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★カワサキ2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

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新型のZX-10Rに関する詳細な解説記事&開発者である松田さんのインタビューがありましたのでご紹介します。ライバル車両との比較、どのような部分がライバル車両はダメなのか?という点が非常に気になりますが、残念ながらその部分はオフレコだったようです。インタビューを読むだけでも、性能重視で質実剛健に作られたのだという事が容易に伺えます。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

2016年の最もエキサイティングなバイクはカワサキのZX-10Rだろう。Motorcycle.comの読者は過去6年に渡ってこのバイクに対するレビューを目にしてきたと思う。今回はカワサキの先進的なスポーツバイクであるZX-10Rのデザイナー、プロジェクトリーダーの松田義基氏に話を伺った。MotoGPマシンのデザイナーでもあった彼は、我々のオーストラリアの通信員であるJeff Wareと共にチームグリーンの新型車両の開発の背景にある哲学を語ってくれた。Motorcycle.comの2016年モデルのテストにおいて、筆者は幸運にも冷たいドリンクを飲みながら、プロジェクトリーダーであり有名なエンジニアでもある松田義基氏と話をする事が出来た。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

彼は熱狂的なモーターサイクル愛好家でもあり、この業界における最も優れたエンジニアの1人でもある。彼はプロジェクトについて身振り手振りを交え、センテンスごとに区切って我々がしっかりと理解しているか確認しながら大いなる情熱をもって語ってくれた。彼は他のブランドについて語ることを憚らず、ZX-10Rのテストの様子、他のブランドのバイクを購入して研究したことなども語ってくれた。また、彼は他のブランドの犯した失敗、強みなどについても語った。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

これは我々にとっても眼から鱗が落ちる内容で非常に面白い話だったが、残念ながら彼がこの話をするときに「カメラやレコーダーは使わないで下さい。これからお話する他のブランドに関することは、あなたの頭の中にだけ留めておいて下さい。」と語ったために詳細はお伝えできない。彼は他のブランドについて悪く語るという事はなく、実際には彼の友人やデザイナーはある特定のブランドで影響力を持つ立場におり、これがある種の"エンジニアクラブ"になっているようだ。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

松田義基氏とは?

2002年に松田氏はカワサキの990ccMotoGPマシンのエンジンデザイナーに指名された。このバイクは2002年の終わりに登場し、2009年まで開発が続けられた。松田氏は800ccバージョンについては、エンジンやシャーシを含むほとんど全てをデザインした。それ以来、松田氏はニンジャシリーズ、そしてWSBKに深く関わるようになる。この経験が彼をZX-10Rの2016年モデルを次なるレベルに進化させるプロジェクトマネージャーという役職に導いた。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

ZX-10Rのゴールとは?

「新型のZX-10Rのプロジェクトリーダーになった時、すぐさまに"トラックで最速である"という事が唯一のゴールだと思いました。全ての変更点、向上点はラップタイムに反映されなければなりません。そして全ての開発はレーストラックで行われる必要があります。トラックで性能の良いバイクを作れば、ストリートでも性能が良いというのはわかっていますからね。テストの最終段階になって初めて、テストライダーにストリートを走る事を許可したんです。そのフィードバックから、このバイクはストリートでも素晴らしいバイクだとわかり多くの関係者が驚きましたが、自分は全く驚きませんでしたよ。」

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

WSBKでの試練について

「バイクの競争力をより高くするためにSBKのルールを最大限に活用する必要がありました。トム・サイクスとジョナサン・レイからのフィードバックにより、最も重要な側面である、早めにスロットルを開けられるパワーデリバリー、軽快なハンドリング、慣性を抑える軽量のクランクシャフト、コーナー進入時のコントロール性能、優れた加速性といった点に集中しました。」

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

真のレーサーレプリカを作る

「ZX-10Rはトップレーサーと同じシャーシ、サスペンション、ブレーキを装備しています。これはMotoGPマシンをデチューンしたようなコスト的に手が届かないようなものではありません。こいつは本物なんです。レースをしたければ、マフラーと中間パイプを交換すればすぐにレースが出来ます。」

開発費のかけかたについて

「外観のアップグレードには資金を使用していません。ダッシュボードもそのままです。全てをラップタイムとパフォーマンスのために使いました。ブレーキ、サスペンション、エキゾーストの素材、エレクトロニクスにすべてを投じたんです。」

最終パッケージ

「これは純粋なスポーツバイクです。しかし基本的には優れたロードバイクでもあります。快適で信頼性の高いバイクですよ。10年間トラブル無しに所有できるでしょう。」

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

エンジン

新型のクランクシャフトは慣性モーメントを20%軽減。新しいカムシャフト、バルブ、シリンダーヘッド、オフセットシリンダー、ピストン、バランスシャフト、ギヤボックス、クラッチなども新造された。鋭い吹け上がりと強烈な加速性能を実現した。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

フレーム/スイングアーム

フレームは7ピースからなるアルミニウム製。ヘッドパイプはライダーに7.5mm近づいた、スイングアームピボットとステアリングヘッドアングルはレースキットのカラーで調整可能。スイングアームはブレーキング性能とターンインの安定性のために16mm延長され、トラクションを向上している。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

サスペンション

Showa製の窒素封入フォークは共同開発となったもので、市販車においては始めて採用される装備。オーリンズ製の同様のフォークは12,000ユーロほどもするもので、10Rに装備されているものは同様のスペックとなる。リヤショックも同様にバランスフリータイプで、リバウンド、コンプレッションが独立している。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

エルゴノミクス

カワサキはこの車両の開発にあたり180cm程度のライダーを想定している。フットペグは先代モデルよりも5mmほど高く、フロントカウルとスクリーンはライダーへの空気抵抗を抑えるようにデザインされている。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

エレクトロニクス

先頭の文字はあまり気にしないで良い。トラクションコントロール、ローンチコントロール、ABS、コーナーマネジメント、クイックシフター、3段階のパワーモード(フル、80%、60%)、エンジンブレーキコントロールBosch製慣性計測ユニットを装備する。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

ブレーキ/ホイール

カワサキはZX-10Rに最もスペックの高いブレーキを必要としたために、ブレンボ M50が選択された。そしてブレンボの中でも最高レベルのマスターシリンダーとブレーキラインが選択された。これに組み合わされるのは330mmのディスクで、この組み合わせのおかげで、すぐにでもレースが出来る仕様になっている。ホイールは重力鋳造のアルミニウム製で、クラス最軽量とのこと。

★2016年型 ZX-10R開発者インタビュー

慣性計測ユニット

新型のIMU(※慣性計測ユニット)により、S-KTRC(トラクションコントロール)は予測的な働きをするシステムから優れたフィードを有するシステムへと進化した。つまりこれによってあらゆるレベルのライダーがあらゆるコンディションの路面で操作する事が可能となった。これによってトップレベルのレーサーが自らのポテンシャルをフルに発揮する事、経験の浅いライダーを安全に保つという事を同時に達成出来るようになり、ZX-10Rをライバルとは異なるバイクにしている。

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