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★ウィルコ・ズィーレンベルグ「ホルヘが挑戦していないなどとは誰も言えない」

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特定のコンディションの中でフロントタイヤのフィーリング不足に苦しむロレンゾ選手について、チームマネージャーのウィルコ・ズィーレンベルグが語っています。

★ウィルコ・ズィーレンベルグ「誰もホルヘが挑戦していないなどとは言えない」

今年のMotoGPタイトル争いにおいてホルヘ・ロレンゾはマルク・マルケスの最も近いライバルと言える。しかし彼は2つのウェットレースで連続して38ポイントを失った。不可解なのはアッセンの前に完走したレースでの最低順位が2位だったにも関わらず、それらで稼いだポイントを2戦で完走したにも関わらず失ったことだ。ロレンゾにしては例外的に彼はこうした状況では遅かった。彼はウェットでのミシュランのフロントタイヤのフィーリング不足に悩み、自信を失っている。またザクセンリンクのような気温の低いドライセッションでも同様だ。ドイツGPの週末ではロレンゾは1ポイントを獲得するに留まり、マルケスとのポイント差はシーズン前半にして48ポイントとなった。Carash.netは彼のチームマネージャーであるウィルコ・ズィーレンベルグに話を聞いた。

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「説明は難しいんですが、これはホルヘにとっても同様です。ただ明らかに彼はフィーリング不足となっています。特にミシュランのレイン用フロントタイヤに関してそうです。これは既にアッセンでも問題でここでも問題となりました。ブリヂストンのレイン用フロントタイヤは消耗が大きく、その為にフィーリングが多くタイヤの限界がわかりました。タイヤはとても柔らかかったんです。ここではさらに柔らかいタイヤが投入されましたが、それでもホルヘはこのタイヤをほとんど消耗することが無かったんです。動きは大きいんですが消耗しないんです。トラックにはグリップしているんですけどね。これが彼が求めているフィーリングで、ミシュランがあまり得意とするところでは無いんでしょう。ドライ用タイヤも同様です。デュアルコンパウンドで非常にソフトなタイヤがありますが、皆がこれを使用する必要がある状況でした。でもホルヘの場合タイヤが減らないんです。全くね。ですから彼はフロントに何かを感じる必要があるんです。彼はリアを多用します。でもフロントのフィーリングが感じられないと苦戦してしまうんです。これが大きな内容ですね。」


「今年ホルヘはミシュランタイヤで素晴らしいレースをしています。3度優勝していますからね。ただバルセロナでは例外でした。ここではタイヤの消耗が大きく、ハードタイヤであっても柔らかすぎ多くのグレイニング(タイヤ表面のささくれ)が発生しました。問題は明らかにホルヘのライディングスタイルによるものでしょう。彼が最も苦戦しているわけですからね。彼は特徴的なスタイルを持っており、ほとんどの場合はこれは良いスタイルと言えます。とても正確でフィーリングを掴むとすぐにバイクの限界でライディングが出来ます。しかしこれが今出来ないんです。彼は挑戦しましたが、そのせいで3度も転倒しているんです。」


確かにロレンゾはドイツGPの週末に3度転倒し、金曜の練習走行で1回、予選で2回転倒している。これは驚くべきことだ。彼は2012年からシーズン中に3度以上転倒したことは無い。しかし彼は2016年に8回の転倒を既に記録している。


「彼は5度の世界チャンピオンですが、彼は現在自信を得るという事に大きな問題を抱えています。しかし彼はそれを公言することを憚りません。これは同時にチャンピオンに相応しいことです。言い訳はしないんです。彼はフィーリングが無いと語ります。これ以上プッシュすると転倒してしまうと。ライダーが最もしたくないのはシーズン中に体を痛めることです。ただホルヘは最終的には週末に3度も転倒しました。ですから誰もホルヘが挑戦していないだとか、リスクを冒していないなどと言えるはずがありません。」

★ウィルコ・ズィーレンベルグ「誰もホルヘが挑戦していないなどとは言えない」

ホルヘにとってタイトル獲得の望みは、この問題をいかに解決出来るか、もしくはこの問題を最小化出来るかどうかだ。彼自身も何かをしなければいけないと認めているが、ズィーレンベルグはミシュランのタイヤが変わることを望んでいる。


「ミシュランが最適なタイヤを選択したサーキットを見つけるということです。シーズン序盤に彼は3勝しました。ですから彼が良い形でライディング出来、バイクのフィーリングを感じる事が出来たコンディションがあるんです。我々はバイクに多くの変更を加えていませんから、他の要因があるはずなんです。」


ロレンゾにとってタイヤのキャラクターが大きな要素となる。ズィーレンベルグはチームメイトのヴァレンティーノ・ロッシが雨で強いことから、問題の根はタイヤのキャラクターとロレンゾのユニークなスタイルにあると考えている。


「ヴァレはアッセンで素晴らしいレースをしました。転倒したにも関わらずです。それに今日のレースでもマルケスとホルヘに対して多くのポイントを獲得しました。ですからパッケージが完璧におかしいとは言えないんですよ。でもライダーはフィーリングを必要としている。ヴァレのスタイルでは出来て、ホルヘのスタイルのでは同じフィーリングを感じる事が出来ないんです。」


では何がロッシとロレンゾのスタイルの大きな違いなのだろうか?


ホルヘはより流れるようなスタイルです。彼は他のライダーほどにはタイヤに荷重を与えません。ですから彼はタイヤをプッシュして働かせることが無い状態でのグリップでライディングしているんです。ある面ではこれは良いことなんですが、ある局面ではタイヤは激しく酷使される事を必要とするんです。また今日マルケスがウェット路面でスリックタイヤを使用しましたが、他にあんな事が出来るライダーはいないと思いますね。ミックスコンディションの中でスリックが機能するだけの熱をタイヤに与える事が出来るんですから。”ホルヘはマルケスと較べてバイクを交換するのが遅かったんだ。”と後から言うのは簡単です。マルクとはライディングスタイルが違いますし、マルクは早めにスリックに交換することで追いつきたいと思っていたんですから。」


ザクセンリンクでマルケスはシーズン3度目となる優勝を記録。これはロレンゾと同じ数だ。しかしマルケスは全てのレースでポイントを獲得しており、表彰台を逃したのは僅かに一回だ。


「今までのところマルケスは賢くやってますね。彼は転倒は多いですが、いつも良いタイミングで転んでいます。今朝だって大きな転倒をしましたけど、あれで大怪我をする可能性もあったわけです。今年は妙なシーズンで、誰が誰よりも速いというのは中々言えないですね。マルケスは48ポイントのリードを築いていますが、過去には苦戦しフラストレーションを抱えている時期も多かったわけです。」


しかしフラストレーションを抱えているのはヤマハも同様ではないだろうか?シーズン開幕では最高のパッケージと言われながら、両ライダーともにトップからは48ポイント、59ポイント離されている。


「あまりせっかちにフラストレーションを抱えるべきではないんです。(ウインターテストでは)ホンダは少しパニックになっているようでした。またホンダのライダーも”ヤマハのライダー達からは遠いところにいる”と話していましたからね。でも実際のところ大きな違いは無いと思うんです。マルクは彼が利益を得られるタイミングでポイントを稼ぎましたが、まだレースは続きますし多くの事が起きえますよ。」


9年間のMotoGPシーズンをヤマハで過ごした後、ロレンゾはDucatiで2017年から新たなチャプターをスタートすることとなる。これはズィーレンベルグにとっては、現在スズキで走る若きスペイン人ライダーであるマーヴェリック・ビニャーレスと組むことを意味する。同時にロレンゾの4度目のMotoGPタイトル獲得に集中しながら彼はこう語る。


「まずは今シーズに優勝を遂げたいと思います。それから来年ですね。まずはビニャーレスとは打ち解けるところから初めて、彼がスズキから感じていたフィーリングについて話します。彼がヤマハで初めて走ってみて何を感じるかというのは興味深いですね。それから仕事を初めますよ。」


By Peter McLaren

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