気になるバイクニュース。

世界のバイクニュース、MotoGP最新情報、各メーカーの新車情報などを紹介しているブログメディアです。

★シームレスギアボックスについて

Sponsored Link

CycleWorldの人気コーナー「ケヴィンに聞け」のコーナーに最近MotoGPでは一般的なシームレスギアボックスについて質問が来ていました。解説陣やライダーが「シームレスが無いと上り坂や加速の立ち上がりでバイクが置いて行かれる」という話をしているのは良く聞きますが、コーナリング中の恩恵も大きいようですね。スズキも2016年は開幕戦からシームレスギアボックスが欲しいものです。。

★シームレスギアボックスについて

Q

「MotoGPで欠かせぬものになりつつあるシームレスギアボックスについて教えていただけますか?ニッキー・ヘイデンが自身が使用するRC213V-RSのパフォーマンスの低さは、本来シームレスギアボックスを使用する事を前提に作られたバイクにシームレスギアボックスを搭載していない事だと考えている。という記事を読みました。車では広く使用されているデュアル・クラッチ・トランスミッションは禁止されているものの、基本的には同じ機能を提供するものと考えて良いのでしょうか?」

A

「レースバイクでは通常シフトアップ時はクラッチを使用しません。シフトチェンジの衝撃を和らげるため、シフタースイッチがシフトリンケージの中に組み込まれておりエンジンの点火をプログラムによって一瞬カットするようになっています。これは通常のギヤボックスがシフトアップの度にニュートラルを通過することから非常に重要な機能となります。もし点火がカットされない場合、エンジンはシフトがニュートラルに入っている間はシャープに吹け上がる事になります。また、シフタースイッチがあったとしても、エンジン回転数はギヤがニュートラルに入っている間にも変わっていきます。」

 

「オンボードのIMU(慣性計測ユニット)の情報から、シフタースイッチがあったとしてもシフトアップによってバイクを前方に押し出す力が働き、後方へのピッチングが少なからず発生していることがわかります。そして、これらの動きはサスペンションやタイヤの柔軟性に少なからず吸収されています。バイクがリーンしている状態でアクセルを開けていくと、こうしたピッチングは2本のタイヤにかかる荷重を変化させる事になり、タイヤにかかる荷重の変化はグリップの低下を招きます。つまり大きなシフトショックはそれだけタイヤのグリップを無駄にしている事だと言えるのです。」

 

「シームレスギアボックスというのは、あるギヤから次のギヤに行く時にニュートラルを介さずに隣り合ったギヤにシフトチェンジが可能です。これは現在のギヤに繋がっている状態で次のギヤに繋がっていくという動きをし、2つのギヤに完全に繋がってロックしてしまう前に前のギアからはギアが抜けるわけです。これにより、(1)エンジンはシフトアップの最中に常にリヤタイヤを駆動し続け、(2)シフトアップによるショック(※の問題)は、2つのギヤでのエンジン回転数の違いに集約されます。電子制御が加わることで、このショックはさらに和らげられるとも言えるでしょう。」

 

「シームレスギアボックスが初めて登場したのは2011年、ファクトリーホンダのマシンに搭載されたものでした。このシステムを初めて見た私達は、ギヤ間のニュートラルに入る動きが無くなることで、いかにタイムの短縮になるのかと思ったものです。一周のうちに30回のシフトアップがあったし、シフタースイッチが点火をカットするのが0.012秒だとすると、シームレスギアボックスは30x0.012=0.36秒分だけ(※ギヤがニュートラルに入らずに)余分にエンジンが回る事になり、その分のラップタイム向上に繋がるはずです。ただ、ライダーが恩恵を受けたのはこういった事ではなく、コーナー立ち上がりでの加速の際に、バイクをスムーズに自信を持って加速させる事が出来る加速性能だったのです。」

 

「ほとんどの場合、通常のギアボックスを使用しているライダーはコーナリング中のシフトアップは車体を不安定にすると考えているため、ショートシフトもしくはエンジンをオーバーレブさせて(※シフトアップをこらえている)いるわけです。こういった問題を感じているライダー達は、シームレスギアボックスによってライディングの幅が広がると言います。また、シームレスギアボックスはブレーキング時の安定性の向上にも大きな効果があります。ヤマハはホンダへの回答として自前のシームレスギアボックスを開発してきました。しかし当初ヤマハのシームレスギアボックスはシフトアップ方向にしか使えないもので、エンジニアがシフトダウン方向にも有効なシームレスギアボックスを開発するまで、ヤマハはシフトダウン時の車体の安定性の不足に苦しんでいました。」

 

「ホンダのデザインでは、1つのギアに繋がる/前のギアから抜けるというメカニズムは、2つのギヤボックスシャフトのうちの1つの中で行われ、複数のアキシャル・スライディング・カムロッドによって駆動されるロッキング・ポール(歯車のツメ、歯止め)がこれを動かしています。これらの小さなパーツが非常に大きな力に耐える必要があるため、部品の交換サイクルは早いと予想します。また、この仕事に詳しいエンジニアは自分の目だけに頼らずに仕事をすることになります。これらのシームレスギアボックスの年間のリースコストは一時期300,000ユーロもし、もう1つのギヤボックスシャフトは常に回転し、常にギヤが咬み合っている状態となります。」
By Kevin Cameron

www.cycleworld.com