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★MotoGP2016 スズキプレスオフィサー フェデリコ・トンデッリへのインタビュー

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チームスズキエクスターのプレスオフィサーであるフェデリコ・トンデッリ氏に対するロングインタビューをご紹介します。昨年の仕事内容と、メディアからの注目が飛躍的に高まった今年の仕事の質の違い、そして初めての優勝の感動、スズキを今シーズン限りで離れる2人のライダーへの思いなど、鈴菌必見の内容です。 f:id:teletele916:20161220105853p:plain (Photo courtesy of michelin)

チームスズキエクスターのプレスリリースよりプレスオフィサーのフェデリコ・トンデッリは今シーズンの浮き沈みについて、特別な瞬間についてこう語る。

スズキ プレスオフィサー フェデリコ・トンデッリ

「チームのプレスオフィサーとして、私は基本的にライダーのマネジメント、メディア、広報活動的な内容と、メディアとファンにスズキの活動内容の情報を提供するという2つの大きなタスクに責任があります。1つ目のタスクの難しさは、ライダーのパフォーマンスに大きく影響されることです。メディアの注目というのはレース結果に直接関係していますからね。良いパフォーマンスを発揮するほど、求められるものですからね。そしてこれが2つ目のタスクにも影響します。最優先事項はチームの内容に関しての情報をより明確に届けることですが、優勝すればこのタスクは簡単になります。ただ情報の量だけが問題なのではなくて、ファクトリーとして、MotoGPでは比較的新しいチームであるという立場で質の高いコンテンツを提供していれば、メディアは正しいメッセージを受け取ってくれますし、ファンも自分がチームとの繋がりを感じる事が出来ると信じています。」


スズキブランドへのファンの愛情は非常に強いですから、ファンは我々にとって非常に重要で本当にブランドと感情的な繋がりがあります。そして我々もこれに対して注意を払っています。もちろん広報活動のなかで、スズキのネットワークに最高のサポートを提供し、我々のパートナーにMotoGPプロジェクトの一員としてふさわしいサポートを提供するというターゲットもあります。私の仕事に関しては1年目から大きく変わりましたね。私の経験が増えただけでなく、チームの認知に関して、そして戦略に関しては大きな変化がありました。昨年のチームスズキエクスターがMotoGPのシンデレラだとすると、2016年のウインターテストから我々のパドックの中での役割は大きく変わっていたのは明らかでした。特にGSX-RRの性能が上がり、アレイシ・エスパルガロとマーヴェリック・ビニャーレスの才能が育った事で、メディアからの注目はすぐに高まりました。」


2015年の主な仕事がチームスズキエクスターのメディアでの注目度を高めることだとするなら、2016年はコンテンツの量ではなく質を高めていくことでした。その後マーヴェリックがル・マンで初表彰台を獲得し、シルバーストーンで初優勝を遂げました。そして最終的には毎レースでトップ争いが出来るまでになりました。世界的なメディアの中での我々のチームに対する認識が大きく変わったんです。これで我々に対するインタビューの依頼が大幅に増えましたし、ライダーとダヴィデ・ブリビオのメディアに対する発言内容のマネジメントが複雑になりました。主なタスクは全てのメディアに深い注意を払っていくことでしたが、まずコンテンツの質を高く保っていくことも重要でした。」

f:id:teletele916:20161220105912p:plain (Photo courtesy of michelin)

Q

「個人的にシーズンの中での素晴らしかった点とその理由は?」

スズキ プレスオフィサー フェデリコ・トンデッリ

「言うのは簡単ですけど、”勝利の味はやみつき”ということですね。2015年にMotoGPプロジェクトを開始した時、それまで競技というものには慣れていましたが、本当の意味での勝利というのは経験した事がありませんでした。優勝した場合に何を期待すれば良いのかわかりませんでしたし、チームメイトや特にチームマネージャーのダヴィデ・ブリビオから教わろうと思いました。彼は表彰台獲得に関して多くの経験がありますから。でもそれですら、自分が実際に体験した”優勝’という感情と比べる事は出来ません。経験の長いチームメイト達が泣き、彼らが絶叫し、表彰台のてっぺんで若者が他の何よりも眩しいほどに目を輝かせ、大の男がクリスマスの朝の子供のように飛び跳ね、笑い、ハグをするのを見る事になるんですから。プレスオフィサーとしては、レースが終わった後に仕事が始まりました。TVインタビュー、プレスリリース、写真など。。実際に何が起きていたのか気づく時間が無かったと言えるでしょう。」


「月曜に家に戻り、国際的なメディアのプレスレビューを受け取り、世界中からインタビューの依頼やら、単純にチームが成し遂げた事に対する祝電を受け取りながら、マーヴェリックがスズキをMotoGPの表彰台のトップに導いたのが現実だったんだと気づきました。チームスズキはこの2年で本当の家族になりました。この勝利はもちろんスズキの日本のファクトリー、そしてすべてのネットワーク、そして毎日言葉を交わしている人々、世界中を18戦戦う中で、同じ日、同じ週、同じ月、同じ年を過ごしている家族との勝利です。そして初めての勝利は我々の視点を変えました。初めての勝利は我々に勝利への飢えを与えました。一度味わわないと感じることの無い飢えです。もし昨年の6位が成功だとすると、初めての優勝の後、もう1勝が可能なように思え、その勝利のアドレナリン、感情を味わうのが待ちきれなくなるんです。チェッカーフラッグの際にピットウォールを再び登るのが待ちきれず、ライダーがラインを通過する際に喜び叫びたくなるんです。

f:id:teletele916:20161220105934p:plain (Photo courtesy of michelin)

Q

「ライダーと一緒に仕事をしていますが、マーヴェリックは一緒に働いていかがでしたか?またアレイシはどうでしたか?」

スズキ プレスオフィサー フェデリコ・トンデッリ

「どちらかが良かったという事は言えません。アレイシもマーヴェリックどちらも素晴らしい人間ですし、私からするとお気に入りを1人選ぶというのは、最高の息子2人から1人を選ぶようなものですから。確かに2人とも非常にタイプの異なる人間です。彼らはこの2年で大きく変わりました。残念ながらアレイシは2016年は厳しいシーズンを送ることとなりました。彼はマシンの有効なセットアップを見つけるのに苦戦し、何度か転倒もしました。こうした厳しい状況にもかかわらず、彼はソリッドで頼りがいのあるライダーであることを証明してくれました。これは彼のファクトリーライダーとしての役割に叶うものです。彼は進み続けましたし、けして諦めませんでした。そしてエンジニア達がマシンを開発するのを助けてくれました。」


「私にとっては、彼は信頼できて、コンスタントで、強いライダーの完璧な例ですね。2016年の最初のテストのセパンで、マーヴェリックは私、そしてチームの多くの人間を驚かせました。彼がルーキーでは無いこと、彼が強力なモチベーションを持ち、素晴らしい状態でやってきた事は明らかでした。彼は完璧な状態でした。そしてそれだけでなく、彼のメンタル面も冬の間に大きく成長していました。シーズン中に、彼が競争力のあるバイクで望まれている結果を達成することをは明らかでした。これは私にとっては非常に驚くべきことでした。僅か21歳にして、彼はすでに成熟したライダー、そして人間だったんです。これは同時に、彼のメディアに対する態度も、強く、賢く、集中したものとなった事を意味していました。」


Q

「チームスズキエクスターにおいて、最高の瞬間、もしくは最も感動した瞬間はいつでしょう?」

スズキ プレスオフィサー フェデリコ・トンデッリ

「私はいつも面白いことよりも最も感動した事を覚えているんですが、それはライダーが最終戦バレンシアの後にピットに戻ってきた時のことです。彼らはチームの人間全てがピットレーンのピットの外で待ち構えているのを見ることになりました。これは計画していたことではなくて、チームのコーディネーターのロベルト・ブリビオのアイディアです。皆がピットの外に出て、ライダー達を大きなハグで全員で迎えたいと自然に思ったんです。私達は2手に分かれてバイクが通れるように道を作り、別れの悲しみを共有しました。しかし同時に、今シーズンに成し遂げた成功に対する満足もありました。こういう事が本当の家族だと感じさせてくれる出来事です。最高の瞬間は意図せずやってくるんです。本当に自分達が一心同体であるかのように感じました。」


Q

「2016年で最も悲しい瞬間、記憶は何でしょう?そしてそれはなぜ?」

スズキ プレスオフィサー フェデリコ・トンデッリ

「言うまでもなく、最も悲しかった瞬間はマーヴェリックが2017年チームを去ってしまうと分かった時です。スズキで彼に対して大きな期待を抱いていただけでなく、それは1つの時代の終わりを意味し、両ライダーを新しくし、再びチームを1から作り直すということですからね。もちろん新しいライダー達、イアンノーネとリンスに関しては皆喜んでいますよ。ただ、私にとっても自分をシャキッとさせ、プログラムやプランを再び整理するのに時間が必要でした。」

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