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★テック3 エルヴェ・ポンシャラル「ブラッドリー・スミスは期待以上の働きをしてくれた。」

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今年大活躍だったブラッドリー・スミス選手の事をテック3のエルヴェ・ポンシャラルが語っています。スミス選手の成績はチームからしても期待値を大きく超えていたようで、「困難な状況の中でもナーバスにならずに落ち着いて自分とチームを信じること」が出来ていたとべた褒めです。こうした精神的な成熟と走りのポテンシャルが加わると、彼は本当に手強い選手になりますね。

★テック3 エルヴェ・ポンシャラル「ブラッドリー・スミスは期待以上の働きをしてくれた。」

2015年はブラッドリー・スミスにとってキャリア最高の年とはならなかったが、さらに素晴らしい結果に向けてのステップとなった。これはヤマハテック3のボスであるエルヴェ・ポンシャラルの考えで、彼はスミスのパフォーマンスに驚かされたとしながらも、彼にとっての最高の時はまだ訪れていないと考えている。また、ポンシャラルはポル・エスパロガロが昨年の悲哀を捨ててチームメイトのタフな戦いに身を投じるだろうと考えている。

スミスはトップのサテライトライダーとなり、ミサノでは2位、ワールドスタンディングでは6位でロッシと同じく毎戦でポイントを獲得したライダーでもあり、鈴鹿8耐エスパロガロ、中須賀とともに優勝を果たした。スミスは彼自身3度目の最高峰クラスで躍進を遂げた。スミスはMoto2時代の2011年からテック3に在籍しており、来シーズンの終わりでコーリン・エドワーズと並んで、MotoGPヤマハに最も長期間乗ったライダーとなる。テック3はスミスの事を当然良く知っており、昨シーズン中盤の成績の落ち込みもあったスミスとの再契約についての批判をものともしない。彼らの信頼関係は確かなもので、”新しいブラッドリー”と共に彼らの硬い絆は昨シーズンの驚きの一つでもあった。

 

エルヴェ・ポンシャラル

「昨年ブラッドリーは多くの人が彼が出来るとは思っていなかった事を成し遂げました。他人には語らないでしょうけど、彼もおそらく自分で思っていた以上の事を成し遂げたでしょう。昨年我々は彼と再契約を結んだわけですから、もちろん彼の事を信頼していましたよ。でもブラッドリーは我々の予想を上回ってくれましたし、ヤマハやほとんどのメディアが期待している以上の事を成し遂げてくれました。ブラッドリーは昨シーズンの驚きの一つですね。ほとんど毎戦チームメイトを負かし、ヴァレンティーノ・ロッシを除いて毎戦ポイントを獲得し、トップ8以下だった事は1度のみでした。2014年と比較すると、彼はドイツでレースウィークの中で5度の転倒をしていましたからね。ですからこれは”新しいブラッドリー”なんです。彼は我々を非常に驚かせましたけど、私は彼の最高の時はまだ訪れていないと思うんですよ。なぜなら彼はとても仕事に打ち込んでいて、モチベーションに溢れ、ハードに働いていますから。彼はチームとエンジニア達と一緒に働くということが分かったところなんです。」

 

エルヴェ・ポンシャラル

「彼の周りにいる人を信じる事。ナーバスになり過ぎないこと、常に落ち着いていること。マレーシアの金曜の練習走行では非常に驚かされました。なぜなら最悪の時というわけでもありませんでしたが、彼はかなり後ろの位置(※その時点で14位)にいたんです。でも彼は最終的には決勝で今シーズンベストのドライレースでの順位となる4位を獲得しました。ブラッドリーは金曜の後にまったくパニックにならず常に落ち着いていました。彼自身とチームが解決策を見つけ、決勝に備えられるようになることを信じていたんです。これはフィリップアイランドでもヴァレンシアでも同様でした。ですから私と再契約が出来た事が本当に嬉しいんですよ。」

 

再契約と言えばエスパロガロも2016年に向けてヤマハと再契約を果たした。しかしエスパロガロがスミスよりも良い走行をしていた昨シーズンとは対照的に、エスパロガロは彼自身のルーキシーズンのパフォーマンスと同等の走りをすることに苦しみ、ワールドスタンディングにおいても6位から9位に転落した。

 

「ポルは彼自身失望しているというのがまずあります。多くの人がポルはマルク・マルケスが成し遂げた事を追うことが出来ると思っていました。我々にしても同じです。ヤマハにしても。沢山の小さな出来事で彼は皆の要求に到達出来ませんでしたが、私は彼のポテンシャルを信じているんです。来シーズンも彼の強い走りを見ることが出来るでしょう。彼にとってはヴァレンシアが最高のレースだったでしょうし、シーズンの終わりに最高のレースが出来るというのは良いものです。冬休みを良い気分で過ごせますからね。ポルも非常に努力して集中していますし、時には酷く落ち込む時もありますから良い結果が彼自身に必要なんです。」

 

「自分は話をするのが好きなんですが、時には何て言えば良いのかわからない時もあります。正直に言うとね。レースやセッションの後で彼が落ち込んでいるのを見ると、彼に何て言ってやれば良いかかわらずピットの中で彼と目を合わせたくない時もあります。でも、とにかく昨年の最後のレースが彼にとって最高のレースであったことは間違いなく、彼はミシュランタイヤのテストにとても乗り気でした。これらは彼が冬休みの間にハードにトレーニングをし、セパンに良い状態で到着する助けとなるでしょう。来年はテック3の2人のライダーの激しい戦いになるでしょう。2012年のカルとドヴィのようにね。私は大歓迎ですけどね!自分のライダー達の接近戦を見るのは恐ろしいと感じる事もありますが、彼らは接近戦を演じるでしょう。来年はタイヤマニュファクチャラーが代わり、ECUも代わり、22Lの燃料を全チームが使用する事になります。そしてソフトタイヤが使用出来なくなるチームも出てきますよね。」

 

テック3のようなサテライトチームは昨シーズンのコンセッションルールの最大の被害者だと言える。このルールはDucatiやスズキにオープンクラスと同様の加護を与えたのだ。最も影響が大きかったのはソフトリヤタイヤだ。これによりヤマハやホンダのサテライトチームは、土曜午後のQ2の出走権利をかけて、FP3のトップ10を過酷に争う事になったのだ。

 

「どんどん良いグリッドを確保するのが難しくなりました。Q2に出場することが非常に重要なんです。ソフトリヤタイヤが使えぬという事で、非常に厳しい時が何度かありました。FP3でトップ10に残るため、スピードに苦しみ、リスクを取りました。土曜の朝に気温が上がり切らない時が大変でした。我々が使用しているコンパウンドはレース距離では非常に良いのですが、ソフトタイヤを履いた連中と争う場合などは硬すぎる時があるんです。ですからリスクを取るしかないのです。来年は楽になるとは言いません。でもましにはなるでしょう。これはファンにとっても良いことで、差は小さくあるべきだからです。」

 

「ダニが離脱していたシーズン前半を除けば、チャンピオンシップは3人+1人に完全に独占された状態でした。最強の4人、確かに悪くないですが、誰か他のライダーにもこの顔ぶれに加わって欲しいですよ。イアンノーネがオーストラリアでやったようにね。あれは素晴らしかった。出来ればブラッドリー、ポル、カル、ペトルーチ、レディングなんかにね。ヴァレンシアでも見たようにヴァレンティーノがスタートした位置なんて関係無かったように、トップ4人は完全に別次元の戦いをしているんです。5位や6位で走るっていうのは本当に最高の時じゃないと駄目で、これは順位というよりレースペースに関係してくるんです。」

 

シーズンの終わりに、テック3は例年ファクトリーチームが仕様したバイクを来年用のバイクとして手に入れる。ポンシャラルはこの伝統は続くと語った。また、2015年バージョンのロレンゾとロッシのバイクから省かれるのはシームレスギアボックスだろう。

 

「多くの秘密を与えないということはヤマハがけしてしない事です、基礎的な説明はありますが、だいたいの場合我々は完璧なスペックのヴァレとホルヘのバイクを手に入れます。エンジンに関しては非常に非常にファクトリーに近づいています。トップスピードからもそれがわかりますし、今年に関してはなおさらでしょう。シームレスギアボックスがエンジンに関して唯一異なる点だと言えるでしょう。我々のシームレスギアボックスはアップ側にのみ有効なものであることは変わりません。彼らのはアップダウン両方に効きますけどね。」

 

2015年のM1は素晴らしいバイクであることは間違いない。ロレンゾとロッシは18戦で11勝し、ヤマハはライダー、チーム、コンストラクターの3冠を成し遂げた。しかしあえて言うなら、2015年型のバイクはミシュランタイヤではなくブリヂストンタイヤ向けに開発された車両ではなかっただろうか?

 

「最終的なミシュランタイヤがどうなるかはわかりません。2016年の開幕戦までにまだ開発が続きますし、待つしかありませんね。最新のMotoGPバイクは色々な事が出来るんです。ミシュランタイヤに合わせてもっとフロントの荷重を増やすべきという人々もいますが、それは既にやっています。2015年と2016年でヤマハのシャーシに大きな違いがあるとは思いません。今年のヤマハのライダーのレベルから考えるに、彼らも大きな変化は望まないでしょう。彼らは本当に些細な変更を求めると思います。今やMotoGPのレースチームはバイクの開発を行いません。それはファクトリーの仕事です。我々の仕事は我々の特定のライダーのためにバイクをセットアップすること。体重、身長、ライディングスタイル、トラックコンディション、グリップ、天候などに合わせてね。ウェット、ドライ、ミックス、寒い、暑い、風が強いなどこうした事が我々の仕事で、我々はこうした事でエンジニアに給料を払っているんです。」

 

「違うブランドのタイヤであっても仕事は同じ事で、試してみて、全てを調整することなんです。我々はヤマハからの素晴らしいサポートを受けています。これには本当に感謝していますし、ヤマハが我々に置いてくれている信頼に対して、我々も最高位のサテライトチーム、チーム全体では4位という形で応えています。ブラッドリーはトップのサテライトライダーですし、ファクトリーDucatiよりも前の6位という年間ランキングを獲得しています。ですから本当に嬉しいんです。」

 

「でも一つ確かなのは金が世界を動かしていて、ヤマハは多額の費用をMotoGPに投下しているという事です。彼らが望んでいないということではありませんが、現状の予算では2016年の最新スペックのバイクを4台と、サポート、マンパワーを裂く事が出来ないということなんです。でも彼らは2015年のヴァレンシア時点でのファクトリースペックの素材を沢山持っています。それらは非常に戦闘力が高いですし、我々には十分過ぎるものです。彼らはそれらを我々に渡してくれるのです。シリーズが進むにつれ、我々はファクトリーチームが体験しなかった問題に突き当たり何かしらを受け取る可能性はあります。ただこれからのウィンターテストや開幕戦は、詳細な部分には触れずヴァレとホルヘのヴァレンシアスペックのバイクを手に入れます。それらは最高の素材ですので、本当に嬉しいですね。」

 

2012年ドヴィヅィオーソはテック3で6度の表彰台、チャンピオンシップ4位を獲得した。スミスは2013年の最高峰クラスデビューから2位ずつチャンピオンシップの順位を上げており、これは今まで10位8位6位となっている。今年はどうなるだろうか?

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