★MotoGP2016ヘレスGP 決勝プレスカンファレンス翻訳
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先週に行われたヘレスGPの決勝プレスカンファレンスの翻訳をお届けします。今回は圧倒的な形で優勝を収めたロッシ選手に対する質問が多い決勝プレスカンファレンスでした。しかし皆が苦戦したというリアタイヤのスリップに関する突っ込んだ質問はあまりなく、その問題に関する突っ込んだ質問を期待していただけに拍子抜けです。それにしてもライダーの話を聞いていないジャーナリストが多すぎるなというのは毎回プレスカンファレンスを聞いていて思います。ライダーがさっき別の形で説明した内容を聞く質問をしたり、他のジャーナリストの質問にライダーが答える前に質問を喋り出したり。。
ニック・ハリス
「今週はあらゆる意味で完璧な週末でしたね。」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「金曜から良い形でスタート出来ましたし、昨日はポールポジションを獲得出来ましたので、これ以上ない形でした。今日も最初から最後まで良い形となりました。グリッドにいる時から今日は良いペースで走れると思っていました。ただメカニックが1コーナーから最後までリードしてはという話をしてきたので、それもそうだなと思ったんです。良いスタートが出来、最初からバイクに対する印象は良かったですね。グリップも良かったですしね。後続の音が遠くに聞こえたのでアドバンテージを作れているなと感じプッシュしていきました。」
ニック・ハリス
「多くのライダーがリアタイヤのスピニングに悩まされていましたが、あなたは後続との差を保ってコンスタントなペースで走行していました。」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「自分もストレートでスピンがあったんです。昨日も練習走行の段階でこのスピニングが少し発生していたんですが、今日は更に問題が深刻でした。今日も残り10周くらいでスピニングが始まりスローダウンせざるを得ないかと心配しました。タイヤも振動し始めていましたしね。ですからストレートでは半分くらいスロットルを閉じてスピンを起こさないように走行していたんですが、幸運にもタイヤはコーナーではしっかりと機能していましたので40.8、40.9というペースを維持して走る事が出来ました。」
ニック・ハリス
「スタートが重要ですが素晴らしいスタートでした。最初の2周はホルヘが後ろから2度3度と迫ってきていましたが、うまい形でリードを保ちました。」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「スタートも良かったですし、1周目の段階からアドバンテージがあるのがわかりました。ただ2周めは40.6という冴えないタイムでした。というのも状況が信じられなくてね。(笑)ロレンゾ抜かれた瞬間がありましたが、自分のペースが良い事はわかっていたので、その後は独走することが出来ました。」
ニック・ハリス
「オースティンの後では本当に重要な展開となり、チャンピオンシップ争いにも浮上しましたね。」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「オースティンでの自分のミスにはがっかりしています。というのもかなりのポイントが獲得出来たはずですからね。ですからそのせいで現在はチャンピオンシップを意識することが出来ません。ル・マンでも集中して良い結果を残したいと思います。」
ニック・ハリス
「ル・マンはヘレスと異なるサーキットであなたの好きなサーキットでもあります。」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「ヘレスは非常に重要なサーキットです。というのもここで強い走りが出来れば、他のヨーロッパのサーキットでも強い走りが出来るものなんですよ。ただこれは正しいか間違っているかわかりませんけどね。自分はル・マンが好きでヤマハ向きのサーキットでもあります。ただ難しいサーキットですし、天候も安定しません。ル・マンでも金曜からこうした形で作業をしたいですね。」
ニック・ハリス
「ヴァレンティーノありがとう。そして通算113勝目おめでとうございます。それでは2位となったホルヘ。今日は20ポイント獲得となりましたがガッカリですね。序盤に逃げる事が出来ず、その後はロッシに追い付く事が出来ませんでした。」
ホルヘ・ロレンゾ
「良いスタートが出来なかった事が残念なのではなくて、むしろ最初の3戦よりは良いスタートでした。ただその後ヴァレンティーノを抜くことが出来ず。ブレーキを強くかけすぎてフロントがロックしてしまいました。ロッシは序盤と中盤に非常に速く数mずつ離されていきました。その後ストレートで少しスピンを感じるようになり、ロッシとの差をどんどんと詰めていっている中で、突然リアがタイヤのセンターで酷くスピンするようになってしまいました。そこでスロットルを80%程度の開度で開けざるを得ず、これは自分のMotoGPもキャリアでも初めてのことです。そのために彼に追い付く事が出来なくなってしまいました。今日はたまたまこうしてマルクに勝つことが出いましたが、チャンピオンシップで考えるとロッシはオーステンで転倒しており、自分達はマルクに対して4ポイント挽回が出来ました。自分のキャリア100回目の表彰台獲得は嬉しいですし、こうした結果を残せたことは嬉しいですね。このカテゴリーで1位2位を獲得してコンスタントに結果を残せているというのは嬉しいですね。それにこの結果は過去に3人のライダーしか成し遂げていないですからね。」
ニック・ハリス
「ホルヘありがとう。それではマルケス。今日はフロントにとどまっている瞬間がありましたが、途中で16ポイント獲得という方向に気持ちを切り替えたのでしょうか?」
マルク・マルケス
「そうですね。今日はダニに抜かれた後に抜き返してホルヘを追いました。その後ホルヘを追っていたんですが、フロントタイヤの感触が良くありませんでした。今日の気温と自分のライディングスタイルは良い形で噛み合わず、フロントタイヤのオーバーヒートによってブレーキングでバイクを止める事が出来ませんでした。また全ての加速ポイントで加速の度にホルヘが数メートルずつ離れていき、加速で失っている分をブレーキングで取り戻そうとフロントタイヤをオーバーヒートさせてしまう形が続きました。ですから今日は多くのファンの前で難しい選択をせざると得ませんでした。チャンピオンシップの面ではリードは変わりませんし、0.2秒差でゴールしようが7秒差でゴールしようが関係ないですからね。ですからその後はベストを尽くして16ポイント獲得の走りをしました。明日の月曜のテストでは改善すべきエリアが沢山ありますから集中したいですね。」
ニック・ハリス
「昨年は少しハードに攻めすぎましたかね。」
マルク・マルケス
「確かに昨年はそうでしたね。それに昨年のウインターテストで多くを学んだんです。それにレースの前に中本さんからも「頼むから完走してくれ」とお灸を据えられました(笑)それにサンティからもヘレスは自分のライディングスタイルとしてはベストのサーキットでは無いという話もありましたのでね。それにバイクのレベルも100%と言える状態ではありませんし、ヴァレンティーノが素晴らしい走りをしており、ロレンゾも自分達よりも少し速いペースでしたから、16ポイントを獲得して次のレースまではおとなしくしていようと思ってんです。」
ニック・ハリス
「マルクありがとう。それではフロアからの質問をどうぞ」
Q
「昨日は最終ラップ、最終コーナーに1位で1秒の差で進入したいと語っていましたが、ここまでの大きな差をつけての勝利を予想していましたか?また他に何か願いごとをしていましたか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「確かに最終コーナーは過去に色々とアグレッシブなパッシングがありましたから危険なスポットですよね。正直1周目にもう少し苦戦するものだと思っていたんですよ。というのもロレンゾがいつもスタートでは強いですからね。ただユーズドタイヤで自分のペースが良い事はわかっていたので落ち着いて走る事にしました。ですからミスをしないように彼に序盤付いていけるようにと考えていました。また、マルケスのペースが良いことも分かっていました。ただ良い形でスタートすると全てがより簡単になります。それに最初の段階からグリップが非常に良かったですね。この差は週の間の作業によるものだと思います。」
Q
「ウォームアップの2回目の出走の際は非常に速いペースでした。何かセットアップが違ったのでしょうか?またマルケスに聞きたいのはターン6でブレーキをミスしていましたが、これはブリヂストンのようにブレーキングを行うとしたからなんでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「昨日はニュータイヤで特に良いタイムでしたし、ポールポジションも獲得することが出来ました。ペースは悪くありませんでしたが、勝つためには更にもう一歩が必要でした。ですから今朝にブレーキングと向き変えについてさらに向上させるべきセッティングを行いました。1台目のバイクではそこまでという感じでしたが、2台めのバイクでは大きなステップアップを果たしました。タイムも出ましたしより良いラインで走る事が出来ました。このモディファイによってレースではさらに強い走りをする事が出来ました。」
マルク・マルケス
「先程も話した通り、加速でタイムを失っていたのでブレーキングで稼ごうとしていたんです。そしてレースウィークの中ではそういったライディングスタイルで走る事が出来ていたんです。というのも気温がもっともっと低かったですからね。ブレーキをハードにかけることが出来なくて1度トライしてまたトライしてみたんですが、フロントがロックしてしまってリリースした際に膨らんでしまって、それでこれは無理だと判断したんです。」
Q
「今日はあなたがヤマハに戻ってきてから一番素晴らしいレースだったと思います。今回のレースの内容としてはタイヤなのかエレクトロニクスなのか、もしくはその組み合わせによるものなのでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「まずはヘレスで強い走りが出来るだろうというマインドセットであったという事が挙げられます。このタイヤ(ミシュラン)で育っているというのもありますし、良い感触で走る事が出来ました。ブリヂストンのタイヤも非常にレベルの高いタイヤですけど、ブリヂストンのタイヤを使用するようになった頃は自分は既に年をとっていましたからね。ですからヘレスではミシュランのタイヤで本当に良いフィーリングで走行が出来ました。エレクトロニクスはあまり関係無いと思いますね。高い集中力、いかに作業をするかという事がヨーロッパにラウンドの初戦においては重要になると思います。」
Q
「MotoGPで初めて勝った時も良い形だったと思うのですが、(※質問者の英語がメタクソで意味不明 多分こんな事かと。。)高い集中力を維持する秘訣は何でしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「自分の最後の勝利は昨年のシルバーストーンです。で、その後のレースでマルケス、ペドロサが勝利しました。ですから今回は自分の番だったと思います。自分が2015年に2014年に比べて失っていたものは、フロントでレースをリードするということなんです。昨年は勝利するのに苦労しましたが、いつもらストラップに追い付く走りとなっていました。それに今年はフロントで走る事は全くありませんでしたから、今回のポイント獲得は本当に嬉しいですね。」
Q
「今週の結果においてルカ・カダローラが果たした役割はどのよなものなのでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「大きいですね。彼は素晴らしい情熱とともに素晴らしい経験を持つ人物です。ですから今週はともに働いて多くのアドバイスを貰いました。トラックにおける小さな物事やセッティングについて色々とアドバイスを貰いました。そういうコーチ側の視点としても今季初の優勝は嬉しいですね。」
Q
「今回の勝利に特別な意味を感じますか?というのも昨年はホルヘがここで圧倒的に強かったわけですが。」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「自分にとってはロレンゾはヘレスでいつも強いですから、ヘレスで調子が良いというのは重要な事です。それに今回はまさにこういった結果が欲しいと思っていた時ですからね。」
Q
「金曜はあなたが強く土曜はヴァレンティーノが強かったわけですが、今日のこのギャップというのは何か土曜日に何かしらの問題が見つかったのでしょうか?」(※質問者の英語がメタクソのため、推測するにこんな質問のはずです。)
ホルヘ・ロレンゾ
「今日は確かに思ったようなライディングが出来ませんでした。次のレースからは1列目でスタートして1位ポジションで走行出来れば、もう少し良い走りが出来ると思います。今日の温度の中ではロッシと同じような走りが出来ませんでしたね。後半になってヴァレンティーノに追いついてきた時にリアタイヤの問題が出てきてしまい、そこで彼に追い付く事が出来ませんでした。ですから次回はリアにこうした問題が起きないことを願いますね。というのもフロントは本当に良くなったんです。」
Q
「今日はバイクとそれに表彰台でも日本の国旗を掲げていました。これは日本の地震へのサポートだと思いますが、彼らに対する思いなど語ってもらえますでしょうか。」
マルク・マルケス
「日本での震災は本当に心配しています。ですからバイクにステッカーを張り、表彰台でも国旗を掲げたんです。それにホンダの工場(※熊本工場)も大きな影響を受けています。ただ皆が日本と共にありますし、日本だけではなくこうした状況にいる人々を助けようと思っています。」
Q
「今日の優勝でアゴスティーニの記録に近づいて来ました。この記録を破る事が可能だと思いますか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「これはあまり話さないほうがいいね。アゴスティーニが怒るからね。(笑)それに全然近づいていませんよ。遥かに遠い記録です。」
Q
「序盤のレースでは多くのライダーが転倒しましたが、今回は2人だけでした。この変化というのはフロントの問題なのでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「自分はオースティンで転倒しましたけど、これは自分のスタートでのクラッチの問題によるものです。それで集中を欠いてしまった結果でしょう。ただその前の2戦ではタイヤが自分のバイクに合っていませんでした。ただその後に同じ構造のタイヤでレースを完走する事が出来ました。リスクがあることは理解していますが他の方法はありません。(※オースティンで)マルケスが使用した最初のタイヤでは自分達はレースを完走出来なかったでしょうしその他のタイヤは硬すぎてタイムも2秒遅かったんです。ですから結局同じタイヤで走行せざるを得ず、それでワンミスで転倒してしまいました。ただ今回のフロントタイヤに関しては良い感触です。」
Q
「ホールショット獲得、全ての周回でレースをリードしましたが、これはある意味あなたのチームメイトのロレンゾのスタイルですが、これは新生ヴァレンティーノということなのでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「レースは毎週ごとに違うストーリーを持っています。今はこうした勝利を味わっているわけですけど、10日後はまた別の話かもしれません。2週間後にその質問に答えることが出来るかもしれません。」
Q
「ここでの最初の勝利は20年も前でした。肉体的、精神的にその頃と比較していかがでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「より難しいですね。多くの努力、トレーニングが必要です。MotoGPは今年で14年目ですが違いとしてはモチベーションですね。勝利を重ねたい、現役を続けたいと思う場合には特にこれを感じる事になります。20年前は色々な事が簡単でしたから、どんどんとこれが難しくなっているのは確かです。ただそれほど悪くないなと感じています。」
Q
「今回装着していたウイングレットが、フロントタイヤのオーバーヒートに関係があると思いますか?」
マルク・マルケス
「面白い質問ですね。明日のテストで色々とテストをすることになると思います。ただ練習走行の間では加速においてなどメリットがありました。本当に効果があるのかなど見ていく必要がありますが、少なくとも練習走行においては効果がありましたし、両ヤマハライダーに近いレベルで走行する事が出来ましたね。今日の気温の中では自分なのかバイクなのか両方なのかなどわかりませんが、問題を感じて3位での完走となりました。ただ今日は自分達のレベルはそこまで高くないと分かっていましたし、表彰台獲得が目的でしたから16ポイントでも問題はありませんね。」
Q
「今日は3位獲得を果たした事で、「今日のマルケスはチャンピオンシップを意識して走行していた」という意見もあれば、「あれは本当のマルケスじゃない」というような意見もありました。今日のレースに関しては自分の中でも数年前のように勝利したいというような葛藤があったのでしょうか?」
マルク・マルケス
「もちろん頭の中で戦いはありました。ただ優勝を目指してプッシュするにはバイクの感触が良くないといけませんし、それだけ自分の戦闘力が高いと感じられなければいけません。戦闘力は高いと感じられていましたが、2014年のようなフィーリングはありませんでした。自分のやりたい事が出来て、バイクの上で自由自在に動けるという感触が必要なんです。ただ自分達にはポイント上でのアドバンテージがありますから、完璧だと感じられる瞬間まではおとなしくしていないといけません。ベストのコンディションではないけどファンの為にファイトをしたほうが良いかもしれないという気持ちはありますが、去年のような状況は繰り返したくないですからね。ですからこれをしっかりと理解して同じようなレースを続けることですね。」
Q
「思うにミシュランタイヤはヤマハにより合っているように思えますが、バイクに観点で何がそうさせているのでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「去年ミシュランで作業を始めた時は、かなり。。悪かったですよね。毎回転倒していましたし理由もわかりませんでした。ただ自分達のバイクが良いバイクであることはわかっていますし、とても乗りやすいバイクです。それにチームもセッティングの向上をしてくれ、ミシュランをいかに使用するかを理解して行くことが出来ました。これが鍵だと思いますね。」
ホルヘ・ロレンゾ
「自分達のバイクは基本的に良い形でミシュランに適応することが出来ました。ただオースティンやアルゼンチンといったマルクがとても強かったサーキットは別ですね。基本的には自分達はいつも練習走行でもトップ3にはいましたね。リアタイヤがソフトであればもう少し戦闘力は高いと思うんですが、今ミシュランはそれを全てのライダーに提供するためにハードに仕事をしている事だと思います。これがあれば自分達も大きなアドバンテージが得られるようになると思います。」
Q
「フロントに関する不満はあまり出ていませんが、これはフロントが良くなったから?それともリアのグリップが低くてコーナーでフロントを押し出していないからなのでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「フロントは良くなったと思います。それに冬期テストの間もフロントは本当に良くなりました。ミシュランも常に性能を向上させるために作業をしていますしね。」