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★MotoGP2015イギリスGP 決勝後プレスカンファレンス翻訳

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さて、イギリスGPの決勝後プレスカンファレンス翻訳をお届けします。雨の中安定した走りを披露したロッシ選手が危なげなく優勝しましたが、ロレンゾ選手に対して12ポイントのリードは「心理的には意味が無いだろう。」と語っています。そして今回のプレスカンファレンスの見どころは初MotoGP表彰台獲得のペトルーチ選手でした。中盤にロレンゾ選手、ペドロサ選手と一緒に走る状況を「プレステをやってるみたいだ。」という話があったり、イタリア人が表彰台を独占したこともあり、ロッシ選手を讃え、ドヴィヅィオーソ選手に負けて3位だったとしてもハッピーだっただろうと語るあたり性格の良さがにじみ出ています。その変わり、雨の中の他のライダーのペースに関しては、「なんで皆スローダウンするのかわからない」と語るあたり、温厚な人柄と雨の中のアグレッシブな走りが対照的で面白い選手ですね。

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イギリスGP優勝 ヴァレンティーノ・ロッシ

Q
「雨というトリッキーな状況の中、さらに1勝を重ねました。今日のレースは長かったですね。」
ヴァレンティーノ・ロッシ
とても難しいレースでした。シルバーストーンは好天の中でも難しいトラックですから雨の中となるとなおさらです。今朝目覚めた時点で雨が振っていたので、これが良いことか悪いことかわかりかねたんですよ。というのもシーズン中こういったシチュエーションのデータというのはほとんどない状況でしたから。ただチームの働きとM1のポテンシャルが今日は素晴らしかったです。今朝のウォームアップの時点で良いペースで走行出来ましたし、非常に戦闘力が高い状態でした。ウォームアップが雨で中止になってから、完全にゼロの状態から再びスタートすることになりましたね。」

 

「グリッドではとても不安でしたね。気温も低く雨も振っていて、ここは非常に高速なトラックですからね。ですからウォームアップの時点で一度レースが中断になった事は嬉しかったですよ。スタートではそのまま良いペースで逃げようとしたんですが、マルケスが追ってきましたね。良いペースで走行していましたが、彼に対してアドバンテージを稼ぐことは難しい状況でした。ですから勝負は最終ラップまで続くだろうなと考えていました。その後、彼が転倒しているリプレイ映像をサーキットのスクリーンで見て彼が転倒したことを知りました。その前から彼のバイクの音が聞こえなくなっていたので何かあったとは思っていたんですけどね。ドヴィに対しては8秒くらいの差があると思っていたんですが、実際には4秒ほどでした。そして次の周には3秒でしたので再びプッシュを初めました。ただ優勝によるポイントはチャンピオンシップにおいて重要ですから、ミスはしたくなかったんです。ただコンディションは非常に良かったのでその後フロントを維持して走行することが出来ました。」

 

Q
「ホルヘとの差は12ポイントとなり2週間後にはミサノですが、どういった展開が期待出来るでしょうか?」
ヴァレンティーノ・ロッシ
「昨日は悪くないペースだったとは言え、ドライの状況でホルヘより前でフィニッシュ出来るとは思っていなかったので、今日の優勝は非常に重要です。ですから今回のホルヘに対しての12ポイントは大きいですね。マルケスに対しては優勝の可能性は消えたとは言わないですが、非常に難しい状況になりましたね。マルケスに対して大きな差があるというのは非常に重要なことだと思います。ただホルヘに対してたった12ポイントですので戦いはまだ長いですね。ミサノは大好きなトラックですし、ヤマハが強いサーキットなのでミサノでレースが出来るのは嬉しいです。ただ多くのファン、友人などが観戦に来てくれるので、レースに集中するのが難しくもあるんですよね。」f:id:teletele916:20150901082556p:plain

イギリスGP2位 ダニロ・ペトルーチ

Q
「それではMotoGPクラス初の表彰台を獲得したダニロ・ペトルーチ。夢のようでまるでプレステをやってるみたいだと話していましたが、これは現実ですよダニロ!
ダニロ・ペトルーチ
「昨日は自分にとって良い状況ではありませんでしたので、正直に言って雨のレースを望んでいました。18位スタートというのは厳しいですからね。ですから雨だとわかった時は、「やってやるぞ!」と思いました。今日はプッシュしてペドロサ、ロレンゾの後ろにつけていましたが、こんなシチュエーションは今までプレステでしか経験したことが無かったですね。(※会場爆笑)ですから正直「ここからどうしようかな。。」と思ったんですよ(笑)ロレンゾとペドロサをパスするのは非常に難しかったですね。」

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「ただその後ペドロサをパスしてペースの上がらないロレンゾをパスしました。ただその後は「ここで転倒したら表彰台の可能性が台無しだ。」と思いとても怖くなりました。その後ドヴィヅィオーソに追いついて走行している中でマルケスが転倒しました。ヴァレンティーノとの差がどんどん近づいていったので、なんとかヴァレンティーノに付いていこうとしました。ただ自分のペースが速すぎて自分で怖かったんです。ヴァレンティーノに周回ごとに近づいていくなんてことは普通ないですからね。(笑)(※会場爆笑)」

 

「残り2周でドヴィとの間に少し差を作る事ができ、最終ラップはかなりミスっても大丈夫だなと思いました。最終ラップの最終コーナーでは、思わずニヤけて笑い出してしまいました。ようやく今になってベッドで夢から覚めた感じですね。(※会場大爆笑)でも実際にそういう感じです。今日は本当に嬉しいですね。3人のイタリア人が表彰台を獲得して、彼らとは良く一緒に練習している仲ですから。ヴァレンティーノのチャンピオンシップのリードも嬉しいですし、ドヴィの表彰台獲得も嬉しいですね。もし自分が3位であったとしても嬉しいです。表彰台で完走するというのは本当に最高ですね。」

 

Q
「今日はホルヘを抜く時に手間取っていたようですが、転倒の恐怖があったということですか?」
ダニロ・ペトルーチ
「いや、レース後に怖くなりました。もし彼を巻き込んで転倒していたらと思うとね。(※会場爆笑)ホルヘが転倒させられたという事に対してどういう反応するかということを恐れていて、転倒する事自体を恐れていたんじゃないんです。ですから出来るだけ彼に対しては距離をおいて走るようにしていました。ただ最終的には全てが良い方向に行きましたね。」

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Q
「ダニロおめでとうございました。(※会場拍手喝采)3位のドヴィ。表彰台獲得はいつも最高ですよね。」

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イギリスGP3位 アンドレア・ドヴィヅィオーソ

アンドレア・ドヴィヅィオーソ
「そうですね。いかなる状況であっても表彰台を獲得するのはとても重要なことです。とくに今日は4列目スタートでしたから。スタートでは失敗して危うく壁に激突するところでした。ただその後は素晴らしいオーバーテイクを連発することが出来ました。今朝の段階からレインでの走行に対するフィーリングは良かったんです。プッシュ出来る状況でしたし、ペトルーチの後に付けることが出来ました。その時は非常に大きなリスクを冒して走っていましたね。彼の後ろで走るのはまったく快適ではなかったですね。」

 

「というのも彼のブレーキングは非常にアグレッシブで限界ギリギリでしたから。ただ彼とバトル出来たことが嬉しいですし、彼の結果も嬉しく思います。こういった難しい状況でレースをするというのはとても良いですね。実際残り8周の段階では、雨とペトルーチからの飛沫などもあり視界はほぼゼロでした。今回の結果は懸命に仕事をしてくれたチームのためにも重要でした。チャンピオンシップにおいても重要ですし、ドライでのフィーリングも悪くはない状況でしたから、ミザノに向けて自信が持てますね。(※一応各選手の発音に忠実に、ドヴィの場合は”ミザノ”と喋っているのでミザノと表記しています。」

 

Q
「今回はイタリア人ライダーが表彰台を独占しましたが、2週間後のミサノではどのような事を期待出来ますか?」
アンドレア・ドヴィヅィオーソ
「イタリア人ライダーが表彰台独占というのはあまり起きることでは無いですよね。カタールでは既に同じ形でしたけど、簡単には起きることではないでしょう。今日は3人イタリア人ライダーということで、とても誇りに思いますね。」

 

Q

「ダニロとヴァレンティーノにお聞きします。2人の差が小さくなっていった時にお互いにどのようなことを感じていたんでしょうか?」

ヴァレンティーノ・ロッシ

「まず、お互いの状況が異なっていたという事が言えると思います。自分は全てを無にするわけにはいかない状況でしたから。雨が強くなっていき、自分は後続とのギャップがもっとあると勘違いしていたんですよね。彼との差は6秒ほどあってそこからプッシュしたので、もう少しすくギャップがあると思っていたんですよ。でもこれがMotoGPですよね。けしてリラックスする事は出来ません。ありとあらゆる状況で皆が自分を抜こうとしているんですから。ダニロにしても初めての表彰台でそれを逃したくないという思いがあったと思いますが、優勝というのは今日の状況では非常に重要でしたね。」

ダニロ・ペトルーチ

「説明が難しいですね。というのも初表彰台をかけていたので転倒が本当に怖かったんです。ですので今日は5位でも上出来だと自分に言い聞かせていたんです。その後マルケスが転倒して、ヴァレンティーノがどんどん近づいてくるのが全く理由がわかりませんでした。自分は後ろからドヴィに終われていて、前を行くヴァレンティーノは自分に気づいてペースをあげていたので丁度自分は真ん中だったんですよね。ヴァレンティーノを追い続けるのはリスキーだったので、今日は5位でも良いじゃないかと考えたのを思い出したんです。とにかく今日はハッピーですね。」

 

Q

「心理的な意味で、今日ホルへに勝利して12ポイントの差をつけたというのはどの程度重要なのでしょうか?」

ヴァレンティーノ・ロッシ

残念ながらほとんど意味無いでしょう。ただ、12ポイントというのは意味がありますし、チャンピオンシップにおいては重要です。ただ心理的なアドバンテージと呼べるほどの差では無いですね。トップに残ったという事もまた重要です。自分は序盤3戦でトップで、バルセロナの後にホルヘが1ポイント差まで近付いてきました。ブルノでは同点となりましたが、ポイントで抜かれる事はありませんでした。ホルヘ対して差を再び付けられたことは重要ですし、ここはデータ上はホルヘが自分に勝てる可能性があったトラックですからね。残り6戦でホルヘが得意なトラックも数多くありますから、むしろマルケスに対する差が広がったという事が重要です。」

 

Q

「今回の結果はGP14がウェットコンディションではGP15よりも良いバイクだという事なのか、GP15も良いバイクだという事なのかどちらでしょうか?」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ

「まずダニロが雨に強いライダーであるということと、自分が最後に雨の中表彰台を獲得したのがいつかわからないほど前であるという事が言えると思います。もともとDucatiは雨に強いですし、ダニロは雨が得意ですからね。

 

Q

「ダニロ、まずは素晴らしい結果でしたね。スーパーストックの頃を思い出しました。レディングが来年はプラマックに移籍すると発表されましたが、イギリス人のチームメイトについてどう思いますか?」

ダニロ・ペトルーチ

「彼は速いライダーだと思います。正直今年はもう少し速い彼を想像していたんですが、ホンダのファクトリーバイクはセッティングが難しいんでしょうね。レディングはMoto2時代にはマルケスを負かすこともありましたから強いライダーだと思います。ただ自分もプラマックではヨニー・ヘルナンデスに次いでセカンドライダーとしての立場ですので、バイクも1つ古いですね。ただ1年前のバイクとは言え戦闘力は高いですし、チャンスを与えてくれたプラマックには感謝を述べたいと思います。スコットも速いライダーですからお互いにプッシュしあって良いレースが出来るのではと考えています。」

 

Q

「ダニロ、18位スタートからどうしてあんな走りが出来たのでしょうか?」

ダニロ・ペトルーチ

単純にレインコンディションが得意なんですよ。戦闘力が低いバイクでも、過去には11位とかそういった順位は獲得した事がありますから。レインコンディションでの練習はほとんどしていないわけですが、GP14がレインコンディションでも速いのは過去のドヴィの走りから分かっていましたし、自分はモトクロス出身なので路面コンディションの変化には強いというのがあるでしょう。自分からすると、周りが雨でペースを落とすから遅いのだと思いますけどね(笑)ただ、ボックス(※ピット)では全てのコーナーで転びそうで見ていて怖いよと言われてしまいました。でも自分からすると皆が雨の中で遅すぎるんですよ。雨は全てがスムーズになるし大好きです。

 

Q

「ダニロ、ジジはあなたに今年のチャンピオンシップ8位獲得を要求していますが、現在ちょうど8位ですね。」

ダニロ・ペトルーチ

「正直に言って今の状況は心地よいものではありません(笑)これから毎レースポイントを確保して10位以内で完走しないとならないでしょうからね。ただ8位ではフィニッシュしたいとは思いますけど。」

 

Q

「ダニロに追いつかれそうになっている時、何を考えていたんでしょうか?」

ヴァレンティーノ・ロッシ

「彼が迫ってきた時の差が4.4秒で、次の周が3.4秒だったんです。残りのラップを考えて計算してみたんですが、残念ながら、その時点では5ラップあったんです。1周で1秒では追いつかれてしまいますからプッシュを再開したんですが、思ったほどペースが上がらなかったんですよ。ただ、その後少しペースを上げる事が出来て、ダニロも追い上げを諦めたようだったので良かったですよ。」

 

Q

「数年前のドニントンで勝利した後にコーリン・エドワーズがあなたのテレメトリーを見た時、すべてのコーナーでほとんどブレーキがロックしている状態だったと語っていますが、それは今日の最初のラップでも同じような状況だったんでしょうか?」

ヴァレンティーノ・ロッシ

「そういうわけではないですね。今日は朝の段階からブレーキングで良いフィーリングがあったんです。不思議なことにドライコンディションでは3つか4つのコーナーでホルヘのほうがブレーキングが強いんですが、ウェットの場合は完全に状況が逆なんですよ。自分はとても気分良く走行できて、自分のバイクもセッティングもスムースなライディングに最適な状態なんです。」

 

Q

「最高峰クラスで7回チャンピオンを獲得している36歳のあなたを常に走り続けさせるものというのは何なのでしょうか?」

ヴァレンティーノ・ロッシ

まずバイクに乗るという事が本当に大好きだということ。そしてMotoGPという世界最高峰クラスでヤマハのファクトリーバイクに乗るということが大好きなんです。この人生が好きだし、ライダーでいたいという思いがありますし、それに情熱ですね。これは皆も共通だと思いますけど。もちろん勝利であるとか素晴らしい結果、その他の人生というのは同時に重要なんですが、バイクに乗る時に感じるもの、レースが始まる5分前に感じるもの。これこそがモチベーションですね。

(※管理人注 記者の質問は「MotoGPで7回の」という聞き方でしたが、ロッシ選手の経歴として正しくは500ccクラス1勝、MotoGPクラス6勝ですので「最高峰クラスで」と変更しました。)