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★スズキGSX-S1000/GSX-S1000F北米試乗レビュー

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全体的に安いことは素晴らしい!という感じの論調ですが、アメリカ市場でのスズキGSX-S1000/GSX-S1000Fの試乗レビューをお届けします。息の長いエンジンを使用しているとはいえフレームも新作ですし結構お買い得なんじゃないかと思います。管理人はK5のR1000は以前所有しており、軽量ハイパワーな傑作機だったと記憶していますが、機会があれば同エンジンのコイツも試乗してみたいと思います。

(※2015/08/05追記)マニアックな話題ですが、K5、K6のGSX-R1000は海外市場でウイリーのしすぎでフレームにクラックが入ったという謎のリコール扱いでフレームに補強が入り、その後のモデルは6kgほど重量増になったという歴史がありますが、このモデルの新設計のフレームはそういった問題もクリアしているんでしょうかね。

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しっかりとしたネイキッドバイクが欲しいとしよう。しかし最新のフライバイワイヤなどのテクノロジーで武装した160万近いバイクはいらない。でも心配はいらない。スズキの新型GSX-S1000はトラクションコントロールシステムをGSX-R1000から引き継いだエンジンを手懐けるために装備し、ABSは$500のオプション装備で追加出来る。

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最新の電子制御サスペンション、オートブリップのエレクトリックシフター、ウイリーコントロールも付いていない。しかし真の漢である我々にそんなものは必要ない。この時代に我々が欲しいのはやたらと高価なバイクではないのだ。GSX-S1000は$9,999のバイクで、ABSを付けても$10,499しかしない。これはカワサキのZ1000よりも$1,500も安い。スズキによると、GSX-S1000ABSは装備重量で209kgだという。これはZ1000よりも12kg軽く、プレミアムクラスと言えるBMWのS1000RやDucatiの1200モンスターと良い勝負をしている。スズキは前々から軽量なバイクを作る事で知られているが、経験豊富で良い悪いの区別が出来て、以前スポーツバイクを所有していた40過ぎの男性が、週末のツーリングに軽量で自由自在のハンドリングと満足いくパワーを持つバイクが欲しい時に何を選ぶかというのはわかりきったことだろう。

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スズキはGSX-S1000に恐ろしい性能のエンジンを搭載したわけではない。2005−2008年式のGSX-R1000に搭載されていたロングストロークのエンジンはマイルドなカムシャフトによって牙を抜かれている。とは言え、11,500回転時にはクランク軸で185馬力を発生する。スズキによると、このバイクは10,000回転時に145馬力、トルクは9,500回転時に78.2 lb-ftを発生するという。これはストリートで走るには十分過ぎる馬力であるし、どのコーナーでもウイリーをするのに十分なトルクと言えよう。しかし乗り手に恐怖を与えるような恐ろしい動力性能とは言えない。

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我々は最新のレース直系のバイクのフライバイワイヤ方式に慣れてしまっているため、右グリップから長く伸びている物体は何か?と疑問を抱くかもしれないが、これはご存知の通りスロットルケーブルだ。これはGSX-Sの4つの44mmスロットルボディ内部のバタフライバルブに向かっている。そして、このバイクは1996年に登場した傑作機GSX-R750に使用されていたスズキのSDTV(スズキ・デュアルスロットルバルブ)システムを使用している。

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レンサルのファットバーの左側にあるスイッチで3つのパワーモードの選択が出来るが、そのためには一旦バイクを止める必要がある。モード1はフルパワー、最大限の馬力でトラクションコントロールの介入は最小限だ。モード2では最大限の馬力に加えてトラクションコントロールの介入が多少入る状態。筆者のお気に入りはこのポジションだ。モード3はレインモードだ。急な山の登り道をスピンせずに登りたいような時にはこのモードが役に立つ。このシステム自体完全にオフにする事も可能だが、ボッシュ製のABSは(※ABS装備車は)オフにする事は出来ない。

 

フレームは完全な新作で、スズキによると750のものよりも4.5kg軽いという。最新の解析テクノロジーを使用することで、このメインフレームはGSX-R1000のそれよりも軽量に仕上がっている。アーチしたスイングアームは、サイズ、形状共にGSX-R1000のものと同様。310mmのフロントブレーキディスク、ブレンボ製のキャリパーは強力なストッピングパワーを発揮する。ABSモデルはスタンダードからわずが$500プラスで購入出来、重量も0.6kgプラスになるだけとのこと。シートに座ってもその軽量さを感じる事が出来る。シート高は802mmで、シートの厚さも十分だ。ステアリングも適度に軽く、同クラスのライバルと比べてもホイールペースも適正な値だ。

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KYBのサスペンションは新造で、43mmの倒立フォークには"デュアラブル・プレーテッド・フィニシュ”なるフィニッシュが施されており、所有欲を高める高級な見た目が特徴だ。フロントフォークは3方向での調整が可能だ。(※プリロード、コンプレッション、リバウンド)リヤのKYBのシングルショックはリバウンドと5段階でのプリロードの調整が可能だが、コンプレッションの調整は出来ない。スムースな路面でのこのバイクに対する筆者の意見は既に欧州でこのバイクを操縦しているJeff Wareと同意見で、何の不満も無い。ただ、バンピーでうねったような路面では、GSX-S1000の足回りは、BMWのS1000RやKTMのDuke Rには及ばない。

 

スズキのGSX-S1000の場合、こうした路面ではフロントフォークはライダーの上半身を容赦なくジャブし、リヤからの衝撃はボディーブローのようなものなのだ。その他にもコストダウンの影響が見て取れるのはステアリングダンパーの不在だ。もしライダーが若くてタフであれば気にならないような事項だろう。筆者のようなオッサンライダーの場合は、単純にライディングのペースが落ちてしまう。普通の路面におけるGSX-Sは非の打ち所の無いバイクだ。5,000回転で130km/h程度で流していて実に心地よい。ファットバーとエンジンのカウンターバランサーが実に良い仕事をしており、4気筒の心地良い振動を楽しむことが出来る。

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熱い季節にはネイキッドバイクは最高だ。逆に寒い季節に風防が必要なライダーのためには、スズキはGSX-S1000Fをラインナップしている。アメリカスズキのティム・オルソンによると、アメリカ市場ではフェアリングバージョンが好まれるとして、GSX-S1000Fがリリースされるようだ。これはよりスポーツツアラーとしての意味合いを持たせたもので、カウル無しのモデルはスポーツロードスターといった位置づけのようだ。とは言え積載スペースは限られており、ハードバッグのオプション登場の噂も聞かない。

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霧の出た肌寒い海沿いをダイネーゼのジャケットで走ると少し寒かったが、Fモデルのフェアリングが寒い季節には約に立つだろう。またヒートクリップ、背の高いスクリーン、もしかしたらハンドガードも装備すれば気にするようなことではないだろう。何はともあれ、このバイクは$9,999で購入出来る。スズキの同クラスのバイク、トライアンフのスピードトリプル、ヤマハのFZ1よりも遥かに安い。ホンダのCB1000RやカワサキのZ1000から比べても同様に安い。GSX-S1000に対して筆者は太鼓判を押す。MotoGPにインスパイアされたカラーリングで、今手に入る中で最も手軽なネイキッドバイクだと言えるだろう。軽量でパワフル、良いサウンドを奏で、走りも滑らかで快適だ。30年前のベストな体重の事を思い出す中年のハートにGSX-Rの火を再び灯すバイクだ。

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(※軽量で馬力も十分。価格も安いことから、エクストリーム競技のベース車両として人気が出ると管理人は予想します。)

【2016 SUZUKI GSX-S1000諸元】

エンジン:水冷4ストローク直列4気筒4バルブDOHC
排気量:999cc
ボアxストローク:73.4 mm x 59 mm
馬力:145 hp @10000回転
トルク:78.2 lb-ft @9500回転
圧縮比:12.2 : 1
燃料供給系:44mmスロットルボディ/3モードトラクションコントロール
トランスミッション:6速
フロントサスペンション:43mm KYBフルアジャスタブル倒立フォーク
リヤサスペンション:KYBリンクタイプシングルショック
フロントブレーキ:310mmデュアル セミフローティング ブレンボラジアルマウント32mm 4ピストンキャリパー
リヤブレーキ:シングル 220mmディスク 1ピストンキャリパー
フロントタイヤ:Dunlop D214 120/70-17
リヤタイヤ:Dunlop D214 190/50-17
シート高:802mm
ホイールベース:1460mm
装備重量:209kg
燃料容量:17L
販売価格:$9,999/$10,999(Fモデル)

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