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★ビニャーレス「シルバーストーンの後からトップライダーの仲間入りを実感した。」

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sportrider.comにManuel Pecino氏がビニャーレス選手に行った詳細なインタビューがありましたのでご紹介します。自分自身が実感した成長の部分、MotoGPマシンのエンジンマップの設定、使い方、そして予選の走り方、ヤマハファクトリーでのアプローチに関してなど、非常に濃密なインタビューとなっています。

f:id:teletele916:20161122081441p:plain (Photo courtesy of michelin)

パドックの中で知識豊富な人々は、過去数年素晴らしいスキルをもったマーヴェリック・ビニャーレスという選手に注意を払ってきた。実際我々は2年前に彼がMotoGPクラスにステップアップする際に彼を特集している。そしてその当時の予想が2017年に実現しようとしている。2016年シーズンはこのカテゴリ最年少のビニャーレスにとって良い年だった。最後の7戦で彼は1勝を上げ、表彰台を2回獲得、最終戦までホルへ・ロレンソチャンピオンシップ3位争いを繰り広げた。しかし、彼のシーズンのスタートはポジティブなものではなかった。

マーヴェリック・ビニャーレス

「最初のプレシーズンテスト(※2015年のバレンシアテスト)の後、次のマレーシアテストをちょっと混乱した状態で後にしたんです。エレクトロニクスのせいで非常にテストが難しかったのを覚えています。まったく快適に感じることが出来ず、バレンシアテストで3位を獲得した後で非常にガッカリしました。セパンを9位、トップから1.5秒差で後にしましたが、全くなぜかわからなかったんです。」


Q

「これは新しい共通ソフトウェアが導入されたことによるものだった?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「ええ。完全にわからなくなっていました。マレーシアで得たデータを詳細に分析した結果、多くのパワーを失っていること、トラクションコントロールが機能していないことがわかりました。ものすごい量の作業をする必要がありました。同時にいくつかポジティブな内容があって、自分達のエンジンは同じカテゴリーの中でも他よりも速いことがわかりました。これは自分達に自信を取り戻させてくれました。オーストラリアに到着した時に事態は完全に異なっていました。フィリップアイランドでは本当にライディングを楽しむことが出来ました。その時が一番今年の中で楽しかった瞬間でしょうね。


Q

「ということは、オーストラリアのプレシーズンテストの段階で、競争力が高い状態になれると気づいていたのですか?

マーヴェリック・ビニャーレス

ええ。昨年はフィリップアイランドでは良いレースが出来ていましたからね。今回はオーストラリアをリードし、素晴らしい気分でオーストラリアを後にしました。次のカタールテストでは、自分達は速く、セッションを通じて2位とか3位でした。最高でしたよ。プレシーズンテストで精神的に技術面よりも前進出来ました。自分はアプローチを変えました。その瞬間から、トラックに出れば最初からトップのライダー達と走れるという状況になったんだと理解しました。


Q

「エレクトロニクスの問題解決はどのようにしたんでしょう?誰がこれを実現したんでしょうか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「データを見てここに問題があると指摘するのは非常に難しいことなんです。ライダーは自分フィーリングを説明する必要があります。例えば”アクセルを開けるとリアがスライドする、もっとトラクションが必要だ”とかね。これらはいろいろなことが組み合わさっているんです。ですから、ライダーがエンジニアに正確な情報を与えるのが重要になるんです。」


Q

「エレクトロニクスエンジニア達と直接話すのですか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「チーフメカニックとエレクトロニクスの責任者と共に話をして、自分の感覚を説明します。その後データを見て分析を行います。通常はエンジン回転数とエンジンブレーキに集中します。これらはバイクを止めるためには基本となるものですからね。その他には、スライドを避けるためにギアを素早く変えている部分です。2速、3速、4速とレブに当てずにシフトすることで、さらにパワーを使用することが出来ます。1周の中で改善出来る箇所は大量にあるんです。ウイリーはまた別の重要な問題です。例えばバレンシアでは、ターン1とターン2の間に、ターン1からの立ち上がりで素早くシフトします。あまりシフトが遅いとフロントエンドが路面から浮き上がってしまうんです。


Q

「あなたの話によると、エンジニアがエレクトロニクスを設定して次の走行をするということですか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「チーフメカニックが教えてくれましたが、過去には各サーキットのコーナーごとに設定出来たと説明してくれました。今では統一エレクトロニクスによって簡単になっています。ただ、次のセッションに向かう前にチーフメカニックが変更点について教えてくれます。」

f:id:teletele916:20161115143155j:plain (Photo courtesy of michelin)

Q

「Moto2から来るとこうした内容は全て新しいというわけですよね。」

マーヴェリック・ビニャーレス

「ええ。学ぶことが大量にありました。」


Q

「トラックに全く何もわからないセットアップで出ていく必要もあったんでしょうか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「ええ。もちろんです。ル・マンはそうでしたね。ブレーキを適切に使えるようにするのに随分苦労しました。バイクはよく曲がったんですけど、自分が望んだようにバイクを止めることが出来なかったんです。それで最後の最後に全く逆の方向にセットアップすることにしました。バイクを完全に止まる方向にセットアップしてコーナーでどうなるかをみてみる事にしました。」


Q

「それで機能したんですか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「ええ。ウォームアップで2位、決勝で表彰台を獲得しました。」


Q

「2016年を簡単に振り返ると、どの段階でトップのライダー達の仲間入りが出来たと感じました?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「シルバーストーン以降です。カタールでも強い走りが既に出来ていましたが、自分には経験がありませんでした。その時点で自分とチームに欠けていたのは経験だったんです。シルバーストーンの後は自分達のエレクトロニクスは、より正確に動くようになりました。レースマネジメントも良くなりましたし、タイヤ消費をコントロールする方法もわかりました。予選とレースでもより効率よく走れるようになりました。これは全て経験によるものです。オーストリアもそういう意味で重要なレースでしたね。自分はレースのほとんどをマルクとヴァレンティーノの後ろで過ごしましたが、そこで色々と自分を助けてくれる物を見ることが出来ました。」


Q

「なぜそのレースだったのでしょう?」

マーヴェリック・ビニャーレス

どこでマルクとヴァレンティーノが最大のパワーを使っているかを見ることが出来たんです。彼らは異なるエレクトロニクスのセットアップでした。どこでフルパワーを使うべきかが重要で、フルパワーを使用すると、助けになるどころか有害になる部分があることがわかったんです。」

Q

「先日HRCの中本修平と話をしたんですが、才能あるライダーは1周は速く走れるが、レース後半に速く走れるかどうかとなると話が違ってくると言っていました。」

マーヴェリック・ビニャーレス

「そう思います。これがMotoGPで重要な点なんです。そしてこれは週末全てと懸命の仕事抜きには無理なんです。」


Q

「そして学びのプロセスは試行錯誤の繰り返しでしょうね?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「そうした学びのプロセスは速いラップをする事を放棄することから得られることに気づかないといけません。これは多くの周回を重ね、フリープラクティスでいろいろな事を試すことで得られるんです。こういうことをしていると、最終的な結果としては良い順位は獲得出来ません。そしてFP4ではよりレースに近い状況でアプローチするんです。ユーズドタイヤを履いてスピードがあれば、レースでもスピードを発揮出来ます。マルクとヴァレを見れば、二人共ユーズドタイヤで走っているのがわかります。金曜は彼らはリラックスして作業を始め、土曜の午前中に少し速くなり、1日の終わりにはいつもトップにいるんです。スズキも金曜のセッションをニュータイヤで初めて、セッションが進むにつれれユーズドタイヤに切り替えていくという方向にやり方を改めているんです。


Q

予選には特別なセットアップで挑むのでしょうか?

マーヴェリック・ビニャーレス

「いいえ。レースセットアップで新品タイヤを履いて行います。燃料を少し入れてフルパワーの状態で走ります。


Q

「フルパワーで?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「予選では新品タイヤで2周、3周しますから、フルパワーで走ることが出来るんですよ。バイクはレースの状態よりもパワフルな状態ですね。


Q

「ということは、レースではパワーを絞っているんですか?

マーヴェリック・ビニャーレス

まずフルパワーでスタートします。ただタイヤのグリップが落ちて来たら、違うパワーカーブで走る事になります。


Q

「変化は大きいのでしょうか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

ストレートではパワーは同じです。コーナーからの立上がりで少しパワーを落としてあります。それでは無理だと思いますけど、データを見ると少ないパワーで同様に加速出来ているんですよ。


Q

「それはバイクをスピンさせる代わりに前に押し出しているからでしょうか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「その通りです。これをどのようにやるのかを知るのは本当に重要なんです。簡単に聞こえますけど、いつ、どこでこれを行うのかという部分は本当に多くの作業が必要なんです。例えば、フロントローでスタートするのと、後方からスタートするのとでは話が違います。この場合はフロントに出来る限り速く出る到達するために、フルパワーを使用する必要があります。シルバーストーンではフロントロースタートで、前方にバイクはいませんでした。2周目には既に2つ目のマップに切り替えて、タイヤを温存することを考えていました。そして、この作戦は上手くいきました。」

f:id:teletele916:20161214050309p:plain (Photo courtesy of michelin)

Q

「ブレーキング、コーナースピード、加速。この3つのうちどれが一番快適に感じますか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「コーナースピードと加速です。自分は加速の段階でタイヤの管理が実に上手く出来ていると思います。スライドさせずに最大の加速をすることが得意なんです。これはいかにコーナーに進入し、スピンさせずにスロットルを開けるかということなんです。これはMotoGPに参戦した時に驚いたことでもあります。こうしたバイクでは、コーナー脱出でワイドにスロットルを開けるだけだと思っていました。でも、それをやってしまうと、バイクは前に進まないんです。


Q

「ということは、ブレーキングに関しては作業が必要だと?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「いえ。そうは思いません。ブレーキングの効率を決定するのはフロントタイヤなんです。例えばアラゴンでは、ハードフロントタイヤでレースを走りました。そこでヴァレンティーノやホルへよりも強力にブレーキングをしていました。マルクみたいにね。ただ他のレース、例えばオーストリアでは、マルクよりも柔らかいタイヤを使用していましたが、これによってブレーキングで失ったタイムを取り返すために、コーナリングスピードに集中せざるを得なくなりました。ブレーキングは本当にタイヤに依存しています。もし柔らかいコンパウンドのタイヤを履いていると、ハードブレーキングにおいて路面との接触面のタイヤが動き出してしまうんです。これによって安定性が下がり、コーナーエントリーにおける正確性が下がってしまうんです。このせいで2m速くブレーキングをすることになってしまうんです。」


Q

「あなたが説明してくれた内容は興味深いのですが、非常に複雑に思えます。」

マーヴェリック・ビニャーレス

「それがMotoGPですよ。それがMotoGPの難しさでもあり、魅力でもあります。学ぶべきことが大量にあるんです。これらを全て理解しないと...」


Q

「スタートはフルパワーで、タイヤ消費をコントロールし、パワーカーブを変更する。そしてこれらは全てエレクトロニクスと共に機能する。あなたが説明してくれた内容を強調してみましたが。」

マーヴェリック・ビニャーレス

「テクニシャン達とグラフを見るのが好きなんです。自分は好奇心が強いですしそれに才能もあると思います。自分はボックスばかりで時間を過ごすライダーではなくて非常に集中しているんです。」

f:id:teletele916:20161214050413p:plain (Photo courtesy of michelin)

Q

「来年はヤマハファクトリーチームのメンバーです。あなたのアプローチはどのような形になりますか?今まで学んだアプローチでいくのか、まずはガレージがどのように動くかを観察しますか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「自分は確たる考えを持っているライダーです。ただ重要なのは情報を集めて学んでいくことです。ヤマハガレージは多くの経験を持っていますから、多くを学べると思います。最終的にライダーは自分のやり方でやりたいものですが、もしさらに良い方法があればそれを自分のものにしないといけません。自分はいつも経験を得て、それを使って行くことが得意だと思っています。」


Q

「アドバイスにはオープンなほうか、自分のやり方でやろうとする、どちらでしょう?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「場合によります。上手くいくほう、そして普通はテクニシャン達が何がベストなのかを知っています。」


Q

「2017年のチャンピオンシップ争いに参加する準備は出来ていますか?」

マーヴェリック・ビニャーレス

「そう思いますね。2016年は良い年でしたから、来年は勝者のメンタルで挑むことが出来ます。」

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