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★2016 MotoGPでブレーキに厳しいサーキット

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本国のBrembo (@BremboBrakes) | TwitterさんからMotoGPのどのサーキットがどのようにブレーキに厳しいのか?という内容をプレス資料として頂きましたのでご紹介させていただきます。最大減速の平均値、減速G、ブレーキの冷却時間などなどを元に製作されたというグラフを見ると、各サーキットごとにブレーキがどのような使い方をされているのかが明らかですね。大変勉強になります。

★Brembo 2016 MotoGPでブレーキに厳しいサーキット

ブレンボが予想するブレーキの負荷が大きいサーキットのランキング

カタールで開幕戦を迎えたMotoGP。今シーズンはあと17戦が行われます。2016年の開催予定地は、フィリップアイランドやムジェロのようにラップの平均速度が時速176kmを超える高速コースと、時速157km程度のバレンシアなど、スピードの違うサーキットが入り交じり、またブレーキを頻繁に使うコース、大きなコーナーが特徴のコースなどさまざまです。MotoGPの最高クラスの全サーキットについて、マシンにかかるブレーキの負荷をブレンボが予測してみます。

ブレーキングの回数

選手はフルスロットルで走ってスピードの差はほぼエンジンパワーの違いだと一般には言われますが、これは完全には正確ではありません。100分の数秒をかせごうと他の選手より早くスロットルを開ける選手もいるからです。しかし、それはまた別の話です。ライディングという観点での差が一目でわかりやすいのは、ブレーキングです。ブレーキを使用する箇所はサーキットごとに数が異なり、フィリップアイランドは1ラップで3か所ですが、開幕から4戦目までのサーキットはどこも8か所ずつあります。また。ラップの長さもサーキットごとに違います。あらゆる要素を均一にするために、ここでは1レースのスタートからゴールまでを考えてみます。ちなみにレギュレーションでは約110~120キロメートルと規定されています。

★Brembo 2016 MotoGPでブレーキに厳しいサーキット

サーキットごとの違いがより明らかに出てきます。バレンシアでは、選手がブレーキングする箇所は240か所ですが、フィリップアイランドでは80か所を少し上回る程度ですから、3倍を超える数です。数が極端に多いサーキットを除いても、サーキットごとの違いはまだあって、いくつか挙げてみると、セパンでは120か所、もてぎでは168か所、インディアナポリスでは189か所とまちまちです。とにかく、こうしたブレーキ箇所の数は、サーキットの特徴ではあるものの、ブレーキシステムにかかる負荷の大きさを正確に表すパラメーターとはみなせません。実際、この値には、ブレーキ箇所ごとのブレーキの強さや難しさといった要素は含まれていません。たとえば、バレンシアの場合、ブレーキ箇所は240か所ですが、ブレーキシステムにかかる負荷はシーズンの平均を下回ります。

ブレーキングと減速に要する時間

我々の予想値の信頼度を上げるために我々が徹底的に調べたのが「過去の実績に基づく」指標です。これはブレーキシステムにとって重要なデータで、MotoGPのブレーキングに要する時間の割合を横軸とし、最大減速の平均値を縦軸として示したものです。横軸はレース中にブレーキングに要した時間で、縦軸はそのレース中に使用したブレーキの強さの最大値を平均したものを、減速Gという客観的な数値で表しています。

★Brembo 2016 MotoGPでブレーキに厳しいサーキット

右上のエリアでは、もてぎとセパンだけが突出して座標軸から遠く離れています。この2つのサーキットでは、選手がブレーキングに要する時間が長く(レースの少なくとも約4分の1でブレーキを使用)、ブレーキ箇所で減速する最大値の平均値が高くなっています(1.4Gを上回る強さ)。逆に、左下のエリアにあるサーキットは、ブレーキングに要する時間が短めで、選手の体やブレーキシステムにかかる減速の最大値の平均値も低めです。したがって、フィリップアイランドやアッセンは、ブレーキにとって負荷が少ないサーキットだと推測できます。ただし、そのフィリップアイランドでも選手が時速267kmから109kmに減速する際にはブレーキレバーに5kgもの力が加わるので、負荷が「少なめ」というのはあくまで比較的という意味です。


右下のエリアは、ブレーキングに要する時間は長いのにブレーキの強さは低めのサーキットです。テルマス・デ・リオ・オンドとオースティンは、1ラップでブレーキは8か所ですが、そのうちの多くは「優しい」減速の仕方です。左上のサーキットも決してあなどれません。ブレーキの使用回数は多くありませんが、かける際は非常に強くかけます。このエリアに属するサーキットには、ブレーキに厳しいコーナーがあって、たとえばムジェロ(中でもサン・ドナート・コーナー)とブルノ(特に1コーナー)では、ブレーキシステムに非常に強い負荷がかかります。

ブレンボの技術者が判定する最も厳しいサーキット

2枚目の図は、1枚目の図と部分的に異なる内容を示しています。1枚目の図では分析の完成には不十分で、これまでとりあげてきた量的な要素を、測定の難しい質的な要素と統合する必要があるためです。この図には、アスファルトのグリップ(カーレースも開催するサーキットなのか、あるいはバイクレース専用サーキットなのかの違い)、天候条件、ライディングスタイルやバイクの動特性といった変動する要因が含まれています。さらに、ブレーキシステムにとってのサーキットの難しさを判断するためには、ブレーキングの箇所でどんな強さが加わるかとその箇所がどんな配置なのかも重要です。アラゴンのようにブレーキングの箇所が連続するサーキットと、ザクセンリンクのように間隔が空いているサーキットとでは、ブレーキの冷却時間に違いが生じます。


こうした要素を全部考慮に入れるのは決して簡単な作業ではありませんが、ブレンボの技術者たちは、40年間(最高峰クラスが2ストローク500ccの頃から)MotoGPに携わってきたキャリアがあるため、解析する能力を持ち合わせています。その手腕は、MotoGPに出場するライダーのほぼ全員がブレンボの技術者たちを信頼してきたことで明らかです。ブレンボの技術者たちのノウハウによって、前にあげた図表とは部分的に違うランキングが完成しました。2016年の世界選手権が行われる18のサーキットをそれぞれ対象とし、MotoGPに携わるブレンボの技術者が、レース中のブレーキシステムにかかる負荷の大きさを1~5点で評価しました。

★Brembo 2016 MotoGPでブレーキに厳しいサーキット

ブレーキシステムにとって非常に負荷が少ないと推定したサーキットは、フィリップアイランドとアッセンの2か所だけでした。平均的と評価したサーキットは今年の場合9か所です。ヘレス、シュピールベルク(MotoGPは初開催なのでここの条件は要確認)、ブルノ、アラゴンは厳しさの度合いが高く、ブレンボの技術者は「難易度高」(4点)という評価をしています。ブレンボのブレーキシステムにとって特に厳しいと思われる「難易度最高」の5点をつけたのが、もてぎ、セパン、バルセロナの3か所です。


従来からツインリンクもてぎは、ブレーキに大きな負荷がかかるセカンドギアのコーナーが多いためブレーキには最も厳しいサーキットです。第1コーナーから第10コーナーまでブレーキをほぼ連続的に使用し、ブレーキングした箇所とその次の箇所の間でディスクがなかなか冷却されません。そのうえ、きずのない完璧な舗装はグリップが高く、タイヤが浮かずに制動トルクの放出が最適に行われるため、ブレーキシステムにかかる負荷が大きくなります。セパンは強いブレーキングの箇所が多いことが特徴で、特に最初と最後は過酷です。いずれもブレーキングの間に時速220kmも減速し、ブレーキレバーには少なくとも6.5kgの力がかかり、減速Gの最高値は1.6Gを超えます。ブレーキングに要する時間の割合が大きいうえに熱帯特有の気象条件があるため、温度管理はブレーキにとってもライダーにとっても死活問題となっています。


「難易度最高」の3つのサーキットのうち、唯一カレンダーの前半に登場するバルセロナは、急ブレーキを要するテクニカルなサーキットで、ブレーキに大きな負荷がかかります。サーキットのレイアウトが独特でブレーキを冷却しにくいことがおもな原因となって、ブレーキシステムが限界まで追い込まれますが、これには時として晩春のスペインの気温の高さも拍車をかけます。ブレーキングの箇所はどれも非常に強いレバー操作が必要なうえに間隔が短く(ラップの前半で5か所)、高速セクションと低速セクションが混在するコース上ではディスクとパッドは十分に冷却されず、動作温度が大幅に上昇します。

出典元:http://www.brembo.com/en/

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