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★アプリリア ロマーノ・アルベシアーノ「ウイングレットは安全性向上に繋がる」

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アプリリアのロマーノ・アルベシアーノ氏のロングインタビューをご紹介します。新しいチーム体制、バイクに関する話もありますが、何よりも興味深いのはウイングレットに関する考え方ですね。どうやらDucatiと合わせてアプリリアも「ウイングレットのどこに問題がある?」という考えかたのようです。

しかし「ウイングを市販車につけて安全性に問題がなければ、MotoGPでも安全だろう」という考え方はどうなんでしょう?市販車でダウンフォースを発生するような速度でどこを走るんだよ?という気がしますが。。 f:id:teletele916:20160808075538p:plain アプリリアのレーシングマネージャーであるロマーノ・アルベシアーノに、2017年のサム・ローズとアレイシ・エスパロガロという完全に新しいチームラインナップについて、今年のRS-GPの強み、弱み、MotoGPのウイングレット禁止などについてインタビューを行った。

Q

「サム・ローズは最近のテストで初めてMotoGP機に乗りました。彼と働くというのはどのような感じですか?そして彼はどのような感じでしょうか?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「こういう若手ライダーをトレーニングするというのは完全に新しいですね。どうやら実験は非常に上手くいったようです。ミサノテストはとてもエキサイティングでした。サムがキャリアにおいて初めてMotoGPバイクをライディングするという歴史的な瞬間をアシストするというのは感動的なものでした。ですから感情的な観点から素晴らしいものでした。しかしサムは、すぐに”勘を掴んで”と言える形で素晴らしいライディングを披露しました。彼は全てを理解しリスクを上手く管理しながら、同時にとても速かったんです。初めてのテストの前にはあらゆる困難を想定しますが、午後の中頃には全てがポジティブなので、私はすでにリラックスしていました。皆がテストを楽しみ、皆が将来に向けてとてもポジティブに考えています。」

Q

「サムをどのようなライダーですか?何が目に止まりました?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「彼を気に入ってそして彼を選んだ理由は、随分前の事になるんですが、彼が2013年ワールドスーパースポーツのチャンピオンシップで優勝した事にあるんです。彼はとても特別な形でケナン・ソフォーグルのような競合ライダーに勝利したんです。ですから彼は特別なライダーだと思っていました。この世界でそれを証明するというのは簡単ではありませんが、彼はMoto2ですぐに素晴らしい成績を発揮し、昨年の初めから素晴らしかったですよね。彼は今年も良い形で戦っています。いくつかのレースでついていない瞬間もありましたが、チャンピオンシップに向けて戦っています。また、彼がレースに向かう姿勢も好きです。彼は実にイギリス人らしく勇敢です。ただ同時に勇気だけでなく、その背後に色々と考えがあるわけです。彼は毎回全てのレースに対して正確な報告をしますが、これはMotoGPテストでも同じでした。彼のフィードバックはとても素晴らしいもので、彼は実に利口な男ですよ。ポジティブな事だけを話して何かを隠そうとしているわけではなくて、本当にポジティブな事柄しか目にしていないんです。」

Q

「来年に向けてサムに対するアドバイスとしてはどのようなものでしょう?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「今のアドバイスとしては、本当に徐々に学びのフレーズの中でというという形です。転倒する度に、再びプッシュする前に彼は1つ前のレベルに戻る必要があるという事を彼は理解しています。でも彼はとても賢く、何をすれば良いかわかっているように思えますね。ですからあまり彼に説明することはありません。彼のファイティングスプリットはとても強いですから、時には彼をなだめる必要があるかもしれません。でも彼はとても良いやつですよ。」

Q

「サムのチームメイトはアレイシ・エスパロガロになります。なぜアレイシを既存のライダー達の中から選んだのでしょう?また、彼はプロジェクトに何をもたらしてくれるのでしょうか?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「今年のライダーは素晴らしいライダーです。時にアルヴァロはとても良くやっていると言えるでしょう。決定は難しかったですが、アレイシからは似たような内容を期待しています。サムもそうですが、ファイティング・スピリットですね。私達が次のステップを踏む何かの助けとなると信じています。アレイシはまたスズキの競争力の高いをライディングしたという経験があります。そして恐らく最も大事なことは、アプリリアは彼とCRTバイク時代に素晴らしい思い出があるということです。これはアプリリアMotoGPチームのストーリーの中で重要なんです。そして彼も同じように思っているということ。彼はまた家族に加わるという望みを持っているんです。私達は両ライダーと素晴らしい仕事が出来ると思っています。サムには初めから素晴らしいレベルであることを期待しています。」

Q

「今年は完全に新しいバイクでした。満足していることと、次のステップとして必要な事はなんでしょう?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「バイクは全体的には非常にバランスしていて悪くないんです。特にこれと言った弱点はないんですが、特にこれと言った強みもないんです。これ以上の強みを探してもいないと言いますか、簡単ではないですからね!でも全てに関して作業を進めています。ピークパワーが強みでは無いことはわかっています。この部分は強化が必要ですが、幸運にもこれはいくつかのトラックだけに関しての事なんです。来年はこれは改善されるでしょう。間違いなくね。後は細部を最適化して向上していくということになります。」

Q

「来年バイクに関してはまた大きな変更があるのでしょうか?それとも現在の発展型という形になりますか?」

ロマーノ・アルベシアーノ

発展型ですね。昨年の終わりに大きな変更を施しました。今年のバイクで構造的に限界点が見えた場合は、同じ作業を繰り返す必要があります。でもそういったものは見えていません。バイクの全てパーツが変更となるでしょうが、ほんの少しだけです。ですから完全な新型ではありませんが、今シーズンと冬季テストを含めて進化していく形です。今回のレースでは新しいスイングアームを持ち込みましたが、これも少し変更になっていて、少し軽量だとかそういった部分です。こうしたプロセスになります。」

Q

「最低重量にはどの程度接近した重量になるのでしょうか?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「まだ数キロ重いので、いくつかの変更を施してそのそれぞれで150gを削るような形です。来年の始めには最低制限重要と同じ車重になると思います。でもこの2kgが大きな違いになっているとは思いませんが。

Q

「来年はサテライトのアプリリア機はありませんが、2018年はどうでしょうか?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「今後ですね。今は集中していません。知っての通り大きな組織ではありませんし、適切な形でサテライトチームをサポートするのは努力が必要ですし、チャンピオンシップで我々がやる必要がある事と合わせるのは難しいこともあります。それに最終的にはスーパーバイクでの仕事が上手くいくかもしれませんし。」

Q

「来年のMotoGPではウイングレットが禁止になりますが、賛成ですか?」

ロマーノ・アルベシアーノ

いいえ。我々は禁止には賛成していません。我々は禁止に反対に投票したんですよ。日本勢とDucatiの妥協点を探そうとしたんです。彼らは全く逆の主張でしたから。皆を助ける形になる共通認識を持とうとしたんですけどね。一方でウイングはコストとなります。これは確かです。しかしモーターサイクル全般に限って言えば、これはポジティブなものです。これは明らかにバイクの安定性を向上させます。ですからポジティブと言えるんです。レースは常々、市販製品を助けるべきだと主張してきました。特に安全名に関してね。そしてこれは安全性を向上させる良い方法なんです。


「しかし、数人のライダーがスリップストリームについて文句を言い始めました。スリップストリームの議論は自分は全く信じていません。エアロダイナミクスの世界では乱気流はバイクによって作られるもので、ウイングによって気流の渦が作られるなんて有り得ませんよ。ですから、MSMAの議論はライダーとウイングの接触の危険を減らすにはということになったんです。もし鋭角なエッジを持っていたら危険です。しかし、もし自分達が提案したようにルールを変えて、ウイングを後ろ向きにして(後退角を持たせる)適切な曲率を持たせればどうでしょう。その位置であれば、他のフェアリングの部分よりも危険性は低くなります。」

Q

「ということは、あなたはウイングは後退角をつけてバイクの形はそのまま維持するということを提案したんですか?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「ええ。ですから私達のバイクや他のバイクがやっているような形状(バイクからウイングレットが直角に生えている。)であれば、これが他のライダーにぶつかる可能性は大きいわけです。しかし、上から見れば矢のような形ですが、ウイングに後退角をつけてエッジを安全な曲率に仕上げてやればいいんです。これが何故危険になるんでしょうか?ウイングはバイクを安定させるのに役立ちます。そしてブレーキングパフォーマンスを向上させます。ですからこれが安全性に繋がるんです。残念ですね。」

Q

「全てのメーカーが全会一致で賛成となる必要がありました。1つのメーカーがウイングを望まなければ、これは全てのメーカーに影響します。」

ロマーノ・アルベシアーノ

「そうなんですよね。。MSMAで全会一致の決定となれば、これは自動的にグランプリコミッションの承認を得られるはずでした。今や全てのメーカーが、異なる方法で同じ量のダウンフォースを得る為に努力する事になります。もしかしたらさらに高額な方法でね。まぁ、いずれわかるでしょう。」

Q

「ウイングをスーパーバイクに付けること可能なんでしょうか?」

ロマーノ・アルベシアーノ

「これは良い例です。もし市販車にこれをつけようと思えば可能です。ただモーターサイクルと人がぶつかった時の事故のシミュレーションをして、いくつかのルールに従う必要があります。バイクの周りを特別なデバイスで囲う必要がありますね。ぶら下がらない形でね。同じルールをMSMAに市販車用に提案したんです。もし市街地で走る事に関して十分に安全であるのなら、なぜMotoGPではダメなんでしょう?でもこれは不可能ではありませんよ。ですから、その質問への答えとしては、市販車にウイングを付ける事は可能です。そしてそれでスーパーバイクを走る事も可能です。」


By Peter McLaren

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