気になるバイクニュース。

世界のバイクニュース、MotoGP最新情報、各メーカーの新車情報などを紹介しているブログメディアです。

★MotoGP2015 アルゼンチンGP見どころ

Sponsored Link

今週は間髪開けずに第三戦が開催されますが、アルゼンチンの状況、Ducatiの燃費問題など、色々と面白い視点の記事をご紹介します。
f:id:teletele916:20150418011216j:image
オースティン戦の後、MotoGPの舞台は南へと移動し、アルゼンチンのテルマス・デ・リオ・オンドにおいて第三戦が開催される。このサーキットはアルゼンチンの中でも最も貧しい地域に位置しているが、レースウィークのこの地域の物価はその地域性を全く反映していないほどに高い。

最寄りの空港でコンパクトカーを借りる費用で他のどの地域でもラグジュアリーカーを借りる事が出来るし、ホテルの宿泊料はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスにある高級ホテルのクラリッジホテルの宿泊料と変わらない。そして、MotoGPに顔を出さざるを得ない哀れなジャーナリスト、チーム、スタッフからこうした連中が金を巻き上げていく。こうした費用が出せない者達は会場から数時間離れた場所に宿泊し、多少なりとも宿泊費などを節約する。

テルマス・デ・リオ・オンドで開催されるアルゼンチンGPは、こうしたカラクリによりパドックの金をブラックホールのごとく飲み込んでゆく。会場に訪れるファンは賢く、多くの者がテントを持ち込み、バン、RVに泊まったり、単純にサーキットの裏で寝袋で寝たりする。彼らの多くはサーキット周辺で販売される物凄い量の酒、肉などに多くの金を使うわけだ。こうした環境により、アルゼンチンGPは物凄い熱気の中で開催される。これらの状況に関してブラッドリー・スミスは次のように語る。

ブラッドリー・スミス
「アルゼンチンGPに来るのを楽しんでるチームは無いと思いますよ。物凄いコストがかかりますからね。でも一度トラックに出れば、このトラックは物凄く最高なんです。夜になってもファンの熱気がもの凄くてね。だからある意味これはトレードオフですよね。水曜、木曜は最悪なんだけど、レースウィークに入ってしまうとそんなことは関係なくなるんですよ。」

確かに滞在コストは恐ろしくかかるが、このトラックは素晴らしい。流れるようなコースレイアウトに高速から低速までのバラエティーに富んだコーナーが存在している。ただ、このトラックがタイヤに要求する厳しさはブリヂストンが持ち込むエクストラハードタイヤに表れている。

つまり、ソフト寄り(※管理人注オープンクラスとDucati、スズキ、アプリリアの使用タイヤはファクトリークラスよりも1段階柔らかいタイヤとなります。)のタイヤを使用するDucatiにとっては、そのタイヤの柔らかさが致命的な条件と成りうるというわけだ。アンドレア・ドヴィヅィオーソ、アンドレア・イアンノーネの2人のDucatiライダーは良い走りを披露するだろうが、間違いなくタイヤのライフで苦労するだろう。

これは見方によっては面白いレースになる可能性がある。Ducatiがレッドストライプのハードタイヤのグリップを使ってホンダやヤマハを振り切る走りを披露するのか、そのグリップの低下にイエローストライプのエクストラハードのタイヤを履くであろうホンダやヤマハが追いつくのか?ただ、Ducatiは燃費に関してはそこまで心配することは無いだろう。レースカレンダーの中ではフィリップアイランドに次ぐ高速トラックであるテルマス・デ・リオ・オンドだが、低速コーナーからのハードな加速スポットが無いサーキットレイアウトは燃費にそこまで悪影響は与えないだろう。

オースティンでは2人のアンドレアはクールダウンラップで燃料切れの為にマシンを止めたように見えたが、アルゼンチンのプレスカンファレンスにおいてドヴィヅィオーソは「燃料タンクに少し問題があったのであって、燃料切れではない」と否定した。ただ彼は詳細については明言を避けている。

Ducatiが燃料切れを起こしたと思われる背景には3つの仮説が成り立つ。まず1つ目は単純にDucatiの燃費が悪いということ。この説が正しければ、ドヴィヅィオーソが述べた”タンクの問題”というのは単純に燃料切れということになる。

他の2つはDucatiの燃料タンクに関する問題となり、1つはフューエルポンプの動作が不完全だっとというもの。つまり全ての燃料を正しく使用できなかった事になる。残る1つは、GP15のエキゾーストパイプが燃料タンクに近すぎたために急速な燃料の蒸発を招き、それが原因となり燃料が少なくなった際にベーパーロック減少を引き起こしたというものがある。(※管理人注 燃料が熱せられすぎてフューエルラインに気泡を噛む。日本語だとパーコレーションと説明されますね。)

これらの現象は極限の状況でなければ起こらない現象であるので、テスト期間があまり確保出来ていないGP15ならではのトラブルと言えるかもしれない。

トラックレイアウトだけを見ると、アルゼンチンはヤマハが強そうなサーキットと言える。高速で流れるようなレイアウトというのは、ヤマハのバイクが最も得意とする作りであり、強化されたブレーキングでの安定性とメカニカルトラクションは、M1をこのトラックでより強力なバイクにするだろう。今までの2戦でも序盤のロレンゾの速さは際立っており、ロッシのレース全体のペースは素晴らしいものがある。

ロレンゾは昨年よりも調子が良いし、レースの終盤になっても強さを発揮するだろう。ロッシは昨年よりも明らかにリラックスしていて自信に溢れているし、マルケスを負かす力があると言えるだろう。ロッシはこれについて「マルケスを負かすのは面倒だよね。でも彼に冷や汗をかかせるのは気持ち良いだろうね。今回は逃さないよ!」と冗談を飛ばしている。

ファクトリー以外のヤマハライダーのポル・エスパロガロとブラッドリー・スミスはどちらも良い調子だ。ポルはスコット・レディングに突っ込まれた件で腹立たしい思いだろうが、スミスはオースティンでは序盤にファクトリーに引け劣らないレース展開を披露している。

ポルの兄のアレイシはアルゼンチンでは良い結果を残せる可能性がある。全体に流れるような作りのサーキットレイアウトであれば、最高速に勝る他のファクトリーバイクに付いていくことは容易になるであろう。ただし、ここでもやはりリヤタイヤの耐久性が問題となる。しかし皆に共通して言える事は、マルケスを負かさなければならないということだ。彼は昨年の2勝目をここで獲得しており、ここから彼の連戦連勝の快進撃が始まったとも言える。しかし、今年に関しては彼が持っている勝利のためのマージンは僅かだと言えるだろう。

どのサーキットでもマルケスは倒すべき相手として意識されるだろうが、ヤマハやDucatiは今まで以上に接近している。レースは終盤に激しい争いになるだろうが、そうなった場合、誰が優勝するかを予想するのは難しい。

いつもであればダニ・ペドロサが優勝争いに絡んでくるわけだが、彼は腕あがりの手術のために戦線を離れている。今のところホンダでマルケスの次に上位に来る可能性があるのはクラッチローとレディングだろう。