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★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

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DrysdaleのV8エンジンバイク。このバイクは海外のサイト等を見ていると時々目にする機会があったんですが、今までご紹介する機会がありませんでした。750ccバージョンと1000ccバージョンがあるようですが、V8エンジンをこれほどコンパクトに実現し、なおかつスポーツバイク然とした形で成立させているのには驚くばかりです。一応youtubeにあった動画を本文中に挟んでいますが、圧巻のエキゾーストサウンドはmotorcycle.comのオリジナル記事でお楽しみいただけます。

★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

イアン・ドライスデールが彼のメルボルンのワークショップでV8エンジンのブリッピングをしている際、そのサウンドは私にはF1マシンが唸っているかのように思えた。首筋の後ろの毛を逆立てるようなサウンドを発生するバイクは限られている。MotoGPバイク、プロストックドラッグレーサー、2ストロークレーサー、そして驚くべき自家製のバイク達だ。エンジンの温度が上がるに連れて、イアンはMoTeCのディスプレイを注意深く見守る。彼は最終的に他のバイクがけして奏でることはないV8エンジンの素晴らしいサウンドがワークショップを満たすまで、徐々に回転数を上げていった。この音のためだけに1台欲しいくらいだ。

★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

イアン・ドライスデール

「7,000回転までしか回してないよ。17,000回転の時のサウンドを聞いたほうがいいね!」

このバイクを近くで見るために近寄ってみると、その仕事の丁寧さは際立っている。ゴージャスなサンドキャストのクランクケース、シリンダーブロック、曲線美を活かしたボディーワーク、そして驚嘆すべきエキゾーストシステム、その取り回しは8-2-1-2というものだ。「数ヶ月もエンジンをかけていなかったんだよ。」とイアンは語る。アイドリングは計器盤で88ºCで安定している。イアンによるとこのバイクの冷却系は非常に優秀で、オーバーヒートする事無く長時間アイドリングが可能とのことだ。イアンがさらにエンジンを回した際のサウンドは今回ビデオに収めることが出来たもので、その素晴らしいサウンドを楽しむ事が出来る。この750ccのバイクはイアンの個人的なバイクだ。残念ながら私がフォトグラファーと別に訪れた際に1000ccはワークショップ内になかった。しかし750ccのサウンドは1000ccのサウンドがどのようなものであるかを想像させるには十分であるし、未だにそのサウンドを思い返すと顔がニヤけてしまう。フラットプレーン型の180度クランクのV8サウンドは、ステロイドをキメたフェラーリのようだ。

★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

イアンによって最初に作られたV8エンジンのバイクは1997年に遡る。このバイクは世界で話題になり、イアンは後年Bruiserと呼ばれるネイキッドの1000ccバージョンを製作している。そして今回写真撮影した1000ccのスポーツバージョンが4台作られ、クレイジーなV8バイクを製造しているオーストラリアのPGMの半額である$80,000ほどで、顧客のもとに届けられている。イアンは更に2台を顧客のために製作する予定とのことだ。残念ながら、写真撮影をしたバイクはその後プロの仕業によって盗まれてしまった。このバイクは厳重なセキュリティ、犬、セキュリティカメラなどにも関わらず盗まれてしまった。イアンはこれは海外、例えば中国の窃盗団の仕業では無いかと考えている。機械、エンジニアリングのオタクである私は彼のワークショップをジロジロと見て回った。私はヘリも好きだが彼のワークショップには1台、ホンダのブラックバードのツインターボエンジンへの交換を待っているヘリがあった。そしてその他にはPratt & WhitneyのR-4360 28気筒/3500馬力を誇る星形エンジンもあった。彼に何故このエンジンを所有しているのか聞いてみたが、彼の回答は「聞いても多分わからないよ。(笑)」というものだった。こういった彼の嗜好から見てとれるのは、彼はエンジンを愛しており、その中でも特殊なエンジン、とにかくパワフルなエンジンが好きなのだということだ。

★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

Drysdaleにおいて最も重要な事は製作者でありエンジニアであるイアン・ドライスデールだろう。彼はモーターサイクルエンスージアストであり、バイクを販売目的、評判の為に作っているわけではない。彼は純粋にV8エンジンのバイクを作るという挑戦に挑んだのだ。元々はサイドカー用のエンジンを作るという試みが昔にあり、その中からV8エンジンを作るというアイディアが出てきたのだ。 イアンは長年色々なバイクを所有してきた。そのラインナップはCX500(※ホンダの2気筒バイク。ターボ付きの車両が有名ですね。)からKTM950アドヴェンチャーのような最新のアドヴェンチャーバイクまでに渡る。そして彼は同時にXR、TT、BSA、CT90などの旧型のバイクなども多数所有してきた。彼は本当にバイク好きであり、同時に非常に優れたエンジニア、製作者、機械工、メカニックであり、チューナーだ。イアンは10歳の頃からバイクに乗りはじめ、ヘリコプターに乗るのも大好きだった。これは本当に空を飛ぶバイクと言える乗り物で、57歳の彼は常にバイクに関連した何がしかをして過ごしている。

★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

このV8、1000ccエンジンはDrysdaleのオリジナル部品とヤマハのOEMパーツから出来ている。まずはこのエンジンとクランクケースについて話を進めよう。このサンドキャストの美しい製品はイアンによって作られた。そしてAccurate Patternsのネイル・キルナーがエンジンのキャストアップを手伝った。YZR600のピストンを加工したもの、Crowerのカスタムコンロッド、Drysdaleがデザインしマシニングを行った180度クランクシャフトが使われており、このクランクシャフトは加工されたヤマハのベアリングの上で回転する。圧縮率は10.5:1だ。V8エンジンであることを考えると全ては回転数が重要なのだが、ピストンスピードを低減させるというボーナス的な意味合いはある。4つのカムシャフトはイアンとチームによって作られており、オーストラリアのClive Camsによって仕上げられている。両方のカムはチェーンドライブとされている。シリンダーヘッドはFZR600のもので、大幅にポート加工、フローベンチを使ってフロー加工がされている。吸気バルブはOEMのものを使用しているが、排気バルブについてはイアンがデザインし、製造している

★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

ロワーケースはオリジナル、ヤマハFZR1000のものを加工した湿式クラッチ、同じく加工したYZF750のギアはカセットスタイルに加工されている。そして広大なウェットサンプを備えている。最終的なギアは(※多分スプロケのことかと)16/48となっており、シフトパターンはロードシフト、クラッチは湿式となっている。エンジンはしっかりとしたマネジメントが必要で、イアンはMoTeCのM800 ECUとMoTeCのコントロールシステムを使用している。39mmのケイヒンスロットルボディに電子式高圧フューエルポンプが燃料を供給し、このV8エンジンはシルクのようなスムーズさで吹け上がる。エアボックスはDrysdaleのデザインのもので、エアクリーナーはマツダの車用だ。エキゾーストシステムはDrysdaleのデザインで、まさに芸術と言えるものだ。まお、マフラーはBlack Mambaのものを使用している。

★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

エンジンを自前で作るのはいつでもチャレンジングなものだ。また、このバイクのホイールベースは1415mmと短い。フレームはERWスチールを使用したトレリスタイプ。イアンはパウダーコートはフレームのアライメントに影響を与えると気づき、このフレームは塗装で仕上げられている。その他にはヤマハのパーツが多数使用され、三叉、ハンドルバー、ブレーキ、ホイール、レバー、マスターシリンダー、フロントフェンダーなどは全てYZF-R1のものを使用する。フォークの内部パーツはDrysdaleのものだ。スイングアームはZZR1100のものを大幅に加工しており、Drysdaleのリンケージがマウントされる。リアショックはオーリンズのカスタムメイドの製品だ。ジオメトリーによって俊敏なハンドリングを実現するが、安定性は維持されている。そのためステアリングダンパーは装備されていない。


ボディーワークはゴージャスなファイバーグラスのワンピースからなる。これはダンカン・ハリントンによってデザインし製作されたもので、フェラーリ・イエローでペイントされている。燃料タンクはこのボディーワークの下側にあり、アルミニウムから出来ている。2連のヘッドライトはCBR250のものだ。


このバイクはイアンによって3000時間をかけて作られている。残念ながらイアンのビジネスパートナーであるプロフェッサー マイケル・マッケンジーは2015年イギリスで開催されたSV650カップでのレース中に事故死しており、今後完全なポテンシャルを持ったDrysdale V8を見る事は出来ない。Drysdaleモーターサイクルに興味があれば、彼らのページを訪れてみて欲しい。

★V8エンジンの1000ccスポーツバイク Drysdale V8

Drysdale1000主要諸元

  • エンジン:Drysdale1000、32バルブ、OHC90度4ストローク水冷V8
  • ボアxストローク:62mmx41.3mm
  • 圧縮率:10.5:1
  • 吸気系:ケイヒン39mmスロットルボディx8
  • シャーシ:ERWスチール製トラスフレーム
  • ホイールベース:1415mm
  • フロントサスペンション:KYB43mm
  • リア・サスペンション:カスタムメイドオーリンズ製
  • ホイール:YZF-R1のもの
  • ブレーキ:ニッシン製キャリパー、320mmディスク、220mmディスク
  • カウル:ファイバーグラス製

www.motorcycle.com

http://www.drysdale-v8.com.au/