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★ラジアルマウントキャリパーの利点とは?

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Cycle Worldの人気コーナー「ケヴィンに聞け」のコーナー。最近はあまり質問が来ていなかったようですが、今回はラジアルマウントキャリパーの利点についての質問です。

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Q

「ブレーキキャリパーを通常のマウント方式ではなく、ラジアルマウントで搭載することに関するメリットは何でしょうか?」

A

「1974年のデイトナにヤマハのTZ750が現れた時、鋳鉄製キャリパーはフォークの前面に取り付けられていました。これは明らかに高温のキャリパーを走行風に当てて冷却するという意図を持って考えられた搭載位置ですが、最初の練習走行の後に彼らはキャリパーを通常の位置に付け直していました。これはステアリング軸の近くにキャリパーを搭載することで慣性モーメントを減少させるためでした。」

「キャリパーの搭載方法は、その後ある問題が起きるまでは変わりませんでした。当時のバイクは1970年代のタイヤのグリップを想定して作られていましたが、1974年にスリックタイヤが革命を起こします。1980年代初頭にはスリックタイヤの強大なグリップはTZのツインループ・スチールチューブフレームには強烈すぎ、異なるフレームの同じ箇所にクラックを発生させるほどのものでした。」

 
「結果として(※フレームにかかる力を逃がすため)バンピーな路面でのコーナリングなどに備えて、フロントホイールの角度を可変させるという手法(※柔軟性の高い鉄のソリッドシャフトをフロントタイヤのアクスル軸に使用)が取られました。しかしこれによりコーナーリング時の横Gで、ブレーキディスクがブレーキパッドをキャリパー側に押し込んでしまうカーレーシングの世界で言う”パッドノック・オフ”という問題が起きました。(※ブレーキレバーを引いても瞬時にはブレーキ効力が立ち上がらない)」
 
「バイクの作りを考える上で、この”パッドノック・オフ”を引き起こさない為のキャリパーの理想の搭載位置は、ブレーキディスク自体の動きが少ないディスクの後ろ側となります。また近年のブレーキディスクの大型化の流れもあり、ブレーキキャリパーをラジアルマウントで搭載するという手法が取られるようになりました。特に最近のMotoGPで言えば、茂木では340mmのカーボンディスクが使用されています。またラジアルマウントの場合、ディスク径が大型化しても、マウントベースを延長し、マウンティングボルトを長くするだけでディスクの大径化に対応することが出来ます。これは通常のマウント方式では出来ない手法です。こうしたニーズに対応する必要が無ければ、旧来のマウント方式も特にデメリットはありません。ストリートで走るレベルにおいては”パッドノック・オフ”を体験出来るライダーはごく少数でしょう。しかし近年のスポーツバイクの性能アップとともに、こうした問題が一般化しつつあるのもまた事実なのです。」

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