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★MotoGP2017 なぜヤマハのカウルはルール範囲内とされたのか?

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今年からルール上禁止となったウイングレットですが、ウイングレット禁止で失われた効果を取り戻すべく、各メーカーは様々な試みをしていると言われています。セパンテストでは早くもヤマハが”ウイングレット内蔵”カウルを披露しましたが、なぜこれがルールに適合しているか、そもそも何がルールに適合していると言えないのかなどについてMotoGPテクニカルディレクターのダニー・アルドリッジが語っています。 f:id:teletele916:20170203231733j:plain (Photo courtesy of michelin)

MotoGPにおけるウイングレットの禁止によって、メーカーはエアロダイナミクス効果を発揮するものを彼らのマシンのフェアリングに組み込むという必要が出てきた。こうしたデザインの最初のカウルとして、ヤマハは先週のセパンテストで3月26日のカタール開幕戦で他メーカーも披露するだろうと見られるカウルを披露。MotoGPのテクニカルディレクターであるダニー・アルドリッジは新ルールに適合しているかいないかを判断する唯一の存在だ。セパンでCrash.netは2017年のルールでどういったものが禁止となるのかについて詳しく話を聞いた。


Q

「ヤマハから新世代のMotoGPマシンのカウルが登場しました。これはあなたによってチェックされたものですからルールに適合しているわけですが、ルール違反かそうでないかを分けるものはなんなのでしょうか?」

ダニー・アルドリッジ

「今年からのルールについて話あった時、2つの主なオプションがありました。1つは非常に厳しいもので徹底されたもので、これはフェアリングの寸歩を決定するものでした。つまりほとんどのバイクは同じ形になるということです。これは我々もメーカーも望みません。ですからそのかわりに2つ目のオプションを選びました。これはルールの幅が大きいものの、私にそれが正しいか違反であるかを判断する機会を与えるというものでした。ヤマハを例に取ると、このカウルはルールの範囲内です。ルールでは”突起物があってはならない”としていますが、ヤマハのカウルを”突起物”であるとしていないのは、連続したカーブで構成されているからです。同じ曲率で上から下まで続いています。カーブのアングルには変化がないのです。安全上これは完璧だと言えます。何の問題もありません。私達が求めていないものとしては、カウルから90度の角度で突き出ているようなもの、もしくは急激な曲率の変化です。」

f:id:teletele916:20170203231734j:plain (Photo courtesy of michelin)

「ヤマハのカウルは我々が想定していたものでした。ルールはMSMAと我々の間で同意を得る必要がありました。我々はこれから起きることについて合意したわけです。カウルの内側に関しては、メーカーはエアロダイナミクス上好きな事が出来るのです。それで彼らは研究が出来るようになりましたし、ヤマハがやっているようなことに関しては起こるだろうなと予想していました。」


Q

「明確にすると、MotoGPにおいてウイングレットやダウンフォースを発生するデバイスを禁止するということではないのでしょうか?」

ダニー・アルドリッジ

「いいえ。MotoGPはモータースポーツの頂点ですし、開発のスポーツです。ですからあまり制約的にもなれません。エアロダイナミクスは350km/hで動くものに関しては大きな働きをしますし、何もかも禁止にしたいわけではありません。」


Q

「一方、いくつかのチームは未だに旧型のウイングを試しています。」

ダニー・アルドリッジ

「ええ。まだテストですから、彼らが望めば古いウイングを使用して走行は出来ます。それはやめてくれと言うとしたら安全面だけが理由です。ただテクニカルサイドでは、彼らはこれらのテストでは好きなように走る事が出来るんです。彼らは旧型のウイングで比較テストのために走っているんでしょう。それは理解出来ます。ヤマハがその手の内をこんなに速い段階で見せてきたのには驚きました。明らかに我々は全てのメーカーにバレンシア以前から話してきました。ですから何が起きているかは把握しています。このカウルに関してはだいぶ前から知っていました。ですからヤマハのカウルもこうして完璧に塗装されているんですよ。しっかりと話し合いましたし、デザインに関しても私は嬉しく思っていますし、全てがルール範囲内です。ただ、彼らがこんなにも速い段階でこのカウルを披露した事に驚いています。ただヤマハはこのカウルのテストの必要がありましたし、最初にテストをしたということで他のメーカー達よりも多くのデータを得ることが出来たでしょう。」

f:id:teletele916:20170203231723j:plain (Photo courtesy of michelin)

Q

「他のメーカーも既にフェアリングについてあなたの確認を取っているのですか?」

ダニー・アルドリッジ

「いいえ。いくつかはそうですし、いくつかはそうではありません。いくつかのメーカーはまだ私にデザインを見せているプロセスですし、それをいつ行うかは彼らの選択です。ルール上は彼らはカタールGPまで私にデザインを見せる必要はないんですよ。ただ、開幕まで全てのメーカーが私にデザインを見せることを強く勧めます。カタールで私がカウルを見てルール違反だと判断したら、彼らにとっては問題ですからね。ですから常にそう言ってるんですが、デザインをいつ見せるかどうかは彼らの選択です。公式のデッドラインはカタール木曜17時ではありませんが、それまでには見せてもらったほうが良いですね。」


Q

「シーズン中に可能となるカウルとフロントフェンダーの1回のデザイン変更については、そのデザインをある程度前に明確にしておく必要があるのか、あなたに見せてすぐにトラックで使用出来るのでしょうか?」

ダニー・アルドリッジ

「正確には彼らは私にデザインを提示し、私がOKと言えばすぐにトラックで使用出来ます。私が承認し、技術面での情報(ディメンション、デザインなど)を貰っていればですが。これには2つの方法があります。技術面での情報を私に提供するか、実際のサンプルを私に提供するかです。サンプル版は封印されており、その上に我々がステッカーを貼ってトラックでの使用は出来ません。これは純粋に比較のためです。私は技術情報をもらうほうが良いですね。あちこちにサンプルを持たずに済みますからね。ただこれはメーカーの選択委ねられています。ですから、私がデザインがルールに適合していると判断した場合は彼らはトラックでこれを使用することが出来ます。ただシーズン中のアップグレードがあった場合、彼らは以前のカウルを使用することは出来ません。2016年または、2017年の最初に使用していたフェアリングもしくはフェンダーがこれに該当します。」


Q

「ということはメーカーはどの時点でも2つの異なるフェアリング/フェンダーしか使えないということですか?」

ダニー・アルドリッジ

「その通りです。」


Q

「エアロダイナミクスが今年あなたを最も忙しくするものだと思いますか?それ以外のルールは安定しているようですが。」

ダニー・アルドリッジ

「ええ。エンジンとエレクトロニクスに関しては同じままです。いくつかのルールについては少し変更がありますが、基本的にはいままで通りです。エアロダイナミクスが技術上最も大きな変化でしょう。あまり大きな話しではないように見えますが、実に大きな変化なんですよ。メーカー達はある程度デザインの振り出しに戻り、彼らのエアロダイナミクスを再び考えることになったんです。」

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