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★MotoGPは黄金時代を迎えているのか?

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今年2016年のMotoGPにおける大きなキーワードは統合ソフトウェアとミシュランタイヤだと思いますが、今年のMotoGPが、最高峰クラスのバイクレースの歴史で初めて8人も異なる優勝ライダーが誕生したということについて、マット・オクスレイさんが詳細な分析をされています。より良いエンターテイメントの提供のために、18のトラック全てのタイヤテストの費用をドルナも負担すべきというのは、非常に面白い提案だと思います。 f:id:teletele916:20161001120253j:plain (Photo Courtesy of Michelin)

なんと素晴らしいシーズンだろう!近年のレースの記憶の中でも最もスリリングで予想がつかず、8戦連続で8人異なるライダーが優勝している。これは最高峰クラスのバイクレースにおいて70年間近く起きなかったことだ。MotoGPは新しい黄金時代に突入したように思える。全てはドルナのお陰で、メーカーに独立チームにも真の意味で戦闘力の高いマシンを安価に貸し出すように強制しメーカーお手製のエレクトロニクスはMagneti Marelliの統合ソフトウェアへと変わった。マシンのレベルが横並びになったことで、突然誰でも勝利出来るチャンスがあるような状況へと変わった。


どうか私に想像について語ることを許して欲しい。ドルナは確かに大きな助けとなった。それは疑う余地がない。しかし、この予想できない楽しいレースに関する1つのシンプルな理由がある。そう。バイクの中でも1つの部品である「フロントタイヤ」だ。


ミシュランはMotoGPに7年ぶりに戻ってきた。その間ミシュランが出来たのは耐久レースだけだった。というのもMotoGPはブリヂストン、WSBKはピレリがタイヤを供給していたからだ。耐久レースのライダー、耐久レース用のスーパーバイクに向けてタイヤを作ることと、MotoGPライダー、金に糸目を付けないグランプリバイクにタイヤを供給する事は大きくことなる。そのため、クレルモン=フェランの彼らはキャッチアップのために、死ぬほど多くの作業をこなす必要があった。リアのスリックに関してはすぐにブリヂストンのリアよりも高い性能を発揮したため、リアに関してはそこまでも作業ではなかったが、それはスコット・レディングのタイヤがアルゼンチンで吹き飛ぶまでのことだった。この出来事によって、ミシュランはセーフティーモードに入り、さらに強固な構造のリアタイヤを作らざるを得なかった。


全ての問題はフロントスリックだった。ミシュランのフロントは最初の数回の冬期テストにおいては災難という状態だった。しかしシーズン開幕のカタールまでに性能がスピードアップし、ロレンゾがラップレコードとレースレコードを破った。それ以来、ミシュランはレースごとに性能を向上させるため、フロントスリックの開発に莫大な資金を使ってきた。ブリヂストンは長年MotoGPにタイヤを供給してきた経験から、何が機能し、何が機能しないかを知っていたために、レースに2種類のフロント、2種類のリアを持ち込んでいた。しかしミシュランは毎回3種類、時には4種類のフロントタイヤを持ち込んだ。これはミシュランがトラックについて僅かな経験しか無いためだ。また、タイヤ開発の段階のテストでの悪天候により、いくつかのトラックではドライコンディションのテストが出来ていなかったということもある。


しかし、これらの内容と今年我々が楽しんでいるスリリングなレースとは何が関係あるのだろうか?


それは常にフロントタイヤが変わり続けているということだ。(望むらくは向上していると思いたい)そして実際のところ、時にはミシュランが経験がまったくない路面であるために、フロントコンパウンドを推測せざるを得ないという状況がある。このケースとしてはアラゴンで、そのためアラゴンには4つの異なるスペックのフロントタイヤが持ち込まれた。ブリヂストンの時代はチームもタイヤの事を良くわかっていたために、彼らがその週末のタイヤの割り当てを見た瞬間に、レースタイヤを何にするかがわかるという状況があった。そしてこれはセットアップに関しても同様で、サスペンションを1クリックか3クリックかということもわかったのだ。


今年はフロントタイヤの性格とコンパウンドが変わり続け、タイヤの選択肢が増えた事でチームはセットアップの方向性に悩んでいる。というのもフロントタイヤが変わると全てが変わるのだ。そのため、ある週末はあるチームとライダーが正しい作業をし、次の週末には別のチームとライダーが正しいことをするという具合だった。


ミシュランのフロントには別の問題もあった。それは直線上のブレーキングパフォーマンスがあるべきものとは異なったということ、そしてタイヤの適温の幅が狭すぎたのだ。そのため、タイヤにとっての適温よりも気温が下がると、タイヤのパフォーマンスは急激に悪化した。これは今年の直線上のブレーキングでの転倒の多さを説明している。これは先週の午前中のセッションでのロレンソ、ヘイデンの転倒で見られた。


最近のドライレースで、ただ1人のライダーがフロントタイヤのスイートスポットを発見している。シルバーストーンではマーヴェリック・ビニャーレスとスズキの技術者が、ハードのフロントタイヤに完璧な具合にサスペンションを調製したため、後続を引き離して優勝した。ミサノではダニ・ペドロサが、遂に硬いフロントのケーシングを機能させ、8位スタートから優勝を遂げた。

f:id:teletele916:20161001120350j:plain (Photo Courtesy of Michelin)

セットアップに関して正しい方向を見つけ、チャンピオンシップをリードしている唯一のライダーがいる。マルク・マルケスとレプソルホンダRC213Vはコーナー進入でタイムを稼いでいる。彼はブレーキングではまさに野獣だ。そして彼はほぼ毎回ハードのフロントタイヤを使用する。毎回彼がハードのフロントタイヤを選択するため、彼のクルーも、あのタイヤ、このタイヤ、やっぱりこのタイヤといった具合に振り回される事が無い。そのため、彼は週末をハードタイヤから最高の結果を絞りだすために使うことが出来る。日曜にタイヤが3周目に彼を路面に投げ出そうとしたという事があっても、それはタイヤが適温では無かっただけのことだ。同じくの最近カル・クラッチローの強さも同じ理由だろう。彼もブレーキングが異常に遅く、そのためハードのフロントタイヤを必要とするのだ。


そのため、今シーズンを出来るだけ楽しんでおいたほうが良いだろう。というのも2017年のカタールで、ミシュランは全てのトラックについて1年丸々の経験を持った状態であり、チームもミシュランタイヤで1年間作業した経験がある状態なのだ。恐らく来年のMotoGPは、今年のような移り気なものではなくなるだろう。


しかし、こうした事が起きるとは限らない。ミシュラン以外に今年のMotoGPでミシュランがいくらの費用を使用したのか知るものはいない。大胆に予想をして3500万ユーロだとしよう。どの企業も同じだが、コストは削減したいものだ。ブリヂストンがフロント2種類、リア2種類のタイヤ割り当てにしたのはコスト削減のためだ。もしミシュランが2017年に同じ道を辿り、ライダー達が同じタイヤを選ぶようになったら、レースはより予想しやすいものになる。


これはファンにとってもドルナにとても良くない。ドルナは人々がエンターテイメントに満ちたレースを見るためにテレビをつけることで稼いでいるのだ。もしドルナが、レースをスリルに満ち、予想できないものにしておきたい場合、ミシュランに3種類から4種類のフロントタイヤを用意させなければならない。そしてドルナはこうした余分なタイヤについて金を出す必要が出てくる。もしそれがレースを面白くするのなら、これは価値ある投資だ。


ミシュランは他にも直さねばならない問題を抱えている。クレルモン=フェランの企業のレース部門は、今非常にバタバタしていることだろう。最先端の現場から離れて長い状態で、物凄いハイペースで開発をしなければならないのだから。


ライダー達はタイヤの性能がコンスタントでは無いことに苦言を呈している。Aというタイヤをフロントに、Bというタイヤをリアに履いて走る。そしてまた同じタイヤの組み合わせで再び走ると、タイヤの挙動が異なるのだ。この問題が最も叫ばれたのはアラゴンだ。ペドロサは練習走行で使っていたミディアムのフロントタイヤを履いてレースを行なった。レース中にタイヤはボロボロになり、彼はラッキーにも(そして大変勇敢にも)6位でレースを終えた。何よりもミシュランは、このタイヤの性能がコンスタントではないという問題を解決する必要がある。


これはミシュランだけのせいではない。これはシングルタイヤルールによって、MotoGPに関して最近の経験が少ない、もしくは全くない企業がタイヤを作っている事の結果でもある。ミシュランの2015年のテスト、そして2015年冬、2016年のテストは天候による影響もあった。ドルナは、ミシュランが18全てのレーストラックで、少なくとも一回は十分なテストが出来るように、その費用を分担すべきだろう。