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★KTMテストライダー ミカ・カリオ「今のレベルには驚いている」

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これから1年開発が続くKTMのRC16ですが、現時点の率直な感想をミカ・カリオ元選手が語っています。テストライダーでありながら他のレースに参戦する事を考えていたり、他のメーカーでレースをしてもKTMからはお咎めがないだろう。というあたり興味深いですね。日本メーカーだとまず有り得ないような気がします。
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これから数シーズンはMotoGPの中では見るべきことが多い。2016年からは新しいタイヤ、統一エレクトロニクスが、2017年からはKTMが新しいメーカーとして参戦する。KTMがこのクラスにやってくるのは新たなエキサイトメントの提供となる。オーストリアのメーカーであるKTMは、皆の予想を超えて、MotoGp以外で参戦しているどのクラスにおいても成功を収めている。今回KTMは完全に自前でバイクを開発、パワフルなV4エンジンがKTMのトレードマークでもあるトレリスフレームの中に収まる。

この新型車両は既にアレックス・ホフマンの手によって10月にRed Bull Ringにおいてシェイクダウンとしてトラックでのデビューを果たしており、その数週間後にKTMと新たに契約を結んだ2014年にMoto2クラスを走行していたライダーであるミカ・カリオによってテストされている。カリオは現在(※記事が書かれた時点)Superprestigioのイベントでバルセロナにいてレースに参加する予定であったが、金曜の朝の転倒により足を怪我しており、決勝レースには参加出来なくなった。カリオとKTMのRC16について彼のファーストインプレッション、そして2016年のテスト、2017年のレースに関する期待などを話す機会があった。まずは彼にSuperprestigioでの転倒について聞いた。

 

ミカ・カリオ

「昨日はツイてませんでした。主にスタートを改善するために練習をしていたんです。1コーナーで転倒したんですが、その時点では特に何も起きませんでした。この種のコースではスピードは極めて低いですから。単純にコースの横をスライドしただけだったんです。その後自分のバイクを起こしにいったんですが、その時自分の後ろにいたライダーが転倒したんです。自分はそれを見ていなくて、彼のバイクが自分の足と自分のバイクの足にスライドしてきたんです。」
 

Q

「KTMのテストは?この怪我はテストに影響しますか?また次のテストはいつでしょうか?」

ミカ・カリオ

「月曜(12/14)には次の手術が受けられていることを願います。そうすれば次のテストには問題ありません。来年の初回のテストは2月です。ヨーロッパで2月の中旬に予定しています。おそらくヘレス、ヴァレンシアに行くと思います。最初のテストはスペインです。基本的にはヨーロッパで多くテストを実施します。ただマレーシアに行ったり異なる環境でテストすることも考えています。」
 

Q

「他のMotoGPマシンと共にテストを行うほどは準備が出来ていないのでしょうか?」

ミカ・カリオ

「現時点でもかなり良い具合です。自分はヴァレンシアで一回テストしただけですが、その時点でもかなり良かったですね。全てが上手くいっているので驚いたくらいです。どこにも技術的な問題がありませんでしたし、それこそがメインでチェックする項目でしたから。多くの周回数を重ねて、エンジンがしっかりと働いており、どこにも問題はありませんでした。これはとてもポジティブな事です。特にエレクトロニクスに関してはやるべき事は多いんですけど、サスペンションやシャーシに関しても重要ですね。基本的にはこのバイクはコンピューター上で完成して、パーツを組み上げてみてどのような走りをするか試しているところです。まずはエレクトロニクスがちゃんと機能するように集中して、そしてシャーシですね。」
 

Q

「統一エレクトロニクスを使用しているのでしょうか?」

ミカ・カリオ

「ええ。ファクトリーが使用していたものに比べて理解が簡単だとは言え、それでも現在自分たちが最も集中しなければならない部分です。今やどのエンジンも非常に強力なパワーを持っていますので、バワーを正しくリヤタイヤに伝達することがとても重要です。」
 

Q

「バイクの強みと弱みは何でしょう?すでに凄まじいパワーがあるんですよね?」

ミカ・カリオ

「そうですね。現時点では参考になるものがないんですが、エンジンはパワフルでパワーの出方も非常にスムーズです。自分はこのエンジンをとても気にいっていますが、エレクトロニクスを適応させる必要があります。そしてこれはいつも難しい作業です。自分としてはこれといって弱みは無いと思いますが、何か指摘せざるを得ないとするとフロントの動き方を改善する必要があります。フレームのフロント側、ここに何らかの手を加える必要があります。ゼロからバイクをつくり上げて初めて試すときというのは、良いフィーリングを得るためにいつでも何かしら改善が必要な点を感じるものです。そしてこのバイクではそれがフロントだという事で、コーナーエントリーの際にフロントから感じる情報だという事です。ただこれは基本的な事です。」
 

Q

「フロントのフォーリングというのはミシュランタイヤによるものなのか?バイクによるものなのでしょうか?」

ミカ・カリオ

「現時点では全てが非常に複雑なんです。他のタイヤやバイク、パーツに関する参考データがないですし、まだ作業を始めたばかりですから。ですからこの問題がどこから発生しているのかについて理解する為の作業が必要です。そうでなければ、フロントからの問題に関してはタイヤによるものか、どこから来ているものなのかわかりませんから。今回は単純に1日テストを行っただけでもっと時間が必要です。ただ自分に関して言えばタイヤは問題ありません。このタイヤに関してはとてもよい感触ですが、それ自体が問題の本質だとは思っていません。自分の経験からしてミシュランが解決策を見つけなければいけないフロントタイヤの問題というのはリヤタイヤに起因するものだと思います。リヤが現在強大なグリップを発揮しており、フロントがリヤの押し出す力に耐えることが出来ていません。ですからバランスが正しいとは言えない状態です。しかし彼らは解決策を見つけることが出来ると考えています。」
 

Q

「MotoGPクラスにいた時はブリジストンしか使用したことがないのですよね?」

ミカ・カリオ

「ええ。ただ2年前にミシュランのテストを行ったことがあり、その年に彼らはMotoGP用のタイヤを開発していました。」
 

Q

「その頃とくらべて大きな進化がありましたか?」

ミカ・カリオ

「進化はあったと言えますが、自分がミシュランのタイヤをテストしていた時はホンダのスーパーバイクに乗っていましたから、MotoGPバイクの場合とは話が違いますね。これは本当に大きな違いでMotoGPバイクでは全く感覚が異なります。」
 

Q

「あなた自身の目標としてはKTMがMotoGPに参戦する2017年にKTMのバイクでレースをすることですよね?」

ミカ・カリオ

「その通りです。そう願っています。KTMの人間に自分が良いライダーだと示したいですね。それを示すための猶予として1年あります。」
 

Q

「レースをしていない時期は走りのキレを失いやすいものですが、スピードを維持するために何をしているのでしょうか?どこかでレースに参戦するのですか?」

ミカ・カリオ

「これは大きな質問ですね。勿論テストのスケジュールだとかで非常に忙しいんですが、もし自分がレースをしたいと思ったとしたらKTMはそれをさせてくれるでしょう。ですからレースをする分には自由なんです。それにまた別の観点でも何かをするというのは良いことですね。1年間まったくレースから遠ざかるというのは良いことはありません。ですからいくつかレースに関するオファーはもらっているんですよ。ただ何よりもまず最初にテストのスケジュールを確認する必要があります。それからレースに使える時間がどれくらいあるかを考えようと思います。」
 

Q

「KTMがファクトリーとして参戦しているチャンピオンシップは全てオフロードですが。。」

ミカ・カリオ

「ええ。そうですね。ただ他のメーカーのバイクをライディングしたとしても、彼らはレースをさせてくれます。これは彼らにとっても自分の調子を良い状態に保つためにも良いことです。」
 

Q

「ということはやるべきことは多いですね。」

ミカ・カリオ

「ええ。そうなるでしょう。思うにレースに参戦せずにテストをする1年となると、家にいる時間が増えると思うんです。ただ、どうやらさらに忙しい1年になりそうです。今のバイクの状況と1シーズン経った後の参戦前では、バイクの状況は完全にかわっていると思います。ステップ・バイ・ステップで良くなっていきますよ。」
 

Q

「でもスタートするには良い土台だと?」

ミカ・カリオ

「ええ。自分にとってはね。今のKTMのレベルにはとても驚き、同時に満足しています。KTMはこのプロジェクトに本気ですね。」
by David Emmett