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★MotoGP2014 アルゼンチン 草しか生えていないアルゼンチンでなぜMotoGPを開催出来るのか?

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今週末のアルゼンチンのテルマス・デ・リオ・オンドサーキットでのMotoGP開催についての裏事情について、詳しく考察した記事をご紹介。

 

要約すると、タイトルどおりに「なぜ何も無いアルゼンチンにMotoGPを招致出来たのか?」ということなんですが、地元の権力者の思惑とドルナの強欲の一致という事みたいですね。

水曜にはロッシも地元ファンにもみくちゃにされてたり、エスパロガロは財布盗まれたりとか、治安とかもどうなの?って感じなんですが。。

 

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なぜここで開催

一体何をどうしたら草しか生えていないようなアルゼンチンでMotoGPを開催出来るという運びになったのだろうか? 答えは単純「金」だ。

サーキット側からドルナに大量の金が支払われたおかげで、大草原の中のサーキットでレースが開催される運びとなったのだ。

 

ドルナが強欲じゃないと主張したい人のために教えておくと、勿論各チームにもある程度の金は支払われている。輸送費、通常の予算その他として。

 

それよりも大きな疑問としては、「こんな草原の中のサーキットがドルナに対してどうやって巨額の支払いをすることが出来たのか?」ということだ。勿論、草以外に本当に何もないのであればそういった疑問は正しいが、けしてそういうわけではない。

 実際にサーキット側はほとんど開催、招致の為の費用を支払っていないだろう。もしかすると全く払っていないかもしれない。この資金を支払ったのはアルゼンチンの中央政府と、そこと繋がりのある地元の有力者だ。とどのつまりは、地元の観光推進協会がテルマス・デ・リオ・オンド、そしてアルゼンチン全体の観光客の増加を狙って仕掛けたものだ。

 

これは同じギャンブルを仕掛けたアラゴンと良く似ている。外国に対して地元の露出を増やすことで観光客の増加を見越し、地元の収益アップと経済活性化を狙ったものだ。アラゴンの場合、地元に3000万ユーロの経済効果があったとされる。認可費、プロモーション費用、その他もろもろの使徒不明金などはあれど、地元の経済は潤っているわけだ。

 

アラゴンの場合は、スペインの美しい地方の一部であるということ自体が集客要因になっている。

しかし、テルマス・デ・リオ・オンドの場合は、ほとんど平で景観も特に特徴も無い場所にサーキットがあるわけだ。まあ、確かに少しは美しいと言えなくも無いかもしれない。しかし、アラゴンの場合とは大違いであることは間違い無い。

 

結局のところ、テルマス・デ・リオ・オンドにMotoGPを招致するというギャンブルは成功するのだろうか?水曜の夜にレストランに食事を取りにいったマルケスとロッシが、ファンによってもみくちゃにされたが、これは良い前兆とは言える。

 

この小さい町の通りがファンによって埋め尽くされているということも、良い事とは言える。

レース前に地元の宿泊施設にはプレミアがつき、地元の宿泊施設との値段合戦の結果として、通常は全てのレースに帯同しているジャーナリスト、カメラマンの中には今回のレースへの参加を諦めたものもいた。

 

南米に再びGPレースをという声はずっと地元で叫ばれていて、地元は歓喜に包まれている。もちろん南米が重要なマーケットであるメーカーにしても同様だ。草の中のサーキットでレースが開催されるというのは妙ではあるが、ビジネスとしてニーズを満たすという意味においては、非常に合理性がある。

 

ただそれだけではなく、このサーキットでレースを執り行う理由としては、このレイアウトがあるだろう。トラック全体の見た目からは中々判別がつかないかもしれないが、実際このサーキットは高速の流れるようなコーナーといくつかの難易度の高いセクションにより、二輪には最適なコースなのだ。

 

 

素晴らしいコースレイアウト

確かにいくつか2速で走るような低速コーナーも存在はする。しかし、これらも全てサーキット全体の流れへと上手くつながっている。特に2コーナーは非常に低速なコーナーといえるが、その後に続く3、4コーナーでスピードが乗り、その後のストレートへと繋がっていく。ストレートの終わりの5コーナーでは再びスローになるものの、その後の6コーナーは滑らかな曲線を描きながらスピードが乗ってくるも白いコーナーだ。

 

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7コーナー自体はタイトなつくりなものの、8コーナーで再び前が開け、9、10コーナーのテクニカルセクションに繋がっていく。11コーナーは大きな左のコーナーで、その後に続く12コーナーは非常にスピードが乗るコーナーだ。13、14コーナーはその後のホームストレートの前のテクニカルセクションで、12コーナーからのハードブレーキングとストレートの立ち上がりを意識したライディングが求められる。もしレースが最後まで団子状態で進むのであれば、この最終コーナー付近で大きなバトルが見られるだろう。

 

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moto3のジャックミラーはMCNのインタビューで、このサーキットをカタールやムジェロ、フィリップアイランドと比較している。ヤルノ・ザッフェッリによってデザインされたこのサーキットは、平均速度ではフィリップアイランドと同等かそれ以上の速度が出るとされる。フィリップアイランドでのホルヘ・ロレンゾの平均速度は182.1 km/であったが、ヤルノ・ザッフェッリのこのサーキットでの予想平均速度はさらに高い184km/hだ。

 

 

ヤマハが得意なレイアウト

このサーキットははたしてヤマハ向きなのかホンダ向きなのか?

カタール、ムジェロ、フィリップアイランドは全てヤマハが得意なコースだ。全体の流れるようなコースレイアウトなどはまさにヤマハが得意とするものだろう。2014年のブリヂストンの対熱レイヤーありのタイヤも今のところ好評であるということもこの要因を後押しする。

 

現状でロレンゾは、ヤマハの得意なコースでのレースを何よりも望んでいる。

前2戦のひどい戦績からすると、彼はヤマハの得意とするコースで調子を取り戻したいと願っているはずだ。ヨーロッパラウンドのヘレス、ルマン戦の前に、良い成績を残しておくことは非常に重要だろう。

 

カタールでのクラッシュは単純な彼自信のミスとして片付けられる。

しかしオースティンでのミスは酷かった。あれではルーキーと同じだ。ロレンゾもナーバスになっているようで、彼のクルーと口喧嘩している様子を捉えられている。

 

ロレンゾが今回のレースで自分への自信を取り戻せるかどうかが、今年の彼のシーズン全てを決めると言っても過言ではないだろう。もし自信を取り戻せればマルケスと戦うことが出来るだろうが、もしこのレースでも自信を取り戻せないのであれば、今年の彼のシーズンはかなり厳しいものになるだろう。

 

チームメイトのロッシも、このサーキットがヤマハ向けであれば恩恵を被るわけだ。

ロッシはカタールマルケスと争って2位。オースティンも終盤にフロントタイヤがあんな事にならなければ表彰台も可能だっただろう。今回のアルゼンチンでもタイヤに何かしら問題が起きない限りにおいては、ロッシは上位に上がってくるだろう。

 

さて、もしサーキットがヤマハ向きだとしたらホンダにとってはどうなのだろうか?

おそらく怖いものなしのマルケスにとっては、サーキットのレイアウトはさほど問題にはならないだろう。彼は練習走行中に最終コーナーから飛び出したりなんだりしていたが、レースが始まってしまえば、必ずフロントに来るだろう。

 

Ducatiにとってはオースティンよりも厳しいレースとなるだろう。

ドヴィツィオーゾはオースティンではタイヤを温存して最終的には3位となったが、高速コーナーが多いこのアルゼンチンでは難しいだろう。さらにデスモセディチのアンダーステアという特徴が、流れるようなコーナーが多いこのサーキットでは苦戦を強いられる元凶となるに違いない。

それ以外のオープン機のヤマハ勢ににとっても、このサーキットがおそらくヤマハ向きであるというのは嬉しい知らせだろう。

 

アルゼンチンで最後の二輪の世界レースが行われてから15年あまり、ファンにとってもメーカーにとっても非常に長い時間だ。とりあえず草の中の何もない場所に素晴らしいレイアウトを持つサーキットが出来たことに感謝しよう。