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★DucatiパニガーレTerraCorsa 195馬力のダートバイク試乗レビュー

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Ducatiが誇るスーパーバイク、パニガーレをオフロードで乗ろうというクレイジーな試みについての試乗レビュー記事です。なんだかんだ文句を言いつつも十分に楽しんでいる様子が伝わってきますが、セパハンでオフロードを走るというのはとんでもなく恐ろしい体験だと思います。とは言え、案外オンロードバイクでもオフロードを走れるということや、筆者が言うように「ロード乗りにもオフロードの楽しさを知って欲しい」というオフロードで始めてバイクを走らせた時の楽しさを味わって欲しいというのは非常に良くわかります。管理人もロードをずっと走り、草レースなどした挙句に、現在は山の中で丸太超えなどするのが楽しくて仕方ない状態です。とは言え、このバイクでは丸太超えはロードクリアランス的に難しそうな気がします(笑)

(※記事自体は結構前の内容でこのバイクも海外のSNSで暫く前に盛り上がっていましたね。)

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筆者がAsphalt & Rubberの仕事をする中で、いくつか「やらないほうが良かった」という仕事(※試乗レビュー)がある。しかしそれらのバイクは後から考えてみるといつも20点満点で20点のバイクで最高に楽しいマシンだった。あまり無いケースではあるが、私はこれから起きうるそうしたクレイジーなマシンの試乗を感じる事があり、MotoCorsaのTerraCorsa(※物凄くざっくり説明すると、パニガーレをオフロードで走らせようというものです。)というプロジェクトも、そうしたクレイジーなアイディアの1つとしてカウント出来るものだと感じていた。

本来はロードレースで勝利するために作られた195馬力のスーパーバイク、Ducati1199パニガーレは思いつく中でも最も先進的なデザインのバイクだと言える。MotoCorsaのアルン・シャルマがコンチネンタルのTKC80タイヤを履き、デザートストーム色に塗装されたパニガーレSの試乗の話を持ちかけてくれた時、私は「まぁ変なことにはなるまい。」と思い、快諾したのだった。

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ただ正直に言ってスーパーバイクでオフロードを走行するという事は実に馬鹿げた行為で、疑う余地なく、このアイディアに関してのおかしさについて長いリストを作ることが出来るだろう。オフロードを走行すると考えた場合、サスペンションのトラベル量は短すぎるし、パニガーレ1199のスーパークアドロVツインエンジンはパワーがありすぎる。ライディングポジションは何もかもが間違っているし、率直に言ってモーターサイクリングに対する犯罪だと言える(笑)

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まず最初に述べておくと、スーパーバイクに”putting knobby”コブの多いタイヤを履くというアイディアは、あなたが思っているほどに悪くはないのだという事を説明しておこう。神の御心は謎だが、すべての物事は完璧に上手くいく場合もあるということだ。TerraCorsaの開発の動機の1つには、近年盛り上がりを見せるアドヴェンチャーバイクというカテゴリの動きがある。この流れを決定づけたのは259kgのBMW R1200GSだ。しかし今回のDucati1199パニガーレはたったの166.47kgしかない。モーターサイクリストが走りたいと思う道というのは様々で、高速から普通の道路、林道から、獣道まで様々な道を走りたいという欲求がある。であるからしてADVバイク、Ducatiムルティストラーダ1200のようなバイクが作られたのだ。

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TerraCorsaはこうしたセオリーが間違っていることを証明するためのバイクだ。そしておそらく30分ほどの作業で、トラックを走るバイクを林道を走るバイクにコンバート出来るということ、オフロードを走るのに完璧なエンデューロバイクである必要は無いという事を証明してくれるはずだ。見れば分かるようにバイクのコアとなるエンジン、シャーシなどのパーツはほとんど共通だ。歴史を振り返れば、ロードモデルもオフロードモデルも大した違いが無いというのは明らかにわかることだろう。バイクはバイクなのだ。結局のところ2本のタイヤがあることによって、このバイクは行きたい方向に進んでくれるし、悪くないトレイルバイクになっていると言える。1速160km/hでシフトアップをするが、この動作に関して必要性があるのかどうかは不明だ。確実に言える事は、パニガーレの冷却系はこのような低速スピード低回転の走行は楽しんでいないだろうという事だ。

 

オフロードブーツを履くこともまた同様だ。スポーツバイクのライディングポジションにおいてはギヤチェンジは至難の業だ。他のアドベンチャーバイクに比べて低いシート高はパニガーレの大きなメリットだと言えよう。足が路面に届かない不安でバイクを止めるような事はTerraCorsaには不要だ。ただ、この安心感は勿論足の短さというトレードオフとして得られるものだ。ホイールのトラベル量はフロントで4.72インチ(11.98cm)、リヤで5.12インチ(13cm)しかない。ちなみにこれでもフロントフォークの突き出し量は限界まで下げられている。一応走行テストの最中に底付きしたことは無いようだ。

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私が不満を述べるとしたら、ストローク量の短いサスペンションでは無い。私の不満としてはクリップオンハンドルだ。このロードバイクの前傾姿勢では、体重が腕にかかってしまう。この姿勢でバンプを乗り越えたりジャンプしたりというのは、非常に恐ろしい体験だ。快適性や操縦のしやすさという点でも、フラットなハンドルバーに少しだけ高いライザーをかませば、TerraCorsaはぐっと操縦しやすくなるだろうし、曲がりやすくなるだろう。実際ライディングの最中に何度も親指をハンドルバーとタンクの間に挟むのではないかという恐怖があった。

 

悪い点がこれだけであるとしたら、良い点は沢山ある。Ducatiがパニガーレの重量配分を前後50:50にしたおかげでTerraCorsaのコーナリングは正確であるし、ぬかるんだ道であってもしっかりとした走行が出来る。もし開けた道があったとしたらこのバイクは恐ろしいスピードで走る事が出来るし、これだけでも他のADVバイクには無い特徴である。ブレーキングでリヤは逃げフロントを押し出すが、車体自体の安定感は非常に高い。ブレーキングでブリッピングしながらこのバイクをダートで乗るのは神経を使う。しかしこのバイクはロードで走るのと同様、ライディングの度に限界に挑戦しようと思わせてくれる。このバイクで何の疑問も持たずに路面のバンクを使ってコーナリングをする事になるのも時間の問題だろう。

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TerraCorsaをライディングするのはくだらなさの極限だと言える。路面のバンプを超えるたびにいかに馬鹿げた事をしているのかを気づかせてくれる。ジャンプするべきか?このコーナーでリヤをスピンさせるべきか?など知らぬうちに楽しんでいる自分に気づくだろう。バイクが単順に楽しい乗り物であるのなら、TerraCorsaはその原点を追求したバイクと言える。その昔、何種類ものバイクがなかった時代は、バイクとはどのようなコンディションで乗っても楽しい乗り物だったはずだ。このバイクに乗るのは、泥の中でのフットボールに似ている。そんな事をするなと母親に叱られるかも知れないが、やるべき価値のある体験だと言えよう。

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もし興味があるのならば、ライディングモードをレインにして馬力を100馬力に抑えるのも悪くないだろう。ただどうせならばそうしたパワーの制限はせずに、最大馬力の195馬力を味わいたいところだ。トラクションコントロールはあまり意味をなさないし、ABSも同様だ。TerraCorsaにおいて洗練されていると感じるところはカーキ色のカウルだ。もしモディファイをしたいと思うとしても、そのリストは非常に短くなるだろう。DucatiはTerraCorsaに別のフューエルインジェクションモードをオプションとして用意しているようだが、今回は完全にパニガーレのオリジナルエンジンマップで試乗を行った。テルミニョーニ管を保護するスキッドプレートは既に装着されているし、フロントフェンダーもTKCタイヤを装着するために、搭載位置が改められている。サスペンションはパニガーレSに通常付いているものと同様。ミラーはカウルマウントからハンドルバーマウントに改められており、タイヤはコンチネンタルTKC80タイヤを履いている。

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このMotoCorsaのTerraCorsaはオレゴン州ポートランドのイベントで走っている姿、MotoCorsaの店頭にある姿を見たことがあるかもしれない。もし興味があるのであれば、コストはタイヤ代$300で済む。アドヴェンチャーバイクに乗るライダー達が、彼らの2輪走行のソファーから、2輪走行の俊足ダートバイクに乗り換えるとは思えない。しかしTerraCorsaがストリートバイクに乗るライダー達を、オフロードを楽しむことに駆り立ててくれる動機を与えてくれると良いと思っている。彼らは自分自身が乗るバイクがオフロード走行も出来るという事に驚くであろうし、そのプロセスの中で今までに感じた事の無い喜びや楽しみを感じることが出来るだろう。

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BY JENSEN BEELER/Photos: © 2014 Quentin Wilson & Jensen Beeler 

www.asphaltandrubber.com