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★カル・クラッチロー 2014年を語る 第二話(いかにモチベーションを保つか)

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motomattersに掲載されている、カル・クラッチロー選手の今年度に関しての詳細インタビューの続きです。今回の内容は、長く結果が出ないシーズンの中でいかにモチベーションを保っていったのか?というものです。これを読むと、クラッチロー選手って凄く生真面目で精神的にタフなイギリス人らしい芯がしっかりした人なんだなと感じますね。応援したくなります。

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第一話はこちら。


★カル・クラッチロー 2014年を語る 第一話 - 気になるバイクニュース。

 

ダビデ・エメット
「あなたから士気という言葉が聞けて良かった。ちょうど士気について伺いたいと思っていたんですよ。昨年あなたはMotoGPで1勝目をあげようかという状態でした。でも今年はトップ10に入れるかどうかという状態です。精神的にタフでしょうね。」

カル・クラッチロー
「ええ。落胆しますね。一番悪い事は自分が結果を個人的に捉えてしまうことなんですよ。何か間違った事をしているんじゃ無いかとね。勿論結果が出ていないんですから、何かが間違っていることには違いないんですけど、家に帰って自分を激しく責めてしまうんですよ。トレーニングするにしても無意味に自分を追い込んでしまうんですよ。これは、どうしようもないですね。」

 

 お前はお前以下の契約金で走っている多くのライダーを後ろに従えてゴールするために高給を貰っているんだぞ。って思ってしまうんですよ。でも、この状況から学ぶ事もあるというか、ファクトリーチーム内での居場所というかね。速く走れというのは簡単なんですが今の状況では出来ないんですよ。全く何をすればいいのかわからないというわけでは無いんですが。。勿論速く走れるんであれば当然速く走りますし、多くの人がなぜアイツを負かせないんだ?なぜトップ10に入れないんだ?なぜドヴィヅィオーソやイアンノーネのように走れないんだ?と言いますが、もし出来るのであればとっくにそうしていますよ。」

 

「一度妻のルーシーにこの事を話してみたんですよ。で、おそらく一番のターニングポイントは酷いクラッシュをしたテキサスなんだろうなと。今まででクラッシュすることに関しては全く怖くなかったんですよ。他のライダーを見ていても自分が酷いクラッシュをしたり入院したりって事はそんなに無いだろうと思っていました。今年は去年に比べてクラッシュが少ないんですよ。でもそれはテキサス以降すっかり自信が無くなってしまった事の裏返しでもあるかなと。今までに比べてリスクを犯した走行はしていないという気は確かにしています。」

 

ダビデ・エメット
「来年はまた違うバイクになるわけですが、あなたの自信を取り戻すには重要な出来事ですよね。そして今度もまた違うバイクを学ぶ事になるわけですが、そのプロセスの中でどうやって自信を取り戻していくんでしょうか?バイクが変わるということは、それ自体が士気を高めることに直結するものでしょうか?」

カル・クラッチロー
「今年は自分が今まで保っていた自信を失わせるような出来事が数多く起きました。これは単純にバイクに乗るということだけではありません。トラック上で起こること全てが、今までに比べてタフなんです。もしも良いチームの下で良いバイクを操縦することが出来れば、自信はすぐに取り戻す事が出来るでしょうね。

 

「ヴァレンティーノを見ていて思うんですが、彼もDucatiにいた時は今の自分のような感じでしたよね。ただ勘違いしないで欲しいんですが、彼は過去2年間で表彰台を何度か獲得していますけど、それでも彼の中ではベストな2年間では無かったと思うんですよ。そしてヤマハに移籍してから登り調子で、この前のミサノでは優勝しました。ですから、彼を見ていると自信が持てるんですよ。勿論自分はヴァレンティーノじゃないし9度の世界チャンピオンではないです。彼のように乗れるわけでもないし、彼とは違う人間です。それでも彼を見ていると、新しいバイクに乗り換えて良い結果が出せるという自信が持てるんですよ。」

 

「ヴァレンティーノはヤマハにカムバックして最初のカタールで、いきなり表彰台を獲得しました。年間を通して強かったとは言えないでしょうが、必要な時には常に強いライディングをしていました。そして年間を通じてさらに学び、今年は今までになく強いライディングをしていますよね。ですから、自分も自信を持てるんですよ。確かに2011年は結果が出ないシーズンでした。でも最終戦のヴァレンシアでは酷いコンディションの中で4位フィニッシュ、翌日のテストでは総合2番手のタイムでした。そしてセパンでの冬季テストでトップ5、開幕の予選で1位だったんです。」

 

「思うにバイクのライディングをしているだけで気持ちの良い日、1周の良いラップ、1回の良いセッションは何物にも勝るんですよ。もうしばらく、【これは良かった。】いうラップもセッションもしてない気がします。士気という話がありましたが、何かしら士気を高めてくれるきっかけがいるんですよね。それはシンプルに1周の良いラップであったりしますし、最終戦の後のヴァレンシアのテストでそれこそ会心のラップが出来て、今まで感じたことの無いような充実感を感じるとか。そういう去年みたいなことが起きるというようなことです。でも来年に関して心配はしてませんよ。あなたは何故クラッチローは他のライダーに比べて遅いんだろう?と心配してるでしょうけどね。来年は今年と同じような結果は残しませんよ。その自信が無ければ何故走り続けているのか?ということですからね。」

 

ダビデ・エメット
つまり、再び強いライダーになれるという自信があると?

カル・クラッチロー
当然ですよ。それに関しては疑う余地はありません。そうでなければ何故今ここにいるんですか?今から引退したって悠々自適で快適な人生は送れますからね。引退するのは競争力を発揮する気力がなくなった時、もしくはバイクでレースをしたくなくなった時、そして今のような感じで戦うのが嫌になったときでしょうね。誤解しないで欲しいんですが、常に自分を追い込んでやってますよ。いつも100%です。でも現状それでは足りないんです。でも来年はこんな順位では終わらないですよ。そういう自信が無ければ来年の契約にサインしていませんよ。人生の中で、ここまでストレスやプレッシャーを感じないで済むことなんて他にいくらでもありますからね。でも、そう言ってもこの仕事は世界で最高の職業だと思いますよ。今のように最高にタフな時でもね。」

 

ダビデ・エメット
「今現在はファクトリーライダーですが、それ自体が今までよりも多く働くであるとか、思っていたよりも多くのプレッシャーを感じたり、それに対して準備をしたりということはあるんですか?」

カル・クラッチロー
「難しい質問ですね。自分はあくまで自然体でDucatiに来てますからね。そういう風に感じる必要性は無いと思いますね。でも何を期待するのか?というのもありますけどね。自分自身は良い結果が出せずに去ると決意したわけですし。Ducati自体は物凄く素晴らしいメーカーですよ。今まで自分が一緒に仕事をしてきた中でもとびきりに優秀な人達だと思います。ガレージの中でも彼ら自身が何をしているかということに関して物凄く明確ですね。彼らほど働くチームとは仕事をしたことがないですね。いつも朝の2時まで仕事をしてますから。テック3ではだいたい夕方の5:30には仕事を終わらせて、皆夕食を食べるために自転車で出かけたりしてましたからね。Ducatiのスタッフは働くのを止めないんですよ。本当に物凄い情熱ですよ。」

 

「もちろん仕事はハードであるというのは間違いないですね。今までは確かハーブ(テック3のボス)とだと3年間で3回PRデーをやったんです。でも、ここでは完全に次元の違う話ですね。シーズンが始まる前からあちこちの国に行かなくてはならなくて、ドイツ、イタリア、それからセパンのテストに合流したわけですからね。そしてまたイタリア、ドイツに行ってまたイタリアに戻り、マン島に行って、それからカタールですよ。バイクに乗るということに集中するための期間が必要なくらいでした。でもそれは予想はしていました。文句を言っているわけではなくてね。ただ、自分がこうであると良いと思っていたのとはちょっとやり方が違っていただけでね。でもそれでもファクトリーチームの一員になるということは物凄く特別なことですよ。色々な素晴らしい人と仕事が出来たし、中間に人を介さずにDucatiファクトリーの面々と直接仕事が出来ましたから。」

 

「テック3にいた時は全く違う環境でしたね。正直言ってその環境に慣れすぎてしまったんでしょうね。別にハーブに甘やかされたわけではなくて、間違った事をした時やクラッシュした時、順位が悪かった時には色々言われましたから。ただ、妙な話ですけど、自分自身はテック3においてはgolden child(奇跡の子)みたいな感じだったんですよ。でも今は真逆の状態ですよね。それに関して誰を責めるという訳ではないんですけどね。それに対して怒ってもいませんし。結果論としてこうなっているわけであって。。だから来年のチームとは、また違う雰囲気で仕事が出来るんじゃないかなと思うんですよ。ジャック・ミラーをチームメイトに迎えるというのもありますしね。それに関しては楽しみですよね。来年はもっと競争力を高く保った状態でレースがしたいです。」

(motomatters)