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★マルケス「ほとんどフロントタイヤだけで走行している状態だった」

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ムジェロではフリープラクティスからユーズドタイヤでのタイムにこだわってセッティングを出していたマルケス選手。最後までユーズドタイヤでのタイムという問題を解決出来ずに時間を食い過ぎ、予選に失敗したという印象を受けた先週末のレースでした。今回のフロントに依存しすぎたというコメントからすると、いつもブレーキングでは1輪走行しているようにしか見えない彼ですが、意外とリヤタイヤのグリップもブレーキングにおいては活用しているということですね。

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マルケスは予選13位スタートを吹き飛ばすようなスタートを見せたが、その後の転倒によってタイトル獲得の難易度はさらに上がってしまった。

マルケスはスタートから一気に4位まで順位を上げたが、トップを走るロレンゾは遥か遠くに消え去り、決勝レースの間ほとんど2位争いをしていた。マルケスはアンドレア・ドヴィヅィオーソ、アンドレア・イアンノーネ、チームメイトのダニ・ペドロサとのバトルをする形となり、23周のレースの18周目にフロントエンドのスライドで転倒した。

マルク・マルケス

「1周目は非常に良い走行が出来ました。まさに自分が望んでいた通りでした。序盤は少しリスクを取ってでも良いポジションを確保するべきだと思っていたので、最初の数周の後にロレンゾの後ろまで一気に順位を上げることが出来たことに関して凄く嬉しかったんですよ。(※13位スタートを考えても)1周目は本当に良いラップでしたね。でもその後のレース後半にとても苦戦してしまい、どのコーナーでも限界を超えて走行している状態で、最終的に転倒してしまいました。でも一番重要なことはチャレンジをしたということです。」

 

これでマルケスのDNF(完走出来ずにリタイアとなること)はロッシに接触して転倒したアルゼンチン以来シーズン2回目となる。ポイントリーダーとなるヴァレンティーノ・ロッシに対しては49ポイント、ほぼ2勝分と同じポイント差をつけられている。

 

「33ポイント既に離されていた状態でしたけど、49ポイントはさらに差が開いてしまいました。挑戦したという事が重要だったと考えていますが、良い方向でライディング出来る状態になるということが先決です。でも自分が自分であることは変わりませんので、次のレースで勝てるとしたら100%かそれ以上の力を注いでレースに挑みます。」

 

マルケスは、すべてのホンダライダーが暑さによるフロントタイヤのグリップ低下に悩まされたル・マンで、4位完走した後にムジェロを迎えた。ムジェロにおいては、2015年のホンダが抱えるリヤグリップの不足が大きな問題であるという事が再び明らかになった形だ。

 

「問題はル・マンとはまた別です。今回はフロントタイヤのグリップはしっかりとしていて、むしろフロントタイヤだけで走っていた状況でした。問題はリヤタイヤのグリップが落ちた7、8周目で、そこからはいつものような問題、つまりコーナーエントリーでのスライド、リヤタイヤの希薄なグリップに悩まされました。こういう乗り方をして20周も周回すればフロントから滑って転倒することは不思議ではないですよね。TVで見てもわかるように、コーナーにエントリーする段階ですでにスライド量が多すぎる状態だったんです。ブレーキをリリースしてもバイクを止めることが出来ないんです。この部分は何とかする必要がありますね。」

 

「昨年もこうしたスライドはありましたけど、常にそのスライドは自分のコントロール下にありました。そして常にリヤタイヤの存在感はあったんです。でも今年に関してはなぜかは不明ですがそれが無いんです。今日の1周目は新品タイヤということもあって、良いタイムで走行が出来ました。リヤタイヤがしっかりしているうちは良いライディングが出来ますし、バイクのフィーリングも良いんです。ただ問題はユーズドタイヤの場合なんですよね。例えばヘレスの場合、最初の1周目はホルヘについていくことが出来ました。でもタイヤが摩耗を始めると、コーナーエントリーでスライドしてしまって、全てが難しくなっていくんですよ。何とかしようとしているんですが、そう簡単には解決出来ませんね。」

 

マルケスによると2015年型のエンジンキャラクターが問題の根源だという。しかしエンジンの開発の凍結はシーズン中のモディファイが出来ないことを意味する。

 

「コーナーにエントリーする際に(※エンジンブレーキで)リヤタイヤが頻繁にロックするんです。ということは、滑っていないフロントタイヤのブレーキングの比重がどうしても高まるわけで、レースの間はずっとフロントタイヤをプッシュするという結果に繋がるんです。毎回フロントタイヤを100%プッシュしていれば、終盤には当然フロントタイヤも滑りだすわけで、時々フロントを休めることが出来ても、それが毎回というわけではないですからね。」

 

マルケスとホンダはもうひとつのバイクの問題である、アグレッシブ過ぎるコーナーの脱出の挙動にもエレクトロニクスの調整などで対処する必要がある。また、同時にマルケスはシャーシの性格の変更も同時に必要だと考えている。


「コーナー脱出についてのマシンの挙動を変える必要があります。つまりエンジンキャラクターですね。エレクトロニクスで制御しているものの、まだ完璧ではありません。コーナーエントリーの部分はむしろメカニカルな問題かなと考えています。ただエレクトロニクスやシャーシの部分でも手を加えてみるつもりです。エンジンを変更出来ないのであれば、シャーシの変更でなんとかこの問題を乗り切るしかありません。」

 

「ホンダには数戦前に新しいパーツを依頼していて、彼らが懸命に努力してくれているのもわかっています。今回は新しいエレクトロニックマップ(電子制御マップ)を持ってきてくれました。ル・マンではマレーシアでテストしたシャーシ、そしてスイングアームを持ち込んでくれました。彼らが懸命に努力してくれているので嬉しいですよ。彼らも問題を把握していて改善したいと当然思ってくれているわけですから。出来るかぎり早く問題が解決出来るかどうか..というところですね。」

 

またムジェロでマシントラブルでリタイアしたドヴィヅィオーソはマルケスについて、以下のように語っている。

アンドレア・ドヴィヅィオーソ

「マルケスのバイクはヤマハやDucatiについて来るのに苦戦しているように思えましたね。トラクションが良くないんでしょうね。マルケスはとにかくブレーキングが強力です。彼の場合はいつもブレーキングでタイムを稼いでいると思うんですが、去年のような完璧なバランスで走っているとは言えないと思います。思うに、今年のMotoGPは去年よりも少しだけレベルアップしていると感じるんですよ。それでホンダだけが、そのレベルアップした分についてこれていないのではないかってね。マルケス自体は変わっていません。彼は自分の限界により近いところで走っていて、それが転倒に繋がったんじゃないですかね。」 

m.crash.net