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★MotoGP2016 ホルヘ・ロレンゾの速さの秘密とは?

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マット・オクスレイさんによるロレンゾ選手の速さの秘密、そしてMotoGPライダー達の限界域でのライディングに関する分析です。マシンの違いはあるとは言え、同じコンパウンドのタイヤを履いていても消耗の度合いはもちろん、特定のコーナーでのパフォーマンスが異なるというのは本当に奥深いですよね。

★MotoGP2016 ホルヘ・ロレンゾの速さの秘密とは?

人の脳というのは素晴らしいものだ。少なくともある特定の人についてはそう言える。MotoGPのフロント集団で走るライダーの脳に関しては間違いなく10億人に1人の才能だと言えるだろう。彼らはバイクから感じ取った内容をもとにバイクを操作するが、それは我々、そしてほとんどのレーサーには出来ない事だ。カタールのレースウィークの中でロレンゾが走行するのを見ていたが、その中でロレンゾと他の1人のライダーは他のライダーがしていない操作をしていた。


ほとんどのライダーはミシュランのフロントタイヤをある程度の不安材料として考えている。特にコーナー入り口での倒し込みの最中に関してはそうだが、ロレンゾはタイヤの特性を完璧に理解してその性能を完璧に引き出していた。数人のライダーはミシュランのフロントタイヤがいかに早くグリップを失うなうかについて語っているが、あるエンジニアは「このタイヤはあらゆる面で素晴らしい」と語る。この素晴らしさに関しては特定のライダーにしか感じ取る事は出来ず、その特定のライダー達はそのすべての性能を使う事が出来るのだ。


タイヤはスロットル操作での違いが大きいが、これを考えてみると2ストローク500cc時代にホンダのNSR500がクラスを席巻した事があった。それはそのスロットルへの素晴らしいリニアな反応が要因だ。ライダーがスロットルを2%開けると、ライダーは2%のトルクを受け取ることになる。これは1.5%だとか2.5%では無い。そのためライダーはコーナーで自信を持って、高いコーナリングスピードを維持する事が出来る。


ミシュランのフロントタイヤのコンパクトパッチ(※接地面)は、ライダーがコーナーに進入してもそれに伴って広がったりはしないように思える。。つまり、最高のライダーはそのコンパクトパッチが最良の状態にある時にタイヤを使おうとするわけだ。カタールでロレンゾは他のライダーと同様にコーナーに進入していた。しかしコーナーのアペックスの直前、最も気を使う倒しこみの後に、バイクの向きを変えるためにさらにバイクをプッシュして倒しこんでいた。これが彼のライディングにおいて非常に重要で不可欠な内容のように思える。他に同様の操作をしていたのはマーヴェリック・ビニャーレスだけだった。


もちろんモーターサイクルレーシングに関して素晴らしい事の1つには、問題にいく通りもの方法で対処するという事が言える。マルク・マルケスは冬の間にスムーズにバイクに乗ろうという努力をしていた。しかしラップタイムは上がらず、結局彼自身の元のスタイルで走ることにした。マルケスはこの10億人に1人のクラブに入れるライダーであることは間違いない。彼はミシュランのフロントタイヤの限界を見つけ、コーナーにスライドしながら進入する方法を発見した。これらがこうしたライダーの素晴らしい点だ。彼らは完全な限界域でマシンをコントロールしながらレーストラックを走行する。そして彼らはバイクの挙動を感じ取り、完璧な正確さで両輪に荷重をかけ、ブレーキを操作し、スロットルを開ける。


また別のエンジニアは彼らのライダーが、いかにロサイルのあるコーナーから立ち上がり向きを変え、別のコーナーに飛び込むかについて教えてくれた。1つのコーナーから別のコーナーに切り替えしながらスロットルを当てる中で、ライダーはフロントタイヤの接地面の減少を感じ取り、再びその接地面が減少する前に、接地面が増大するのを感じ取るという。ライダーは我々が恐らく気づかないこうした変化を感じ取り、何が起きているかを理解し、この一瞬にスロットルを当ててその瞬間を活かそうとする。このエンジニアは彼のこうした操作によって、ライバルと比較した時に約2フィート(60cm)の差が付いていると語る。


このような差をMotoGPライダー達は追い求めているわけで、10分1、もしくは100分の1秒ではなく、1000分の1秒単位の世界で戦っているのだ。そして実戦で初めて新しいタイヤとローテクのエレクトロニクスを使用した状態で昨年よりも7秒も速いという結果となったわけだ。
(※@TominagaAkiraさんのTwitterで「used in anger」の訳が違う事に気づき修正させていただきました。ありがとうございました。。)
By Mat Oxley www.motorsportmagazine.com