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★MotoGP中間レビュー:シリーシーズン

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moto mattersのエメット氏によるMotoGP中間レビューの第4段。今回は例年よりも早く始まったライダーの移籍劇「シリーシーズン」に関するお話です。 f:id:teletele916:20160807021955p:plain なぜ人はシリーシーズンと呼ぶのだろう?これはもともとは19世紀に始まる。これはロンドンの出版社が、その余ったページを埋める為に取るに足らない話をでっち上げた事に始まる。これはその後、余ったカラムのインチ幅を埋めるための主に推測と噂から作られた話という意味に変わった。そしてモーターサイクルレーシングの世界においては、ライダーとチームが新しい契約の交渉をし、来年は誰がどこのチームで走るかという内容について話題となる時期の事を言う。


今年はシリーシーズンは新しい名前が必要だった。今年は愚かさを通り越してあきらかに正気では無かった。通常の年であればライダーはヘレスあたりでチームと連絡を取り、早くてもムジェロで話を始める。そして契約にサインするのは夏休みの間だ。そして後半戦の1戦目に新しい契約を発表する。しかし今年はそうではない。2016年の夏休み開け後半1戦目に向かうにあたり、23のMotoGPシートのうち2つ以外が公式であれ非公式であれ既に決定しているのだ。そして今年のシリーシーズンは基本的には終わっていると言える。


狂気はシーズン開始の前から始まっていた。モヴィスターヤマハが1月にローンチした時、ホルヘ・ロレンゾはシーズンがスタートする前から契約を更新したいと思っていたと公表。ヤマハは自分達の役目をこなし、ロレンゾとロッシに同時に開幕戦カタールの前に新しいオファーを提示。ロレンゾは契約にサインしなかったが、ロッシはサインをした。7度のMotoGPチャンピオン(ロッシ)は、ヤマハとこれからの将来について長い関係がある。そして真剣にヤマハ以外を検討した事は無かった。ヤマハとロッシはこの先もずっと、互いに金を生み出し続ける関係だ。


早起きは三文の得

開幕戦がスタートする前から新しい契約にサインしたのはロッシだけではない。恐らく最近の中も最も妙なタイミングで、ブラッドリー・スミスはKTMと2年契約で、RC16 MotoGPバイクの開発と2017年からのMotoGP参戦をする事になったとカタールのグリッドで発表。まだ1戦もしていないうちから、2017年の契約は2つ決定した。


ロレンゾが契約にサインしなかった事は憶測を生むこととなった。ロレンゾが開幕前から契約を要求し、ヤマハはそれに対してオファーをしたにも関わらず彼はサインをしなかった。彼が他に移籍するとしたらどこだろうか?明らかにそれはDucatiだった。
ジジ・ダッリーニャはロレンゾが250ccクラスを走行していた時についてロレンゾを賞賛しており、チャンピオンシップで戦いレースで勝利するには、MotoGPクラスの中でも4人のエイリアン(※ロッシ、ロレンゾ、マルケス、ペドロサ)のうち1人を雇う必要があるという事を隠しもしなかった。


アルゼンチンまでにロレンゾがDucatiと真剣に話し合いを行っている事が明らかとなる。オースティンで契約がなされた事が明らかとなった。そしてヘレスにおいて新しい契約が発表された。なぜロレンゾはDucatiとサインをしたのか?彼にはDuatiに移籍するだけの理由が多くあった。契約金はその1つに過ぎない。ロレンゾとDucatiの契約はMotoGPの中でも史上最高額と噂されている。これはヴァレンティーノ・ロッシとDucatiの契約額を上回るともされている。


伝説を追って

この契約はロレンゾにとってはロッシが成し遂げられなかった事を成し遂げるチャンスとなる。それはDucatiでレースに勝利し、もしかするとチャンピオンシップでの優勝ということもあり得るという事だ。しかし、こうした比較は不公平だ。Ducatiはロッシがいた頃と比較すると異なる企業になっているし、デスモセディチも全く異なるバイクになっているからだ。しかし”公平さ”という部分は歴史書には現れない。そしてレースで勝利しようものなら、そのライダーが誰であれ激しく情熱的なドゥカティストによって祝福を受けるのだ。


もしあなたがロレンゾの移籍の主題について気付いているとしたらその通り。ロレンゾがDucatiに移籍するのは2015年のセパンで起きた出来事の別の章と言える出来事だ。ロッシとロレンゾのタイトル争い、マレーシアでロッシと接触したマルク・マルケスが転倒した出来事はMotoGPを激しく揺さぶり、すぐには終わりが見えない状況だった。


ヤマハの2015年終わりの立ち居振る舞い、ロレンゾのチャンピオンシップへの対応は、ロレンゾに「正しく評価されていない」という感じさせてしまったように思える。Ducatiで明らかにナンバーワンライダーとして扱われるということ、そして自身の成功でロッシの鼻をあかせるという事の魅力はロレンゾにとっては見過ごせないものだった。そしてもちろん、彼は勝たねばならない。


新しいシュワンツ?

ロレンゾがヤマハから抜けた事で、推測はさらに強烈なものになった。誰がグリッド上で最も望ましいシートを獲得するのか?その明確な答えはマーヴェリック・ビニャーレスだ。しかしそれは同時に彼が次のケヴィン・シュワンツになることを諦めることでもあった。もしヴィニャーレスがスズキで優勝出来れば、彼の歴史上の居場所は確定するだろう。しかしヤマハに移籍するということは、そのバイクが勝利出来るバイクであるのか?という疑問は存在しないということでもある。


その後ル・マンで、信頼できるソースからヤマハがペドロサと契約合意に近い、もしくはすでに契約を交わしたと報じた。(※おそらくMCNのこと)これはペドロサを苛立たせ、彼は何も決定していないとして、この目障りな報道を非難した。これは実際のところ本当であり、そのすぐ後にヤマハはビニャーレスと契約した事を発表した。


ペドロサは真剣にヤマハ移籍を検討しただろうか?恐らくそうだろう。彼の批評家がなんと考えようとも、ペドロサはグリッドの中でコンスタントにレースに勝利出来る4人のライダーの1人なのだ。彼はホンダに乗っているにも関わらず勝利している。レスリングのようなフィジカルにタフなRC213Vを操縦しているということだけでなく、このバイクはペドロサの体のサイズにはさらに厄介なのだ。ヤマハのマシンであれば事情は異なる。疲れは少ないだろうし、ペドロサの驚くほどスムーズなライディングスタイルに合っているだろう。


ドミノ倒しのように

ビニャーレスのサイン後、2017年のライダーパズルは全て綺麗に場所に収まり始めた。ビニャーレスの後にはアンドレア・イアンノーネがスズキに加入し、アンドレア・ドヴィツィオーゾはDucatiでロレンゾのチームメイトとなることになった。


ペドロサはレプソルホンダとの契約を更新。そしてマルケスも同様だ。マルケスの忠誠心により、HRCはマルケスからのマシンへの批評をより親身に受け止め、さらに彼のテクニカルチームからのインプットを元に行動するようになるだろう。


Moto2は若き才能供給の為の血管であることを証明し、アレックス・リンスがイアンノーネのチームメイトとしてスズキに加入した。(実際にはリンスがビニャーレスに変わる形である。これはスズキの若い才能あるライダーと、経験のあるスピードのある選手を組ませるというスキームに基づくもの)


ヨハン・ザルコはテック3でジョナス・フォルガーと共に走る形だ。サム・ローズはアプリリアに加入。これは彼がグレシーニチームと昨年交わした契約に基づくもの。テック3のシートが2つ空いたのは、ポル・エスパロガロとスミスが共にKTMに2017年に加入するためだ。その論理的根拠はシンプルだ。比較的若い2人のライダーで同等の技術的フィードバックを持ち、同じバイクに乗っており、同じ期待をすればバイクの開発はシンプルになる。


KTMはグランプリレーシングの経験が豊富にあり、Moto3、125cc、250ccでレースをしてきたが、(そしてMotoGPでも短期間だが経験がある。)彼らはプロジェクトをスクラッチから初めている。予測可能なベースラインを持つという事は、スタートする位置としては最高だろう。


アプリリアはラインナップを完成させた最後のチームだった。アレイシ・エスパロガロがスズキから放出され、彼はイタリアの企業の最大のターゲットとなった。エスパロガロは幅広い経験を様々なバイクで持っており、Ducati、ヤマハ、スズキのバイクでライディングをしてきている。彼がステファン・ブラドルやアルヴァロ・バウティスタよりも優れているかどうかは、今後明らかになるだろう。


サテライトは少変更に留まる

LCRとスズキのいちゃつきはさておき、(ヨハン・ザルコを据える形となるだろう。)チームボスのルチオ・チェッキネロはホンダと2017年に過ごす事になる。そしてカル・クラッチローとのオプション契約を使用する事となった。


Marc VDSホンダは同じライダーラインナップで臨む。ジャック・ミラーは良い結果を残し初めており、ティト・ラバトは未だに学習中だ。Pramac Ducatiも同じライダーラインナップとなったが、チームの外からの関心はあったようだ。エクトル・バルベラはAvintia Ducatiに残留し、アルヴァロ・バウティスタがAspar Ducatiに加入するようだ。


つまり、まだ決定しないシートは2つ。1つはヨニー・ヘルナンデスが向かう事となり、ロリス・バズはAvintiaのシートを確保しようとしているところだ。

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