないからね。スロットルをワイドオープン出来るまでどのくらいかかるかというのを試してみたかったんだよ。フロントのウイングに関しては効果抜群だね。100マイル(160km/h)を超えたあたりから効いてくるね。H2の場合は4速で走っていてもフロントが浮いてくるんだ。H2Rの場合はダウンフォースが発生してフロントホイールがしっかりと重いね。」

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「H2Rの場合は超高速域でも安定しているよ。始めてH2のドラッグランをしたときはアマチュアのようにビビってしまってね。このバイクはあまりにもパワフルすぎて、ちょっとスロットルを開けすぎただけでフロントホイールは天を向いてしまう。スロットルの適切な開度を見つけるのにかなり手間取ったよ。この作業にどれだけ時間がかかったか知りたいかい?」

 

「2台のバイクを乗ってエンジニアに感じた事を伝えた。変更したほうが良いことなども含めてね。彼らは自分よりも頭が良い奴らばかりだから、H2をより優れたドラッグレーサーにするのに必要なことを色々と伝えたんだ。彼らはドラッグレースのルールなどについて詳しく聞いてきたね。どのようにパワーを出すべきかなどもね。自分が走っているのは実際の公道の路面なんだ。市販車をベースとしながらエンジンへの改造は無制限。唯一のルールはDOT基準のタイヤを使用しスタンダードのクラッチを使用すること。どのようなパワーアップを行っても良いけど、その手法は一つだけが許可されるんだ。つまりターボとニトロ、スーパーチャージャーとニトロなどの組み合わせは禁止。全てをエンジン出力に頼るかターボか、ニトロかそれともスーパーチャージャーか。」

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「市販車ままの外装も使用しなければならない。450馬力を引き出してもクラッチが耐えられるならそれでも構わない。自分が思うにH2はドラッグレースにおいて強力なバイクだ。最初からこれだけ強力な改造が施されているんだからね。正直こいつが持っているパワーを全て扱えているとは今も言えない。10月28日にH2を受け取ってから直ぐに自分のショップに持ちこんだ。レースのプランを直ぐに考えたね。このマシンはトップシークレットだったから直ぐにはトラックに持ち込めなかったんだよ。誰もまだ見ぬマシンだったからね。ロッキンガムのレースの後にストックのホイールベースでテストを行ったんだ。エレクトロニクスを把握している時間は無かったんで最初は全てオフで走った。ウイリーコントロールもトラクションコントロールもなしで7回くらい走ったかな。」

 

「自分のH2ハイブリッドはストックが56.5inch(143.51cm)のところ68inch(172.71cm)のホイールベースだ。スイングアームはストックよりも11inch(27.94cm)長い。現状はリアホイールはBSTのカーボンホイールだ。フロントにも近々装備するつもりだよ。Coby Adamsがスイングアームを作ってくれてね。リヤ周りは全て変えざるを得なくてね。ドライブトレイン周りで12ポンド(5.44kg)ほど軽量化している。JRIのショックを入れてパワーコマンダー5も装備している。もちろんこのバイクの装備しているパーツ類は他のカワサキのどのバイクとも互換性が無い。エレクトロニクスやホイールですらね。これにはさすがに参ったね。」

 

「ストックのホイールベースだった時はコイツのフロントの車高を低くし過ぎてしまってね。スタートの後にフロントが着地した時にフロントフェンダーを壊してしまったんだ。だからフロントの車高は1.5inch(3.8cm)ほど上げてある。今はフロントエンドはタイダウンストラップでフロントサスを縮めてあるんだ。これによってフロントエンドのリバウンドが無くなる。でもこれでは、フロントがウイリー後に着地する時に路面からホイールが離れた状態になりすぎる。だから本来はフロントエンドを少し下げる必要があるんだ。そこで、自分が求めるフロントエンドの低さを実現するために色々な手が加えてあるんだ。出来ればエンジンの下を通っているパイプを無くして全体の車高をもう少し低くする必要があるんだ。もう少し時間が出来たら着手したいね。」

 

「今のエンジン出力は292馬力。しかし川崎重工は凄いね。けして限界までは行かないような作りにしてある。空燃比を調べたら11.3から11.4だった。かなりリッチなセッティングだけど、このバイクを手にした人間がこのバイクをぶっ壊さないように安全マージンを取って作ってあるね。自分達はターボバイクのレース経験から空燃比を12.2にしていて30馬力を上乗せしている。より薄いセッティングでエアフローを改善し、262馬力から292馬力に嵩上げしているんだ。クランクシャフトで馬力を計測したらおそらく320馬力は出ているだろうね。ストックのホイールベースでコイツをもう少し扱いやつくするために5速をかなりロングにしている。ストックのギヤ(スプロケの歯数)は18/42だけど16//42に落としているんだ。でもそこまでしても扱いきれないようなパワーだよ。ホイールベースは長くしているけど、フロントスプロケットを2丁落としてもまだまだ凄まじいね。で、最終的には16/41にしている。」

 

「多くの人がこのバイクはそこまで速くないというんだけど、まだまだコイツのホイールベース自体が足らないんだ。トラックの半分を過ぎて4速に入れるまではスロットルをまともに開けられないんだよね。コイツは今まで乗ってきたどのバイクよりもとんでもないポテンシャルを持っているよ。今のところの自分のベストバイクはターボチャージドZX-14Rで、500馬力を発生するマシンだ。今のところの自分のトラックでの半分の距離のベストタイムは5.13で、H2は5.31。自分がここ数年開発してレースで使っているバイクと大差ないんだよ。もちろんトラック全体で考えたら500馬力のマシンのほうが速いけど、H2はトラック半分の距離で現状国内記録から0.5秒遅れなだけなんだ。」

 

「H2をどうやって速くするかの前に、どうやってコイツに乗るかを把握しないといけない。H2でトラックを走った時はシートからどんどん後ろに滑り続けてしまってね。現状あまりシートばかりを心配しても仕方ないと言えばそうなんだけどね。大体いつもスタートした後はいつも後ろにずれてしまった体を動かして足をシフト位置に戻してレブリミットに当たる前にシフトするってことをしてるからさ。結局これはいつもやっかいな問題で、最終的にダクトテープをレザースーツに貼り付けてシートから自分がずれないようにしてるよ。(笑)レッドゾーンは14,000回転からだけど、レッドゾーンのエリア自体は14,100回転から16,000回転まである。でも今のところレブリミットは14,100回転であたってしまうんだ。このレブリミットをあとほんの少し上げられれば、2km/hか3km/hは速くなると思うんだ。」

 

「後は皆H2の重さを指摘するね。スペックだと240kgってことだけど、乗ってる側からするとそんな重くないんで計ったら自分の車両は215kgだった。もちろん満タンでだよ。それで延長スイングアームとカーボンリヤホイールの状態では208kgだった。同じ日にZx-14Rを同じ条件で計量したら240kgだった。確かにリッターバイクと比較したらH2は重いだろうさ。でもコイツは鉄のトレリスフレームにスーパーチャージャー、それに自分が見た中で一番市販車としては重そうなエキゾーストをつけてる。現状は300馬力は確かにとんでもなく速いけど、まだまだ足りないね。」

 

狂った走行動画がこちらですw↓


On The Record: Rickey Gadson- Project Kawasaki Ninja H2 Hybrid Drag Bike