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★MotoGP2015ヤマハ リン・ジャービス「我々は勝ち続けないといけない」

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ヤマハのリン・ジャービスさんが今年のヤマハの強さ、そしてヴァレンティーノ・ロッシ選手、ホルヘ・ロレンゾ選手について色々と語っています。特に今のヤマハの強さに関する説明として、昨年マルケスに10連敗した事がきっかけになっているというあたりの話、ヤマハのバイク作りのフィロソフィーに関しての話が非常に興味深いです。

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Q

「今2人のヤマハのライダーがMotoGPのチャンピオンシップを同点で争っているというのは、夢のような展開でしょうね。」

ヤマハファクトリーレーシング  リン・ジャービス

「ええ。この段階でこういった状況であるというのはとても幸運ですね。ずっとこの状況でいくといいんですが。」

 

Q

「この状況のカギというのは何でしょうか?」

リン・ジャービス

今の状況は、昨年のシーズン前半にホンダの圧倒的な強さを受けて始めた事による成果だと考えています。レースというのは自然なサイクルになることが多いのですが、負けた時にはその原因を深く追求する必要がありますし、解決策を見つけ、再びトップに返り咲くために素晴らしい仕事をする必要があります。昨年のマルケスの10連勝はあまりにも圧倒的な勝利で、我々はそこからバイクを良くするために必死に作業を開始したんです。そうした成果は既に昨年のセカンドシーズンに見え始めていました。セカンドシーズンではホルヘ・ロレンゾとヴァレンティーノ・ロッシの両名でHRCよりも多くのポイントを確保出来ました。幸運だったのは、我々が冬期期間中もバイクを進化させることが出来たということですね。非常に良いテストが出来ましたし、我々のライダー達も肉体的、精神的に非常に良い状態でした。」

 

「ホンダに昨シーズン負けたことで、バイクの弱点を改善しなければならないと気付かされたのです。(この弱点とは)特にブレーキング、メカニカルグリップ、コーナーエントリー、そしてアクセレーションなどの部分ですね。弱点はわかっていましたし、我々のエンジニアが昨年のセカンドシーズン、特にシーズンの冬期休暇中に素晴らしい仕事をしてくれました。ライダー達も自分たちの仕事をきっちりとこなし、シーズン開幕には素晴らしいコンディションで、勝利に飢え、高い戦闘力を備えた状態でやってきたのです。思うにこれらの2つが現在の結果をもたらした要因でしょうね。」

 

「また、ライバル達がいくつかの困難を迎えていたということもあります。マルクはシーズン前半にバイクの扱いに手こずっていましたし、ダニは腕上がりの症状に苦しんでいました。おそらく彼の怪我はバイクの性格によるものかもしれませんね。ホンダを乗りこなすのは非常に手がかかるでしょうし体力もかなり使うでしょう。こうした複合的な問題から、マルクもマシンの弱点を補う為に無理をする必要に迫られたことでしょう。そして彼は3つの転倒という致命的なミスを犯しました。これはヤマハにとっては幸運ことでした。エンジニア、ライダーの双方がヤマハが抱える問題にハードワークによって応えた。そしてホンダが冬期中にライダーの手に余るバイクを作ってしまったというミス。こうした要因がありますね。」

 

Q

「 新しいM1はライダーの強みを引き出しているような感じですね。今のロレンゾはまるで無敵のように思えます。」

リン・ジャービス

「これは長らくヤマハのレースバイク、そして市販車のバイクづくりのフィロソフィーでもあるんですが、”人とバイクとがハーモニーを奏でる”ということを体現しているんだと思います。つまり、最終的にとてつもないパワーを持ったハイテクのバイクを完成させたとしても、ライダーがそう感じられず、ライダーにフィードバックを返さず、扱いにくく、乗りにくいバイクであれば、ライダーは自分の最高の限界レベルで走行することは出来ません。これはヴァレンティーノがヤマハと、気持ち良くライディング出来るしっかりとした土台を持ったバイクを作るうえで、長年気にしていたことです。

 

「これはホルヘの結果にも結びついていますね。彼の事をよく知るにつれ、彼はあるゾーンに入ると完全にマシンと一体になったと感じられ、無敵の状態になる。という事がわかってきました。これは今年彼がレース開始から最後まで常にトップで走行していた5戦で見ることが出来ましたね。彼が勝利した今年の5戦、彼は一度も抜かれることなく完走しています。いくつかのレースは単調で面白くなかったかもしれません。しかしこれは見る者が見れば、いかにとてつもない事なのか理解出来ることなのです。

 

「残りは7戦。両ライダーともに同じポイントを獲得しており、ヤマハは現在8勝しています。現状の目標はこの状態をずっと続けていくことです。ただ、マルケスがすでに優勝争いから脱落したとは考えません。まだ多くのポイントを獲得出来る可能性が残っており、マルケスがこれから9ポイントずつ毎戦ポイントリーダーよりも獲得することが出来れば事は足りるのです。ですからこれからも勝ち続けないといけないのです。そして私はこれは実現可能だという自信があります。これからいくつかのレースは我々のバイクとライダーが得意とするサーキットでのレースとなります。自信はありますが、モータースポーツは何事も起きうる世界ですから注意が必要です。」

 

Q

「チャンピオンシップ争いは最終戦ヴァレンシアまで続くと思いますか?」

リン・ジャービス

「ええ。その可能性が高いですね。もしヴァレンティーノがリードすればホルヘがそれを抜き、またヴァレンティーノがリードすれば、ホルヘが抜いていくでしょう。過去の6戦、7戦を振り返っても、どちらかアドバンテージを得るとかそういった事は考えにくいですね。ですから最終戦のヴァレンシアまでこうした状況が続いていくんじゃないかと思います。ただ個人的にはヴァレンシアの1戦前にチャンピオンシップの結果が出ると嬉しく思います。もちろんお客さんは最終戦まで勝負がもつれたほうが面白いでしょうけどね。ただ、チャンピオンシップの行方はマレーシア戦までに決まるとは思えません。」

 

Q

「10回目のタイトルを狙っている今年は、あなたが今までに見てきたヴァレンティーノの中でも最もハングリーな姿ですか?」

リン・ジャービス

「ええ。そうでしょうね。2009年の勝利から数えて5年に及ぶ敗北から彼がこうして帰ってきたことはとんでもないことですよ。過去数年苦しいシーズンを過ごした36歳のライダーが、若いライダー相手にこうしてチャンピオンシップをリードしているということに関しても凄い偉業だと感じます。そして、今年のヴァレンティーノのライディングは素晴らしいですね。11回の表彰台、そして昨年の終わりも4回表彰台を獲得しています。素晴らしい安定感だと言えます。彼のレースに対するモチベーションは大きいですし、細かい事に関する気遣いも変わっていません。個人的に彼は過去の最高の時点と同じレベルでライディングをしていると感じますね。彼が彼自身のライディングスタイルを時代に適応させてきたことは驚異的な事です。過去に自分のスタイルを時代に合わせて変化させる事が出来たライダー、レーサー、パイロット、スキーヤー、あらゆるスポーツマンというのは本当に本当に少数ですよ。これは彼がこのスポーツにかける情熱を如実に表していると思いますね。」

 

Q

「イギリスGPに関してはどうですか?」

リン・ジャービス

もちろん1-2フィニッシュを期待していますよ!ただ正直に言ってもう一度1-2フィニッシュで勝利出来ると考えているんです。シルバーストーンはヴァレンティーノよりはホルヘに適したサーキットですね。ホルヘは過去ずっとこのサーキットで強かったわけですし、マルケスとも良いバトルを繰り広げてきました。マルクもシルバーストーンでは強い走りをするでしょう。ただホルヘがブルノで見せたような走りが出来れば、彼は優勝出来るでしょう。雨が降らないようにと祈っていますよ!」

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