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★MotoGP2016 ヴァレンティーノ・ロッシ 年齢を重ねて増すスピード

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今年のロッシ選手はDNFが目立ちますが、冷静にその走りを分析すると昨年よりも圧倒的に速く、昨年の2つの課題であったペース、予選順位という問題をしっかりと克服しています。後半戦も9戦ありますから、まだ何が起こるかはわかりませんね。 f:id:teletele916:20160806080309p:plain 「1年を通じて、ヴァレンティーノは自分達と同じようなスピードは無かったですね。」これは3度目のワールドタイトルを獲得した後に、ホルヘ・ロレンゾがヴァレンシアのプレスカンファレンスで語った言葉だ。”自分達”というのは、マルク・マルケス、とダニ・ペドロサで、彼の右と左に座っていた。そして彼の言葉は正しかった。


2015年はヴァレンティーノは途方も無い走りをした。彼のペースはいつもホルヘやマルケスから少し遅れたもので、彼の競争力はスピードではなく、経験から来ているように思えた。これは彼がこの競技を長年続けていることを考えると理解出来る。これが昨年で、今年の彼は驚く事に37歳だ。そして我々はここ7年で最も強いヴァレンティーノを見ている。そしてこれは数字の上からも明らかだ。


2009年はヴァレンティーノの最後のタイトル獲得の年だ。この時はロレンゾが彼の主なライバルだった。彼らの戦いは年間を通じて観客を魅了した。ヴァレンティーノは9度目の世界タイトルを手にし、これは最高峰クラス7度目のタイトル獲得となった。2010年は同じく若きチームメイトとの戦いとなったが、ロレンゾは昨年の経験を活かしてステップアップを遂げた。2010年ロレンゾはヴァレンティーノよりも強く、シーズン終了の後にヴァレンティーノは不安定な心境となり、ヤマハに自分とロレンゾのどちらかを選ぶように迫った。


リン・ジャービスはロッシの要求を拒否し、これによってヴァレンティーノはヤマハを去りDucatiに加入した。ロッシがイタリアのバイクメーカーで勝利するという夢は最悪の悪夢へと変わり、その後の2年間は忘れ去られる事となった。ロッシはヤマハに戻る事を決め、2013年にヤマハに再び加入。ロッシがヤマハに戻ったのは、丁度マルケスが最高峰クラスに参入し、ありとあらゆる記録を塗り替えて行くときだった。2014年にマルケスはさらに素晴らしい結果を残したが、チャンピオンシップで2位につけていたのはヴァレンティーノ・ロッシだった。


ロッシが2位でチャンピオンシップを終えたのはほとんど気づかれていないような状態だったが、これは彼の能力というよりも周りのライバルの状況に影響されたものという空気が流れていた。彼が2015年にタイトル争いを展開するという事に賭けていた人間はおらず、その時点での勝利は”最後のチャンス”と呼ばれ、ロッシ自身もそう思っていただろう。


2016年にはシングルECUの採用、ブリヂストンからミシュランへとタイヤが変わり、ライダーは新たな環境に適応することとなった。ロッシは30よりも40に近い年齢で学んでいくことが出来るのか?そして同じような肉体的、心理的強さを昨年と同じように作り出す事が出来るのか?


昨年の最終戦でチャンピオンシップが手から逃げていったという凄まじいフラストレーションを飲み込んだあと、ロッシは再び挑戦をすることを決めた。2015年を分析し、学習し、ヴァレンティーノは競争力を発揮するには2つのステップが必要だと理解した。1つ目はペースを向上すること。2つ目はスタート順位の改善の為に予選の結果を良くすることだ。


1つ目の内容に関してはトラックコーチと呼ばれる、トレーニングや練習に関して新たな視点からの意見を言える人間を迎えいれた。彼のキャリアの中でこうしたサポートが必要であったことは無いが、ロッシは常に新たなアイディアや手法にオープンであるため、これが彼の向上を可能とし、新たな事を試させたわけだ。そしてルカ・カダローラという完璧な人間を見つけた。これによってロッシは最高のペースで走る為の1/10秒を手に入れた。


2つ目の内容に関してはヴァレンティーノは大きな進化を遂げた。今までのところ、ヴァレンティーノは1列目から6回スタートしている。昨年は僅か1回という状態だった。2015年の最初の9戦で、彼は5度、前から2列目以下の位置にいた。しかし今年は予選で6位以下であったのは一度だけだ。


この予選での結果向上は、この記事の最初に触れたように2009年以降初めて彼のペースが向上したという事によるもの。しかし残念ながら、今年まで彼の長所であったコンスタントさが失われているのだ。


今年彼は3度のDNFを経験し、チャンピオンシップスタンディングで僅か111ポイントに留まっている。これは彼がヤマハに戻ってきて以来最低の得点だ。そしてこうしたレースで彼がポイントを獲得しておらず、今や最速であるヴァレンティーノをタイトル獲得から遠ざけている。もう少し詳しく解説すると、9戦の中で彼は合計して51周を1位で走行しており、これは昨年の26周という数字のほぼ倍だ。今までのところ、彼は今年4戦でレースをリードしていたが、昨年に関しては1年を通じて3戦のみだった。


そしてムジェロのレースがいかにフラストレーションが溜まるものであったか!ロッシにとって今シーズンで最も失望するレースはどれかと言うと、間違いなくイタリアGPだったろう。ヴァレンティーノが最高のペースで走っていた事は明らかで、ロッシのペースは前で走ってロレンゾよりも速かった。エンジンが壊れるまでは、残りの周回でロッシが勝利するので無いかという予想がされていた。しかし現実には、彼はシーズン2度目のDNFでレースを終えた。


アッセンもこうした形でのレースとなり、ロッシは最高のペースを持ちながらレースをリードしている中で転倒し、DNFとなった。そしてザクセンリンクだ。ドイツではロッシはDNFにはならなかったものの、もし彼がチームのサインに従って早めにピットインしていれば、彼は少なくとも20ポイントを獲得し、8位では無く2位でレースを終えていただろう。


いずれにせよ、これが我々が今シーズンを分析した理由でもあるが、ロッシはレースを完走出来ないという不運に見舞われながらも、37歳にして30歳の時点のスピードを上回るという不可能に思えたことを成し遂げた。チャンピオンシップスタンディングの差は大きい。しかし後半接もまだ半分残っており、ヴァレンティーノは昨年、2年前よりも、3年前、4年前、5年、6年、いや7年前よりも強いのだ。

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